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神宮司 彰人と神宮司 春奈

 スマホのトークアプリに一件の連絡が届く。父さんからのものだ。


『無事か?』


 そういえばこの状況を知っているとしたら俺らの安否は心配になるだろうな。待ち合わせ場所で事件が起きてしまったわけだし。


『なんとか無事だよ』


 そう返すと直ぐに既読が着いた。母さんからは特に連絡が入ってないあたり、ちゃんと二人は一緒にいるんだろう。


『よかった。いまから札幌駅の辺りは規制が入るだろうから、近くの飲食店で集合しよう』


 そういえばこんな状況じゃ閉鎖されるだろうなぁ。とりあえずきららと一緒に閉じこもっていた喫茶店を出よう。


『わかった。あの店でいい?』


 いつも家族で食べに行っていたラーメン屋がある。集合するならそこだろう。


『そこのつもりだった。気を付けてくるんだぞ』


『了解』


 よし、じゃあきららに声をかけて出るとしようかな。


「きらら、もう大丈夫だから、父さんたちと会いに行こう。な?」


 きららはまだ俺の袖につかまって震えている。普通の人ならこういう反応が正しいんだろうな。俺が少し力をつけて守る技術があるから冷静でいられただけで。


「...少し待ってね、お兄ちゃん」


 そうだな、この状態で歩かせるのも少しかわいそうだし。父さんたちには少し悪いが、遅れていくことにしよう。


「ああ、待つよ」


 そういえば店内には他にも人がいたな。


「皆さん、事件は解決したみたいですし、もう出ても大丈夫ですよ」


 店の奥の方で集まっている人達に声をかける。がれきが崩れてくる可能性もあるわけだし、彼らも早急に逃げるだろう。


「ありがとうな兄ちゃん、助かった!」


「本当にありがとうございます!」


「助かりました!」


 どうやらあの人達にも俺が幹を一度防いでいたのが見えていたらしい。口々にそんなことを言うとみな避難していった。


「きらら、そろそろ大丈夫か?」


 きららの震えも大分治まっている。これなら大丈夫だと思うが。


「うん。だけど、歩くなら手をつないでほしいな」


「それくらいならいいぞ」


 確かに怖い思いをした後だし、不安もあるだろうしな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 しばらく二人で歩いてラーメン屋の近くまで来ると、ラーメン屋の近くにあるモニュメントの付近に二人の男女のが見える。


 父さんと母さんだな、あれは。近づいてみると案の定、両親の姿がそこにあった。


「悠斗、きらら、けがはないか?」


 父さんはよほど俺たちの事が心配だったのか開口一番にそういった。


「彰人さん、見れば傷はないのはわかるでしょ~」


「春奈...。いや悪い、心配でな」


 俺が何か言う前に父さんと母さんで話を始めてしまった。二人の話は始まると長いから少し待つことにする。


 5分ほどたってようやく話が終わったようなのだ。


「それで、本当に何もないのか?」


 父さんが一応は聞こうという適当な感じでの質問がきた。


「見ての通りだよ。きららは少し打撲とかはあるかもしれないけど」


 とっさに突き飛ばしてしまったからな...。


「ううん、私は大丈夫だよ?」


 きらら曰く大丈夫だそうだ。


「そうか、それならよかった。気晴らしにここでラーメンを食おう。久しぶりに家族全員でな」


 ずいぶんと懐かしい。ここで最後に家族全員でラーメンを食べたのはもう一年以上前のことだ。


 ダンジョンというものが生まれてから父さんの会社は忙しくなってどんどん父さんが家にいる時間が減っていったからな。子供の頃はよく食べに来たのに、一年以上も開いてしまったな。


「そうだね、久しぶりに」


 きららと母さんもうなずいている。


「よし、はいるぞ」


 父さんが店に入ったので皆で続いて入っていく。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「腹いっぱいになったか?」


「もちろん」


「お腹いっぱいだよ!」


 店から出ると父さんが開口一番に聞いてきた。俺たちの返答を聞いてうれしそうにしている。


「そうか、ならいい。じゃあこの後は家に帰ろう。今日は大変だっただろう?」


 確かに今日はあの事件のおかげでかなり疲れがたまっている。肉体的にはそうでもないが精神的な疲労が大きくある。


「うん、今日はこれ以上外に居たくはないかな」


「私も...」


 ちなみにだが、母さんは俺たちと父さんが話すところを見て微笑んでいる。きっと普段はあまり話すことができない俺たちだから、話させてくれているのだろう。


「よし、じゃあ帰るぞ」


 

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