現れた暗黒
このままだと彼らが負けてしまう。なんとかならないものか...。そう思っていたら、状況が変化した。10本ずつ二人で対応していたみたいだが、青年の方が大樹への直接攻撃を試みるために女性が20本すべてに対応している。
そして青年は手を振りかざして大樹を削った。なるほど、空間系の能力なのか。それならあの大樹の内部にいるであろう能力者も倒せるのか...?
「大丈夫かな...。あの人達」
きららが心配している。大丈夫だきっと。もし状況が悪くなりそうだったら彼が来てくれることを願おう。
「大丈夫だから、一応下がっててくれ」
きららが後ろの方にいれば深淵防壁で何があっても対応可能である。きららの安全確保のためにできればそうしてほしいものだが。
「お兄ちゃん! あれ見て!」
きららがさした指の先を見ると大樹がへし折れてなかから一人の金髪の男性が出てきていた。遠目なためかよくわからないが日本人ではないように見える。
しかしビルよりも高く太い大樹をへし折るなんてあの男はすごいな。空間系でも最上位の能力者なのだろうか。
しかし、あとはあの男を捕まえるだけだが...。動きが待たなくなってしまった。一体なぜだ?
その答えはすぐにわかった。先ほどの植物の幹を遥かにしのぐ速度で植物の種子のようなものが彼が作り出した魔法陣から射出される。タ〇マシンガンかよ。
その種子が彼らに飛来すると、青年はもう一人の女性をかばっていくつかの種子に直撃してしまった。
そして吹き飛ばされた青年は高所にあった戦場の幹の上から落下していく。
残された女性が手を伸ばすが、届くはずもない。
「まずい...」
青年はそのまま落下しコンクリートの地面に激突するかに思われたが...。
救いはあった。
青年の体は地面に衝突する直前に闇に包まれる。
「お兄ちゃん、あれってもしかして!」
「そうだな、あれは」
日本の英雄、紅 司のお出ましだ。どこからともなく姿を見せた仮面の男に、植物の男は動揺した様子を見せる。
遠目から見てもわかるほどに動揺している。
紅さんが暗黒武装を展開し、植物の人に迫る。ちなみにだが青年を包んだ闇はそのまま女性の元まで登って行った。
種子の弾幕が紅さんに飛ぶが紅さんは全てを槍で突きさしてしまう。
力の差がありすぎる。はっきり言って紅さんは日本の中でもずば抜けすぎている。日本一位であって世界一位でもあるということはそういうことなのだろう。
続いて目にも止まらぬ高速で動いたかと思うと、植物の人の隣に立っていた。
そのままその植物の魔法使いに暗黒の槍を突き刺すかに思えたが、その槍は何者かに止められた。
その者はただひたすらに白かった。髪も肌も、そして服に至るまで。
驚いたことにそのものは年端もいかない少女である。少女が、世界最強の男の一撃を止めたのだ。
その少女は光系魔法の使い手のようで、光の盾で植物の男をかばった。
そして少女は反撃として光線で紅を攻撃する。紅はその光線を軽くかわすが、その光線はかなりの威力で紅の後ろのビルを融解させた。
「お兄ちゃん...」
きららが服の裾をつかんでくる。そりゃあ怖くもなるだろうな。目のまえで大怪獣戦争のようなものが始まってる。年頃の女子中学生ならそりゃあ怖いだろう。
「大丈夫、俺が守るからな」
そういいはするがあの少女の攻撃は深淵防壁で防げる自信はない。威力の桁が違いすぎる。間違いなく一撃で10枚は深淵防壁が貫かれる。よもすると10枚どころではないかもしれない。
とりあえずきららには安心していてもらいたい。
そして少女と紅さんの空中での肉弾戦が始まった。早すぎて俺には目で追えず、ただ光と闇がぶつかり合い、拮抗しているようにしかみえない。そしてだんだんと闇が大きくなっているように見える。
紅さんの優勢のようだ。しかし植物の男は少女にとっては足手まといなのかもしれないな。
紅さんの植物の男に対する攻撃である闇をすべて少女の光がはじき返している。
ついに終わりの時がきた。ひときわ闇が濃くなり、光を弾き飛ばした。そして、手を少女に向けた紅さんが見える。
紅さんの手から極太の闇が放たれ。少女と植物の男を飲み込む。
その衝撃はここまで伝わってきた。もちろんブラックボックス内には何の変化もないが、深淵防壁に圧がかかる。
闇が霧散したのち、ボロボロになった少女と植物の男は空間の裂け目に吸い込まれていった。
耐えたのか?あの闇を。
少女たちが消滅した瞬間に街を支配していた大樹が消滅する。
ブラックボックスを消して外を見に行ってみると、がれきが飛び散っていたり、建物に大穴が相手いたりした。
この八年の間にいろいろな事件があったが今回の事件は15本の指に入るほどの事件になるだろう。なぜなら襲撃を起こしたのが人だからだ。
人による襲撃でここまで被害が出たという事件は聞いたことがない。
そういえば父さんと母さんは無事だろうか。電車は間違いなく止まっているだろうから一つ前の駅にいるのだろうか。




