淵静必寂鎌
タイトルはえんせいひつじゃくれんと読みます。
目が覚めた。最近は幸奈や相棒のおかげであまり思わなくなったが、やはり学校は憂鬱だ。
「でないとな」
しかし行かないわけにもいかないので、しぶしぶベットから出て、学校に向かう準備をする。
「おはよう、きらら」
「おはようお兄ちゃん。はいこれ、お弁当」
「おう、ありがとう」
きららから弁当を受け取って家を出る。
特に何事もなく学校に付く。教室に入ると、すでに幸奈がいた。
「おはよう悠斗くん」
「おはよう幸奈。速く来たのに先を越されるなんてな」
今日は早めに学校に来たので、教室には幸奈と俺以外誰もいない。
「最近は早く来てるの。学校が楽しみになったからね」
どうやら俺とあまり変わらない理由で学校に早く来ていたらしい。
「それはよかったじゃないか。まぁ俺も話せる人ができてから早く来るようになったんだけどな」
「私と、相棒くんの事ね?」
「そうだ」
相棒、お前名前覚えられてないんじゃないか?
「え、神宮司くんに三島さん?」
どうやらクラスメートたちが来たらしい。また幸奈は連れていかれるんだろうなぁ。
「おはようございます、皆さん」
「三島さん、ちょっとこっちきて?」
猫かぶりモードで対応した幸奈であったが案の定連れていかれた。
仕方ない、いつも通り音楽でもきいて授業が始まるのを待つとしよう。
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今日も何事もなく授業が終わった。よし、ダンジョンに行こう。今日は10層で魔法の実験だ。
いつも通りダンジョンの入り口に着いたので、改札を通ってダンジョンの中に入る。
そしてすぐに10層のセーブ地点までテレポートだ。
「ずいぶんと出合い頭だな」
ワープしたその場所から見える場所にホブゴブリンがいた。そのホブゴブリンと目が合う。
「グァァ!」
案の定ホブゴブリンがとびかかってくる。
「仕方ない、新技と行こうか!」
魔力を練り、イメージを固める。深淵を具現化させ、新たな武器を形づくる。しかし、イメージが固まり切らなかったからなのか、魔力が途中で霧散してしまった。
「ちっ! 『深淵の槍』」
近付いてきていたホブゴブリンはしっかりやっておく。この技、少し練習が必要だな。強力な武器になるのが分かっているだけに練習する必要がある。
失敗の原因になったのはイメージが固まりきらなかったからだ。イメージを固めるためにはどうするべきだ?
アニメ等を見て学ぶのも悪くはないが...。しかし、可能性を見た今、早くこの手であの武器を握りたい。ここは他の方法で行くべきだな。
ならば、詠唱を持ってイメージを固めるのはどうだろうか?
だが、イメージを固めやすい詠唱とは何だろうか。考えても仕方ないな。まずは感覚で一度やってみよう。
そうだな、この武器は命を刈り取り静寂をもたらすものだ。こういうのはどうだろう。
「混沌の世に生まれし深淵が作りだす静寂よ。今我が元に集い静寂を作りだせ。『淵静必寂鎌』」
何気、詠唱というものを考えるのは初めての試みだ。かっこよさなど二の次。とにかくイメージを固める。
魔力が俺の手に集中していく。その魔力が形作るのはおぞましいまでの闇を凝縮した大鎌。触れているだけで魂が削れていくような。
魔力の消費が激しいのはわかっていたが、武器の生成だけで俺の今の全魔力の半分が持っていかれるのはどういう了見だろうか。まぁ、深淵同化はもっと消費が激しいが。
魔力が250ほど持っていかれたわけでBクラスの平均ステータス1000であろうとも四回で魔力が尽きる計算になる。
「その分強力だろうがな」
近場に実験台になるホブゴブリンがいたので、この大鎌を持って近づいていく。この大鎌の気配に当てられたのかホブゴブリンがこちらに気が付く。
おびえているのか奴は逃げ腰になっている。逃しはしないけどな。今俺が出せる最高速度で距離をつめる。
この鎌をもってホブゴブリンの首を狩る。まるで豆腐でも斬るときのような手ごたえのなさでホブゴブリンの首が落ちる。
とんでもない威力だ。これならゴブリンリーダーにでも余裕で傷を与えることができる。
でも今はステータスの上昇を図るために効率よく狩りをしなければならない。この技は格上相手の時以外は封印だな。




