美佳のスキルとステータス
『悠斗さん、つきましたよ!』
時間にして9時50分。少し早いが美佳がうちに到着したようだ。
『今出るよ。』
返信をして、鞄を持って家を出る。家から出ると、いつもの場所に車が止まっていて、その前に美佳が立っていた。
「悠斗さん、おはようございます!今日はよろしくお願いしますね。」
今日は初めて会ったときと同じような動きやすそうな格好だ。
「おう、今日はよろしくな。」
今日は美佳のレベル上げだ。俺もダンジョンで少し実験したいことはあったが、それは明日だな。
「今日は悠斗さんの家の近くの入り口から入るので、せっかくだから歩いていきましょう!」
車じゃないのか。
「いいぞ、じゃあ行こうか。」
いつもの道を美佳とともに歩く。なんというか少し新鮮な感じだな。こういった感じで人と共にダンジョンに向かったことはなかったからな。
「こういうの、なんかいいですよね。」
美佳は俺と歩くことをよく思ってくれてるらしい。
「そうだな。こういうのは初めてだが、悪くはない。」
そのまま話ながら歩いていくと、すぐにダンジョンの入り口についてしまった。楽しい時間というものはすぐに過ぎてしまうものだ。改札を通りダンジョンの中に入る。
不思議だな。一日入っていないだけなのに懐かしく感じる。
「じゃあ悠斗さん、3層ぐらいまで行きますか。」
経験値を稼ぐうえで効率がいいのは確かに3層付近である。武器持ちゴブリンは保有経験値が多めだからな。
「そうだな、よし、行くか。」
できるだけ最速でいこう。道中のゴブリンは俺がすべてワンパンし、3層までたどりついた。
「ここからは俺は見てるだけだぞ。」
ここからは美佳の経験値稼ぎのために俺は見ていて、そして危なくなったらサポートに入るだけだ。
「はい!頑張ります!」
彼女はまず槍持ちのゴブリンの相手をする。
「見ててくださいね!悠斗さん!」
美佳は槍持ちゴブリンの突きをかわし、その武器を吹き飛ばす。体をひねりこみ、その武器に手をかけるその姿は華麗なるものだ。お嬢様なのにそこそこ武術経験を積んでるんだな。
「はぁっ!!」
美佳の強烈な掌底がゴブリンの腹部に直撃する。ゴブリンの体はくの字に曲がる。あれは骨が数本やられたときの奴だな。美佳はさらに頭部に回し蹴りを直撃させる。ゴブリンの首は曲がっちゃいけない方向に曲がった。
「よし!」
ゴブリンが消滅し、美佳は俺の方へ来た。
「どうでした?」
「ああ、いい武術だったよ。誰かに習ってたのか?」
「お父さんから習いました。お父さん、一応Aクラスの探索者なので。」
Aクラスの探索者?それはすごい。多分武術系で成り上がった人なんだろう。
「なるほどな。お、次が来たぞ!」
今度は剣持ちゴブリンだ。美佳は剣持ちゴブリンにこっそりと近寄ると、奇襲をかけ、またも一撃で剣をたたき落とし、ゴブリンの顎を殴り上げると、すかさず腹部に二連撃を加える。
パターンで倒すんじゃなくて、しっかり毎回考えて戦っているのが分かる。これは美佳、スキルを手に入れたら化けるだろうな。
「ほんとに武術の達人だな、美佳は。」
俺もそこそこ武術をやっているが、俺とくらべて遜色ないレベルだ。
「ありがとうございます!あ、あれゴブリンじゃないですか?」
美佳は長い廊下の奥にいるゴブリンを見つけたようだ。すごい先だな。俺には豆粒みたいにしか見えないぞ。
「じゃあやりに行きましょう!見たところ武器は斧ですね!」
美佳はあのゴブリンに向かって駆け出すが、その長い廊下の途中の分かれ道から急に出てきたゴブリンに奇襲をくらってしまう。まずい!
「『深淵の刃・速』!」
俺は魔力を多めにかけ、いつもの速さよりも早く刃を飛ばす。奇襲をかけたゴブリンの首は一瞬にして飛んだ。
「危なかったな。」
美佳がこちらによって来る。
「あ、ありがとうございます。」
「ああ、今日の俺の仕事はこれだからな。美佳は気にせず戦っていいぞ。」
そうしないとただ見てるだけのストーカーだからな。
「よし、じゃああいつのところに心起きなく行ってこい!」
「はい!」
俺が美佳を送りだすと、美佳は全力でかけていく。そして斧持ちゴブリンに一撃を叩き込むも、大きな斧を持つゴブリンはそれを盾に一撃を受け止めた。
美佳は慌てずに、そのまま一瞬にして距離を取ると、ゴブリンの後ろに回り込み、そのまま後頭部に蹴りを打ち込む。斧持ちゴブリンは重いものを持っているせいか、そのまま前に倒れこんでしまう。美佳はそこに容赦なくかかと落としを叩き込む。
斧持ちゴブリンは消滅し、大きな斧をその場に残した。
「あ、悠斗さん!レベル上がりました!」
どうやら美佳のレベルが上がったらしい。
「おめでとう。スキルとか確認しに行くか。」
「はい!」
俺と美佳は急いで入り口まで戻る。こういう時セーブの昨日あれば便利なんだが...。明日実験の後に5層のセーブ昨日を解放しに行こう。移動がある程度便利になる。
道中のゴブリンはもちろん俺が一撃で消していく。
そして約10分後、入り口までついた。俺は美佳を連れてステータスボードの前まで来た。
「美佳、確認してこい。俺は見ないから。」
人のステータスを見るのは基本的にマナー違反だ。家族でもない限りな。
「悠斗さんなら見ても構いませんし、むしろいてほしいのですが...。」
「いいのか?」
「もちろん構いませんよ。」
どうやら美佳は俺に見られても構わないらしい。人のステータスは俺も気になるしな。お言葉に甘えさせてもらおう。
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名前:笹島 美佳
レベル:5
ステータス:攻撃力 73
守備力 52
魔力 82
知力 81
精神力 64
速度 97
スキル:<固有:獄炎の尊者>
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レベル5とは思えないステータスだ。俺はレベル5の時はオール10だったぞ。それにスキルだ。俺と同じ固有のものだ。
これは強くなるな。期待大だ。
「これはすごいですね...。この後時間ありますか?悠斗さん。」
「すごいなこれは...。ああ、時間は全然あるぞ。」
何も用事なんてない悲しい人だからな。
「実験しましょ実験!」
なんか俺に似てきたかなぁ...。




