美佳との約束
しかし、今は父さんも仕事中だろう。今は忘れていたことを思い出せただけで収穫だな。
「ご馳走様!」
きららがシュークリーム3個すべて食べきったようだ。俺まだ一個食べ終わるくらいなんだけど。ずいぶん早いな。
「おいしかったか?」
「当然だよ!また食べたいね!」
きららは花が咲いたような満面の笑みでそう口にした。そうだな、俺もまた行きたいと思うよ。こんな優しい味のシュークリームはなかなかないしな。
「そうだな、また今度は一緒に買いに行こうな。」
俺も残ったひとつのシュークリームを食べきってしまう。
「よし、久々にニュースでもみるか。」
きららは食べ終わった皿を洗うと直ぐに自室に宿題をやりに行った。俺は今リビングに1人というわけだ。
バラエティ番組を見てもいいんだが、最近は本当に時事に弱いからな。ここで時事を確認しておくのも悪くない。
テレビをつけると、今話題の新しいSNS映えドリンクについての特集が組まれていた。へぇ。こんなカラフルな飲み物、よく飲む気になるな。紫に至っては見た目完全に毒だろこれ。
ん?なんか緊急速報が上の方に出てきたぞ。
『ドイツの監獄が襲撃され、犯罪組織幹部が脱獄。』
ずいぶんと物騒だな。ドイツの監獄を襲来とは...。そこにはかの魔王がいるのに大胆なことをするものだな。
お、ニュースの画面が切り替わった。特集の画面からアナウンサーが真ん中に移るいつもの画面になった。
「速報です。ドイツのシュトゥルム魔術監獄が襲撃され、この事態を受けBクラス以上の探索者が数名意識不明の重体ということです。現在、エリアス・シュナイダーが応戦しています。」
シュトゥルム魔術監獄...?世界でもトップクラスの魔術監獄じゃないか。それにBクラス以上が意識不明とは。Sクラスなみに強い犯罪者が襲撃を起こしたのか?
ニュースの映像が切り替わる。ドイツのシュトゥルム魔術監獄はあり得ないほどの大きさをした木に覆われ、見る影もない形となっている。あれはやばい。転変地位クラスの魔法だ。そこにむかって多数の魔物がブレスや魔法を放っている。間違いなくエリアス・シュナイダーの配下だろう。見た限り100体近く出ているようだが...。あれ一体一体が俺の何十倍も強いんだよな。信じられない世界だよ全く。
エリアス・シュナイダーによる総攻撃が続いているが、木はたちまち再生し、何もなかったようになっている。
そこから10分ほどずっと木が攻撃されているだけの状況であったが、一瞬のうちに変化が現れた。空中に闇の亀裂が生まれる。そこから出てきたのは...。エリアス・シュナイダー本人と、紅さん!?
これは驚いた。エリアスは紅さんを呼びに行っていたのか。道理で姿が見えないわけだ。右に立つ紅さんが左手を指し、左に立つエリアスが右手を差し出す。まさか合体魔法が見れるのか?
エリアスの闇と紅の闇が交差する。そして一つの大きな闇が生まれた。その闇の奔流は大樹を軽々と吹き飛ばし、飲み込んだ。大樹の再生がやんだ。
すると、大樹だったモノの中から光輝くなにかが見えた。同時に大樹の残りカスは全て消滅した。
どうやら、あの大樹の能力者が退却したらしい。後に残ったのはボロボロになった魔術監獄のみ。あんな犯罪者がいるのか。
それにしても、同じ闇系の能力者として、あそこまで行ける気は本当にしないな。どうしたらあんな出力を出せるんだ。できるだけあれに近付けるように努力しなくては...。
すると机の上にあるスマホがなった。誰から連絡か?見るとそれは美佳からのものであった。
『明日、約束していたレベル上げの件、手伝っていただけますか?』
との連絡だった。そういえばそんな約束をしていたな。別に予定もあるわけではないし、元はといばこれが予定として入っていたものだ。
『もちろん。集合は?』
『10時に迎えに行きますね。』
また迎えに来ていただけるようだ。少しもう分けないな。とりあえず今回は護衛のようなものだからな。全力で美佳のことを守ることにしよう。
『わかった。待ってる。』
そういえば美佳素手で戦ってるって言ってたよな。スキルが手に入ったらそれに見合う武器を使うつもりだろうか。あれ、そういえば俺も武器なくないか?いつも深淵の剣を使っているからいらないとは思うが、武器は探索者の顔だし、いつか何か一本に絞ってそこそこいい武器を買わないとな。
さて、じゃあ明日は10時スタートなんだし、早めに用意するために早めに寝よう。
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目が覚めた。時刻は8時。学校に行く日なら確実に遅刻であるが、今日は土曜日だ。とりあえずリビングに降りると、きららが朝ごはんを食べながら待ってた。
「あ、おはようお兄ちゃん。」
今日はきららも部活だったような気がするが。
「きらら、今日は部活いいのか?」
いつもなら申せすでに出ていてもおかしくない。
「今日は私でないよ~。」
なるほど、お休みをいただいているわけか。そういえばそういうそぶりを見せないが、きららは受験生だったな。きっと今日は勉強をするんだろう。
「俺は今日もダンジョンにいってくるよ。」
「怪我しないでね?お兄ちゃん。」
「ああ、今日は全然危ないことはしないよ。」
ただ下層でレベル上げを手伝うだけだしな。
「それならいいんだけど...。」
「おう、勉強頑張れよ。」
前と水族館に行ったときのように準備をしていく。準備が終わったのは大体9時半ごろ。あと30分だな。
とりあえずその間はコーヒーを飲んで待っていることにしようか。




