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きららとお礼状

 シュークリーム屋の前で幸奈と別れ、タクシーを呼んで家に帰ってきた。いつもよりは少し早い5時半ごろの帰宅になった。


「ただいま。」


 どたどたと家の中から足音がする。


「お帰りお兄ちゃん!早かったね!!」


 きららが急いで出てきたようだ。そんなに急がなくてもいいんだけな。


「おう。これ買ってきたぞ。」


 買ってきたシュークリーム屋の箱をきららに見せる。


「あ!これあのお店の!?久しぶりだね!!」


 きららもあの店の事、ちゃんと覚えてたんだな。


「ちゃんときららが好きだったチョコシュー買ってきてるぞ。」


 俺は普通のシュークリームが好きだからチョコシューは基本きららのものだ。


「やった!晩御飯の後で一緒に食べよ!」


 そういうときららは俺からシュークリームを取って冷蔵庫に急いでしまいにいった。せわしないな全く。


 とりあえず家に上がるとすでにカレーの匂いが部屋に満ちていた。今日はカレーか。


「あ、お兄ちゃん、先お風呂入る?一応お湯貼ってあるけど。」


 珍しいな。この時間に風呂入れてるなんて。ああ、俺が昨日早く帰ってくるって言ったからか。


「いや、入るならきららが先に入っていいぞ。やらなきゃいけないこともあるしな。」


 別に今でなくてもいいが。一度催促されたし、忘れないうちに読んでおきたいものがあるからな。


「そうなの?じゃあ先入ってるね~!」


 きららは上機嫌に風呂の方へ行った。俺は階段を上がって二階の自室に入ると保管しておいたものを取り出す。


「少し、遅くなったな。」


 お礼状だ。幸奈の妹のななかちゃんだったかな?その子にいただいたもの。


「読むか...。」


 封筒を開き、中に入っていた紙を手にする。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

拝啓

 助けていただいた探索者さま。美鈴中学校3年2組の三島 七菜香と申します。


 この度は札幌地下大迷宮から逃げ出した狂暴なゴブリンから救っていただきありがとうございます。市の安全を守ろうと努力する姿と、あの漆黒の魔法はとてもかっこよかったです。いつか私もあのようになれるように、姉に教えてもらいながら一層努力を重ねていきたいと思います。


 この度は本当に、助けていただいてありがとうございました。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 中の手紙はかわいらしい丸文字で書かれていた。そうか、かっこいいと思ってもらえたか。人に役に立ててよかった。目標にされてるようだし、今後俺も頑張っていかないとな。


 それはそれとして...。


「きららと七菜香ちゃん、同じクラスじゃないか?」


 きららも同じ美鈴中学校の3年2組だ。交流はあるんだろうか。後で聞いてみようか。


「お兄ちゃーん!お風呂いいよ~!」


 きららが下のリビングから大声で呼んできた。どうやら、割と時間が経っていたらしい。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 風呂から出ると、きららがカレーをテーブルに出してくれていた。


「晩御飯だよ!早く食べよう!」


 どうやらきららはよほどシュークリームが楽しみらしい。よかったよかった。


「あいよ。」


 俺もきららの向かいの席に着く。


「「いただきます。」」


 カレーを一口。うん、やっぱうまいなカレーは。


「そういえばきらら、クラスに三島七菜香って子はいるのか?」


「ななかちゃん?いるよー。それも有名。〈薔薇姫〉って呼ばれてる。見た目はすごくかわいいんだけど力がすごい強いんだ~。」


 なんで薔薇なのかは全く理解できないが...。


「仲はいいのか?」


「とーぜん!私はクラスの女子は皆仲いいよ!」


 どうやらうちのきららはクラスでしっかり馴染めているらしい。兄の俺に似ず、良く育ったな...。


「そうか、それはよかった。」


「急に聞いてくるなんてどうかしたの?」


「いや、昨日俺を連れてきた人がいるだろ?」


 深淵同化を使ったときに幸奈に送ってもらったからな。きららも覚えているだろう。


「ああ、あの綺麗な人?」


「そうだ。あの人の三島幸奈っていうんだけど、七菜香の姉だぞ。」


「えぇー!?あの人が話に聞く!?」


 話に聞く...?


「噂でも出回ってるのか?」


「あ、七菜香ちゃんが毎日なにかあるごとにうちのお姉ちゃんはね、っていうから結構聞いてるんだ。」


 なるほど。納得だ。それにきららには毎日お話できる相手がいるんだな。安心できる。


「だから私もお兄ちゃんの話してるの。」


 ...。おい。ろくなことしてない兄だからいいこと言われてる自信がないんだが。


「そうか。」


「なんかそれで私たち、クラスにコンプレックスのお二人って言われてるんだよねぇ...。」


 多分皆に聞こえるように話してるんだろうなこの感じは。なんだろう。恥ずかしいからやめてほしいんだけど。


「まぁいいか、さっさと食べてシュークリーム食べよ!お兄ちゃん!」


「お、おう。」


 なんと呼ばれるかよりもシュークリームが優先らしい。うちの妹もそうだが、俺の周りの人は破天荒な奴しかいないのか?


 とりあえず食べきったのでシュークリームの入った箱を冷蔵庫からだして開けると、なぜか5つのシュークリームが入っていた。入れ間違え...。ではないだろうな。チョコシューだし。おそらくだが店主のおまけだろうな。次行くときは感謝しないと。


「はいこれ。」


 きららにチョコシューを二つと普通のシュークリームを一つ出す。


「おいしそう!いただきます!」


 きららは幸せそうな顔をしてまずチョコシューに口を付けた。


「おいしい!」


 お気に召したようで何よりだ。俺も一口。


「昔と変わらない味だな。」


 なにもかも、一切。懐かしい味だ。いつか父さんと母さんにでも食べてもらいたいものだ。


 ...そういえば父さんに関してなにか忘れていることがあったような。


「あっ。」


「ん?どうしたのお兄ちゃん。」


「父さんに聞きたいことがあったんだった。」


 忘れていた。このままだとあまりよくないかもしれない。


「税理士の父さんに税金関連を聞きたくてな。」

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― 新着の感想 ―
[一言] どうもです。ツイッターより拝見しに来ました。 最新話まで一気読みさせていただきました。 テンポよく話が進んで、文章も見やすく、設定も面白くて、よかったです。 今後の更新に期待大です。 …
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