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魔法の正体と学校

「お兄ちゃん!?」


 家に着くと、出迎えに来たきららが血相を変える。まぁ知らない女の人がいるわけだしな。


「また、魔力切れ?無理してない?」


 今日無理してないかときかれたらそれは答えにくいんだよな。...そっと幸奈の方を見ると目をそらされた。


「いや、無理してないよ。今日も実験してたら魔力が切れちゃってな。」


 心苦しいが、今後心配をかけてしまうかもしれないし、今は嘘をついておこう。


「そっか、これからは気をつけてよ?」


「おう。」


「あなた達はいつもこうなのかしら?」


 幸奈から声をかけられた。どうやら二人で話過ぎていたことがご立腹らしい。幸奈の声を聴いて、きららが我に返る。


「お、お兄ちゃんを連れて帰ってきてくれた方ですか?」


「そうよ、妹さん。悠斗くんをあとは頼むわね。」


 優しい笑顔で幸奈が言う。妹がいるって言ってただけに、年下慣れしてるな。


「ま、任されました!」


 今度はきららに肩を貸してもらうと、幸奈は、『妹が待ってるの。』といって帰って行った。


「かっこいい人だったね、お兄ちゃん。」


「ああ、そうだな。全国の高校生の中でも2、3番目に強い人だからな。」


「え、そんなすごい人なの!?」


 とりあえず玄関で話してないで中に入りたい。もう11月だからすごい寒いんだよな。


「と、とりあえず入ろう。寒くなってきた。」


「あ、ごめんねお兄ちゃん!」


 家に入ると、現在時刻は午後8時であった。もうすでにご飯はできていた。体調は良くないが、作ってもらった以上は食べるべきだろう。


「ご飯、食べるよ。」


「お兄ちゃん、別に無理しなくてもいいんだよ?」


 無理はしてない。礼儀ってものは家族でも大事なものだ。


「大丈夫。食べきれなかったら取っておくよ。」


「ならいいんだけど...。何かあったらよんでよ?裁縫してるからね?」


 今度きららの好きなシュークリームを買って帰ろう。明日のダンジョンをキャンセルして買いに行くのが一番だな。


「ありがとな、きらら。うん。うまいな。」


 きららが作るごはんはいつ食ってもうまい。


 いつもの二倍以上の時間をかけてごはんを食べ終わると、きららが『お兄ちゃんは休んでていいよ~。』といって食器類などを洗ってくれた。


「すまん、きらら。俺は早めに寝ることにするよ。」


「うん、それがいいよ。明日は学校いけそう?」


 前よりも体感の回復は早いような気がしているし、多分大丈夫だろう。


「ああ、さすがにそんな頻繁に休めないしな。」


 さすがに授業遅れすぎるとしんどいしな。


「体調気を付けてね?」


 最近きららには心配かけてばかりだな。不出来な兄のままではいられないし、そろそろ気をつけないとな。


「ああ、大丈夫だよ。」


 ベットに入ると俺は考え事をする。今回の深淵同化では俺は前よりもそこそこ長い時間の間変身していることができた。もしや深淵同化はステータスの上昇率がかなり高いのではないだろうか。しかしそれでは命中しなければ上昇しないというルールには反するな。しかも、前にゴブリンを倒した時と、ホブゴブリンを倒した時ではステータスの上昇量が異なっているはず。上昇量の計算があわないしな。


 まさかだがこの深淵魔法は命中した対象のステータスを吸収する魔法か...?その方が命中たびにステータスが上がるという荒唐無稽は能力よりもイメージが付く。あくまで仮説ゆえ、実験が必須だな。まぁ土曜以降に持ち越しか。


 ふとスマホを見ると誰かからのメッセージが来ていた。


『今日はありがとう。楽しかったわ。悠斗くんの能力、強力だけど扱いは気を付けるようにね?たくさんの人が心配するわ。もちろん私もね。』


 名前を見る前に誰かわかった。幸奈だな。幸奈もあんな感じにしては心配してくれていたのか。そうだな、今後はしっかり考えて使わないとな。


『心配かけてすまんな。今後は扱いに気を付けるよ。』


 そういえばもし仮説が当たっていれば今日の闘いは多段攻撃をよく使ったから、ステータスの上昇がかなりのものになっているはず。次のダンジョンが少し楽しみだ。


 今日はもう寝よう。寝た方がしっかり体調が回復するしな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 朝少し早くに目が覚めた。取り合えず今日はダンジョンをお休みしてシュークリームを買いに行く予定だが...。どこに買いに行こうか。近所のスイーツ専門店でもいいし、それ以外の札幌駅近辺のものを買いに行ってもいい。


 とりあえず、学校に行くか。


「きらら、おはよう。」


「あ、お兄ちゃんおはよう。」


 きららは今日も弁当を作ってくれていた。唐揚げが見えた気がする。俺の大好物だ。


「今日はダンジョンに行かずに帰ってくるよ。」


「そうなの?じゃあ少しはやめにご飯の用意しておくね!」


 きららはうれしそうだ。俺がダンジョンに行かないってことは心配する必要もないわけだしな。


 きららから弁当を受け取って制服に着替えて学校に向かう。今日は今週最後の登校日だから少し気分がいい。


 学校について、教室に入ると珍しく早いうちに幸奈が来ていた。


「おはよう、悠斗くん。体調は大丈夫かしら?」


 俺にむかってすぐに話しかけた普段と違う幸奈の様子に、クラス中がざわついた。視線が痛い...。


「あ、ああ。体調は問題ないが...。」


 すごい注目されてるのが気まずい...。


「昨日は激しかったものね。あなたの体調が悪くないならよかったわ。」


 うーんその言い方はたぶんよくないな。クラスのざわめきが大きくなったぞ...?


「お、おう。」


 歯切れの悪い返事しか口から出ない。空気に押されてるな...。


「今日はお昼一緒に食べましょうね?」


「ああ、違うクラスの奴も来るけどいいか?」


 多分相棒がくるからな。


「大丈夫よ。いつも来ているあの人の事でしょう?」


 それならよかった。話が終わって幸奈が自席へもどろうとして、やっと教室の雰囲気に気が付いた。


「あら、皆さんどうしました?」


 幸奈がとたんに猫かぶりモードになった。そんな幸奈にクラス中から質問が行く。俺には来ないが。


「幸奈さん()()神宮司さんと付き合ってたの??」


「いつから?いつから話せてたの??」


 主に女子からいつから俺と話してたのかという質問が多いな。以外だ。男子からのなんであんな男とって質問が多いかと思ったが...。男子はなぜか納得というような表情をしている。ふむ。意味が分からん。


「あ、あの、そんな一遍にしゃべられましても困ります!」


 幸奈が本気で困っているようだ。人と話すだけで質問責めになるとか有名人も大変だな。


「えっとまずあの人とはお付き合いはしてないです。」


 そうだな。彼氏彼女の関係にはなってない。


「あと、悠斗くんと話始めたのは昨日からですよ?」


 そういえばそうだな。あまりにも濃い一日だったからな。すでに結構長い間話している気分になっていた。そういえばまだ昨日の話か、知り合ったの。うーん、なんか盗み聞ぎみたいな感じになるし悪い気がしてきたな。とりあえずいつも通りイヤホンつけて話を聞かないようにしよう。

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