支部長のお礼
学校が終わった後タクシーを呼んで急いで探索者協会札幌支部まで来た。中に入ると直ぐに樫本さんが来て奥に通された。中では神妙な面持ちで支部長が座っている。前と同じように、樫本さんがパイプ椅子を置いてくれたのでそこに座る。
「久しぶり...、でもないね。土曜日ぶりかな。こんな頻度でここに来る人は初めてだよ」
確かに1日しか間隔を置いてないからな。まぁ必要なことだしな。
「本日はどのようなご用件で?」
俺は美佳みたいに人と話すのが得意じゃないからな。とりあえず早めに本題を。
「今日は遅くないしそう急がなくてもいいと思うのだけどね。とりあえず本題を話そう」
現在時刻は4時前半だ。確かに急ぐ時間ではないが。あまり長い間話していると失礼なことをしそうだから早めに終わりたいのだ。
「すいません、この後用事があるので」
嘘というわけではない。先ほどきららから連絡が来てこの後日用品の買い物に行けということだったからな。急な委員会で買い物に行けなくなったらしい。
「なるほど、では手短にしようか」
「ありがとうございます」
助かるな。買い物意外と時間かかるんだよ。
「まずはお礼からさせていただきたい。2度にもわたり命を救ってくれてありがとう。探索者協会の支部長として礼を言わせてもらうよ」
支部長が立ち上がって礼をする。頭下げられるほどのことをした覚えはないしな。
「顔を上げてください支部長。当然のことをしただけですから」
人が殺されるところをただ見てるわけにもいかないしな。
「そういえば君にお礼状が届いているんだ」
「お礼状ですか?」
「ゴブリンから一般人を助けただろう? その子から渡してくれと言われてね」
そんなことしたか?...ああ、あの時首をはねたゴブリンが襲い掛かっていた人かな?
「なるほど、ありがとうございます」
支部長から手紙を受け取る。家に帰ったら読んでおくとしよう読んでおくとしよう。
「君はすごいことをしたんだよ。何人もの命を救ったんだ。ゴブリンリーダーは100人規模の犠牲者が出てもおかしくはなかった」
そんな強敵だったのか。確かに俺一人ではどうあがいても勝てない相手だったしな。
「そういえば君、ホブゴブリンを倒したのだろう?魔石を売るなら特殊討伐として普段の5倍の値段で買い取るよ」
普段の5倍?確保した魔石は3個で内記念品が1個だから2個売れるかな。
「こちら買い取りしてほしい魔石2つです」
魔石持ってきていてよかったな。
「ホブゴブリンの魔石だね。樫本君、今の相場はいくらだい?」
支部長が樫本さんに質問する。あ、そういえば居たな樫本さん。
「現在の相場は12000円程度ですね。正確にいうと11986円です」
高いな。さすがは魔石だ。
「なるほど。では12万円で買い取ろう。今回は住民を救ってくれてありがとう」
支部長は机の引き出しを開けるとそこから万札を出してきた。そこから金出てくるんかい。しっかり12枚あることを確認して受け取る。ちなみにだけど探索者は未成年でもその場で金を受け取ることができる。その代わり登録の際に親の許可が必要になるが。
「ありがとうございます」
「ああ、それとは別にゴブリンリーダーの討伐懸賞代の15万円だよ。もう久留米君には15万支払ったからね」
そんなのもあるのか。15万円確かに受け取った。今日の稼ぎといっていいのかわからないが一日にして27万円を手に入れたわけだ。これはすごいな。
「繰り返すようだが市民の命を救ってくれてありがとう。市民たちの命と比べる安いものだが、有効に使ってくれ」
かなりの数の命を救ったという自覚がわかないな。こんなに金をもらうのも悪い気がするが。もらえるならもらっておこう。
「今日呼んだ内容はこれですべてになる。用事があるんだろう?急ぐといいよ」
申し訳ないな。買い物程度の用事を優先させてもらって。
「今日はありがとうございました」
「お礼を言うのはこっちだよ。さぁ、早く行きなさい」
「失礼します」
最後に礼をして支部長室をでる。手元に27万円を持って。実感がわかなすぎる。なんだこれ。サラリーマンの初任給分くらいはあるんじゃないか?税金とかはどうなるんだ?わからないことが多いな。後で父さんに連絡して聞いてみよう。
とりあえず買い物、行くか。
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買い物を終えて家に帰ると時間はすでに7時だった。これは早めにしてもらってよかったかもな。
「ただいま~」
「お兄ちゃんお帰り~」
台所からきららの声がする。今料理してるのか?
「きらら今料理してるのか?」
「うん、さっき帰ってきたばっかりだからね」
なるほどな。委員会っていってたもんな。時間かかったのか?
「委員会長引いたのか?」
「うん、なんか6時くらいまでかかっちゃって」
そんなかかるんだな。俺は人生通して委員会に入ったことがないからな。
「お疲れ様。今日も風呂は俺が洗っておこうか?」
「あ、うん! お兄ちゃんありがとう!」
とりあえずお風呂を洗って、そしてきららに話をしておくことにしよう。
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先に風呂に入って今はきららと一緒にご飯を食べている。
「きらら。大事な話があるんだ」
「ど、どうしたのお兄ちゃん? もしかして戸籍表でも見たの...?」
戸籍表...?今は関係ないかな。いや、確定申告とかを考えると関係あるのかな?
「いや、今は俺の稼業についての話になる」
「探索者?」
「ああ、そうだ。これを見てくれ」
今日探索者協会からいただいてきた27万をだす。
「えぇ?! お兄ちゃんどうしたのそれ!?」
まぁ普通はそうなるよな。俺が今日このお金を手に入れた経緯を話す。
「そうなんだ...。お兄ちゃん、いつの間にかすごい強くなってたんだね」
「そういうことで俺は今後土日泊りがけでダンジョンに行くことがあるかもしれない。もちろんその前には連絡するし、安全には気をつかうつもりだ。それでもきららが嫌だというならちゃんと日帰りにするつもりだが。できれば全力で探索をしたい。どうかお願いできないか?」
もし泊りがけとなると家にはきらら1人になる。それはできるだけ避けたいが、探索もしたい。両立を図るにはきらら意思確認も一つの要素になるとおもったのだ。
「お兄ちゃんのやりたいことを私が止めるわけないよ! 寂しいけど、ちゃんと待ってるから!」
いい妹を持ったな...。
「ありがとうきらら。とはいっても俺もきららを一人にはしたくないからな。基本は家にいるつもりだぞ」
「そうなの? でも私が止めることはないから安心してね?」
「おう、ありがとな。頑張って稼いで家族の助けになるように頑張るよ。」




