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信用信頼

爆発。

しかしながら、龍華院フィオナがこの場面で打った手が、ただの爆発であるはずはなかった。

その爆発は、意思をもって、正義にまとわりつく。


「っ!」


大きく正義が武器を振ったことで、一度はその炎が弱まる。しかし、すぐにまた、新たな爆発が続く。


「種と仕掛け教えやがれ!」

「無駄口叩いていて良いの?」


そして、当たり前のように新たなエネルギー塊が増える。

それらが、一列となってまるでロープのようになった。それが、正義に巻き付いた。


『″連鎖魔″』


一つ、破裂する。二つ、破裂する。

三つ。

四つ。

シュポンと気の抜けた音を立てて、連続で爆発していく。そしてそれは、爆発を重ねるにつれて、その威力を増していく。

いっそコミカルなメロディは、故に正義にとっては悪魔の足音だ。


(綻び)


だから、さっさと、そこから抜け出すことにする。フィオナが、火球を一列に無理やり繋げようとしたからこその、わずかな隙。


「うおおおおおお!」


気合いを込めて、そこに突っ込む。バットを握った左手一本で、炎を掻き分け。

その先には、当然のごとくフィオナが待ち構えている。


『″弾弾弾弾″』

「知ってたよ!」


ただただ、シンプルな連射。とんでもない物量の炎。一見すれば、正義は炎に呑み込まれ、なす術もないように感じられただろう。


「チッ!」


しかし、後ずさったのはフィオナの方だった。ツウと、汗ではない液体が頬を伝う。正義が投げた釘に切り裂かれた。それも、ただの釘ではない。神殺しの釘。

神と近しい強力なエスリプトにとっては、命に致らしめかねるだけのポテンシャルを、それは秘めていた。


「小癪」

「使えるもんはなんでも使うに決まってるだろ」


一連の攻防の際に、正義はひっそりと釘を手に潜ませておいた。ほんの少し、生まれた隙を確実なものとするために。フィオナならば、わざと隙を作るだろうという信頼と共に。


「本当に、お前と()るのはめんどくせえ」

「本当に、君を()るのはめんどくさいね」


正義が、一息に距離を詰める。逃がさないように、左手でフィオナの襟を掴む。


「っ!」


フィオナはその為に伸ばされた腕を、自身の肘でもって砕く。


「がああああ!」


正義が叫んだ。

フィオナは確かに、壊した、という感触を覚える。しかし、ゾクリと悪寒が走って、追撃は避けて大きく距離をとることを選ぶ。


刹那。


砕いたはずの左腕を支えに、バットを軸にしてぐるりと遠心力をつけた正義の蹴りが、唸りを立ててほんの一瞬前までフィオナが立っていた空間を通りすぎた。


「素直に騙されろよ」

「素直に、君を信じたじゃない」

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