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初手

例年ならば、審判員が試合開始を告げるのだが今年は違った。


アリーナに、二人が降り立った。それが、それだけが合図だった。今この世界に立つのは、朝日奈正義と、龍華院フィオナの二人っきり。

だから、フィオナは。


『いろはにほてとちりぢりに。わがよはだれぞもいなぬくに。こがしてけしされ″大火輪″』


この世界に存在するもう一人を焼ききれるだけの、詠唱を無造作にぶつけた。

バチバチバチと闘技場の照明が、音を立てて不具合となったことを告げる。だが、一人だけの太陽が周囲を照らすため、常よりも明るくなる。

それだけの熱量が、正義を消し去るためだけに指向をもって向かってくるが、神殺しの少年は無造作に己の武器を前に突き出すだけ。

己の生を諦めたのか。

否だ。


「ハアアアアッ!」


気合い一閃。受け止めたエネルギー塊を、そのまま突き返す。

卓越したソーマの腕力は時には地をも破壊するという。ならば、その腕の全力をもって突き返されたエネルギー塊は、正義に向かっていたときよりも更なる速度で一直線にフィオナに向かう。


『″縛″』


しかし、正義が期待していたことにはならない。


「残るのかよ」

「当たり前でしょ」


そのエネルギー塊は、まるで飼い犬のようにフィオナに付き従っていた。


『″爆″』


そして、跡形もなく。

爆ぜ散った。


『龍華院ちゃんが優勢っぽいね』

『あー、やっぱりこうなるか』

『なんで?』

『そもそも、エスリプトとソーマだと、相性差が闘いの大半を決める。攻撃の射程とかな。で

、端的に言えば龍華院と朝日奈だと、龍華院に軍配があがる』

『朝日奈君は武器が近接だから?』

『わかりやすく言えばそうだな。そして、龍華院はどっちかというと中遠距離の方が得意と来たもんだ。 だから、先手は龍華院の方がどうしてもとりやすくなる。朝日奈は初っぱなから無理やりにでも距離を詰めておくべきだった。と、セオリーなら言いたいところなんだが』

『龍華院ちゃん、多分近距離もなんとかできるよね』

『そうだな。あいつが強者足りうるのは、純粋な破壊力と技の多彩だ』

『じゃあ、朝日奈君に勝ち目はない?』

『普通ならそうなんだが、朝日奈だしなあ』

『チンピラだもんねえ』

『ただ、決着はすぐだぞ』

『え?』

『龍華院の厄介なところは、神が炎にというべきか、炎が神にというべきか、いずれにせよ熱を伴う能力のエスリプトという点もあってだな』

『体力奪われちゃう?』

『そうだ。 それを解消できる武器かもしくは能力であって初めて龍華院と戦う舞台に立てるんだが』

『釘バットだもんね』

『ことごとく、相性悪いんだ朝日奈は龍華院と』


『だから、短期でケリをつけるだろうなお互いに。こっからは解説なしだが許してくれ。多分俺が悠長に言葉にする間に終わる可能性が高すぎる』

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