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過去編:少年少女怒られる

風紀委員長の執務室──すなわち学園町の正義を司る組織のトップの部屋である。その部屋で日々業務をこなす人物、つまるところ風紀委員長は盛大なため息を吐いた。


「ふんっ」

「チッ」


生徒会に比べると人員不足、否少数精鋭たる風紀委員会という組織であるが、基本的には生真面目なタイプが所属することが多い。多いというだけで、例外は勿論多々あるが、大多数の性格傾向が傾向であるがゆえに、組織内でのトラブルは結構少ない。

厳密に言えば、委員会の幹部が処理しなければならないようなゴタゴタは引き起こされにくい。彼らは総じて賢いので、よくも悪くも内々にこっそり処理や淘汰されていくのだ。

それが、普通。

しかし、眼前の中学生達は、「逆によくもここまで……」と、高校生になってしまった委員長からすればちょっとむず痒さを感じさせる程分かりやすく揉めていた。

互いの顔を見てはため息を吐き。

隙あらば、足を踏み合う。

なんかもう、ここまで来ると、見てるこっちが恥ずかしくなるし。


「可愛いね君たち」

「はい?」

「どこがっ、すか」


高校生相手に、一応敬語は使わないといけないというだけの理性はあるけれど、使いなれていない故に語尾が中途半端になってるあたりとかは、可愛げがかなりある方だなあ、と委員長はほっこりする。

だが、そろそろちゃんと話をしなければならないだろう。


「わざわざこんなところに来てまでも、互いのというか自分自身のことしかみえてないとこらへん」

「お言葉ですが!」

「うんうん、流石は龍華院だ。言葉遣いもそれなりにしっかりしてる。 けど、もうしばらく静かにしといてね、これから君たちにするのはお説教だから」


ひとまずは、自分自身の後輩に直接言わなければならないことを言う。


「風紀委員が、一般生徒ともめ事起こして良いと思う?」

「こいつは、どこかと繋がってる可能性があります!」

「証拠は?」


端的な返しに、聡明な後輩は何も言い返せない。


「風紀委員が、好き勝手しちゃだめだよ。 それは、力の暴走だから。 証拠を握ってから、存分にぶちのめしなさい」


五つ以上歳下の子に、高校生の自分が言うことではないのかもしれないな、という罪悪感はあるけれど仕方がない。


「君は力があるし、あと一、二年もすれば、この学園の誰よりも強くなると思う。歴代の風紀委員の誰よりも、ね。 だから、ちゃんと力の振るい所を間違えないようにしなさい」


柄にもないという自覚はかなりある。

そもそも、こんな風紀委員長なんて役職自体が向いていないと思う。けれど、ここに座っているのだから、この後輩に──誰よりも強く、だからこそ孤立してしまいそうな──は言葉をかけなければならなかった。

フィオナは唇を噛んでうつむいた。

やっぱり、この子は賢い子だなあ、と思いつつ。


「てい」

「あたっ!?」


そんな女の子にあっかんべーをしてる、阿保な男の子の方に消ゴムをぶつけた。


「初めまして、朝日奈正義君。 当たり前だけど、君にも説教するからね」


今年の新入生達は、骨がありすぎる。損な役回りの先輩は今度はそっと溜め息を吐いた。

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