表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/102

過去編:彼らはまだ互いを知らない

「チンピラぁぁぁぁぁぁ!」


フィオナは相手の名前を叫びながら、意図的に散らして炎弾を連射する。

しかし、実に気にくわないことに。


「チッ! お呼びじゃねえよ風紀委員女ぁ!」


この野郎は、あっさりと回避してその上で懐に入り込んできた。顎を狙ってカチ上げられる鈍器。フィオナはそれを上体をそらして躱す。数本、赤い髪が宙に舞った。


「呼ばれるようなことをしてるのはそっちだろう!」


7月。

新入生たちも、ぼちぼちと学園での生活に馴染み始めた頃であり、緩みもあってかちょっとした犯罪に巻き込まれ始めたりする時期、らしい。

らしい、というのはフィオナ自身も新入生には違いなく、この時期を風紀委員として過ごすのは初めてだからだ。

まだ、風紀委員が出動をしなければならない犯罪件数が増えた、という実感はあまりない。

だから、フィオナにとっての目下の悩みは眼前の男──釘バットを常時振り回す訳のわからない輩──朝日奈正義だった。


「今日という今日こそ、貴様の罪を暴いてやる!」

「なんもしてねえって言ってんだろうが!」

「嘘つき! なんもしてない奴が」


人間が一人飛んできた。牽制のために、朝日奈がどこぞの組織の構成員を蹴り上げたらしい。


「組織に絡まれることがあるか!」

「絡まれてるんだからしょうがねえだろ!」


わざわざこざかしい妨害をいちいちいれてくるのも、腹立たしい。つまるところ、フィオナはこいつが嫌いだった。


「さっさと捕まれ!」

「やってもねえのに捕まる訳ねえだろバーカ!」

「はー!? 誰がバカですって!?」


怒り心頭。

自らの足に炎を纏わせて、敢えて急所でなく面積の広い腹を狙った。

チンピラは釘バットを支えにして後ろへ跳躍。


「お前に言ってるに決まってるだろボケ!」


朝日奈から蹴りが飛んできた。難なくそれを躱す。

アスファルトににヒビが入る。


「アホ!」

「ウ○コ!」


よし、殺す。

自らの体内にある、爆発的な程の熱──怒り──をエネルギーとして相手に叩き込むことだけを考える。

互いににらみあって、静寂が一瞬のみ訪れて。


バチバチっという音と共に、フィオナの視界が暗くなる。

最後に見えたのは同じ様に地面に倒れていく憎き敵の姿だった。



「もうやだこの新入生達…………」

「うーわ、こいつら″新興勢力″一個壊滅させてるじゃねえか。この辺封鎖しとくか」

「もうしてる。 これって生徒会預かり?」

「こっちは風紀委員だろうな」

「新入生の片方は?」

「…………」

「……………」

「じゃーんけん!」

「ほい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ