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美味しそうに見えても、やっぱり人間用じゃない

死ぬかと思った。勿論、勇奈が死ぬことはないギリギリのラインを見極められてはいるんだろうけど。


「一条は今回、初めて話が通じない変態に出会ったのだろうから、これくらいで勘弁してやる」

「ぜったいいつかぶち殺す(ありがとうございます)」

「今さっき、言ったことだぞ。 相手の言葉に対しては、特にお前の場合は一切聞かない方が良い。 今の俺の言葉も、聞き流すかそれが無理なら無視するか、なんか言われる前にぶちのめせ。 この学園にも、言葉を主体にするエスリプトはいるし、そういう相手にお前が出会わないはずはない。 そうなったときに、容易に感情を相手に悟らせるな、今日のあれそれよりももっと酷いことになるぞ」


正論であるがゆえに、非常にムカつくのだ。


「と、まあ、これくらいにしておいてやる。 そろそろ、怖い奴が来るからな」

「怖い奴?」


この、傲岸不遜そのものみたいな男が、怖がる存在なんていたのか。


「風紀委員長ですか?」

「あいつは、怖くねえよ、むしろかわいい」

「チッ」

「態度悪いな!」


態度も悪くなろうものだ。犬も食わない、は違うが、暴れ馬くらいは召喚しそうなことを言われたのだ。


「じゃあ、誰ですか」

「ユウ、なんかキレてる?」

「キレてないです…………ぴょわっ!?」


なぜ、兼道がここに。


あの二人の話をするなら当事者もいてもらう方が良いから、とは兼道の言だ。


「当事者、ですか」

「佐藤、やっぱり俺帰って良いか?」

「ダメですよ会長。 あと、さっき荷物届いていたのであげます」

「どっから段ボールなんざ…………ああ、上空に置いていたのか。 相変わらず便利な能力だな羨ましい」


中身は大量の鹿煎餅だった。


「神内ぃぃぃぃぃぃぃ!」

「ユウ、食べてみる?」


カナイって誰だろう、と思いつつありがたく煎餅を勇奈は受け取った。パリンと軽快な音を立てて、煎餅が割れる。口の中に広がるのは──。


「…………不味。 センパイなんですかこれは、ヤマトの人たちは味覚がイカれてるんですか、こんなものが名産品なんて何かおかしくないですか!」

「別に名産品じゃないし、そもそも人間用の味付けじゃないんだよね……」


なぜ、そんなものを先方は送ってきたのだ。


「いろいろ、因縁ありそうだったからねえ」

「あー、この人各方面に喧嘩売ってますからねえ」

「一条お前は俺をなんだと思ってるんだ」


一人で十枚ほど鹿煎餅を消費したようだが、さしもの生徒会長でも一箱は厳しかったようだ。


「なんで十枚食べれるんですか逆に」

「ユウ、良いこと教えてあげるよ。 この人は人間じゃないからだよ」

「あー……」

「上下関係分からせてやろうか?」

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