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決着はいつも儚い

正義を始めとする男達の勝利条件は、一人でも女子風呂に突入することである。最も突入した時点で教員達によって取り調べが始まることは間違いないだろうが。

一方で、フィオナと愉快な仲間達の勝利条件は覗き魔達の殲滅である。たった一人でも、防衛ラインより進むことがあれば、敗北となる。実際のところ、教員ストップが入るだろうから実害はないとは言え、しょーもないことに熱意を燃やしてるアホ達に制裁を加える権利が無くなってしまう。

要するに、正義達が女風呂に近づくほどに、フィオナ達の攻撃は苛烈さを増していき。


「残ったのは、結局俺とお前か」

「僕を庇って犠牲になった仲間達のことは忘れない……!」


兼道を庇った同士達は最期に性癖を暴露して散っていった。多分、写真を撮ってこいとかそういう理由なのだろう。

それと、正義は全くもって誰一人からも庇ってもらえなかった。何故だ。


「仇はとるよ……ふくらはぎの山下…………えくぼの冠城…………放課後制服E○Nデートのルイス・プロンゲン……………」

「最後は頑張って何とかしろよ」


あと、性癖の意味合いも一人だけ違う。

何はともあれである。


「あの角を曲がれば、20mで女風呂だ!」

「うん、マサ気を付けよう。 間違いなく、龍華院さんは」

「ああ。 最大火力を配備しているだろうな」


この戦場で最も危険で、けれどそれは勝利に最も近いという意味だ。


「死ぬなよ兼道」

「死なないよ仲間達のためにも」


拳をコツンとぶつけ合う。廊下の角を曲がれば、そこはもう死地だろう。

だが不思議と負ける気はしなかった。




携帯端末から声が聞こえてくる。


『センパ…………佐藤さん。 覗きとは、どういう、意味、ですか?』

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


兼道が死んだ。


「この、人でなし!」

「こっちも必死なのよ!」


気にかけてるオンナノコに、弁解の余地もない悪行──それも覗き──を知られて平気なDKはこの世に存在するはずがなく、男子の生き残りの片割れは早々に退場していった。多分今から本当に死ぬ気で弁解するのだろう。あの誓いはなんだったのか。


「あとは、君一人ね」


正義はぐるりと周りを見渡す。女子の残り戦力はフィオナを入れて5人といったところか。しかし、どこかにまだ数名潜んでいる可能性も捨てきれない。

頬に冷たい汗がつたう。


「いくら君でも──わたしたちを相手にするのはしんどいんじゃない?」

「お前一人でかなりしんどい」

「あ、私たち参加しないんで」

「え?」


なんか知らん間に離反者が出た。


「だって、ぶっちゃけチンピラって変なところでリスク管理できるタイプだし。 少なくともフィオナの前ではそういうことしないだろうし」

「本当に覗きたくてこれに参加したんじゃなくて、みんなでわいわい騒ぎたいから入っただけだろうし」

「本当に覗きそうな虫けら達は駆除できたしねえ」


龍華院ちゃんもデート終わったらお風呂行こうねー待ってるからー、と女子達が去っていく。


「…………どうするんだこれ」

「………………取りあえず殴らせてくれないかしら」

「気まずさを隠すために俺をサンドバックにすんな」



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