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性癖は気づくもの

「本部から報告。 第三部隊、壊滅!」

「第三ってどれだっけ」

「編成したのはお前だろうが。 ほら、コンセプトは猪武者の」


流石に、というか当然ながら、女子達は男子達をぼこぼこにすることに躊躇いがない。覗きを敢行している身分の野郎共には、文句を言う権利もなにもあるはずはない。


「くそお! 許せねえ!」

「あいつら血も涙もねえのかよ!」

「減るもんじゃねえんだしちょっとくらい良いだろうが!」


正当な権利があるはず無くても文句を言うのが人間である。


「減るのよ」

「そんなキモいデリカシー無いことをいつも考えてるから、あんた達はモテないのよ」

「ぐはあ!」


そして、正論という言葉の刃はいとも容易く男子を傷つけた。


「って、なんで女子がここにいるんだよ!?」


言わずもがなである。つまり。


「あんた達が向こう百年くらい、変なことをできない身体にするために」


女子は手榴弾のピンを抜いた。


「戦況悪しだってさ」

「流石に対応が早いな」


なんでも、向こうのスパイに裏から回り込まれて自爆したそうだ。この旅館がなんでそんなにも頑丈なのか、という疑問が正義に一瞬だけよぎるが考えることをやめる。学園御用達の旅行会社が見つけてくる宿なんてこんなもんなんだろう多分。


「現場指揮官からの最後の伝言あるらしいけど聞く?」

「聞く」

「『俺多分……入浴中よりも風呂上がりの姿の方が…………好きだ…………。 後は任せた』らしいよ」


なぜ、新たなヘキにこのタイミングで目覚めたのか。


「兼道はどう思う?」

「好きな人なら、どんな状態でも顔を見れるだけで僕は嬉しいけどなあ」


こいつ、逃げやがった。


「それで、戦況がかなり不利に傾き始めてるけど」

「まあそうだろうな」


どうせはなっから作戦もくそもなかったが、動ける男子の数がかなり減ってきているのも事実だ。だが、人員の損耗が激しいのはなにも男子だけではない。


「そろそろ、女子達も人数は減った頃だろ」

「じゃあぼちぼち」

「精鋭部隊往くぞ」


正義の戦争が今始まる。


「敵部隊撃破!」

「こちらも!」


一見、女子達は非常に順調に戦いを進めている様に思える。だがそれは違うと、フィオナは気づいていた。報告に上がってくる人員の損耗率が高すぎるのと。


「隊員のうち半数が逃走!」

「また告白逃げかあ……」


これが修学旅行であるということを持った忘れつつあるが、修学旅行は言わずもがなのビッグイベントであり、カップル成立数も多い。こんなくそみたいな争いの最中であっても──否、争いで高揚しているからこそ、なんか雰囲気にあてられてしまうらしい。

要するに、告白に呼び出される形での失踪者が続出していた。

それに加えて。


『ち、チンピラが出……』

『いやあああああ!』

『そんなに悲鳴あげられること俺やったか…………?』

『マサの顔が怖いんじゃない?』


「来たわね」


フィオナの予想通り、男子の精鋭部隊が前線に出てきた。ここまで積み上げてきた戦術的な勝利をあっさりひっくり返してきやがる。

だが、それは同時に男子は精鋭部隊を出さざるを得ない状態にあることを意味している。


「最後の戦いね──」

「チンピラにあいたい?」

「会いたい…………って違うからね!?」


何はともあれクライマックスである。

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