※犯罪です
いよいよ修学旅行も最終日となった。
肝試しで消耗しきった一行を労ること無く、翌日は逆に本気で天狗やら山姥やらがうろつき回ってる霊山、その翌日には猪やら熊がが闊歩する山に放り込まれたりと、修学旅行生達は順調に学園への殺意を高めていっていた。
だが、それも昨夜までの話である。最終日は温泉である。
そう──温泉なのだ。
「覗くぞ」
男子生徒全員を集めた、在野の変態は集団を睥睨しそう告げる。
何を覗くか。
そんな、愚かな問いかけはなかった。
「手はあるの?」
いつになくシリアスに、兼道が問い返す。
「ある」
野郎共のボルテージが上がりまくる。
「チンピラ──お前女子風呂に突っ込んで死んでこい」
「誰がやるかボケ」
リーダー格は、正義にグーで殴られて気絶した。
「ボスがやられた!」
「人でなし!」
「うるせえ、この世は弱肉強食なんだよ! 俺がこれからてっぺんを張って文句ある奴いるか?」
ぶっちゃけ、誰がリーダーであろうがなんだろうが、正直変わりはないので野郎共は首を横に振った。兼道もほとんど同意ではあるのだが。
「別に、マサがリーダーやるのは全くもって問題ないんだけど」
「お、なんだ兼道? やるか?」
「僕は一兵卒の方が向いてるから、やらない。 そうじゃなくて」
兼道は辺りを見渡す。本来の四人部屋に、男子生徒のほとんどが詰め込まれているので、かなりむさ苦しい。だが、あくまでもほとんどであり、欠席者が複数名いるのも確かだ。
「龍華院さんと、あっちいかなくて良かったの?」
あっちとは、つまるところ不参加組の一時避難所である。端的に言えば、カノジョ持ちは基本的にそっちに集まっている。要するに、カップル達の溜まり場であり、独り身にはかなり辛いため野郎のうちのいくらかは覗きに消極的であっても──興味がないとは言っていない──こっちに参加することになるのだ。
「お互いに、行きたくねえ、ということで決着がついた」
「あ、相談したんだそこは」
「ああ。 俺もあいつも『カップルだらけの場所に長い時間いるのは辛い』という結論になった」
「………………」
今更何を言ってやがるんだろうかこいつは。全員が思った。
一番普段から俺達を気まずい気持ちにさせてるのはお前らだろ。
その気持ちを込めて、全員でスリッパを投げた。
「あれ? フィオナちゃんはこっちで良いの?」
「ええ。 あっちは流石に気まずいし」
「………………」
「あとは──」
ジュワッと音を立てて水が蒸発した。
「せっかく水着を見せて上げたのに、なにも言わずにラッシュガードを投げ渡すような野郎に、お灸を据えないとね──」
「うーん、この………………」




