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遺伝と環境の相互作用……!

妖怪、幽霊、お化け、怪物。取りあえず肝試しと言えば、これに類するものが出てきて驚かせに来るというのがド定番だが、やはりそこは学園主催の修学旅行である。

最も参加者の肝を冷やしに来るのは。


「なんで坂の上から木材落として来るんだよ!」

「角度ないと転がらないからでしょ」

「そういうこっちゃじゃねえんだよ!」


シンプルに危険を煽ってくるブービートラップであった。それも、基本的に夜間であるため非常に凶悪な性能となっていた。

流石に、一応学治行事であるので、人死には出ないようにいざとなればストップが入ると信じたいが、教員側は骨折程度なら問題ないと考えている可能性はある。

そして、厄介な点といえば、フィオナの能力の使用が制限されていることもある。


「おんぶ、前抱き、横抱き、俵担ぎ!」

「肩車!」


正義は、担ぎ方は任せるという意味だと勝手に理解して、フィオナの上半身を肩に凭れさせ腿裏に手をまわす。


「これぇぇぇぇ前がぁぁぁぁぁ見えないぃぃぃぃ」

「舌噛むぞ黙っとけ!」


ごろんごろんと、転がってくるのは樹齢何百年だよと言いたくなるほど太い丸太だ。それも、五本ある。

しかも、進行方向から落ちて来やがるので、恐らくこれをやり過ごして進んでこいということだろう。

ということで。


「うおおおおおおおおお!」

「え、こわいこわいこわいこわい!?」


肩でなにやら荷物がごちゃごちゃ騒いでいるが、正義はそれどころではない。気合いを入れて──丸太に飛び乗った。


「乗った!?」


かつての林業従事者は、伐採した材木を川の流れを利用して運搬したそうだ。その際に、職人は商品が障害物に接触しないように監視するために、その流れている材木に乗っていたらしい。この知識を、正義は農業に従事するアイドルのご長寿バラエティー番組で知識として知っていた。


「じっせぇぇぇぇん!」


2本の足の回転が、丸太の回転数を上回る。足を踏み外したり、スピードが丸太を下回った時点でアウトだ。しかし、正義のスピードは落ちるどころか、ますます早さを増していく。

そしてグンッと、右足に力を大きく入れて踏み込んで、二本目の丸太に飛び移る。


「八艘飛び!」

「きゃああああああああ!」


フィオナの笑い混じりの甲高い悲鳴が響き渡った。




「無茶しよる」


担当の教員は、目の前で起きた出来事をそう評して、生徒によって余計にスピードを増して転げてくる丸太達を受け止める。ずりずりずりと4メートルほど後退して、ようやく丸太は静止した。


『先生、うちの子がすみません……』

『多分、女の子に良いとこ見せようとして、ああなったんだろうなあ……』

『あなたそっくり』

「…………」


教育において、古典的な論争の一つに遺伝か環境のどちらの要因が大きいか、というものがある。

ただ、この朝日奈の両親を見るに、両方の要因があるのだろうな、と。

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