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日本昔話個人的トラウマランキング二位、転んだら余命が三年になる坂

京都という地は、観光地ではあるがその前提としてテーマパークではないので、1ヵ所に全てが集まっているわけではない。当然ながら、訪れる場所の組み合わせ方によっては長時間の移動を要することもある。

従って移動手段は、バスなどの公共交通機関を利用するか、


「ありがとうございました」

「色々教えて頂き助かりました」

「楽しんでくださいね~」


タクシーを乗り回すかである。そして、二人は普通に後者を選択した。


「どうせなら上まで運んでくれりゃ良いのに」

「この坂自体が、観光名所なんだから諦めなさい。 せっかくここまで来て、タクシーでお寺まで行くなんて、もったいなさすぎるわ。 それに、ほら」


フィオナがぐるりと辺りを指し示す。

飲食店、お土産屋さん、世界的コーヒーチェーンの店。様々な店が、軒並み連なっていて、がやがやと賑やかな声が、楽しそうな音が聞こえてくる。


「嫌いじゃないでしょ、こういうの」

「おっしゃる通りで」


正義は手を差し出す。手が重ねられた。


「珍しく殊勝じゃない。 わたしにそんなに、長生きして欲しいの?」

「修学旅行マジックってすごいよな。 ……長生き?」


どうして、長生きという話になったのだ。


「知らないの? この坂で転んだら、寿命が残り三年になるっていうお話」

「物騒だな……」

「つまり、わたしがわざと転んで同時に君も道連れに」

「勝手に転べ」


ぶちっと、手を振り払った。


「ああっ! なんでそんなことするのよ!」

「お前がいらんことしそうだからだよ!」


普通に観光地として人気のこの場所で、本当に転ぶだけで余命三年になるなんて危険極まりないことは、起こり得ないのだろうがこの女はわざと転ぶくらいはやりかねない。


「大丈夫よ! 十回転べば余命三十年だから!」

「十回も転ぶと、別の怪我とかしそうだから余計に嫌だよ!」

「まあ、でも」


ふざけた空気が、すっと消える。フィオナは、彼女自身の手を自らの腰に引き戻した。


「君もわたしも。 別に手を繋ぐ必要はないでしょ」


自分で歩けるし、自分で立てるから。


「…………そうだな」


ぽつんと、正義の手は行き場をなくした。


「じゃあ、さっさと行くわよ。 無駄な時間を過ごしてしまったし」


明るい声。正義も意図して明るい声を出す。


「お前がいらんこと言い始めたからだろ」

「サンコ行くわよ!」

「聞けよ。 あと、ここまで来てサンコかよ、どこにでもあるチェーン店だろ」

「古民家を改造してるのよここのサンコは」


拳一つ空いた二つの背中が、坂道を登っていく。

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