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この後動物接触で電車が止まった

「あ、もしもしユウ?」


「うん、こっちは変わりな…………変わりありまくるけどまあいつも通りかなあ」


「へー、そっちはそんなことに」


「え、会長が? 念のために来栖先輩経由で風紀委員長に連絡繋いどいた方が良さそうだね…………」


「お土産は鹿煎餅で良い?」


「そっかあ……鹿煎餅知らないか…………。 じゃあ、鹿煎餅買って帰るねうん、後悔しないように心しといてね」



目覚めたら身体がバキバキだった。ちゃんとした寝具で寝ていないとか、様々な要因はあるだろうが、間違いなく一番の原因は大仏戦だろう。この国が誇る、温泉という最強のリラクゼーション施設での休息を踏まえてなお、正義の身体に蓄積された疲労を取り去ることは叶わなかったらしい。


「怪我、してるの?」


思いもよらない近さから、少女の声がして少年はぎょっとしたが顔には出さない。


「してない。 それでなんでお前はまだ、こんな態勢を」


ヤマトが誇る温泉施設の休息処で、寝落ちしたことまでは覚えている。しかしながら、自分が何故この少女を抱き締める態勢になっているか分からないし、先に目覚めていた少女がそれを振りほどいていない理由も分からない。


「君が抱き締めてたんでしょ」

「冤罪」


取りあえず、正義の理性のためにも離れてほしい。

しかし、彼のそんな願いは、ピンと伸びた人差し指を唇に当てたフィオナによって制されてしまう。

ふい、っと目配せされそちらの方に目をやると。



「うん、うん。 僕は大丈夫だから」



なるほど。


「後輩に電話とは、熱いことで」

「ね。 佐藤君、絶対わたし達が目を覚ましていることに気づいたら、通話やめちゃうじゃない。 それは勇奈に可愛そうだから」

「本音は」

「あんな優しい顔してる佐藤君は、おもし…………レアだし、写真に撮ったりしたら弱み…………楽しいことになりそうだから」

「前半の言い訳を後半も続けられるように頑張れよ」


正義は自身の端末を起動し、録画ボタンをタップし。


「はい、いつもお世話になってます。 お宅の息子さん──正義君が、同級生の女の子と添い寝してる写真を手に入れましたので」

「おかんの電話番号ぜよ!?!?!?」


ガチでおかんと通話してやがった。


「それでは皆様ご協力ありがとうございました」


駅のホームで神内が深々と頭を下げると、ぶるんと二本の角が遅れて曲がる。


「修学旅行の最中に、あんなに大変なことに巻き込んでしまったお詫びとして、鹿煎餅五年分を贈呈させて頂きます」

「お詫びにならないですよ!」


正義を始めとした学園の生徒達は、今日から別エリアに移動する。少なくとも、食えねえ煎餅の箱を旅先に持ち運びたくない。


「大丈夫です。 郵送であなた方の生徒会長に直接届けますので」

「なら問題ないですね」


問題ないのか、という正義のツッコミは生徒会役員共によって黙殺される。


電車の発車を告げる放送がホームに流れる。

再度深々と頭を下げる神内。

電車の扉が閉まり、正義達は次なる旅先へ向かう。


「思うんだが」

「言わなくて良いわよ」

「マサ、余計な発言は控えるんだ」

「ホームに人よりも鹿の方が多くなかったか?」


だんだんと小さくなる神内の姿。その背後にズラリと並んで、こちらも頭を下げる鹿。

少なくともこんな異様な光景は頭から暫く離れ無いだろう。

次回

シンプルなデート回(予定)


幕間の可能性もあり

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