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むちむち

伝説武器──時にはその持ち主を王にまで押し上げた逸話を持つ武器だ。

それらを振るうことは、すなわちソーマに大きな力を与えるということでもある。

その中でも、正義が持つそれは特殊な部類であった。


「おらあ!」


巨大になった釘バット、正確には巨大になった釘つき鞭は、大仏の右腕に巻きついた。

正義はそれを一気に、再び手元の方に引き戻す。

ギャリギャリギャリギャリと音を立てて、大仏の腕が抉れる。


打神鞭という武具。

これは高名な神殺しの武具だ。

ただし、高名であればあるほど得てして武器の性格(或いは性癖)も顕著となる。例えば、最近生徒会に入った少女の武器は、ドMであるというように。

そして、正義の振るう武器の性格はというと、端的に言えば堅物である。それ以外は、尖った癖というものは無い。故に、使い手は満遍なく身体能力の全てを伸ばされるのだ。


だが、堅物すぎるがゆえに相手が″神″でなければ、名を呼んでも答えない。告銘を許した相手であっても、である。


だから、全ての力を開放した振るえる機会はそうそう無い。

だが。

一度告銘を許せば、対神に特化した強大な力を使い手に与えるのだ。


正義によって、大仏の右腕がだらんと力なく垂れる。それゆえか、大仏はぐらりとバランスを崩し。その瞬間を狙って、首に鞭を巻き付ける。


「壊していいのは四肢まで!!!!!」


フィオナはガチで焦った。

伝説武器使いと発覚した昔馴染みなら、あっさり首くらい落とせそうだからだ。


「知っとるわい!」


ソーマは大声て叫び返して、鞭の上を走る。大仏の頭が近づいたところで、上空に飛び上がる。そして。


「シィィィィィィ!」


大仏の後頭部を、かかとで思いっきり蹴り潰す。

あっけなく。

その巨体は地面に伏した。


「チャーンスターイム!」


神内のオーダーは四肢までらしい。正義はなら、腰までならギリセーフと判断した。ので、木偶の坊の腰に鞭をぶっ刺して。ギコギコと、前後に揺らす。



「うわあ……」


大仏は声を発することはない。だがフィオナには変わることの無いはずの顔が悲しげに見えた。分かりやすく言えば、上半身と下半身がさよならしかけている。


「四肢まで、と言っておいて良かったというべきか、否かどちらだと思います?」

「神内さん」


来たのか。


「アンダードック効果と言うそうですよ、負けてる方を応援したくなるのは」


彼は憐憫のこもった目で、なんとか身を起こそうとじたばたするサイズが半分になった大仏を見つめる。

ですが、と神内は続ける。


「そろそろ幕をおろします…………ので、あれを止めてもらえますか………………?」


怯えるのも分かる。神内の指した先には、いともたやすくえげつない行為をするフィオナの男友達がいた。


一声かけたら、普通に止まった。

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