各方面から怒られそう
独自解釈が過多
正義は人払いをしようとしたのだが、なぜかフィオナだけが残ってしまった。足止めがなくなった大仏は悠々とその歩みを進める。
「君だけが、わたしの奥の手知ってるのはフェアじゃないでしょ」
「そういうこっちゃじゃねえんだよな……」
奥の手を知られたくない、特にフィオナには、という気持ちがあることは否めないが、それよりもシンプルな理由があった。
「危ないぞ」
「私が、多少のことでどうこうなると思う?」
なるからならないかで言えば、ならないだろう。あの大仏も確かに大きな破壊力を持っているが、正直なところ現時点ではその巨体でもって周囲を破壊するくらいのことしかできていない。そしてその程度では、龍華院フィオナという少女をどうこうできることはないだろう。
けどこう、彼としては微妙な男心を察してほしいという気持ちがかなりあったり。
つまり。
「俺が安心したいだけなんだが」
「じゃあ、君の近くが一番安全でしょ。 君がわたしのことを守ってくれたら良いだけでしょ?」
必要ないけど、と赤髪のエスリプトは続ける。
ああ言えばこういうとは、まさにこのことだなとソーマの少年は思う。
あと。
多分この女は気づいていないだろうが、それなり以上(以上というのは正義の願望も含む)に仲が良いオンナノコから、無条件の信頼を預けられてしまえば、あとはもう残念ながら頑張るしか道は失くなってしまうのが男子という生き物だ。
例え相手は、その信頼が持つ力に自覚がなくとも。
「お前、いつか刺されそうだな」
「はあ?」
「じゃあ、ここに居てくれ。 俺から見える範囲にずっと」
「…………わたしより君の方が刺されると思うそのうち」
「なんでだよ」
ソーマとは武器と肉体を与えられた存在である。
そして、ソーマの持つ武器はそれぞれに名を持つ。
その名を知っているということはすなわち、武器から認められたソーマであるということで。
さらに武器へ一言付与できるということは、その武器の全てを把握していることの証明である。
武器に認められ一言付与することこれを告銘と呼ぶ。
告銘を許されるのはソーマの中でも本の一握り。
なればこそ。
炎の龍を従える″炎帝″龍華院フィオナという強大なエスリプトが同等の存在であると認めた、朝日奈正義というソーマが告銘を許されていない道理はない。
正義は釘バットを握る。
相対するは堕ちし神。
相手にとって不足はない。
『封じろ──打神鞭』
釘バットはすっかり大きさを変え。
顕在したのは数多の神を相手取った伝説の武具。それは天まで届きし釘つきの鞭だった。




