アホとバカの強さ問題はずっとつきまとう
四肢までなら捥いでもオッケー、という情報はある種の朗報ではあった。
「中身はどうにでもなるってことで、良いのかしら」
「手はある、って神内さんは言ってたよ」
数名を引き連れてきた兼道は、一旦大仏の足止めは他のメンバーに任せて、情報を共有する。
「あれから、漏れ出たやつが周囲を汚染するみたいなことはないってことだな」
神とまで呼ばれる存在の特性が様々であるということは、数多のエスリプトとソーマ達が証明している。毒を用いる有名なエスリプトが存在しているということは、すなわち毒──あるいは呪いそのものである神も存在するということである。
だが、幸いにして今回は違うらしい。身体を損傷しても、その中身自体は悪さをしないらしい。
「なら、まあ、一応取れる手段は増えるな」
「わたしたち、どちらかというと壊す方が得意だもんね……」
壊さずに封じる、といった手段が得意なのはむしろ兼道の方だが。
そちらの顔を見れば、首をブンブン横に振る。
「今、そういうのが得意な僕を含むメンバーで、必死に足止めしてるけど」
三人の背後に佇む大仏は、しかしジリジリと拘束を外していく。兼道の重力操作や、ソーマ達のロープや鎖が、大仏の身体に相応な負荷をかけているはずだが、それが意味をなさなくなるのは時間の問題だろう。
「因みに、僕は今立っているのが奇跡みたいなもんだから、持って後数分だよ」
正義は、フィオナに問いかける。
「いけるか」
「んー、いけないことはないけど」
「けど?」
先ほど、凄まじい破壊を見せたエスリプトの少女は答えた。
「今の状態で、さっきレベルの破壊力をもつ手を使うとなると、代償としてわたしはうちの神に嫁ぐことになる、かも」
「アホか。 嫌だ。 却下。 アホか」
論外だ。
「このアホ。 お前を、わざわざくれてやる必要はねえよ、アホか」
「アホって何回も言うのやめなさい!」
「アホにアホって言うのは当たり前だろうアホが!」
「はー? アホって言った方がアホなんですけど? それともなに、君はわたしにどっかに嫁いで欲しくないの???」
「当たり前だろうが!」
言い合いをしているせいか、正義の顔が熱くなってくる。顔色から考えてフィオナも同じく。
「当たり前なの……?」
「そりゃそうだ!」
「あー、こほん。 なんでも良いけど、多分後三十秒で大仏は自由になっちゃうからね痴話喧嘩というかプロポーズは後でゆっくりやってね」
兼道の言葉で、馬鹿二人は正気に戻る。顔が近い。
「はーい、今はお互いに意識する、みたいな状況でもないからねー。 で、マサ」
「はい」
「手はあるの?」
端的な問いかけ。
正義も端的に返した。
「ある。 俺がやる」




