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※現実に類似した(略)

最初に、それに気づいたのは捕縛に励んでいた学園側の生徒達だった。


「ん?」

「お前、なにサボってんだよ。 佐藤の奴にキレられるぞ」

「いや……今、なんか」


大仏殿と呼ばれるこの建物は、近年になってから大幅に改修され冷暖房すら備え付けられているが、夜襲を仕掛けられることなんて予想されていた訳がなく、ひんやりとした空気が身に纏わりついてくる。ひょっとすると、ここの主である大仏が何かしているのではないか、とすら生徒は思う。


「なんかって何だよ」

「その……大仏、なんか動いてないか」


とても馬鹿馬鹿しく。

常なら、相手からこんなことを言い出したら、自分も否定するだろうなとは思う。


「は? 何言ってんだお前。 サボるための言い訳するなら、もっとうまい嘘をつけよ」

「いや、俺もそう思うんだけど」


どくん。

脈打つ。

それは、無機物には絶対にあり得ない動きをする。


「待った、気のせいじゃない!」

「もういいよお前。 そんなにサボりてえなら」

「お前も見ろ!」


相手が、しぶしぶ自分が指差した方に目を向けた。


どくん。どくん。


ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン。


「お、おい! 何だよこれ!」

「俺が聞きてえよ!」


脈打つ。

跳ねる。


ゾワリゾワリゾワリゾワリと、黒に覆われていく。

やがて、完全に黒を纏った大仏は手を動かす。

そして。


人間を見た。


「っ!」


邪魔な虫を払うように。

大きな掌が、地面へと降ってきた。


事態に気づいてからの、神内達の動きは迅速だった。

境内に残っている人員の撤退──ほとんど、自主的に逃げていたが──そして、より正確な情報収集。生徒達よりもこの状況をよく知るであろう者への尋問。


「あー、こっちも詳しいことは知らねえんだが」

「あんなもんを引っ張り出してきておいて、白々しい」


顔無しの一員は首を横に振る。


「本当なんだよ。 あんなもんが喚ばれるなんざ、依頼主からは一切聞いていない」

「喚ばれる……?」


まさか、と思う。その言い方ではまるで。


「薄々感づいちゃいるだろうけど。 あれはまあ、分かりやすく言うなら──神だろうな。 依頼主達が盲信す(崇め)る」


正義が見たのは、大仏殿の屋根を突き破った頭だった。

フィオナが見たのは、大仏の目があかく光ったことだった。


「………………」

「………………」

「なあ、フィオナ」

「ねえ、朝日奈」

「これが夢ってことに、いくらくらい賭ける?」

「夢に全ベッドして良い?」


残念ながらここは現実だ。


「悪夢でももうちょい現実味あるだろ!」


マジで勘弁してほしい。

ヤマトの大仏が、動き出すなんてあり得ないことは。

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