吐いた言葉は戻せない
目立て、というオーダーでかつインパクトという話なら、この場合の最適解は龍華院フィオナだ。
正義は、目立ちはするが、インパクトは微妙に薄い。
「釘バットぶんまわして、悪鬼羅刹の親戚みたいな顔してる君のインパクトも大概だと思うけれど」
「そんな顔はしてねよ、別に!」
どんな顔だよ、悪鬼羅刹の親戚って。
敵の本拠地とはいえ、神々の宿り場たる寺院の正門の屋根に立つ罰当たりが二人。
兼道は、しれっと寺の中に侵入していった。生徒会と風紀委員の指揮をとりつつ、内部からぐしゃぐしゃにしていくつもりなのだろう。
「目立ち具合で言うなら、君よりも佐藤君だと思うんだけど」
エスリプトとソーマ。
どちらも、力を授かった存在ではあるがそれぞれの特性には違いが存在する。
一般的にエスリプトの方が目立ちやすく、ソーマの方が武器を振り回すことがメインとなるので地味になりやすい。
最も、何事も例外が存在するが。例外の最たる例としては、神話武器などが当てはまるだろう。ビームとか撃てるので。
「目立つけど、前線の指揮なんてもんはあいつしか無理だ。 後、お前の護衛するなら、あいつより俺だろ」
私情が混じってるか混じってないかと言えば、私情しかない。
だが、そもそも、一般生徒である正義は今回の件に協力している立場だ。多生の勝手は目をつぶってもらえるだろう。
「……なんか君、最近色々発言危なくない?」
「は?」
危ない発言、とは。
物騒な話題になっているのは、自覚もあるのだが、今さら危ないと言われても。
正義が首を傾げると、護衛対象がやれやれと首を左右に振った。
「………………君はこういう奴だもんね」
「まあ、そういう奴だ」
なんかわからんけど、少年は肯定しとくことにする。少女は、大きめの溜め息を吐いた。
「じゃあ、せっかく最高のボディーガードがついてくれるらしいし。 盛大にいこうかしら」
「そうだな、せっかくだし地形変えるくらいの派手派手にいこうぜ。 なあ、″炎帝″」
「そうね。 どうせなら、わたしもこの地で神話の再現でもしようか」
◆
『せっかくだし地形変えられるくらい派手派手にいこうぜ。 なあ、炎帝』
『そうねえ』
なんか二人っきりぽい空気を醸し出していたが、罰当たり二人の発言は当然のごとく通信で、指揮官には筒抜けだった。
「地形、変えられるそうですよ……」
なんか、指示をミスった気がしてきた神内は乾いた笑いを浮かべる。
「目立て、と言ったアホのせいだな」
「 責任は責任者にあるから、後々学園長から詰められても、僕たちはフォローしませんので」
同意を求めたにも関わらず、塩対応どころか冷たさしかない同僚たちに、今回の元凶(総責任者)は本気で泣いた。




