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※決してモデルとなった地域を下げようとはしていません

さて──ヤマトという地は人間の数よりも鹿の数の方が多いことで知られる。

なぜこうなったかというと、神々は鹿が大好きであり種族人間がこれらを傷つけることを禁じた為であり、元より高い繁殖力を持つ鹿が増え続けているためだ。

というのが、あくまでヤマト在住者たちの言い訳であり、単に地元から離れて都会に出ようという若者が多いから、という見解が隣接するエリアの人々の間では強い。しかしながら、これをヤマト在住者に直接言うと、どこからともなく現れる鹿に頭突きをされるため、注意が必要らしい。


「まあ、分かってるとは思うけど、冗談よ」

「だろうな、それは、さすがに、な」

「ええ、さすがに、冗談の、はず、なんだけど……」


フィオナの歯切れが悪くなる。正義も歯切れが悪くなる理由は痛いほどによくわかっている。

なんせ。


「皆さん、しっかりまたがってください。 必要ならば、鞍も貸し出せますので!」


目の前にはずらーーーーと並んだ鹿達。なお、危険がないように角はしっかりと、切られている。なんでも、先週がその角切会だったらしい。


「では、皆さん。 迅速に静かに。 夜襲の時間です」


終電もとっくに終わった時間。

人間達は、鹿の背にまたがって、目的地まで向かうらしい。


「……………なんで?」


正義にあてがわれた鹿は、やけに目線が鋭く値踏みされてる感じがすごい。


「マサ、ちゃんと掴まらないと振り落とされるよ」


なんか妙に手慣れた仕草で鹿を操り、ドリフトを決めているのは、兼道である。


「おう。 …………いや、なんでお前そんなにあっさりこの状況を受け入れてるんだよ」

「だって、ヤマトエリアだよ、これくらいのことは受け入れなきゃ」

「ヤマトって、なんなのかしら…………」


意外にも、鹿は有能らしい。


『(振り向き様角アタック)』

「いって!」


意外、と着けたことが気にくわないようで正義は鹿に顔面を強く叩かれた。


「移動が静かね」

「普通に速いし」

「色々と、すごいでしょう。 ヤマトの鹿は」


そこは流石に否定できない。明日、余裕があるのなら鹿煎餅を買い占めて、餌やりをしてやろうと思う程度にはすごすぎる。

神内は、鹿の首筋をポンポンと叩きながら、正義とフィオナ、兼道に近づいてきた。


「さて、そろそろ東大寺に到着します。 そこでお三方にはお願いしたいことが」

「なんでしょうか?」

「簡単です。 ひたすら暴れて──目立ってください。 それも、なるべく早く」


その言葉には、今日はじめて焦りが含まれているように正義には感じられた。

なんやかんや50話まで来ました

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