※現実に類似した団体が存在する可能性はありますが、当作品とは一切の関わりはありません
南米から帰ってきました
蜘蛛野郎は強敵でした
神は存在する。それは、常識である。
そもそも、エスリプトにしろソーマにしろ、その力を与えたのは神たる存在だ。
最も、その神たる存在が、唯一無二であるか、複数体おわされるかどうかは、それこそ各国の信仰する宗教によって変わるとされる。神の定義が異なるためであると、言われている。
しかしながら少なくともこの国では、神はいつでもどこでもどんなかたちでも存在するものとされ、その神の宿り場たる寺社仏閣はある程度の自治権を有していた。
「何せ、あの方がたは、我が儘ですからね」
この国でも有数の、宿り場を保有するエリアで生きてきた男はそう続けた。
「あの方がたっていうのは、どちらのことですか?」
「両方です」
神は基本的に我が儘である。だがそれはあくまでも、人間の作った枠組みでそう判断しているだけであるから、彼ら自身が我が儘というわけではないとも言える。最も、その気まぐれに振り回されるのも人間であり、人間の主観からすれば「我が儘」という評価も間違えてはいないのかもしれない。
なので、神内のそれはある種の愚痴のようなものであり、問題になるのは同じ種族の──つまり宿り場を管理する人間のことであった。
「そんなにですか?」
「ええ、はい。 まだ、彼らの管理すべき土地に関する要望は分かります。 それが彼らの職務ですので。 しかし、しかしですよ!」
「うわ」
唐突に声をあらげられて、思わず正義は一歩引き下がった。
「″いい感じの飲み屋探してくれ″とか! ″かわいい子の多い店教えてくれ″とか! こちとら未成年なんですよボケが!」
「あー……」
なんというか、案外苦労しているんだなこいつ。学園の運営側には立たない生徒の一人として、正義は暖かい目を今日はじめて神内に向けた。
「わかる」
「それな」
「どこもお偉いさんってそういうもんなんだなあ……」
共感の声が一切やまない生徒会役員+風紀委員どもである。
「あるある、なのか……」
「そうよ、あるあるよ。 だから、変な問題起こす生徒が一人いると、余計に仕事が圧迫されんのよ」
「お前らの仕事は、変な問題起こす生徒を取り締まる方で、悪いのはお偉いさんの方なんじゃねえの?」
正論であるがゆえに、風紀委員の少女は問題常習犯の少年の頬を全力でつねった。逆ギレである。
「失礼、話が脱線しました」
胃痛持ちの苦労人は、鹿角カチューシャの角度を調整しながら、こほんと咳払いをした。
「後は、そんな神聖であるべき宿り場が、奴らの拠点となっている理由ですが、まあ面白味もないので一言で纏めさせてもらいます。Scandal!」
無駄に発音が良かった。
「なので、十中八九寺院側の人間もあちらとグルなので、攻撃されたらきっちり容赦なく落としましょう」
要するに全員敵ということである。
シンプルでいいな、とさっさと修学旅行で赤髪の少女と自由時間を過ごしたいという煩悩まみれ男子高校生は思った。




