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眼鏡の強キャラは大体眼鏡が白く光る

乾いた笑い声が眼前の人物から聞こえてきた。


「いやはや、炎帝については噂には聞いていましたが、なんですかあれ。 空さえも一瞬覆い隠しそうになってましたよ、なんでピンピンしてるんですか、影を詠んだわけですらないんですか、バカですか。 もう一人の彼はなんなのですか? いくらソーマとはいえ、壁を垂直走りするのはアホ極まりないですし、こちらの勘所を最短で押さえられましたし、なによりシンプルに強い」


あれらを見たら誰でもそうなるんだな、と兼道は思う。そして、感覚が麻痺してきている自分に、少しうんざりしてきた。


「うちの会長、ご存じですよね」

「もちろん」

「あの人は、初めてあれらのじゃれ合いを見て、人生初の胃潰瘍になったそうです」


それはそれは、と神内は眼を少し見開いた。遠くで、人が飛び上がったのが見えた。飛び上がったのはヤマトの生徒で、兼道の耳に馴染んでしまった声と音がする。


「あやつでも、全うなリアクションできるんですねえ。 なぜ釘バットで人があんなに飛ぶんですか……?」

「あの人も、ギリギリ理の中で生きてるってことだったんですよ。 あれは考えるだけ無駄です」


兼道の言葉が、ツボに入ったのか他校の重鎮は涙をぬぐいながら笑う。


「それはいい。 確かに、彼らに比べれば、あやつはまだ指一本こちらにかかっている。 まあ、あれの場合は指一本こちら側なクセに、あちら側でも渡り歩いてしまうわけですが。 お陰で、あやつ、いや噂のカノジョの方でしょうねどうせ。 あやつらがあなた方を派遣してきたかよく分かりました」


眼鏡の奥の眼がするどく光ったような錯覚を覚える。

ひとつ上の世代が、どのような形で他校と繋がっているかは、兼道は知らない。ただ、たった一年、されど一年だ。彼らは、兼道達よりも多くの修羅場を潜ってきたことは確かだ。


「理不尽二人と、君がいる」

「僕、ですか?」


まさか、自分の名前が出されるとは思わなかった。


「だって、君はどっちかという真理ちゃんの、正当な後継者でしょう。 ワタクシとしては、あの二人はもう語るまでもないですが、君も怖い。 だって、君ずっとうちの部下達に力を使い続けてるでしょ」

「なんのことでしょうか」


人は環境の変化に弱い生き物だ。例えば、気圧がほんの少し変化するだけで、十全なパフォーマンスは発揮できなくなる。兼道が今もやり続けているのは、そういうことだ。そして、理不尽二人は除いた、兼道の仲間達はほんの僅かな隙さえあれば、なんとかしてくれる。


「まあ、ズバリ重力操作でしょうか。 範囲を考えるに……発動条件は自身の身体の一部があることですかね。 応用性も高い、強力な能力ですね」


ぎくりと、背筋が凍る。

なぜ、ばれた。


「ばれてませんよ」


食えないふざけた男は、飄々と続ける。


「単なるかまかけです。 しかし、反応を見るに正解だったようですね。 君はもう少し、身体全部に気を遣える方がいいですね。 かまをかけられて、反応するな、なんてことは言いませんが自らの身体感覚を押さえ込む、時には利用して相手をさらに欺けるようになれば、真理ちゃんは余裕で越えられると思いますよ」

「…………ありがたいお言葉、ありがとうございます」


ヤマトの生徒達は、無事に全員何らかのかたちで無力化させられたようだ。各々が口々に、「負けた」「会長のボケ」「鹿角全く似合ってねえぞ」「東の方、強すぎ……」としゃべり続け、ついでになぜか神内の悪口も聞こえてくる。

ある意味で完全勝利。しかし、兼道は勝った気が全くしなかった。


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