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鹿は──普通に怖い

新年明けましておめでとうございます。

南米とイベリアから無事に帰還しましたので更新です。

さて、当然のことながらこれは学園の行事であり、修学旅行のしおりにはばっちりスケジュールが記載されている。それに従うとするなら、ヤマトの滞在期間は一泊二日である。


「つまり、この期間で観光しながらよく分からんテロリストを壊滅させる、と」

「観光するつもりなんだ……」

「え、佐藤君は、観光しないの? 勇奈に、お土産買わないつもりなの? 嫌われるよ?」

「ユウからは、木刀頼まれたけど、別にこっちで買わなくても問題ないかなって」


土産物屋で木刀を購入する話はよくよく聞くが、リクエストされて買って帰るようなものでもあるということを、正義は今はじめて知った。


「皆様、ご安心ください! 皆様が、一泊二日──いいえ、実質的には一日ですね、この期間であれらを壊滅できないような実力であるとワタクシが判断しましたら、丁重にお帰り願いますので」


鹿角カチューシャを着けた変態とは思えないほど、真剣なトーンでヤマトの風紀委員長はそう告げる。


「判断?」

「ええ。 皆様も我々の気持ちは分かりますでしょ? 実力の知れねえ奴らに、背中は任せたくないという、現場の切実な意見は。 ですので」


荒事を渡ってきたものだけが持つ凄みのようなものを、生徒会と風紀委員達は感じとる。まるで、彼らの長と対峙しているような錯覚すら覚える。


「実力を示してみろ。 東の同胞達よ」


幾つもの気配が、周囲から立ち上る。

ヤマトの観光名所の一つであるというのに、他の旅行者と全くかち合わなかった理由が分かった。

ので。

正義はとりあえず、自身の水筒を投げた。

鉄を特殊加工したその鈍器は、唸りを上げて飛んでいき、やがて正義達を見下ろすように立っている建物の屋根へと到達。


「うわあああああ!?」

「む、無茶苦茶だ! 東の奴らに躊躇ってもんはねえのか?!?!」


正義は内心、舌打ちする。一人しか仕留められなかった。


「フィオナ!」

「風紀委員、散開! 生徒会は、取りあえず神内さんを取り囲んで!」

「神内さんは、僕一人で十分だから生徒会も、殴り込みで」

「おう!!!」


各々が、自らの力を呼ぶ、武器を呼ぶ。


「わたしと、朝日奈は遊撃!」


バットケースの袋を投げ捨て、中身を肩に担ぐ。


「目標時間は?」

「風紀委員に生徒会、君とわたしまで動くんだから、3分でいけるでしょ?」

「2分だな、お前がへましなきゃ」

「もう30秒縮めて、泣かしてやる……!」


火蓋が文字通り、切っておとされた。

正義は膝に思いっきり力を貯めて、跳躍。そして。


「撃ち落とせ!」

「落とせねえよ、その程度の弾幕じゃ」


ヤマトの狙撃部隊が陣取る建物へと、着地した。

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