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テレビ通話、結構ラグい

「因みにですが」


ヤマトの治安を預かる男は、鋭い視線で車内を一瞥する。


「警戒しても無駄ですよ」


ピクリ、と釘バットの先が揺れる。

あまりにもふざけた──鹿角カチューシャは多分ふざけているだろう──格好をしている、というのが正直な印象だ。強者という雰囲気は感じないのだが、しかし言葉にはあまりにも自信が満ちていて、ゆえにその場の全員の警戒レベルは引き上がった。

そして。


「あなた方想像しているより──その数百倍ワタクシは色々弱いので、既にチビりそうです」

「ええ…………」


そないに堂々と宣言されても。


「見てください、この震え。 まるで、生まれたての小鹿のようだ。 HAHAHA! ヤマトジョーク!」


なんだこいつ。


『あー、お前ら聞こえてるか』


兼道の端末の画面に、金髪女が写っていた。


「兼道、それ誰だ?」

「僕の上司」

『朝日奈、お前このあたしのことを知らずに、どうやって学園生活送ってきたんだよ……』


そないなこと、言われても。


「チンピラライフについて言及しても、疲れるだけですよ、来栖真理先輩」

『そうかもな……龍華院がいうならそうなんだろうな…………』

「おい」


何がチンピラライフだ。


「ありゃ、お久しぶりですね、真理ちゃん」

『おう、相変わらず頭のネジ十個くらい吹っ飛んだ面してやがんな』

「いやいや、真理ちゃん程じゃないですよ」

『ははははは!』

「わはははは!」


なんだこいつら。

正義は、兼道の顔を見た。唇に人差し指を当てるジェスチャーをされる。黙って見ておけということだろう。


『つーことで、お前ら。 このふざけた奴が今回の協力者だ。 本人のいう通り、こいつはくっそ弱いが、部下はちゃんとしてるから安心しろ。 まあ、危険性は、ない、ということにしておこう。 じゃあ、佐藤あとは何とかしろ』


ぶつっと、通話は切れる。兼道は、大きくため息を吐いた。


「らしいです」

「皆々様、よろしくお願いします。 あと、真理ちゃんとは、まさ、ソレナリの付き合いなので弱みが握りたいときはお声がけください!」


兼道が、全力で握手を求めにいった。正義は見なかったことにしてやった。



言葉通り本当に危険はなさそうなため、生徒会・風紀委員会の面々は警戒を解く。念のため、脇をフィオナが固めているので、問題はないだろう。


「あの、フィオナさん?」

「ん?」

「俺の右手をそんな力強く握る必要あります?」

「キミの場合、ばっくれる可能性あるから、捕まえとこうかと」


なぜか、正義も脇固め要員となってしまったらしい。

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