破れ鍋か割れ鍋か
「えぇーと、念のために確認したいんだけど」
万里はこめかみを指で解しながら、予想外な二人の方を改めて向いた。
「あの日、あそこのショッピングモールに居たのは、龍華院ちゃんが何かつかんでたからとかじゃなくて」
「完全無欠に」
「遊びに行ってました」
そして、いつも通り正義はテロに巻き込まれ、一緒のフィオナもそうなったと。テロ解決に協力することになったのは通算四度目のことである。
「…………まさかなんだけど。 今までの、龍華院ちゃんが解決したテロも…………?」
「これが関わってるときは、本当に偶々です」
中指で、指されたので、正義は中指をたて返す。睨まれたので睨み返した。
「…………下の子達から噂には聞いてて、けど信じてなかったことがあるんだけど。 チンピラ君って、本当にトラブルメーカー?」
「トラブル起こしてるのは俺じゃねえよ」
基本的に売られた喧嘩は、丁重に受け取っているだけだ。
「カツアゲされたからってノリでそいつらが群れて作った組織を壊滅させるのは、トラブルじゃなくて何よ?」
「お前も二回くらいやってるだろう」
「大体全部、君も一緒にいるでしょうが」
「あ?」
「は?」
「ステイ」
二人は、すん、と姿勢をただした。上下関係がしっかりその身に刻み込まれていた。風紀委員長はメガネの橋を指で押して、ズレを直す。
「おっけーおっけー。 龍華院ちゃんが大体巻き込んでると思ってたけど、そうではないことを理解した。 ごめんねチンピラ君、あなたのこと誤解していたみたい」
「変な理解のされかたしてねえか」
「事実でしょ」
正義は冷めたお茶に手をつける。いつもの味だ。
「で、いくつか俺に用件があるってことは、まだなんかあるんだろ?」
フィオナに肩を叩かれたので、何事かと思えばいつぞやのショッピングモールで購入した和菓子の詰め合わせを渡される。
正義に食えという意味ではないだろうから、目の前に座るフィオナの上司に手渡した。
「いつも、この大バカがご迷惑をお掛けしています」
「いえいえ」
「ちょっとー、誰が大バカよー。 万里先輩わたし大泣きしますよー」
「迷惑はいつもかけられてるし。 ということで、菓子折り確かに頂きました。 もともとは、龍華院ちゃんにつきまとうどこぞの馬の骨の面を拝んどこうと思ってたんだけど」
「馬の骨って……」
つきまとったという事実もないのだが。
「でも、あれだったんだね。君達にぴったりな言葉は、破れ鍋に綴じ蓋、だね」
「セットにしないでください! あとこいつなんて、ただの破れ鍋です!」
「誰が不良品だコラ。 俺の方がよっぽどまともだろうが」
「まとも、って言葉調べたことないの?」
「あるわ。 俺って書いてあった」
「不良品すぎるでしょその辞書。 わたしの使ってる辞書には、バカの項目に君の名前が書いてあったよ」
「…………」
「…………」
「決着つけんぞおら!」
「望むところよ!」
埒が明かないので、暴力で解決することにした。
「掴み合いしてる風に見せて、仲良く手を繋ぐのが君達の流儀かなにかなの? もう、バカップルのいざこざに見せたいちゃコラを止めるのも面倒になってきたから、最後の用件はそのまま聞いて貰いたいんだけど」
「バカップルじゃ!」
「ないです!」
「修学旅行で──正体不明達を壊滅させるよ」
何て言った?




