表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/102

一度は憧れるインカムでの通話

強力なエスリプトは、オーラを纏う。一説には、″異能″を与えた存在の影と言われている。

そのオーラは、強大な力の象徴でもあり、記録では戦いの場において対峙したオーラへの恐怖のあまり、命を落とした者もいるという。

フィオナが、わざわざ意図してオーラを垂れ流し始めたのは、「お前ちゃんと話せよ」という正義への威嚇でもある。

なので、正義は真面目に、


「買い物しようと町まで出掛けたら」


炎弾が飛んできたので、気合いで回避した。部屋の壁に、きれいな穴ができる。


「財布を忘れて野良猫とか宣おうもんなら、君の眉間に穴が開いちゃうわねー」

「威嚇射撃って言葉ご存じ?」

「だから、ちゃんと威嚇したじゃない」

「普通なら死んでる」


威嚇射撃は、決して致命傷を負わせることを目的にするものではないはずだ。少なくとも、個人の力量によっては威嚇ですまない威力で能力を使うことではない。


「あと、話をちゃんと聞け。 買い物しようと町まで出掛けたのは、本当だから」

「え、本当なの? ごめんなさい早とちりしました」


素直にフィオナは頭を下げる。

割と本気で、財布を忘れて野良猫、と続けようとしていたことは正義は心に秘める。


「まあ、それで、いつも通りなんか囲まれて」


いつも通り、街灯の少ない路地裏へ。そして、とりあえずボコした、というわけである。


「…………いつも通りね。 うん、うん、嘘はない、オッケーありがとう」


フィオナは、襟につけたインカムのマイクに囁いている。風紀委員に所属する、嘘を見抜けるエスリプトに聞いてもらっていたのだろう。


「いつも通りで通じちゃうくらい、よく路地裏に連れ込まれてる君はなんなの?」

「モテモテなんだよ」

「ちっ」

「舌打ちすんな」

「はい、ということで、おめでとう。 今回は白よ」

「今回は、つーか、今回も、だろ。 それで、なんでまた、お前クラスが動いてんだ?」

「あら、なんのことかしら?」

「とぼけんな」


正義を取り囲んでいた連中は、少し妙なところがあるとはいえ、エスリプトもソーマも特筆すべき点がない連中だった。

一方この、龍華院フィオナ、という女は全国八ブロックに一つずつ存在する学園に、所属する学生の中でも、有数の実力をもつ。

その少女が所属する風紀委員会というところは、そんな戦力をたかがチンピラ同士の抗争に向かわせられるほど人材が豊富な訳ではない。

従って、導かれることは一つだ。


「どっかの″組織″が動いてる、とかか?」


フィオナは、諦めたようにため息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ