ブランドを高めるためにもマークは大事
「なるほどな」
全てを聞いた風紀委員の男(フィオナの先輩)は、眉間に皺を寄せ左手でこめかみ辺りを揉みほぐし始める。
「こいつら、なんなんだ?」
「外からだと、こんなもんかなあって思ってたんですが」
「いや、兵隊の質はともかくとしてだ」
足でリーダーを指差す。
「少なくとも、こいつの能力は破格と言ってもいい。 なんせ、龍華院ですら、能力を制限された訳だからな」
「まあ、一応」
「それに加えて、ソーマもだろう…………例外はともかく」
せっかくなので、正義はピースを作ってみる。フィオナに日本の指を持たれて、関節が本来曲がるべき方とは逆にやられる。
「ぎゃああああああ!」
「生徒会。 お前ら、もしこいつらが居なかったらどう動いた?」
「それはもちろん、限界まで抵抗を」
「大人しく降伏します」
「センパイ?」
兼道は、生徒会の新入りの方を見て。
「一条さん。 この二人がいない、あのままの状態の僕らが抵抗して、勝ち目はどれくらいあったと思う?」
「この私が、あいつらに負けるわけありません」
「うんまあ、四十人相手に無双していたからそれはそうかもね。 じゃあ、言い方を変えるよ。 他のお客さん全員、守りきれた?」
「それは……」
「生徒会という組織は、生徒の為にある。 僕らはテロに対して勝利が絶対で、その勝利条件は単にテロリストを打ち倒すことじゃなくて、全員怪我もなく明日からまた普通の生活を送れるようにすること。 覚えておいて 」
「………はい」
勇奈はうなずいた。自身を戒めると共に、この言葉を決して忘れないように。
「すみません、話の腰骨を折ってしまいました」
「いや全然大丈夫だ。 どこかの、後輩にも言って聞かせたい」
「言われてるわよ」
「俺がこいつの後輩だったことは、一度もねえよ。 お前の方だろ」
「わたしはそこもちゃんと考えてたわよ!」
本当だろうか。
「こいつの場合は、慢心が過ぎて自分の命を危険にさらすことだな」
「それな」
さすが先輩というべきか、よく後輩のことが分かっている。正義は風紀委員の赤髪女の前方で腕組してうなずいた。
「う…………」
さすがに今回のことはその通りすぎたので、フィオナは反論をやめる。
「また、話がそれてしまったな。 なら余計に違和感がある」
「違和感」
「ですか?」
「ああ」
対テロのスペシャリストは、ぐるりとモールを見渡した。
「龍華院」
「リーダーは強力なエスリプト。 少なくとも人員は豊富。 その全員分の武装を用意できる資金力。 それなりの組織力はありそうなのに、がばがばの計画」
つまるところ。
「背後に、面倒なのがいる」
風紀委員の男は頷いた。
そして、なぜか正義には申し訳なさそうな顔を向けてくる。
「チンピラ、お前ら今日デートだよな?」
「デートじゃ」
「ないです」
「今度こいつに有給とらせて埋め合わせさせるから、ちょっとこの後はすまん。 あと、今からこいつが暴走した場合は止めてくれ」
「は?」
訳が分からない。
そんな正義をよそに、男はフィオナに向かって何かをピンっと、弾いた。
「落ちていたもんなんだが」
くるくると回転して、それはフィオナの手にポスリと収まる。
正義も、顔を寄せてそれを見た。
「バッジ……?」
彫られているのは、目鼻のないマネキン。そして、そのとなりに彫られているのアノニマスマスク。
バチリと、火花が爆ぜる。
「正体不明……!」
シリアスなフィオナをよそにそういえば、そんな奴らもいたな、と正義は思った。




