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柔道の乱取り練習を初めてみると、試合との違いがいまいちわからないようなもん

このショッピングモールにいる、ソーマとエスリプト達が一部例外を除いて力を奪われたのは、一人のエスリプトのせいだそうだ。

そのエスリプトというのは、テロリストの仲間の一人だそうだ。


「さすがに、名前は教えてもらえませんでしたが、あいつらはボスとかリーダーって呼んでました」


勇奈は、さっき聞き出した情報を頭の中で整理しつつ、ひとまず兼道につたえることにした。正義とフィオナは、こんな状況だというのに喧嘩をしているからだ。


「能力の名前は、″ルーザー″だそうです」

「そこまで、あいつら吐いたのか?」

「信用できるのかしら」

「ひえ」


唐突に悲鳴を上げられて、正義とフィオナは首をかしげる。

何かしてしまっただろうか。


「君ら二人の切り替えの速さに、ついていけてないんだよ」


なんだ、そんなことか。


「まあ、一条はまだこっちに来てから日も浅いしな」

「いずれ早めに切り替えられるようにならなきゃだけれどね」


先輩として、後輩にアドバイスをする。

兼道は、胡乱な表情をそんなバカどもに向けた。


「君らには、ついていけない学園の生徒の方が大半だけどね、僕もしょっちゅう着いていけないし」

「え?」

「え?」


これくらいは普通だと思っていた。フィオナと顔を合わせるとあちらも同じような顔をしていた。


「学園の連中の方がよっぽどあれ、だと思うんだが」

「マサ、龍華院さん。 君らはベクトルが違うから比べるだけ無駄だよまったく基準値の参考にならないから。 それでユウ、もう落ち着いた?」

「は、はい。 すみませんでした、早く切り替えられるようにがんばります」


兼道は、ぽんぽんと直属の後輩の背中を叩く。


「この二人に着いていける人材がほしいと思う一方で、後輩にはそうなってほしくないって思う僕がいる……」

「どういう意味だよ」

「そういう意味だよ。 それで、話を戻すけど、ユウの情報はどれくらい信用できるの? 能力名なんて、そう簡単に引き出せるものじゃないと思うんだけど」


ソーマにもエスリプトにも、絶対的な制約がそれぞれに課せられるている。それを課しているのは人間ではなく、力を分け与えている存在だ。

そして、エスリプトの制約のひとつに、「能力名は偽れない」というものがある。

本人の能力名であっても、他人の能力名であってもである。


「能力名は、端的に、どんな能力かを伝えてしまえるから、基本的には人に教えなかったり絶対に口を割らないと信用できる人にだけ教えるのが、鉄則なはずよ」


因みに、フィオナの能力名を知っているのは家族を除いて、正義と風紀委員長くらいのものだ。


「ああ、それは信用できる、と思います」

「どうして、断言できるのかしら?」

「見張りをかってでてくださったあの女性の方を、女王様って呼んでましたから、テロリスト三匹が」


恍惚とした表情を浮かべていたらしい。


「心底心酔してる様子でした。 相当なカリスマでもあるんでしょうか」

「…………」

「新しい扉…………」

「開いちゃったのね…………」

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