人の出入りが激しいタイプの学校
どうして、正義が拷問をされているのか。
再び話は数分前にさかのぼる。
この学園では、単位制を採用している。教養のみならず、エスリプトやソーマの才を伸ばすことも目的としているためには、知識の取捨選択の自由度が高いシステムの方が都合が良いためである。
もっとも、国に所属する全ての学園がこのシステムを採用している訳ではないが。
「集会?」
それ故、「今日は一限目しか授業ないから帰るぜ!」ということもできて、正義はめちゃくちゃそうするつもりだったのだが、通りがかりのフィオナにネクタイを引っ張られムチ打ちになりながら、本日のスケジュールを聞かされたのだ。
「そうよ。 修学旅行の」
「あー」
そういえば、そろそろそんな時期だし、集会の日時を伝える連絡も来ていた気がする。
「まあ、興味ないなら別に良いけど」
「興味ないわけ、ねえだろ」
フィオナが、掴んだネクタイをいじりつつ、ついでに正義の襟元にも触れる。
「チンピラの癖に、こういう行事には乗り気よね」
「そもそも、俺がチンピラって呼ばれている方がおかしいんだよ」
毎日、真面目に授業を受け、学校行事といえばすげえ張り切る。
教師視点からすれば、優等生とまではいかないかもしれないが、扱いやすい部類の生徒だろう。巻き起こす対人トラブルから、目をそらせば。
「鏡みてから自分の発言録をじっくり読んでみれば理由はわかるんじゃないかしら」
「鏡には写らない体質だから」
因みに、今朝もちゃんと鏡で顎の一本だけ長い髭を発見、除去してきている。
「生物部に顔出してくる? 喜んで輪切りにして全身くまなく調べてもらえるわよ」
「あいつら、麻酔しない主義だから嫌だ。 それはそうとして、おい」
「うん?」
目の前の少しカールした赤髪は、なにが楽しいのかネクタイの角度を調節したり、弛めたりしている。
「すげえ見られてるぞ」
いつの間にか、人だかりができている。
まあ、龍華院フィオナという少女が、こんなことをやっていれば当然ではある。
「……………ポチ、お手!」
「誰が犬だ、首輪じゃねえよ、これで誤魔化せると思ってんのか」
ということがありながら、無事に集会の存在を知れた正義を待ち受けていたのは、別の集会だった。
「我ら黒梟の意思を継ぐ者!」
「憎きチンピラの命をもらい受けに来た!」
釘バットでホームランをぶっぱなし。
「「「フィオナたそに踏まれたい。 はあはあはあ、フィオナタンフィオナたんふぃおなた」」」
「全員挽き肉にする、これは確定事項だ」
先程の復讐双子を吹っ飛ばしたときよりも、なぜか力がはいったので高速で振り回し続け、きたねえ肉だねを作り。
「強きものの遺伝子を妾は欲する。 そこの赤髪と、顔が1ミリも好みではない野蛮人、ここによれ」
「『あなたは二度と還らない。 虚炎』」
フィオナが地面に焦げ跡を作った。
そして。
「というか! 一向に集会始まらないじゃないか、マサ!」
「俺は悪くねえよ!」
「「「「悪くなくてもお前のせいだろうが」」」」
「まて、離せ。 ひ、卑怯だぞ! こんな大勢で、うわーーーー!!!」
そうして、吊るされたのである。




