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ggp

その男は実に奇妙な男であった

窓辺には、彼女を瓶に入れて

ずらりと並べていた

本棚を見ても

そこには、彼女についての本が

大量に占拠している

外に出れば、彼女たちが、鮨詰め状態に並べられ

野ざらしにされていた

「なあ、君、ネルンビフォリアについてどうおもう」

僕は、男に聞いた


その男は


一人の老婆が店の中で汗をかくこともなく

煎餅をひっくり返していた

そのひっくり返す度にその表面は良い色を付け

においはその横にある醤油誰をつける度に香ばしくなる

「ババアー、煎餅三枚」

そんな事を言って入ってくる少年

「なんだい又来たのかい」

まんざら目を細めて嫌そうにしないところに

この二人の掛け合いが真実を得ていないことを証明するようである

「・・・しかし、聞いたかいババア」

「なんだガキ」

「最近死んだ人間がいるって」

「・・・・・お前は本当にしょうもないな」

「なにがさ」

少年は明らかに機嫌を悪く醤油を塗っているババアと呼ばれたおばあさんに言う

「・・・・今この町だけで何人が死んでると思う」

「・・・嫌そう言う話じゃなくて」

「それならどういう」

「ひき逃げだよひき逃げ」

「・・・ひき逃げ、そんなのいつあった」

「珍しいな、ババアでも知らない情報があるとは」

「・・フン、そんなのどうせ、ヒキガエルでも引いたような話だろ」

「違うんだよ、内の母ちゃんが勤めている病院に運ばれてきたんだけどよ

結局死んじまったって」

「お前にお母さんが話したのかいガキ」

「いや電話で話しているのを」

「悪いガキだね」

「いや、ババアほどでは」

そんなことを言っているとき

「ほれ焼けたぞ」

そう言って焼きたての煎餅を幼年の手に乗っけたのである

「熱いぞ」

「・・・・・・・・」

おばあさんはその急いで食べようかそれともまとうか見ている少年を見て笑うのであった


昨晩

老婆は店仕舞いをしようかと考えていると

急に店先で大きな音がした

何かと店先に出てみると

そこには一台のベンツがとまっていた

はて、こんな煎餅屋に何か用か

そんなことを考えていたが

しかしそれなら先ほどの音は

老婆はそんなことを考えていたが

しかしそれ以前に重要な物を見てしまった

その車のボンネットが酷くへこみ

さらにはフロントから煙が出てきていた

「・・・事故」

そう思って老婆は急いで電話をかけに家の中に戻ろうとしたそのとき

「そこの人待て」

そんな声がして振り向くと

そこには拳銃を持った誰かが居た

そのことに関して

老婆は推理ドラマを良く見るせいで

一発でその拳銃が、拳銃と言うものだと分かった

しかし分かったからと言って老婆が出来ることは

待つという時間の中

その男と言うことしか分からない何者かを見ることしかない

それは頭からマスクをかぶり

さらにはその服は特徴のない黒い服

それも上下だ

ぱっと見れば、暗さと相まって

その頭だけ浮いているように見えなくもないが

見えたところで今どう使うことも出来ないだろう

「・・・・なんだい」老婆はそれに言う

「お前は今なにを見た」

「・・・なにも、音は聞いたが・・何があったんだい」

「何も」

「そうか・・なら帰らせて・・」

「待ちな」

「なんなんだい」

「お前本当に見てないな」

「だから何なんだよ」

「それなら良い」

それはそう言うとどこかにはしっていった

老婆がその後すぐさま警察に電話したのは言うまでもない

と言うのも

その過ぎ去っていった車の居た場所に

明らかに血痕と思しき液体を見つけたからだ


明くる朝、老婆は路上で何者かに引かれ死亡しているのが発見された

しかしそれで良く分からないことが一つある

それは老婆が警察に電話して

調べて貰った血液と

その老婆の血液が一致していた事

そして昨日調べたときにあったタイヤ痕と

今朝がた見つかった物が一致したのだ


世の中には奇っ怪なことが良くある

その中には

オカルトと呼ぶべき存在というかジャンルも存在する

それは学校などで流れる階段話から

全国区で噂される都市伝説に至るまで

それはその中のほんの一つの物語


「教授、今日と言う今日は提出してもらいますよ」

その白い白衣に身を包んだ老人に

大学せいふうの女性がそんなことを言って詰めかけるが

老人は大して気にもとめず

難しそうな本を逆さに読んでいた

「教授」

大学せいふうの女性はいよいよこえを張り上げて

教授と呼ばれていた老人が読んでいた逆さまの難しそうな本を取ると

その白い髭を生やしたかおに顔を近づけて

「今日という今日は絶対に資料の提出をやってもらいます

もしやらなければ、この研究室は、来年からなくなりますよ」

その鬼気迫る言葉に大して

老人がとった行動はただ一つ

机の引き出しから

何時入れたのかも分からない封筒を取り出して

彼女に渡した

「これが何か」

それは提出用に渡した提出規格でないことから

彼女が思い描く欲しいものではないと言うのは分かる

しかし

今こんなときに一体この老人は何を

大学せい風の女性はその封筒の宛名を見ると

「クリバヤシ、クロネコ樣」

教授の本名が書かれている

と言うことは

教授がどこかの研究室からぬすんできたようなものではないと分かる

しかしこの研究室にはその他の研究室からぬすんできた盗品で出来ていると言って過言ではないほどの山が出来ていた

「・・・」

とりあえず彼女は開けられた封筒の中身を見ると

一通の手紙が入っている

彼女はそれを出すと目を通した

そしてそこで彼女は唖然としなければならない

それは手紙なんて代物ではなく

いわゆる警察が使っているような

検死結果が書かれた代物であった

「・・・これ何なのですか」

彼女はそれを見ながら老人に聞く

そんなところが抜かりないというか何というか

「・・友達だと思うんだけどね・・・一時間ほど前に手紙が届いたんだよ」

そう言うと老人は机の引き出しにしまわれている

電気ポットから緑茶を入れた急須に熱湯を注ぎ一人で飲んでいる

「・・・・その友達みたいな人が何でこんなものを教授に」

「・・さあ・・変なことでも起こったんじゃない・・・まあ貸しもあるし」

「・・それでこれをどうすると」

「・・・分からない」

老人はそう言ってこちらを見た

まるで覚えの悪い子供を見る先生とも

獲物を前に、いたぶるような強者ともとれるきっかいな目

「・・・・・一つ言わせてください」

「・・・どうぞ」

教授は手を彼女に差し出す

「・・・・これは法廷に出せ得る証拠なのでしょうか」

「無理だろうね」

「・・・・この証拠の信憑性は」

「・・・100パー」

「凄い自信ですね」半ば笑いを含みながら言う大学せいふうの女

「・・・だってこれ別れた妻のものだもの」

「・・結婚してたんですか」

「うん・・遠い昔にね」

「・・それじゃあこれは」

「妻が死んだんだ・・ただ一つ疑問に思うことがあってね

旦那が送ってきたんだ」

「・・・・」

「君は分かっているよね」

その老人は白い眉毛に隠れるような目を彼女に向けた

「・・・これは他殺でありながら自殺を含んでいるという事ですか」

「ザッツライト」

老人は発音良くそう言うと

まるで置物のように動かなかったそれとはまるで別物ののように

滑らかに話し出す

「これが解剖されたのは一週間ほど前

そして解剖されたという事は奇っ怪な現象があったという事だ

少なくとも普通に寿命的な死ではない」

「それが自殺だったと」

「まあそんなことだ、そしてその自殺は他殺だったのだよ」

大学せいふうの女は言っていることがあの検死書を見ているので分かっているようでうなずいている

「彼女は二人が住んでいるマンションの一室でなくなっているのを発見される

そしてそこで問題点があるがまたあとにしておこう

彼女の暮らしていたマンションは

都内でも非常に厳重であり

その人間以外の人物は入れない

それこそ言ってみれば変装したくらいでは無理だし

DNAレベルの違いもNGだ

そんな厳重な環境の中

彼女はどこも鍵の開いていない密室とでも言えるような場所で

首を圧迫した事による窒息死をしている

しかしここで先ほどの問題が浮上した

彼女は自殺ではない

なのに自殺

彼女は首をくくって死亡したわけでも

刃物で切り裂いたわけでもない

彼女は首を絞めて死んでいたんだ

ここまで聞くと何者かに殺されたようだが

しかしここが一番不可解なところなのだが」

「その指紋が奥さんのものだったと」

「・・・そうだ・・・しかしそう言うのは言わないでくれるかな」

「でもおかしいですよね、どうして奥さんの指紋が殺した犯人の指紋と同じなのか、だいたもし百歩譲って」

「譲っちゃうのかい・・それでも君は科学者の」

「何もしない人に言われたくはありません」

「・・な」

「しかし・・・もし百歩譲って」

「・・・まだそこを」

「譲って、もし犯人と奥さんの指紋が一致したものだとしましょう

しかしそれならどうやって犯人はこのマンションから出たのか

私も昔ここに暮らそうかと考えていたのですが」

「君金持ちだね」

「・・・・まあ余りに高かったので止めましたが」

「もうそろそろここからでていって欲しいのだが」

「あのマンションは、指紋にわずかに付着したDNAから認識するタイプです

しかもそれは死んだ細胞では不可能

大体ここに書かれている

死亡した本人の皮膚に外傷はない(手足の指紋も同じく)と書かれています

と言うことは」

「つまりほとんどの可能性は無理だと言うことだ」

「・・ほとんどどころか全てが無理であり

大体だからこそこの話が本当かどうか怪しいんです」

「本当だ、警察にでも行けばいい・・ただし捕まっても知らないけど」

「・・・しかし教授はこの事件道お考えなんですか」

「僕はこれをオカルト的な事件だと思わずに入られない」

「オカルト・・・」

大学せいふうの彼女の頬を冷たい汗がひつ筋おちる

科学だかがくだとしか言わないような人間が

そんなことを言うとは

「君はドッペルゲンガーという現象を知っているか」

「知りません」

彼女は基本的に怪談話がだいっ嫌いであり

そんなものを滅ぼすためにここにいるような人物でもある

だからそれに類する話は好きではない

「ドッペルゲンガー

それはもう一人の自分を意味する

しかし大体に置いてそれを目撃した人間は不幸な最期を遂げていることが多い」

「・・不幸な事例」

彼女はどこか震えながらそんなことを言う

「ああ、もう一人の自分を見たものは

数日以内に死ぬ、これが大体の通説だ

それにかんする見解として、幽体離脱の失敗とも、幻覚症状による

病気のサインとも言われている」

「教授はどう思っているんですか」

「さっきも言ったと思うが僕はこれは自殺だと思っている」

「しかし・・・ざっとみましたが、検死書には、この位置での自分の腕による絞殺は不可能であり

何者かによる殺人と見られる

ただ、絞殺したものの指紋が被害者と一致しているって書いてあります

つまりこれは他殺の線が」

「・・それじゃあその指紋はどう説明するんだね」

「・・・・・・・死んだ後に付けたとか」

「それは無理だ、この手形の位置にするのは骨からはずさなければ出来ないだろうが、もしすれば、とてもじゃないが痣なんて生ぬるい怪我では済まない怪我が付くであろう」

「それじゃあ」

「彼女は自分を自分で殺したんだ」

「・・・・・頭おかしくなりました」

「いや、至って健康的だ・・後三十年は生きるであろう」

「今何歳なんですか・・何時死んでいただいてもこの研究室は」

「タイムトラベラーだ」

「・・今なんて」

「タイムトラベラーだ」

「今なんて」

「彼女は未来から自分を殺しに来たに違いがない」

「今なんて」

「・・・・君はそれしか言えないのかい」

「しかし・・・そんなもの」

「自殺するものの心理状態としてこういうものがあるという

自殺するのは嫌だが、不意の事故による死亡がいいと」

「・・・・」

「もしタイムマシーンと言うものがあれば

きっと自殺者は増えると僕は思うがね」

「どうしてです」

「その存在を消してしまいたいと思うことはないかい」

「・・まあ教授も、そこまで自覚しているんでしたら・・・そこまで自分を責めなくても、私が」

「・・・それは未来が見たいのではない

ただ逃げたいのだ

どこにも居場所のない場所

そして居場所があっても大して良いとは思えない現実

彼らはきっと自分自身を殺すことを選ぶだろう

その存在がなければ

未来の今現在の自分を

もっとも楽に殺せるのだから」

「しかしそれはタイムマシーンがあっての話でしょ

教授の話では、結構昔からドッペルゲンガーが居たという感じがします

しかし、タイムマシーンなんてものは今現在でも」

「本当にそう言えるかい」

「言えるに決まっているじゃないですか」

「僕は三十年ほど前にタイムマシーンを開発した

しかしそれはとても科学の推移を集結させたとは呼べないような

それこそ実に原始的なものだった

しかし

それがある一つ全消えたのだ

そして、その日妻も姿を消した」

「・・・もしかして」

「ああ、彼女は今日という時間帯の妻を殺したのだろう・・いや自殺か」



僕の名前は

題名にもあったとおり

タロウである

世の中の本の名前に

「我が輩は猫である」

と言う

夏目漱石と言う

坊ちゃんだとか

色々と

有名な本を出しているおかげか

千円札にも印刷されているような人であるが

その人の書いた

我が輩は猫である風に言うのであれば

僕は

タロウということになる

我が輩は

タロウ君なのです

みたいな風に

しかし

実際はそんなことは言わないし

言う機会などなかなか巡ってくることは皆無である

しかし

其れなのになぜ

そんなことを言ったかについて

其れについて追求するのであるなれば

その二つ以外の状況

すなわち

現実的ではない

そんなことを考えられる

妄想の中という

限られた場所であるがゆえに出来たことなのだ

そして今から言うことは

このどおでもいいような

前振りからは

想像が難しいくらい

突拍子もない

夏休みの日記兼

自由研究を

兼ね備えた

実録とする


僕は一人突っ立っていた

それは田んぼのわき

用水路を挟んだ数少ない舗装道路である

そこには、人は居ない

一人をのぞいて

先ほどまで、田んぼの中で、赤米を取っていた僕は

彼女の登場で、泥の中を、這って出たのだ




轟音をとどろかせて、大型バイクから降りたのは

黒い体に張り付くような服なのかよくわからんものを着た女であり

それは、田んぼのあぜにいた田中さんの前に止まり

なにやら立ち話をしている

しばらく見ていたいきもしたが

僕は、仕事の途中もあり

みぞきりきにまたがると

田んぼのうわあぜを、疾走した




「生え」

夜中、一人歩いていた

月は出ていたが

糸よりも細く

山の向こう側にわずかに浮かんでいる

星の光よりも

遠くの町の灯りが

わずかに空を橙色に滲ませているが

おおよそ歩けないほどには暗くはない

僕の片手には、歯の所々欠けているノコギリが握られており

以前 おじいちゃんが道で拾ってきたといういわく付きだ

それを片手に、足に長靴を履いて

砂利道を歩いている

しばらく行くとゴボウ畑があり

そこを横切り

林の中に入る

がさごそ

と何かの音がした

どうせタヌキや狐だろうと

暗闇の中に視線をこらす

こういう暗闇では、ちょっとした黒が、熊のような生き物に見える

「たろう」

そこには、白っぽい顔があった

熊のようなそれは直立しており

口が動くのが見える

た ろ う

僕は、ノコギリを握りしめて走った

こんなのは意味がない

熊でさえ僕には無理なのに

それが、あんな良く分からないものだ

僕は暗闇を一人はしっていた


夜中、ひとり木を切っていた

ノコギリを、何度も木に通すが

なかなかミシリと音がしない

右と左に交互に傷を付け

さらに前後に斜めに線を入れる

しかし中々 木がミシリと音がしない

斜面の中腹に生えるその木は

丁度使い勝手が良く

私有地ではなかったが

人目が気になり

夜中に、懐中電灯もつけずに

山にはいっていた

十月半ばのせいか

虫の鳴き声はせず

どこかで、川のせせらぎが

休むときこえる

ポケットに入れた携帯から音楽が鳴りっぱなしであるが

先ほどからあまり良い雰囲気の音が鳴がれていない

こう言うときにランダム選曲のだまりがある

体重をかけて傾かせるが音がしない

仕方なくまたは物を入れたその時

切り口から何か黒い物が吹き出した

それが何かを確かめるより先に

僕はノコギリを握りしめて

斜面を登っていた

背後では、何か気配がするが

それが川の音なのか

あの液体が、斜面に、落ちる音なのか判別する前に

僕は、逃げ帰った

翌日、昨日の木の位置に、歩いていくと

そこには、首がざっくり切られ

絶命している弟がいた



緩やかな坂道の頂上に

そういつは居た

どこで買うのか

握り拳二つ分はありそうな

一枚歯の高下駄を履き

純白よりの気品がありそうな

ヤマブシのような白い着物を着こなし

ざんばらがみのその奧を隠すように

その真っ赤な天狗のお面をかぶせていた

横では、三毛猫が、暇そうに

その男を一別すると

顔を割りかねないおおあくびを一つして

目を細めた

僕は、それを見て、道を引きかそうかと思ったが

奴の手に握られた

黄金色に光る鈴が

チリンと音を出すのを聞いて

あきらめた

全くなんて奴なんだ

恐ろしく急な坂道を

削るように

自転車を手で押し上げると

また一歩仕方なしに、スニーカーを上に上げた


ひとは金を前に恐怖心を忘れる

人は善意を前に痛みを忘れる

ひとは人を前にしたとき自分を亡くす

金とはルールであり心ではない

心とはそれすなわち恐怖心である

興味とは善意であり悪だ

人は人に対してそこにいるけど今はしゃべらない

と言うのを基準にいてほしくまたそれがベストである

無視ではなく気にしない

人は人を縛らないとき始めて自由と恐怖心を得る

恐い物がなくなったときがしだ

出来るだけ恐い物を集めておくべきだ

それがあなたをこの世界に括り付けるたがとなってくれるはずだ

抑制とは恐怖心でありそれがないのが善意という

この世界は自然のルールとは異なるルールで動いている だからゆがみが

死とは無機物になることだ

だから生前は、出来るだけめちゃくちゃをしよう

その死が歪に

その無機物が歪に

人は演じないことで情報を共有できると同時に

感情の消失を無視してきた

そのつじつま合わせが弱者を生む

生にしがみつくなら

人は、出来る限り人と言う生物で居たいなら

出来る限りでこぼこで歪で

それで居て潔く生きるべきだ

同じ人間の積み重ねは巨大な地割れと雪崩のような

死を生む

自分を演じるのはつらいことだろう

しかし、人として生きられる唯一の道だ

人は自分を狭めることでやっと人心地に付ける

領分からはずれた人間は延々と底のない落下を落ち続ける

人の領分とは机のようなものだ

それからはずれた人間は

落ち続ける

せいぜい自分の居るべき場所を見失わない

それが人間に出来る唯一のことだ

楽とは罰だ

その分 苦しみを先延ばしにしているだけだ

楽などこの世に存在しない

あるのはスリ替わった幸福だけだ

人は常に真剣であるべきだ

それを、なまけられるほど

この世は楽観視してる暇など無い

欲とは辛苦であり

罪悪感とは光だ

幸せ者は罪深く

自己中は誇り高い馬鹿者だ

しかし、自分を演じ続けられるほどこの世は甘くない

なぜならもう、この世は、煙のようにつかみ所が無く

夢のように実益がないからだ

金に目がくらむ愚か者よ

夢に敗れた勝者たちよ

現実を生きる姑息者たちよ

自分の限界を越えられて居るかい

楽という思考停止に陥っては居るまいな

ただ進むことを全てとし

金や恋愛を悪と見なし

人との関係をぜろまで落とし

ただひた走れおわりのない未来へ



土足で人の心を踏み抜く愚か者に天誅を

ひとはただ距離感の中に生きてほしい

人の感覚に踏み込む無かれ

人に意見を言うなどもってのほか

ただ自分を捜し

それを押しつけず

ただ自分で居てほしい

ぶつかること無かれ

衛生上をかすることもなく

望遠鏡で覗くにとどめたい

なぜなら感情とは案外ルールの中で

近づくことさえ危ないなのだから

人の心に踏み込むべからず罰金百万でも安すぎる

笑顔とは虚言だ

しかめっ面とは真実だ

現実世界に笑顔という借金を持ち込むことで立ち回ってはいるが

ほんのわずかのしかめっ面では太刀打ち出来ず

今日も今日とて世界は徐々に負債を払わされていく

無い物は無いのに

それを持ち込むから

世界はズレる

そのゆがみはやがて

誰も信じられない

世の中となり

本当の孤独を

笑顔が作りあげた

人の笑いは怒りや悲しみの次にくる

永遠と笑うことは何もないに等しい



笑え笑えどんどん笑えそして今度は死んでいく

笑って良いのは演技だけ

嘘で塗り固められた真実と

真実による虚栄



笑う角には福来る

公園の向こう側から

黒いスーツ姿のサラリーマン達が

手に、ノコギリを持って

こちらにあるいてきた

みなくち口に

「笑う角には、福来る」

と怒鳴り散らすような大声で叫びながら歩いてくる

目の前で、そんな興業まがいのことを始められたもんだから

大福屋のおやじが

走り込んできて

煮えたぎった小豆のしぼりかすとその煮汁を

男達の足下にぶっかけた

男達はというと

イラだったと見えて

手に持ったノコギリを、大福屋のおやじめがけて

指して

ゆっくりと歩き始めた

僕はと言うと

ゆっくりと「110番」と電話に記入している


この世の中には

怠惰な平和と

狂気的な楽しさと

平穏的な鬱しかない


「灰いロのにジいろ」


彼女のいる部屋は、白く、そして、灰色だった

手に持った白いコーヒーカップには、黒いコーヒーが、なみなみと入っている

白い、その手は、所々、赤い物が、ついており

それは、DNAを、有したれっきとした血である

彼女は、コーヒーを飲んでおり

その目に映る世界は

「黒と「灰色」と「白」だった」

彼女の世界は、調和していた三色によって完成していた


家を出るとき彼女の手に持っている物は

白い革の鞄に、灰色の財布、白い手帳そして、灰色の眼鏡ケースだった

彼女の服装は、いつも、きちりと白い壁紙の部屋の

灰色の取っ手の付いた衣装ケースの灰色の内装の上に

白い棒が、一本、左右の壁を、押して吊り下がっている

そこに、灰色のハンガーが、いく本もぶら下がっており、そこに、全てが、白っぽい服や、ズボンが

掛かっていた

彼女の服の選び方は簡単であり

仕事用の服か普段着用の服かのどちらかだ




「サラムライ」

田嶋 浩輔は、五十六歳でありながら

子供はなく

八十に近い母親と二人暮らしであり

自宅から電車で三十分ほどの会社に通っていた

彼のやっている仕事は、主に、書類整理であり

その雑用は、入社以来、あまりにも変わっていない

彼は、八時に入社して、六時に退社

九時に、家に帰るという行動も

アキきもせず、41年以上続けていた

彼は、五十七になる前の秋

市内の体育館に居た

八月十六日日曜日

この男の唯一の青春が散るときがきたのだ


男は、トーナメント表を見ると

しばらくの間

体育館前の暗い廊下のベンチで、一人座っていた

もし、結婚していたら居たであろうか

そんなとしの子供達が、用具を持って

体育館を出入りしている

今日の大会は、成人の部だけが行われ

昨日は、高校生男女だった

男は、仕事であったので、見ることは出来なかった

男の荷物は、バスケットボールが、五つ程はいりそうな水泳のスポーツバックのようなもの一つだけであり

回りの喧噪とは違い

男に知り合いはいないらしく

ひとり、飲み物もなく

時間が過ぎるのを適当に待つだけであった

午前九時

参加者一同が集められ

余興のように、宣誓が、繰り返され

ようやく一礼して解散となった

時間は、午後五時程まで繰り返される

この市内には、二件の道場があるほど、比較的

苛烈を極める地区である

全員で男二十人ほどが

総当たりのトーナメント制となっていた

男は、宣誓の後三十分ほどベンチで座っていたが

時間となったので、先ほど着替えておいた胴着のまま

体育館内に入る

頭上には、幾重人の人が、下を見下ろし歓声を上げていた

案内の紙に見たとおりの

場所に行くと

袋から面を取り出す

胴着は、一度も使われていないような綺麗な物だったが

竹刀は異様に古く

飴に、磨かれたように黒くテカっている

両者は、線から一歩内側にはいると

審判員の声により

関取のようないや相撲取りが、しこを踏むように

又を割って、深くしゃがんだ

「ハジメ」

向こう側から

奇声のような鋭い声がして

こちらに、いきなり、竹刀を、振り下ろす

程良く飛んだ足が、男に近づくが

「コテェーエー」

一歩も動かず

男は、腰のあたりに構えていた

腕を、よくみがかれたワックスの塗られた

床ギリギリまで振り下ろしている

相手は、あろう事か、竹刀を、ぽろりとおろし

信じられないように、立ち尽くしていた

「イッポーン」

その後もう一本取った男は

何事もなかったかのように

先ほどと同じ作法で、背後まで下がると

一例をした

三本勝負で

内二本を男が制したのだ

しかし、そのやり方は、あまりにも異質だった

男は、同じように、二回戦も勝ち抜けた

先ほどまでと違い

次の対戦の方は

先ほどの男と同じように

動かなかった

相手は、伺うように、男の顔

そして、けんさきを注意深く伺うが

男は、それを、しってかしらずか

何事もないような

毒気が抜けるような歩みで

男に近づく

何をするのか興味深く探っていた

相手だったが

一歩はいごに退く

「イッポーン」

またしても、竹刀が、床に転がっていた

前年の優勝者が、勝ち抜けで、決勝戦に進み

第三回戦となった

その間に、昼食を挟んだが

男は、何も口にしなかった

相手は、柔道でもやっていそうな

大男であり

身長百六十程の男と比べると

かなりの差がある

相手は、ムチでも振るうように

先制をかねて、隙無く面に、振りかぶった

巨体に見合わず

男の飛躍

そして、面を打つ速度は速く

肉眼でようやくみれる程度であり

それを避けるのは中々難しいだろう

男は、それを、竹刀で受け止めることもせず

端から見ると

確実に、一本取られたかと思われたが

大男の竹刀は、落ちはしないが

床を、付いていた

そして、その横には、男がおり

まっすぐとした

竹刀が、中段のまま壁に向いていた

「イッイッポーン」

男に白い旗があがった

先ほどまでと違い

相手は、何度か、竹刀を、握り返す素振りをすると

威圧するように

動かない

じりすれるような時間がするかと思ったが

「コテェーエ」

先ほどと何分も変わらないように

歩いて進む男

その腕そのまま

その手は中段に構える

男の手に、押さえられていた

会場が、ざわめく

あり得ないと

決勝

相手は、白い胴着に

白い面

この町の道場の師範代らしく

何でも十段の持ち主だとか

面の目の場所は、透明なプラスチックらしく

見やすそうだ

しかし、男は、指して変わりなく

あいての前に、立った

男の勝利は全て

コテに、よって勝敗を決めた

男は、四十年

何があろうと

コテだけを、必用に、練習し続けた

負けたあの悔しさを

何十年と忘れず

ただ、練習だけを続けてきた

試合も出ずに

それは、ある種

特殊であり

型などでは、押さえきれない

未知な物へと進化していた

しかし、男は、全国大会に、行く前に

死去していた

享年56歳

癌であった


「通ーナお」

小林賢治は、忌々しい、実家に帰ってきていた

賢治の父は、高学歴ながら

山々に囲まれたその県の最北端の市のさらに奥の村の

その奥の近くに滝の流れる集落で

数学の教師をしていた

頭が固く

昔ながらの怖い教師であり

怒鳴るのは、当たり前

暴力も良く振るい

さらには、学校よりも家の方が厳しい節さえある

問題なのは、家族親類にいたるまで、

こんな辺境の地でありながら

皆頭が良く

この国でも、有数の大学に、みな足を運んだが

大学を卒業すると

どうしてか、この村に、皆戻ってくる

それで、何をやっているかと言えば

効率よく、農業などをするわけでもなく

家に引きこもり

滅多に、姿を現さない

そして、毎日のように、彼らの家には、郵便が配達されているのである

頭の悪い僕には良く分からなかったが

何とか、この村から出た山を二つ超えた高校へ行き

専門学校へと進んだ

四人兄弟の末っ子であり

特に家に寄りつく必用もないため

出来るだけここから遠くの

明るい街に住もうと決めていたが

先日、父が、突然死去したというので

電車やバスを乗り継ぎ

五時間もかけて

こんな山奥の奥まで来たのだ

時期は、冬に近い十二月の末だ

都会とは違う寒さが辺りを覆う

木のせいだろうが

湿気が多く肌にねちゃ付いているようだ


「よう」

庭先で、机を運んでいる

一人の男が、こちらに声をかけてきた

背は高く、黒い礼服を着ており

その顔は、どうやら従兄弟のようであった

こちらは、曖昧に頷き返すと

「今度のみにいこう」と誘われた

正直、酒はあまり好きではない

大人になれば、酒に酔うなど出来ない

それが格好良いと思っていたが

バイト先の店長に、最近ウイスキーが、複雑怪奇で、酒っぽいことに気が付き色々試してみたいという言葉が「何が好きか」と酒を聞かれ

答えたのが運の尽きで

それ以来、酒を見るだけで、気分が沈んでくる

「まあ、その内」と適当に返しておく

バイトをすることで、多少人間関係が、前ほどストレスになってはいないとは言え

やはり人は嫌いだ

その後父の顔を見たが

そのにごった目を見ても

ただ、死んでいるの一言であり

昔、人が死ぬことにかなりのけ御悪寒があったことなど嘘のように

それは、邪魔なものとして目に入ってしまった

窓を拭いたり

座布団を運んだりして

一日目は、すぎた

父の枕元に蝋燭を立て

皆が食べているお勝手に戻る

親戚が、狭い部屋で、ごった返しており

並べられた食べ物はみな、大量に作っているせいか

味がしっかりしている気がした

ビールは、あまり好きではないが

ここで自分だけ焼酎をもってくるわけにも行かず

一つおかれている缶ビールを口に付けるが

おいしいとは思えない

隣で、背でも伸ばすように、一人おいしそうに飲んでいる従兄弟が、なにやら、無性に腹立たしかった

回りへの気遣いもどこか作法に則っただけのような気がして寒々しく

また、大人になると言うことはそう言うことだと思うと

吐き気がした

いつのまにか、もっとも嫌悪してきた物が

自分の信じていたものではなかったことと

それでも、それが良いとは思えない現実

されど、それ以前に戻るには、あまりにも今の現状を

ほおって置く事が出来る状況ではない

夜中、皆が帰った後

一人村を散歩する

誰もおらず

森の奥からは

雷のような滝の音が

村の道々をかすかに突き進んでいた

このまま、下の村まであるいていって

ばっくれようか

そんな無謀な考えが浮かぶ

少なくとも片道三十キロもあるのだ

それも、電柱一つ無い山道を

降りるのは

僕はそこで空を見上げ

曇り空が、星々を隠しているのも見て

あきらめる

何となく足下の地面を思いっきり蹴ったが

健が曲がったような痛さが残るのみであった


翌朝、人の輪を、歩き回る自分がいた

朝食の用意をお手伝いさん全員分を配っていたのだ

白い割烹着を着た彼女らでさえ

そん目は、ひどく冷静であり

頭がいい

事無く葬儀は終わり

一人、自室にこもっていた

アルミ缶の中にある石が、入った戸棚

ゴミのような玩具箱

まるで、時代から取り残されたような空間だった

兄や姉は皆結婚しており

母は、親戚の中で自分だけ結婚していないことを

揶揄するが

どうも、その笑いが、気にくわない

なんてつまらないのだろうか

それではまるで、人間関係など

笑えば全て済むようなちんけなものではないか

子供などほしくないし

結婚なんて、何がおもしろいのだろうか

性欲はなくはないが

少なくともそれを結婚の理由にだけはしてはいけないのは分かる

もしすれば、それこそ何の夢も希望もない

猿ではないか


ここの人間は、朝が早い

五時には、みな時計のように目を覚まし

六時には、朝食が出来ている

鶏も機械のように、六時になると決まって声を発した

村中での結婚も多いのか

その顔は皆似ており

思考パターンも同じような気がした

しかしこれは、外に出ても大した違いはなく

常識なのだろうかと考えさせられる

気晴らしに、久しぶりに滝を見に行くことにした

この村には、行くほんのわき水があり

それが枝分かれするように

何本か山の中を、はしっているが

それとは別に

大きな滝が一本ある

その滝壺に落ちる音は

巨大な家でも空から降ってきて壊すような爆音であり

「家落の滝」と呼ばれている

滝の裏側には、通れる道があるが

神事でもない限り

入れないように柵がしてある

滝は、相変わらずであり

その目の前の小さな朽ちかけのほこらも相変わらずであった


「おい、どおする」

小林の長男が、弟に言う

しかし、長男は、首を横に振った

「そうよね、バカじゃ、ダメだもん」

姉はそう言うと、緑茶をすする

母親は、彼らの意見を、聞くことに徹してお茶を飲んだ


この村の滝壺には、昔から発電用の

巨大なパイプが、滝壺に設置されているが

そこで僕は、それがどうも、明らかに、それではないことに気が付いた

専門大学で、学んだ型番どころか

形が明らかに違う

さらに言えば、どんなバカな僕でも、そのようとが違うと言うことに気がつかづにはいられなかった

それにしても、霧のような水しぶきで

この場所は視界が悪い


「もう私は、駄目かもしれない」

母は、そう言うと湯飲みを机においた

「もうですか」

長男が言う

しかし母は、振り返らず

そのまま、霧がかったような家の中の暗がりを歩いていく

「後何世代で、完成するんだ」

長男が言う

「神には、神には」

弟はそう言って

湯飲みに目を落とした

「わたし、戻るわ」

姉はそう言うと

湯飲みをおいて母と同じ暗がりに行く

「センノウは・・」

長男は、湯飲みに目を落とす


試しに、電源を落とすと

案の定、それは、発電機ではなかった

それどころか、見たことのないコードそして

基盤のような物が、蜂の巣のようにぎっしりと詰まっており

一見してそれが何か分からない

そのとき

水しぶきの中で

何かうめくような声が聞こえた

「なぜだ バアーーーンなぜ バアーーーン 聞かない」

しかし、僕は、それに気づく前に

配管から火花が散るのを目の当たりにして遠ざかる

火花は、おかしな事に

水中でも消えることなく

ほえ広がり

見る見る内に

パイプは、金色の日により黒く焦げていく

滝の音が、一層大きさを増す

なにやらうなり声のような気もするが

ただあっけに、そして逃げることだけ考えていた


「おかしい、生体反応がない

xつまり神の生体が・・」

長男が顔面蒼白で、今まで見たことのない

ナメクジのようなゆるみきった顔で、隣の弟へと顔を向けた



おち山 落ル


「めール」

兄の死をきっかけに

私は山にこもることにした

標高30メートルの

そのやまは、道々に

地蔵の首が横たわり

少しでも道をはずれるものなら

腐った刃が

靴を貫通して

肉を断ち切ることは請け合いであった

そのやまの山頂には

首のない地蔵さんが十体ほど安置されており

赤ら顔の女将さんがやっている宿坊が

そのとなりにたてられている

私はそこで、現金ジュース三十本を

お供えすると

服を脱ぎ

刃渡り二十センチ以下の

よくぎらめく刃の柄を持つと

腕の皮をはぐようにきり

修行を開始するのであった



私はもう死んでいる

最近夢なのか現実なのか

脳内にそんな声が響いてくる

まるで、くぐもった

池の中ででもしゃべるように

電波の悪いBGMのように

不思議なことに、その言葉は、朝起きても

しっかりと記憶しており

夢なのかぼーと、寝る前のうたた寝なのか

私は、毎日そんな声を聞いている

私はもうしんでいると


ある日私が目を覚ますと

枕元が、涙でも流したように

ぐっしょりと濡れていた

悲しいことに

その次の日

私の愛猫「タロウ」が、交通事故で、しんでしまう

私はある朝目を覚ますと

枕元がぐっしょり濡れていた

私は、不思議と 天井を見上げたが

シミ一つ無いくすんだクリーム色が目にはいるだけであった

次の日私の友達の「あっこちゃん」が、心臓発作でなくなった

私は明くる日 目を覚ますと枕元がぐっしょり濡れているのに気が付いた

前に何かいやなことがあった気がするが

枕元の花瓶でも布団にこぼれて、おこられるとでも思ったのだろうか

そう言えば、日記がなぜか破られている

次の日、私の母が亡くなった


夕べ飲み過ぎたので

金魚鉢の水が減ってしまった

私は、朝食に、鮭の切り身を十枚ほど食べた後

仕事場の横の空き地に一人立っていた

どうやら昨日の鮭がまだ腹の中で泳いでいるらしく

後追いに遣った出目金が困惑しつつ追いかけているようであった

今日はよく晴れた金星まわる日曜日である

隣の住宅地の奥さんが干す布団がいやに黄ばんでいた


目印に書いたチョークを消す怪人が現れるという

私は、迷ったら二度とでてこれない

路地裏で

特別製のシンナー混じりの「ペンキ三号ちよく」を

道に書きながらトタンの壁を覆うように、木の生け垣が張り巡らされた路地裏の一角にいた

後ろには誰もいないが

脳内では、今朝方の会話が思い起こされた

「結婚しよう」

それは、今朝の朝の連続ドラマで

急にSFチックになった展開で路地裏のどら猫がネズミに言ったせりふであった

そんな朝をえて

僕は、歯磨きをしながら学校に向かう前に

ふと目玉焼きを焼くのを忘れていたことに気が付いて

学校の小学校の扉を開いて

確か花子ちゃんに

僕は道に白いチョークでも字を書いていた


「でんでんでんでん」

電話が鳴ったので

私は受話器をみみに押し当てると

何ともいえない効果音が受話器の耳の当てる場所とともに張り付いた

「ワレワレワ あ・な・たを殺シに 行く」

僕は、受話器を置くと

めまぐるしい早さで、朝食を、かっこむと

いっちょうらの振り袖に袖を通し

貫通百目とーる

という名の拳銃を持ち上げた



私は、兄を起こしに二階に行くと

血塗れの布団で猫が寝ていた


夕べ、私の体の中のねじが一本

血管の中をぐるぐる回り

眼球を通過し

胃に穴をあけ

毛細血管を

その無駄に鋭くしてしまったらしい

ねじの先端に切り刻まれながら

今日まで、ねじがはずれて三時間生きております


よく眠れた私は

自分の目に、アイスピックを突き刺し

程良く眼球の神経の場所をいじくると

ぽろんと一つ目の目玉がボールの中に

白い液体とともに落ちる



気落ちした私は

深夜の電車に乗りながら

凍り付いたみかんを

手に持ってむしゃくしゃしていた

切符を切る気もないのみに見回る運転手に

投げつけてやろうかと

にやついてもみるが

いやに溶け始めた

みかんの方がもったいなく

席に座り素直に剥き始める



全力で相手を殴りつける練習のさなか

僕の肩に何者かが手を置く

調子ついでに殴ってやろうかと

振り向いたが

そこには、マグロの頭をした

何者かが

僕の肩に手を置いていた


包丁をもち

マグロ人間をさばいている

救済や中止の声が聞こえるさなか

眼球を切断した


ミジンコほどの救済心を胸に

ビルの最高の高さにいた僕は

スーツをバタバタと派手にはためかせて

下に落ちていた


夜なのに

私の心は、心臓を突き破り

皮膚をメスで、綺麗に切断し

そのまま縫いつけた老婆を置き去りに

勝手に一人

夜の街に繰り出したらしく

血を吹き出し始めた

私の心臓は

心の異変に気が付くと

老婆が縫いつけた肌から血をにじませ

私の中から苦悩が抜けたことに気が付かせた

私は一人コートを羽織ると

肌寒い夜に繰り出す


意味のない音楽をがなりたてる車に

時限爆弾を設置していると

警察に捕まり

殴りつけようと

棍棒をつかんだ瞬間

時限爆弾が、花火みたいな音をがなり立てて

地面に大穴をあけた



まわるような悲しい音に合わせて

私は一歩また一歩と

ゆるい雪の道を裸足で歩んだ


聞こえるかい私の鼓動が

死んでいるかい

君の敵達の振動の鼓動は


緩やかなカーブに酔いしれながら

私は、逆にハンドルを切る

怒濤のようなげきおんがするさなか

頭部が、屋根に当たった


考えたこともなかった

私が死んでいるなんて

そんな風に物を思ったこともないし

私自身そんなことをお思ったことさえなかった

なぜなら私は生きている自信があるし

子供もいれば

そう言えば夫が

あれ、何で子供がいるんだろう

確かあれは、私をビルから突き落としたんじゃ



ゆっくりと落ちる夕日にむかって

私は、一人叫んでいた

なぜ叫ぶかと聞かれたって

私自身そんなことを覚える時間さえないほどに

時間は緊迫し

深夜の残業の影響か

舌はしびれ目はぼんやりと白くにごった


取るに足らない思い出を持ち得ながら

私はゆっくりと叫んでいる

何の声なのかとも思えないほどにわたしはゆっくりと叫んでいた


あれは、私の命なんです

巨大なコンクリートの建造物に通うさなか

私は、心臓にくいと打たれ

真っ赤な血を流す巨大な熊のぬいぐるみを見そう言った


テレビを見れば

朽ち果てた女の死骸を食べるデブばかりが移り込み

嫌気が差し

ラジオ聞けば

汚物のような出生の産声が延々とくりかえし流れ

ようやく落ち着けたのはノイズを消した後だった


見かねた私は、老人の首に

赤いガムテープを巻き付けるお手伝いをしていたが

警官が、拳銃で老人を撃ち抜いてまた

私ごと老人を打ち抜いた

私はうれしさのあまり

彼の首にかじり付き

吹き出す鮮血を捨てながら

また歯を食い込ませる


何とも甘ったるい土曜だろうか

路地裏には、腐ったケーキのようなにおいが立ちこめ

目の前の私の眼球は

砂でも積められたかのようにゴロゴロしていた


シロアリを、肌に食い込ませながら

私は目の前の猫をけ飛ばし

食いついていた犬と格闘を開始した

犬の歯が、腕から抜け落ち

自分の腕の血と抜けた歯の血が

穴の開いた犬の歯茎からしたたり落ちた

私は、道端の猫を、拳に巻き付けると

犬に投げつける

犬はそれを避けて

私の横のシロアリに食いついた


夜の間私は自分の顔が、像のように巨大化して

自分を押しつぶしそうな気がして

ここ十日ほど眠れていない


気になるほどに

私の皮膚は薄く

そして誰かの進入とともに

それは破れることを知る


ゴリラのような言葉を投げ捨てながら私はあなたの顔面に唾を吹きかけた

誰もその光景を見ていないことを良いことに

あなたは、隠し持っていた

ナイフで私の顔面を滅多差しにして

月光きらめく月夜の夜に

私の顔からナイフを抜き取り

さもつまらなそうにする物だから

私はあなたの顔を殴りつけると

あなたはナイフを出して私の心臓をさも気楽そうに突き刺そうとするから

私は腕を出し・・・


目印になんかならないからと私は夜の帳を無理矢理引きおろすと

死にものぐるいで逃げるあなたを

私は望遠鏡と虫網を片手に

あなたの後を追いかけた

ゆるゆると暮れ始めた夕日は

次第に月光となり

さもやつれたあなたに

青い月の光を有する毒を流し込む

あなたは夢のような症状に苦しみ

人形のような幸福のさなか

まだ青い月の向こうで

眼鏡をかけてくるしみ続ける


まだ続けるのと言うので

私は、

血管に醤油を流し続ける行為を中止した

心なしか彼女の人間としての肌色は黒い


がっきんこっきん

私のスピーカーから流れる音楽を聴いた瞬間

世の中の人間は動きを止める

しかしそれとは別に私が動きを止めれば

また別々のスピーカーが

面白味のない同じ曲を垂れ流す


人間とは生涯優柔不断であり

こうだと決めたことはすべて間違いである



「かくれんぼしましょ」

小さな女の子が、私を見上げ

そう言った

私は、彼女の目を見たとき

そこに何もないことに気が付いた

全て


いつものように、ソファーにねこっころがていると

チャイムのような、呼び出し音が

玄関から響く

助手は、先日給料未払いやら

冷蔵庫強奪やらで、勝手に、解雇されたが

果たして、忘れ物でもあったのだろうか

ぼくは、腰痛持ちの腰を何とか上げると

スリッパを履いて

ソファーからたった

鍵の開いている玄関からやってきたのは

老婆に手を、ひきつられるようにしながら

歩いてくる女性であり

目が悪いのか

手術したように、眼の部分に包帯がぐるりと何周か巻かれている

どうもいやな雰囲気だと

思う

もしかしたら、傷害事件の犯人探しだとか

お門違いに、報復を依頼しにきた可能性があるが

何でも屋でも無いので、そこら変は無理だ

お茶をどうしようかと思いながら

彼等に挨拶する

「どうも」

ここは、古い貸しアパートと古いテナントが、一つのビルに入った古びた街の汚い路地の

まともな民家の裏だ

彼等は、会釈すると

「どうも、突然おじゃまいたしましてすいません

なんでも、妙なこともやってくれるとか」

その言葉を聞いて

ぼくは、頭が痛くなる思いがした

確かに、過去にそんな事件を、解決した人を手伝ったことがあるが

どちらにしても、専門外だし

「ちなみに、どちら様から」

僕は、席を勧めて、素早くお茶の用意をした

いつかは、わからないが、助手がいつも用意しておいたおちゃっぱを、缶から出す

さいわい水は昨日入れておいたので大丈夫だろう

彼女らは、自分がいつも寝ているソファーの向かいの二つに分かれた社長椅子をファンシーにしたような

クリームグリーンとレモンの皮のようなもきゅもきゅしたしつかんの椅子に座る

老婆は、娘なのだろうか

彼女を椅子に座らせた

結局彼らの前に行くまで会話は、無く

いざ話し始めるにも

「で」とこちらから、切り返す必用があった


「神田林町の五里末たばこ屋のおばあちゃんが」

そこで僕は、そのしらない名前に首を傾げたが

たばこ屋という事に加え

女性だ

噂話には、精通していておかしくはない

「そうですか」

しったかぶって僕は、仕事の内容を聞き出すことにした

「それで、一体どんなご用件でしょうか」

ここに来るからには用件があるのが当たり前である

少なくとも、差し入れがないことから知り合いの生存補助ではないだろう

「はい」

そこで彼女は、驚かないでくださいと、小さな声でいって

娘らしいとしの離れた女性に、包帯を取るように促す

目をつむっていたようで

ようやくしゅるしゅるとほどけた包帯の中から

ようやく出てきた彼女の目は閉じていた

「いきます」

老婆がそう言う

彼女は、そのまま、眼をゆっくりと開いた

そこには、空洞が、両目にあり

光の角度か、奥まで光が行かないらしく

いやに暗い

「もういいですよ」

瞬きを我慢するような彼女を制して

そう言うと彼女は今度は包帯を付けず

眼を閉じたまま背筋を伸ばし座った体勢を取った

彼女の隣の老婆が、状況を説明するらしい

「実は、一週間ほど前のお昼過ぎです

住宅地の路上で、彼女の娘の目が、何者かにえぐり取られたんです」

そこまで聞いて、僕は不審に思う

いくら何でも一周間で、血や何や等が、ふさがることはないだろう

なまじ、そうだったとしても、あまり傷のような物が先ほど見えなかったが、医学の知識の偏っている自分などには、断言できないだろう

「それで、なぜこちらに、警察が動いているのではないでしょうか

ここの管轄なら・・・」

言葉を老婆が遮った

「其れが、小さな女の子だったらしく

しかも、その彼女の両目がなくて

其れを見た瞬間、目の前が真っ暗になって

何ふんかして救急車で運ばれることに

それで、

聞き込みなどをしていただいてるようですが

とても真剣とは言えません」

えらく断言したなと思ったが

内容もないようだが

最近ちまたで起こっている老人ホーム誘拐事件

の方が、大規模でなおかつ

金持ちが入るような高級なところだ

人員の割かれ方も違うのだろう

うむ、たしかに、よくわからない事件だ

犯人は、なぜ子供を使ったんだ

其れが、相手を油断させるためだったとしても

それじゃあ、其れが、どこぞこの国では、日常茶飯事で行われている臓器の略奪だったとしても

真っ昼間に行う事じゃないだろう

それじゃあ、奇妙な思考の持ち主だとしたら

最近じゃ、ネットを探れば、死体の画像は、もちろんの事、絵の媒体でもそう言う趣向のことが、平然と載っているそうではないか

眼球を、ホルマリン漬けにでもしてコレクションしているとも限らない

そうなると、自分出る幕は、いよいよ無いんじゃないかと思える

しかし、僕のあきらめにも似た表情でも読みとったのか

無表情にしても、不意にされることを断るためか

彼女の母親が、必死に話をする

「お願いです、彼女の眼球を、未来を取った犯人を捕まえて罪を償わさせてください」

彼女は娘の手を握ると

額に押し当てるように、涙を流した

こう言うことに、私情を入れると非常に危険だが

仕方がない

「一応、知り合いに、そう言う関連が得意かもしれない人が居ますんで、今日は、見積もりとかせず

依頼を受けるかどうかを聞くということで、終わりにさせていただいてもよろしいですか」

彼女は顔を上げると

「はい」とうなずいた

娘の方は、あまり反応もなく

まるで、がらんどうのようであった


「あのーもしもし」

彼女らが帰る時

明日には連絡すると言づてを言い

その日は終了する

机の上には

一時間ほど探してようやく出てきた

薄く紫がかった名刺が一枚置かれていた

数秒掛かって

ようやく出た声は、ひどく怠かった

「はい、霊能力撃退事務所笹木で、ございます」

ゆってることもあやしいが

その声が、いさかか若いのが言葉とは裏腹である

こう言うのはもう少し、年輩の声の方が

霊能力者らしいと言うのは

占い師や番組の先行観念のせいだろうか

「あの、依然渋谷痴漢騒ぎで、お世話になりました

黒沢ともうします」

「あ・ああ、あのときは、どうもどうも、いやー助かりましたよ、私のパンティーまで食い込ませたんだから、殺しそうになりました」

なかなか、きつい言動である

「いえ、あなたが、殴っていただいたおかげで、

こちらとしましては、あのときの犯人逮捕に、こぎつけました、申し訳ありません、被害が出る前に捕まえられず」

彼女は、そんなことはどうでも良いようで

「いえいえ、私も、三十人連続腹切り電車事件を、止められた瞬間に立ち会えて光栄です」

三十人連続間委員電車殺人事件とは

狭い満員電車の中

細い刃物で、若い女性の腹をかっさばき

子宮を縦に割ると言う

医学的知識とスリのような手管が必用な

実に、異様な事件だったが

結局犯人は、どこにでも居る自営業の豆腐屋のおやじだった

犯行の動機は、ネットで、女性を破壊する物を見て

実際にやったらどうなるかを、見てみたかった

車内での犯行は、満員電車がうざかったのと

さすがに、車内で、行為を行うのは難しいからと

犯行は、東京市内で、たった三日の内に行われ

一日目に五人

二日目に十人

そして最後が十四人

彼女もわずかに傷は負ったものの皮の内側まで切られてはいない

しかし、事件名は、三十人となっていた

彼女が、乗り合わせていた電車は、東京市内ではなく

警備の人員が少なかったせいと

新人の僕のような人間が

邪魔だと一応の対応として乗り合わせていて

彼女にけがを負わせたが逮捕に至った

彼女とは、そのまま別れたが

後に、先輩刑事につれられて

彼女の元へ訪れたときには驚いたものだ

まさか、本当に、そう言うたぐいの力があるとは

事件に関わられても正直、実感がわかないと言うのが

本当のところだった

たとえ、事件が解決しても


彼女に訳を話すと

すぐにあいにこいと言う

車で三十分ほど

高速を乗り継ぎ

田舎風景の中に

彼女の屋敷はあった

竹林と林が交差し

そこに半ば埋もれるように

瓦屋根の家が建っていた

窓は全てカーテンが引かれ

所々破れ

猫らしき物がこちらを警戒そうにみてはどこかへ行った

チャイムを鳴らすと

エプロン姿の女性が姿を現したが

ぞっとするほどに、あのころと変わらない

もしかするとあのときでさえ、高校生

いやそれ以下だったのか

たしか、もうかれこれ十年

僕が、警察を辞める数年前からもあっていないからな

「どうも」

電話でも良いじゃないかとも思ったが

しかし、依頼を受けるかもしれないし

そうだから呼んだと言った方が可能性は高いだろう

一見として廃屋に近いが

その古びた白いそのままの木の玄関の横には、

古びた看板が立っている

「霊能力撃退事務所」

あとは、文字が、黒く塗られ

なんとか笹木の文字が読めるが

代替わりで、名前を変えるのがめんどくさくなったのだろうか


きしむ床

いちお客室なのだろうか

畳に古い西洋のソファー

日の当たる部屋のもっとも外側の細い廊下は赤焼け

猫のしっぽが見えた

テーブルに、品の良さそうなティーカップ

そこに彼女は、紅茶らしいお茶を注いでくれている

「それで、用件を聞きましょう」

彼女は、僕を見て、紅茶をすすりながらそう言った

しかし、飲み慣れないのか少しむせる

そして顔をしかめた

本当に紅茶なのだろうか

というか水は大丈夫か

いや、水は出るのだろうか

僕は、紅茶から目を離し、今回のあらすじを、彼女に話すことにした

それに対して

彼女は、数回頷いた後

ソファーの横に置いていた茶色い封筒を取り出す

其れをテーブル越しに、僕に渡す

成功報酬二十万

情報料十万というところです

過去の僕が、彼女の報酬を聞いて驚いたことがあったが

そのときの二分の一だとすれば

多少なりとも、気を使ってくれたという事だろうか

僕の仕事の中では、今回の仕事は大きすぎるし

最大でも五十万

一日一万換算で仕事をすることを考えれば

仕事の日数以上に、危険料という場所に金が入ることになる

それに、もしけがをすれば其れが上乗せされるし

そうなると、終わらないといくらになるかは、分からないが

五十万と言うところだろうかと

頭の中で計算する

「ええ、それで、お願いします」

僕は、失礼だが、ここで開けさせてもらう旨を言い

封筒を開く

軽く糊づけされた其れを破くように開き

中から、コピー用紙を取り出す

かなりの厚さであり

クリップが、上から三つ顔を覗かせている

「まず、一番上のが、似たような事件が起きた場所の情報

そして二つ目が、それに類似した事件の情報

そして三つ目が

その事件をふまえた上でのこの事件の解決案という風になってます

ちなみに、私は、超能力者ですが、透視ができるわけでも、物を燃やしたり動かすことができません

それこそ、個性のようで、一括りにはできませんでしょうに

それで、私の場合は、その場所で過去に何があったかが

分かります」

衝撃の事実だ

詳しいことは最後まで聞かなかったが

そう言うことだったのか

まだ信じきれないが

「私の場合、その場所に行かないと

その場所で何があったかなんて分からないし

幽霊が見えるわけでもないので

途切れ途切れの断片を見るくらいしかできません

其れでよければ、現場に向かいますがどうですか」

僕はそこで何を聞こうか迷ったが

「それは、依頼料に含まれますか」と聞いてしまったが

彼女は、夕飯をおごっていただければと言葉を閉じた


「どうして、現場に来ていただけることになったんですか」

行く前に資料に目を通したが

とても信じられる内容ではなかった

其れは、この世の物とは思えぬ事象であり

到底彼女のような、細身の人間を行かせるのは気が引ける内容だった

しかし、彼女は、車の中で

「いえ、久しぶりの仕事なので

外に出たかったので

それに買い物にいくお金もバカになりません」

さすがに、その金は含まれないだろうなと思うが

まあ、最悪いかし方ない


ここ最近この県内で、幾件も傷害事件が多発していた

其れは、体の一部が

綺麗に切り取られたように何者かに

持ち去られるという物で

通常、無差別な通り魔や

バラバラにして生死を奪う事件はあるが

この場合、被害者は皆生きていた

例外として内蔵の重要部位を取られたもの

下半身がなくなったものは、死体としてなくなっていたが

皆共通している点は、出血が驚くほどに少ないという点だ

そして彼女曰く

この手口は、他の地方に、良く伝承が残っている物に

酷似しており

また今に始まったことでもないと言う

たとえば、雪国ではカマイタチという妖怪が居るという

その妖怪は、さんびきひとセットであり

それぞれ役割があり

その終幕としては、傷ができたのに

血が出ないと言うものだ

しかし、彼女は、それらとは明らかに違う箇所があり

これは、

明らかな人為的なものだと

資料には、説明付けられていた

良く短時間でこれほどの物がと思ったが

彼女曰く、こういう仕事のために

資料は常に集め

対応できるようにしているという

何でも、過去のことは分かるが

未来のことはてんで見えないため

その場所に行き着く点として足がかりを何時も収集しなければいけないとか

ある意味で、情報屋だが

かなり偏っているのは確かだろう


彼女の両目が失われた場所に着くと

僕は、近くのスーパーに車を止め

先に現場にいる彼女の元へと戻る

彼女はと言うと、電信柱のちかくにたたずみ

じっとしていた

ふと、時計を見れば、三時過ぎ

途中、高速道路のサービスエリアにて

昼食をとり、ここに来たのだ

とは言え、彼女も、もう子供ではなさそうだが

そう遅くまで、仕事につきあってもらうわけにも行かないだろう

僕は、お金の受け渡しを、何時にしようかと考えながら

彼女の行動を見守る

以前は、彼女のそういうたぐいの行動は、別の仕事などがあり見たことはなかったが

何か、惚けた感じがするのは、気のせいではないだろう

こんな人通りは少ないが

女性が、いや、誰であろうと

突っ立ったままであれば

気にするのは当然のことだ

僕は、缶コーヒーでも買ってこようかと

思ったとき

彼女が突然倒れたのだ

さすがに、立ち続けていれば

貧血の一つくらいしてもおかしくないが

事が事だけに、別の要因なのかもしれない

すぐさま、近寄ると

彼女の額はぱっくり割れていた

まさか

僕は、彼女の目をのぞき込んだ

苦しさのためか

閉じた瞼が

瞬きをするときに開くが

さいわい、彼女の目の眼球は

その穴に収まったままだ

となると、血液は転んだときなのだろうか

僕は、ティッシュを、ポケットから出すと

彼女に渡す

さすがに女性の顔を、むやみにさわるわけにもいかない

彼女は、意識朦朧とした感じだが

それでも、地面に、手を突いて起きあがろうとする

血が、額からあふれる

病院に、行った方が良さそうだ

支えると

彼女のコートから何かが落ちる

其れは、長方形の白いかみであり

なにやら、幾何学な模様と古い文字が、ありのように書かれている

所々やぶけ、彼女の額の物か

赤い色が染み着いてる

これは、まずいことになったのだろうか

僕は、これからのことを、お札を拾いながら

辺りを確かめる

回りには、相も変わらず人がいない

彼女の口が開く

「帰りましょう」と

僕たちは、来たときと同じように

カーナビを使い彼女の家まで向かう

正直、事務所だけ使用している建物と言うよりか

あれは、自宅を自分のように兼用しているようだ

彼女とは、道すがら一切会話がなかった



後日

病院に連れて行った帰りに

そのまま事務所に行き

彼女と依頼者の娘を連れて

事件現場へ車で来ている

どうやら、事件という物が、解決したらしい

彼女の私物らしい公民館にありそうな

生地の厚い遮断性のありそうな黒いカーテンみたいにでかい生地である

それは、車の荷台においてあったが

其れを先に取り出して

僕は、スーパーへとむかい

後ほど合流する

もしもの時は、警察なり救急車を、お願いしますと

言われていたので、携帯を、救急の番号にしたまま

握っていた

全員がそろうと

「それでは、ハジメさせていただきます」と彼女は

カーテンを手に持って言う

正直、来るときに持たせてもらったが

30キロはありそうな

分厚いものであり

彼女の細腕では心配である

超能力者は、娘さんに並んでいただくと

二人で、マントでもかぶったかのように

その布の中に入る

その子供がシーツにくるまるような幼稚な物を見ながら

時間をつぶしていたが

不意に、中から二人は出てきた

暑くはなかったのだろうかと思ったが

二人の額に汗のような物はなく

逆に、依頼者の両目からは

赤い血のような物が流れていた

母親が、娘に駆け寄ると彼女の目をのぞき込んだ

そこには、遠目からも見えたが

黒い瞳が、しっかりと見えた

「良かったのだよな」

僕は、何が起きたのか理解できていない現状に

首を傾げたいのを我慢して

三人をただ眺めている


その後、無事依頼報酬を得た僕たちは

軽い食事の後

スーパーで、約束通り買い物を済ませ

無事帰宅を果たす

「いや、本当に、助かりましたよ」

僕は、玄関口で、彼女に言った

「いえいえ、またご依頼用があれば」

はたして、これが本当に、事実であれば

彼女のような本当の霊能力者など

かなり金儲けしていそうだが

秋風が吹く外に出て

家を出て

明かりもない暗い家を見ると

どうもそうでもないように思われた





知らず知らずに、私は、あなたのことを考えてた

冊子の窓枠からは

黄色いような空に張り付けたように

黒い雲が二、三個重なり合っていて

その下には

変わりもしない

つまらない町が

その汚い姿をさらしていた

お経のような意味不明な授業を聞き流しながら

私の目は、窓側2列目

私の席から二つ前の

通路を挟んだ

彼のことを目にとらえては

ぼーっとしている



私の地元では、妙なお祭りがある

其れは、人の血を、紙に浸し

其れを一年間はなみはなさず持ち歩くと

その人と結ばれるという

根も葉もないものだが

その伝統を、まっとうする同級生も多く

その祭りの日は、どんな人でも、血を、与えると言う権利を否定できない

唯一できるのは恋人 婚約者が、居るものは、例外となる

キリストと大仏が、すれ違うようなこんな国に置いても、この伝統を、守るのは、年老いた伝統にがんじがらめの老人や、大人たちだけではなく

子供も若者も同じであるが

どうしても、私は其れが納得いかない

クリスマスに、サンタが来るようなそんな楽しい

そして気楽な感じではないのだ

それこそ、血走らせて行動を起こすくらいに其れは狂気じみている

過去には、もてる役者が、この町に巡業に来たとき

次の日その役者は、血が抜かれて干からびていた

なんて、昔話もあるくらいだが

どうなのだろうか

血とはDNA情報を持つ手紙とも

下手な伝言ゲームで人を死に、至らしめるきょうげんとも言える

私は今のところ、誰からも血の提供を求められたことはないが

当てつけのように、毎年この時期は、隣町に、中学にあがってから献血にいくのが趣味となっていた

それじゃあ、血の提供を求めたかというと

其れもない・・とは言い切れない

何せ、昔、保育園くらいに、友達に誘われて

適当に、血の提供を求めてしまったのだ

其れが、今まで、付き合う事になった田青になるが

正直、どうでも良い

儀式として、血をあげた人間から、血を、必ず渡され

渡された人間は、其れを一年持っていても良いし

捨てても良い

このときかならず、捨てるかもつかを、選ばなくてはいけないらしい

取っておくだけは、一番いけない

まるで、三角関係を切り捨てるような物だが

知っているのだ、昔の風俗の乱れは

そんな生半可なものではない

そうなると、近代のルールなのかと思うが

かなり、山奥なので、そういうルールが、独自にこの村で開発されていてもそんなにおかしな事もないだろう

祭りなど、やろうと思えば、今日からでも出きる


「血紙マツリ」

ツずく


「座敷ジゾウ」

世の中には色々な物がある

とある場所には、井戸を埋めて、建物を建てたり

プールの上に公民館を建てたりするが

水の上という物は、どうやら何かがあるらしい


これは其れとは全く別の話である


私は最近田舎に引っ越すことになった

都会とは違い

ここには、数分歩いてもコンビニ一つ無く

あるのは、さび付いた看板のドラックストアー

とだだっ広い駐車場に、見慣れない二人乗りの白塗りの車が止まるぽつんとしたスーパーだけで、

あとは、畑と田んぼだけの自由な土地が広がっていたが、あまり近代的なにおいはしない

そんな田んぼの中に、私の家があるのだが

その家のある場所が

田んぼのとぎれた場所に、小さな勾配があり

そこには、杉や松が、生い茂り

まるで、家を隠しているように見えなくもない

そんな家が今、新築工事とか言うようで

数人の大工が、汚い家に出入りしていた

ふと目線を、そらせば地面に見たこともない昆虫が

落ち葉の中に潜り込んでいた

私は逃げるように、荷物を出してきた母の後ろに

ひっついた

父親は、大学の授業の仕上げとかいって

普段の情けなさとは裏腹に、妙に張り切って、私たちを見送った

母親は、何でも、「ペーパードライバー」

つまり、紙の運転手なのだが

つまりは、ぺらぺらの運転手であり

それを、証拠づけるように

母の運転は、非常に、ふらふらしており

私は、額に汗を流さずには居られないほどであり

もしかしたら生きて、引っ越し先までいけないかもしれないと思うと

あの軽薄な父親がここにいないことが

非常に恨めしく思える

しかしながら其れも、途中の、ドライブパーキングの

夏の入道雲をみたいな、ソフトクリームを、口にしたとたんに、どうでも良くなっていた

またくるまにのりこむまでは


家の中は、非常にぼろく

所々、比較的軽いはずの私が乗っただけで、結構きしんだりした

大工さんが、床を張り替え中なのか

所々、床の板が、撤去されたり、積んだりされていた

私はそんな中を避けるように、歩いていたが

不意に、床に穴を見つけた

危ないなと思いながらも

どれほどまでにもろいのかと

穴に手をかける

まるで、釘も打ってないような軽さで、其れは、私の行る方に傾いた

つまり、持ち上がったのだ

もしかしたら大工さんが、釘のような物を、抜いた後なのかもしれないが

どちらにしても、木自体に、とげが無く

つるつるとした感覚だ

持ち上げた

木を、とりあえず、脇に置くと

すえたようなにおいが、冷気のような夏とは裏腹の

冷えた空気と一緒に漂ってくる

そこに首をつっこっみ、下をぐるりと見た私は、

何かと目線が合う

いや違う、土台の石かと思ったその石は

どうやら地蔵さんのようで、むき出しの地面に横たわっていた

「あら」

私は、驚きでしりもちを付いた反動で、

下に落ちる

所詮50センチくらいで、大してけがもしないが

しかし、目の前にある地蔵の顔は

のほほんと、ほほえむようなものではなく

いやにリアルというか感情的に見えた

もしかしたら、お地蔵さんでは、ないのやもしれないが、それでも、家の下に置く意味が、私には理解できず

大工さんに怒られる前に、家の外に撤退した


「ねえ、何か音がしない」

家の外に出た私を捕まえ、母は、私ののぞき込むように、私に聞いた

その顔は非常に、不安げで、きっと虫でも見てしまったのだろうか

「さあ、でも、地下に、地蔵さんが、居たよ」

私は、そういおうとしたが、母の不安げな要素を増やすのもなんだかと思い

さあ

と、適当に首を傾げておいた




ゆっくりとその面が割れる

男は刀を殴り捨てて

その場を走り抜けた

「おい、遅いぞ」

先を走っていた

女がそんなことを言って

後ろの男を叱咤した

「そうは言っても、奴ここら辺を仕切ってる奴だぜ」

「あんたは世界を縛らなきゃいけないんでしょうが」

「・・・・俺はやりたくてやってはいない」

「それじゃあここで抜けるか・・死ぬけど」

「・・・・・・・・・それで給料は、あがるんだよな」

「・・・休暇をもらえる」

「はぁあーあ・・・それでいいわけ」

「命があるだけありがたく思いなさい」

「生きてるでけでは、本当に生きてるとはいえないって言うけど」

「誰の言葉」

「さぁ、でも心に響いた物は

覚えるに値すると思うけど」

「・・・早く行くわよ」

「へいへい」

かくして二人は

夜の闇に紛れていくのであった


「それでどうなってる」

一人の男が

パソコンで出来ているような

部屋で

一人操作盤をいじっている

その男が画面に向かって

そう言ってる

「それが何ですが」

画面に映っているのは

まだ年端も行かない

幼稚園児のような

年の女の子である

「・・・早くしろハンズ」

「・・・・はっ」

それはそう言うと

そのまま画面が消えて暗くなった

「はあ、ハンズの奴にも困ったものだ

もう、百年ほどたつというのに

いっこうに成長しない

・・・・これは消去するべきなのか」

男はそう言うと

また操作盤を

猛スピードで

打ち始める


「それで何でグリーンシートなんだ」

「仕方ないでしょ、お金ないんだから」

「・・それじゃあ、何であんたは高級な奴なんだ」

「仕方ないじゃない、そう言うものよ」

「どう言うものだよ」

「・・・それで次の仕事まで、一週間の休暇があるけど」

「それだけ、何日徹夜してると」

「何日徹夜してようと

我々は」

「我々は、世界を担っているから・・・またですか

大体、何で先輩はこんなことしてるんですか」

「さあね」

「そんなミステリアスキャラ演じられても」

「演じてません」

「・・・・・・・・・・・・・それで、シートの話なんですが」

「えーーと、では言うけど、一週間後、ついに、この作戦はおおずめを迎える」

「・・っえ・・終わりじゃ」

「・・・まだ終わってないでしょ、これで後は最終だけ」

「でも、戻すなんて事出来るんですか」

「さあね、そこをこれから上層部が考えるだけ」

「・・・・大丈夫なんですか」

「さあね、後は上層部が考えるだけ」

「またですか」

「さあね」

「・・・・」

「そろそろ戻りなさい、次あうときは、一週間後の午後六に、いつものところに」

「ああ、またあのさびれカフェですね」

「・・うん」

かくしてそれぞれのシートに戻るのである


「それで何であんたがここにいるわけ」

「そうは言いましても、ここ俺の実家なんで」

「え・・・え」

「まあ、そう言うこと何で、お荷物お持ちしますか」

「・・・・他のホテルにしますか」

「ホテルなんてここら辺にありませんよ、あっても宿だけ」

「・・・・・・」

「でも、先輩は以外ですね、もっと、ハワイとかにいそうなイメージがありましたけど」

「悪かったわね、でもここ良いじゃない、何もないし」

「ほめてます」

休日は今始まったばかりである


「それでは諸君、会議を始めよう」

おもっくるしい

髭頭らで、堅苦しい顔のおやじが

そんなことを、円卓の最奥で言う

「きょう皆も集まってもらったとおり

しっていると思うが、かのオーパーツ

ブリスタルダイヤモンド

この中に描かれている物は

どう考えても、地球地図である

それは皆の者も知っているとおりだ

そして、いまそのブリスタルダイヤモンドが、この組織内にある

それがどう言うことかおわかりか」

「・・・・・・・・」

「地球を手に入れたも同じなのだよ

これは地球の縮図

このダイヤモンドに、もしもの事があれば

この星はなくなる

そしてそれは逆に

使い方を、正しくすれば

世界征服などたやすいのだ」

「本当に可能なのか」

「・・・・それではお前のいた国を滅ぼそうか」

「それは・・・しかし使い方などは」

「・・・・・・さて、そこだ、誰かが使う前に、これを破壊しようと思う

どうする」

「どうするって、使い方がわからないのか

もしわかれば」

「・・・・・・人の話を聞いていないのか貴様は

これが悪用されれば

この世は」

「だからそれを使って・・」

「二人とも、お待ちになりなさい」

二人の間に、ザ、秘書みたいな女性が

三角眼鏡を直しながら

割ってはいる

「どうしたのかね」

「いえ、今回の作戦をまずは」

「ああ、そうだな、ではこれより最終作せんを発表する

その名も「輝けダイヤモンド消滅作戦」だ」

「何ですかそれは」

「では、これより作戦を決める」

「まだ決めていなかったんですか」

「・・うむ、では」

かくして作戦が開始した


「・・・・それにしても、他にすることないんですか」

「良いじゃない、探索」

「探索って・・・・走ってるだけじゃにですか

休みましょうよ」

「何いっるかわからない」

「・・・・・・・」

そんなとき

彼女の腕時計式

十特電話、が鳴る

「鳴ってますよ」

「はいこちら」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「はい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「わかりました」

「どうしたんですか」

「休暇が終わりました、これより作戦です」

「っえ」

「っえ、っじゃなくて、それでは車を回すので、それに乗って本部まできてください」

「・・先輩は一緒じゃないんですか」

「・・・」

そのとき頭上に

爆音がとどろき

縁が低空から

着した

「それじゃあ」

「あ」

何か言う前に

それは上空に消えていった

「・・・・・・・・・・・・・・・・なんだよ」

そんなとき

おんぼろの音がして

振り返ると

明らかにサスペンションが悪そうな

車が

こちらに走ってきた

「あなたが、ゴンベイですか」

「・・・そうですけど」

ゴンベイがこの男のコードネームなのだ

「それじゃあ乗ってください」

「・・・お願いします」

かくして、短い休暇は

あっけなく幕を下ろす

その時間

一日と九時間であった


「つまりは、そのダイヤモンドを、マリネット海にとうかすればいいんですね」

「・・・・・・先輩」

「やっときたの」

「ええ、もう腰ががたがたです」

「そう、それじゃあ確認するわね、このダイヤモンドを、マリオネット海に投下すればいいの」

「何なんですかそれ」

上司の前で

渡された紙を見ながら

そんなことを言う

「・・あなた知らないの」

「ええ、なんです、なんか書かれてるみたいですけど・・・そう言えば、最近の、お土産に、ガラスの中にこう言うのかける技術があるって」

「そう言うのじゃない」

「でも、なんで、マリオネット海なんですか・・・たしかあそこ、よく船や飛行機の、不透明な、消息不明があるばしょじゃないですか」

「・・・・それほどやっかいなものは

そう言うところにやった方が

いいのでしょ」

「まあそう言うことだから」

「ジョー氏、はこれから、どちらに」

「え・・今からちょっと、外に」

「・・・・・何をしに」

女性と上司がそんなことを言っている

「・・・まあ、デザートを」

「・・・・」

「ではでは」

それはそう言うと

そのまま、ガラス張りの会議室から

どこかへ・・いや、デザートを食べに行ってしまった

「あの人は、何をやってるんですか

僕たちが仕事をしている間」

「さあぁ」

明らかに興味も何も

無いようなことばが帰ってくる

ちなみに彼の名前は

「ジョー」

皆からは

「ジョー氏」と呼ばれているが

たぶん本名ではない

そして、目の前の先輩

ガールは

また例に漏れず

偽名だろう

「それで今度も、僕だけ何時墜落してもおかしくないようなもので向かうんですか」

「いや今回は違うわ」

「っえ」

「あなたは海から」

「・・え」

「私はちょっと調べ物があるから

さきいってて」

「・・はいぁいいい」

「ではそう言うことで」

「いやいやいやいやいやいやいや」

「なに、泳ぎがいいの」

「・・いえ」

「・・・・・・・・・・」

「あっ、ちょと」

それは部屋から出て行く姿が

ガラス張りの会議室から見える

「・・・・」

「・・・作戦かこれは」

僕は、ただ、そう言うしかないのである


「それでは、お願いしますよ」

「・・っえ・・私がまたしなけりゃいけないんですか」

「当たり前だろ、お前がしなくて、誰がするんだ」

「そうは言っても、どうも最近、私ばっかやってる気がするんだけど」

「・・・お前しかいないからな」

「・・・・・・・・・・」

「それじゃあ行ってこい」

「それじゃあ、サチコは、サトミは、メーベルは」

「いない人間を出すな、早く行ってこい」

「・・・・」

女は、暗い部屋から出ると

一人

喧噪にぎわう

都市に出向くのである

「何で私が」

その彼女の持っているかばん

その中には

あのダイヤが入っている

果たして、どう言うことなのか


「あじーー」

漁師が使うような船で

僕は一人

ようやく海にでようとしている

誰一人として

あの海域に

いきたいという者がおらず

結局

僕一人で

そこまで運転することになった

しかしだ

この話の中心の

あのダイヤ無しに

僕は何をしに向かうのだろう

一応は、GPSを、持ってはいるが

使えるのだろうか

と言うのも

この海域は

あまり使える範囲が少ないと聞いているからだ

「あんたすごいね」

僕はそんな声をかけられて

上を見ると

誰かがいた

もしいなければ

怪談話になる

「なんだお前」

もはやきの抜けた自分が情けなくなるが

この仕事をしていると

逆に危険に疎くなると言うか

図々しくなっている気がする

「あれ、お兄さん、驚かないんだ」

「わあ、何で乗っているんだ」

「・・・・・・・あなた、魔の海域に行くんでしょ」

「ああ、マリオネット海に」

「やめる気はないの」

「・・・・やめるにしても、何で動き出してからそんなこと言うのだ」

現にもう港から、結構距離がある

「はははは・・・乗せていってもらおうと思って」

「降りろ」

「えーーーさめがでるかも知れないじゃん」

「俺に襲われるかも知れないだろ」

「・・・意気地なさそう」

「・・・・・・・・・・死んでも知らんぞ」

「ははは、あなたこそ死にそうなかおしてるけど」

「悪いけど乗り物は弱いんだよ」

「それなら私が運転する」

「出来るの」

「無免許ですけど」

「船に免許っていらないだろ」

「ははははは・・・まあそう言うこと」

「ドウイウ」

かくしてまた船は動き出した

明らかに荒っぽいが

波の動きをしっている

動きのようで

早さの割に

揺れが少ない

「それにしても、何しに行くんだ」

「別にーー、暇だし」

「ほんとにそれだけか」

「さあぁあーー当ててみて」

「悪いが俺は忙しいからちょっと休憩」

「言ってることとやってることが違うでしょ」

「忙しい人間は

睡眠をとれるときに取っとかないといけないの」

かく言う男は

どこら辺が船酔い体質なのか

もう熟睡の海へと

漂っていた

「はあーあ」

少女は

ここら辺の人間なのか

こんがりと焼けたような

小麦色の肌

無駄のない体は

ほっそりとしている

着ている物も

実に動きやすそうなものである

「いっちょ行きますか」

先ほどのため息を取り戻すように

彼女はそう言うと

嵐の来そうな雲が、遙か遠くにあることを知っているのかいないのか

マリオネット海にその船先を向けていよいよエンジンをとばすのであった


「さて、そろそろ消えるわね」

遙か上空

船の位置が示してある

GPSの信号が

徐々に薄れ始めている

その船の行方を見ているのは

勿論先輩こと「ガール」である

彼女はヘルメットをかぶると

「それじゃ、後はよろしくお願い」

「ええ」

中に乗っている

明らかに軍人風の男達が

一斉に

親指をつきだして

グッドラックの、合図をした

「ではでは」

彼女もそれに答えると

そのまま真っ逆様に

だいぶした

当たりは非常に澄み渡っているようだが

かなり向こう

およそ、マリオネット海等辺に

わずかな荒らすの予感をみたが

もはや後戻りは出来ないと

後輩の行る海に飛び降りたのである

「・・・」

(それにしても、ここの海は、何時来てもめんどくさいわね)

彼女は

そんなことを思いながら

わずかに揺れるような空気の中を

的確に風を読みながら降下していく

遙かしたにわずかではあるが

船らしき物を確認する

ちょうど

今から落下するであろう場所の向こう側から走ってきている

「・・さて、どうなるか」

彼女は先ほどにもまして

落下速度を速める

(何とか落ちてよね)

彼女はまた別の風に似乗せられそうになりながら

落下していくのである


「ねえちょっと」

彼女はそう言って

ぐうたらと寝ている男を呼ぶ

「はいはい、牛丼三百人前お願いいたします

はいはい

勿論つゆだくネギ抜きで」

「何言ってるんですか、ねえ起きてください」

彼女は足で蹴り出して

ようやく

「何ですか・・・あ・・・名前は」

「・・・そんなことより、何かおちてきましたよ」

「落ちて・・」

見ると、遙か上空に

なにやら鳥にしては大きい物が

前方に墜落しようとしている

「・・・まさか・・」

急いで舵を取ると

その方へと

ターボを効かせエンジンを押す

「あれ何なんですか・・・もしかしてらドン」

「・・たぶん違う」

「でも、この海域を自由に飛ぶ

人型怪獣らドン、人の生き血をすい

干からびさせると言う」

「たぶん違うから」

男はめいいっぱいハンドルを切って

その着地点をあわせようと努力した

「・・・・・・・」

三人は無言で互いを確認している

「・・っ」

いきなり落下してきた先輩の重みで

一気に、船が揺れる

「・・先輩なんて下りかたしたんですか」

「良いじゃない、無事下りられたんだから、私の操作力に感謝しなさい」

「・・・こっちのせりふです」

「あのーー、誰ですかこの人」

「ああ・・うちの先輩」

「ああ・・先輩ですかって・・何で空から」

「さあ・・聞いてみてください」

「・・・何聞きたい」

「いえ、遠慮しておきます・・えーーと」

「ああ、私、私は、レベッカ」

「・・レベッカさんですね、私は、レイチェルと言います」

「あら、レイチェルさん、こんにちは、それでどうしてこの船に乗ってるの」

「いや・・ちょっと途中まで、乗せてもらおうと」

「そう・・・」

かくして三人は、無事目的地にたどり着けるか不明だが

とにかく出発を続行するほどには

無事なのである

「先輩とばしすぎではないですか」

「普通よ」

いきなりアクセルを前回に飛ばし始めた先輩に

彼は、落っこちないように

必死で捕まりながら

そんなことを叫ぶ

かく言う先輩はと言うと

平然と、前を向いていた

「・・・・何なんですか本当」

とうのレイチェルはと言うと

二人を呆れながらしがみついているのである

「もうそろそろだけど、レイチェルさん、何しに行くの」

「っえ・・あのその、そうです、ダイビングです」

「その割には荷物がないようだけど」

「それはその、気まぐれです」

「・・そう、気まぐれで死ぬようなことは、やめてちょうだい」

「・・っえ」

「まあそう言うことだから、少なくともこの船の上ではね」

「・・・・」

「どう言うことですか先輩、だいたい、なんですレベッカって・・本名ですか」

「何言ってるの、いつものことじゃない」

「・・・・・」

彼女は実に色々と

仮名を使う

よく間違わないほどだと

感心するほどに

「いやそう言うことじゃなくて」

「あら、付いたわよ」

「付いたって、目的地に目印でもあるんでですか」

見たところ

当たりはぐるっと

海しか見えない

「・・・何言ってるの」

彼女はそう言うと

懐から

ダイヤモンドの入っている袋を取り出す

すると驚くべきことに

そのダイヤモンドが

光って点滅している

「これは」

「これは多分、ここから来たものなのね、だからここら辺にあっちから流れる、何かが通じて、起動している

ほら、携帯の電波みたいなものよ」

「そんな物なんですか」

「何言ってるの、あれほど誰もが持っている物を

そんな物って・・でもまあ、この異物に比べると

そうなのかも知れないけど」

「・・・でもそれどうするんですか、そのまま沈めるとか」

「・・・・・まあそなる」

「大丈夫なんですか」

「それは、私たちの知るところではにさ、っと」

彼女はそう言うと

無造作に、それを投げた

それは何の変哲もない海へと落ちていく

「・・これだけですか」

「まあ、ほかにやりたいことがあるならやってみて」

「いえ・・・そう言えば、彼女は・・・」

男はそう言うと

レイチェルとか言う女性をみる

「何しに来たんですか」

「ははは・・特には」

彼女の目は

明らかに苦笑いである

「・・・そうですか」

明らかに不審そうにそううなずくと

レディーが

「それじゃあとばすか」

そう言ってまたしても、アクセルを全快に、飛ばし始める

「もう少しどうにかならないですか・・・これ」

「何言ってる、後ろを見ろ」

かく言う男は

後ろを見ると

黒雲が

当たりに立ちこめ始め

遙か遠方で、黄色い光が

水面に落ちている

「あ」

「ははは、楽しくなってきましたね」

「あんたとは少しばかり話が合いそうだよ、自殺者さん」

「っえ」

「ばれてましたか」

「さあね」

かくして船は無事とはいえないような

ずぶ濡れの、三人を乗せて

港に帰ることが出来た

そのすぐ後に

もう嵐が来たことは

すぐにわかることだが

飯を食べている三人には

あまり関係ないようなことなのかも知れない

かくしてミッションは

無事・・・・終了をしたのである


「そうか、無事誰も死ぬことなく終了したか」

またしても円卓の中央で

一人の男がそう言っている

「もし軍事に使えば、平和を勝ち取れたかも知れない」

「・・・まあ、其れは一時的なものだろう、それに、その逆だってある

相手側にわたったら、今度は恐竜ではなく

我々が絶滅しなければいけないだろう」

「・・しかしだな」

「もう終わったことだ」

かくして、難しい顔の大人達は

それぞれ口々に言い合いながらも

終焉を迎えるのであった


「それで、無事沈められたのか」

「ええ」

「・・・・・・」

「それで、発信器はどうなったの」

「ははは、またしても失敗だ、それにしても、あちら側に送ることは出来ても

しょせんはそれだけ、一方通行だ」

「でも誰があのダイヤをコーティングする

コーティング技術を開発したの」

「さあな、たまたまだろ」

かくして、またしても作戦は誰一人死ぬことなく

無事・・・成功を期すことになり終幕を本当に迎える

しかし、彼らのミッションは終わらない

頑張れ二人

負けるな二人

かく言う

色々言ったので

私もこら辺で

とりあえず

さようなら

ではでは

またあうときまで



世の中にいろいろな不可思議なまがい物が氾濫している

しかし

私は今日、一万つごう五千円のブレスレットを買った

何でも、かの空海が、唐に渡ったときに仕入れてきた

秘蔵の品物が

どこかの寺が潰れたときに出てきたという

私は、そんな馬鹿な

そう思ったが

しかし

世という物は

これで中々ふかしぎにできているもので

そのブレスレットには

「空海」と

小さな水晶のなかに

どうやって書いたのか知らないが

そんな文字が読むことができるのである

さらには

コピー用紙のようなものであったが

空海の書としるされ

さらには

まだ驚くべき物として

もし偽物と分かったら

返品して

さらには

五千円

上乗せしてくれるという

私はにの返事で

先ほどもらった給料袋から

その金額を出すと

その露店主に、渡したのである

されど

私はその露店主を

にさんにちみた後

見ることはない

場所を変えたのだろうか・・・・・・


本題「消すデス」


私はその日

やることもなく

安物の

つごう

古道具屋で

2300円で売り出されていた

机に頬ずえを付いて

だらけていた

ただだらだらと時間ばかりが過ぎ

目の前の

水槽のなかで

ブクブクと

バイブレーションが、酸素やらを

水槽のなかに送り

その中を

五匹ほどの

色とりどりの

なぜか

生き物も売っている

魚屋から買った

グッピーが泳いでいる

「・・・・・」

時間だけが刻一刻と流れている

今朝食パンを一枚食べただけで

後は何も食べていない

ただ時間だけが過ぎる

滅多に見ることのない時計が

午後3時46分ほどを指している

私はそろそろ買い物にいこうかと考える

今小型の冷蔵のこの中にある物を

頭のなかで思い描く

「卵・・・牛乳・・・・砂糖・・・」

そこまでしたら

なぜか冷蔵庫のなかに

人間がいる物が空想上のなかで出てきた

それはしかも

佐藤と言う

仕事場に良く来る

関連業者のサラリーマンであり

面識はない

しかし

その佐藤が

はじめは卵くらいの大きさで

丸まっていたが

徐々に大きくなり

冷蔵庫のなかで

丸まっている

・・・・なんだこれ

私は休日の午後をゆっくりと思いながら

明らかに馬鹿な考えに

自分をののしらずにはいられなかったが

「・・・・フレンチトーストでもするか」

なんとなしに考えていた物を口に出すと

そのまま立ち上がろうとしたそのときだった

「ドテ」

何か小さな部屋の

さらにおく

入り口付近で音がした

「・・・」

お勝手だろうか

最近ネズミがでたと

大家さんが

お茶屋のおばあさんと

廊下の長椅子で喋っていたのを思い出す

・・・・

私は手頃なバットを握ると

お勝手に向かう

この部屋の唯一の逃げ場であり

その横にはでぐちともなる扉がある

そしてその横にお勝手が併設されている

握るバットに力を入れる

ちなみにこれは

前に散歩したときに

川のなかに落ちていたものであり

最近捨てたのか

あまりさびてはいない

これを見て私は

女の一人暮らしの危険に備え

自宅に持って帰ったのだ

この部屋は実に危ない

廊下側の曇りガラスの窓は

鍵が壊れていつでも入れる

ウレタンのような

一応はベニヤをはってある扉など

秘密基地を作った子供の物より

脆いかも知れない

私はじりじりとお勝手に近づく

その距離ほんの3メートルもない

しかし遠く感じる

「とお」

私は力んで

お勝手に飛び出した

そして

そこで目にした物は

ネズミではなく

また

奇っ怪な幽霊でも

そして

物がたまたま崩れたわけでもなかった

そこにいたのは

冷蔵庫に頭を突っ込んで

膝を抱えるように寝ている

半袖パンツの男だった


「ああ・・うう」

それが男のうめき声だと気が付いたとき

私の部屋のドアが開く

まずい、閉め忘れた

とっさに私は

そのとびらを押し返して

鍵を閉める

「ちょ・・なんなの」

その声は大家さんである

「・・いや・・ちょっと散らかってまして」

「・・・何男がいるの」

大いに間違いであるが

事実てきには正解だろう

そしてこの状況を説明する理由が見つからない

大体、もしかすると

この男が私にいきなり誘拐されたと言われないとも限らない

私はどうするかと思案するも

どうにもできないとしか思いつかない

しかし

世の中それですむことは中々ない

「・・それで何か用でしょうか」

「それなんだけどね、町内集会の会場

急に使えなくなっちゃったから

桐さんところ使えないかと思って」

「内ですか」

「ダメ」

なにやら猫なぜ声で聞いてくる

「・・・ダメというか・・・無理です」

「・・・・・どうして、友達いたっけ」

・・・・なんだこの暴言は

「いえ、ちょっと今日は熱がありまして

休もうかと」

「それなら家に来なさい、そこで看病してあげるから

そのかわりと言っちゃ何だけど

ここを」

それはそう言うと

ドアノブを回したようである

「・・・・あけてよ」

「・・いやなぜうちなんですか」

「だって、ここら辺の公民館とか

お金いるし

大体、うちだって、ちらかってて」

「それならうちだって、同じですよ」

「嘘だよ、綺麗じゃん、何もないくらいに」

私の頬を熱も出していないのに

汗が伝う

事実である

事実なのであり

事実だ

・・・見渡すが

実に殺風景であり

とても花の女子とは思えないようなないそうだ

「っね」

それはいきなりだった

なにやらガチャガチャと

鍵を差し込むようなおとがしたかと思ったとき

いきなりドアノブが回り

再びドアが開きそうになっている

「っあ」

「っね」

「ねじゃないです」

「っめ」

「・・・・・いや・・そう言われましても」

「それじゃあ酢昆布おごるから」

好物をかけ引きに出されたが

私としては

彼女の好物に興味はなく

どちらにしても引き下がることはできない

「・・じゃあ、家賃二千円値引き」

「マジですか」

「まじよ」

どうやら始めというのは、フェイクであり

これが本題だったようだ

どちらにしても

酢昆布からは実に大きな発展である

しかしながら

もしかしたら

二千円分の酢昆布だったかも知れない

彼女はいつも携帯しており

何でも、近所のお茶やさんのおばあちゃんとの話をたまたま聞いたところによると

まとめて仕入れるらしく

欲しいなら言ってと

とても個人で所有すべきではない量を

言っていた

しかしながら

どちらにしても

今の状況下ではまずい

「すいませんが少し今日は」

「・・・そうね・・ここで確信したわ

あなたやっぱり彼氏できたんでしょ」

「ええ」

もう私は後ろに引いた

こうなったらいか仕方がない

泣く泣くそう言うことにしよう

「・・それなら仕方がないわね・・・しかしいやにあっさりと認めたじゃない・・もしかして死体でもあるんじゃない」

半ば間違っているが

もしかしたらと言うのはある

しかし先ほどうなっていたから

まだ死んではないらしい

「はははは・・二時間サスペンス見過ぎですよ」

「・・それならいいんだけど」

それはそう言ってとうざかっていく

私はそれを聞きながら

ただただ

これからをどうしようか

そうかんがえるも

それが間違いであった

大家を甘く見過ぎていた

障子に目あり

畳裏に針あり

池に忍者

隣に大家

大家と言えば親も同然

店子と言えば子も同然

すべての場所にその人あり

とうわさされる

・・・・

私は甘く見ていた

男の子とを伺おうと

そちらに進んだ瞬間

私は扉が開くのを感じた

「あ」

遅かった

「何々」

それは天然くるくるパーマのような髪であるが

弱冠二十歳でもある

しかし

どちらにしてもそこにいたその人間は

それをみるなり

「・・サスペンス」

そう言ったのである


「ううう」

私は大家と反対側にうめく声を聞く

「・・ホラー」

大家の何がいいたいかわからない声が

疑問系で聞こえる

「・・」

私はそれに近づくと

とりあえず

揺すってみた

「ああ」

それはかすれるような声でうめく

もしかしたら

うめくだけで

じつは

外見は人間でも

実は

驚かせようとか言う

ロボットなのではないか

しかし

それは頭だけ突っ込んでいた頭を出して

「・・おお・・俺は・・・」

そう言って目を開けた

私はその時、実に恐ろしい物を目にすることになる

その男に白目はない

それは光の加減かと思ったが

しかし

それにはなかった

そしてさらに言うのであれば

それは佐藤でもなかった


「あなた何をしてるんですか」

私はいまきが付いたように

そう言う

現に

なんでいるのかわからない

少なくとも私の意思ではない

この人が突然冷蔵庫に頭を突っ込んで寝ていたのだ

「・・・・ホラー」

またしても大家の疑問視が聞こえた

「・・・・あんた誰だ」

いきなり男がこちらを

パンツ一丁

ちなみに青と白の縞模様である

しかし不思議と言うべき事ではないにしろ

その男のTシャツは

おっさんと言うべきか

かなり長いUの白地であり

実に古くさい

はたしてこんな物を来ている

二十半ばの男が世界にどれくらいあるのだろうか

もしかしたら世界に二十人ほどしかいないかも知れない

などとあり得ないことを思う

しかしながら少なくとも

お寺や、神社関係者は着ていそうな気がする

「・・・佐藤風鈴ですが」

「・・・・・・・誰」

それはそうだろう、初対面は皆見ず知らずだ

しかし

こいつは

それをあえて追求した

馬鹿だ

「あなたこそ誰です、勝手に部屋の冷蔵庫に頭突っ込んで

お勝手で寝てるなんて、警察呼びますよ」

「・・・・・・・・いやいやいやいや、こっちは誘拐されたかも知れないじゃないですか・・ねえ」

その男は大家さんにそう言う

助けを求めているのだろうが

大家と言えば

親も同然

店子と言えば

子も同然

こちらの見方をするはずだと

そちらを見たら

どこぞの犬と勘違いしているのか

酢昆布を男に

ほれほれと

差し出していた

男は唖然とそれを見ていたが

「そんなことより

あなたは誰何ですあなたは」

私はその男に言う

「僕は、尊罪 田仲です」

「・・ゾンザイタカ・・・珍しい名前ですね」

「・・・そんなことはこのさい、どうでもいいのです

そんなことより、ここはどこです、僕はスーパー銭湯で」

「そう言えば、佐藤さん、私に三日家空けるから

そのあいだ、よろしく」

それはがそう言うと

何をしているのか

先ほどまで冷蔵庫に頭を突っ込んで寝ていた

自称

尊罪 田仲に、箱ごと酢昆布を投げつけると

そのまま何事もなかったかのように

どこかへ行ってしまった

「・・・・それでこのあとあなたはどこに行くんですか」

「いや別に、僕としてはそんな物はないが」

「無くても私が困るのですよ、このあとやかいがありますので」

「そうか・・・しかし、着る物がない」

「服のサイズは」

「L」

「わかりました、財布は」

「ノー」

「・・・・後で返さなくて結構ですので

すぐに買ってきます」

私はこのアパートの

すぐ近く

「金ちゃんと赤い金魚」

と言う、おばちゃんがやっている

古着屋で

適当に見繕う

しかしながら

適当な物がこの店にはない

不自然な物が所狭しと

まるで黒魔術の道具を何百年としまったかのような

もう実にもうなのである

私がレジで会計をすませて

外にでると

あたりはもう夕暮れ時に染まろうとしていた

「・・・・・・ムシャ」

私が実に薄い扉を開けて部屋にはいると

そこでは床にばらまかれている

酢昆布を

ムシャ

音を立てて食べている

自称

尊罪 田仲

なる人物が

いるのであるが

私はその人に袋を差し出す

「シュークリーム金多量」

「・・・袋は菓子屋ですが、中身は服です」

「悪いです」

その男はそう言うと

部屋を出た私に

しばらくして

「もーいいです」

まるでかくれんぼを連想させるような

そんなにニュアンスで言う

「・・・・・」

そこにいるのは

銀色を主とした

Tシャツ

真っ赤なズボン

・・・・実に奇っ怪である

「・・・いやー、こんなにあう物始めてきたよ」

この男

一体普段は何を着ているのだろう

私は複雑怪奇であり

もはや歴史財産か

有害廃棄物ともとれるゴミ山のなかで

何とか見つけた物を気に入っていただけてまあいいやと思いながら

その反面

あることに気が付いたが

自分のサンダルを与えることにした

「・・それで家はどこなんです」

「サンフランシスコ」

「・・アパート名ですか」

「いや、国の」

「どうやってきたんですか、生まれた場所を家とかではないですよ」

「・・・まあ生まれは、長野だけど・・・今は仕事でそこにいる」

「ちなみにご職業は」

「冒険家けん宇宙飛行士」

はたしてこの場合

冒険家が先なのか

もしかしたら

このあと

それは仮の姿

その本性は

なんて言いかねない

しかし実際は

言わない

「・・・どうやって帰る気ですか」

「さあ・・電話しようにも、かけ方わかんないし」

「・・・・・・・・・・・・バイトして戻ればいかがです」

「・・ああ・・どこか知ってますか」

「・・教えてもらいたいくらいです」

「ちなみにご結婚は」

「ノーコメントで」

一体

どういう話の流れなのだろうか

かくしてこのあと奴から聞いた話は

実に摩訶不思議であり

実にいい加減であるような気がするも

どこかで聞いたSFとも取れた

何でもマサ宇宙研究所なる

世界で36番目に大きい

宇宙発射基地がある研究所に彼は居て

そこで、三百人の応募のなかから

何とか

三十日にも及ぶ面接試験を越え

無事に受かったらしい

そこで数々の実験を目の当たりにするなかで

彼はある実験に携わる

それが、ワープであったという

しかし実際にはまだ実験途中であり

今回もそれが勝手に作動したのでは

とか言っていた

かくして彼が、この下町で

とある騒動を引き起こし

まるで逃げるように

帰って行ったのは

それから三ヶ月後のことであった



世の中に生きている限り

バグに出会う

それは時として

常識では考えられないものとして

人類の目に映るだろう

2015年

あの日を境まで



私は一人動画を見ていた

エロ動画である

しかし

だからといって特に行動に移すわけでもなく

ただ、見ていた

場所は、実家の二階であり

窓という窓は閉め切り

この夏という

異常気象で

蒸された屋根裏に近いこの場所は

一種の

サウナ状態と化していた

その場所で私は

ただ横になりながら

そんな物を

pitaで、眺めているのである

ちなみに

著作権違法動画である

私は一通り

気まぐれに目を通した後

またごろりとねがえりを打った

最近熱中していた

アマガエルが鳴くときにを

ようやく300時間を費やして読破したが

どうも間延び間が否めない

しかし

時間つぶしには

もってこいの重宝品であることには、変わりなく

大体

買っている時点で

もう良いわけは聞かないのである

果たしてどれほど前に買っただろうか

そんなことを思っていると

横の携帯がなる

と言ってもだ

この携帯で、通話は不可能

メールも同じくだ

ただ、ゲームや、検索のみに使うものと化していた

私はすぐにその携帯の電源を入れると

ゲームアプリを起動した

イベントが起きると

バイブレーションと、「コチラ」のテーマソングが流れるようになっているのだ

私は、すぐにそれが、経験値モンスターの発生を示すものだと知り

すぐに携帯を閉じた

正直

そんなことをする気力はない

もう大体の経験値はあげて

これ以上

わざわざ速急にレベルをあげるモンスターもいないのだ

しかしながら

こんなものを見ていると

自分は一体なにをしているのか

こんな事をしている暇があったら

どんなものでも良い

バイトすれば

それだけお金が入るというのに

なんて事を考えるが

この世に救世主はいない

だから私は

こんな作られた、架空のイベントにその人生を浪費するのであろう


「お昼よー」

たぶんそんな声が

私の人生最後に聞いた

平穏な言葉だろうと

後になって思った


「①」(まるイ血)


私がこの世で不思議な体験をしたとすれば

それは数が非常に少ない

それ故に

子どものころから

人より少しぐらい足が速くても

市内でいつも一位でも

オリンピック選手になどならないだろうと

子供の頃から思っていた

いや、今思えば

競うのも嫌だったが

それ以上に

疲れるのが嫌だったのだろう

そんな私は

次第に

いつも一位になるプレッシャーから逃げたくなった

そしていつの間にか

すべてから逃げ出していったのだろう

でもそんなことは今の話とはまったく関係がない

たぶん無い

今から話すことは

そんな現実主義であり

夢を夢見る人間が

可哀想だと思うような

そんな私が

この人生のなかで

明らかにおかしなものを見たという数少ない記憶なのであるが

その一つに

私は、その日


なぜ私がこんな事を話さなければならなくなったかと言えば

それは、私が迷子になったからだ

私は反引きこもりというか

プーである

なにもしていない

ただ生きているだけ

ただ金を浪費しているだけ

ただ、いつの間にか

夢に夢見てしまって

ちょっとした挫絶に

すぐさまこの世の終わりを感じるような

そんな根性のない人間である

そんな根性のない人間であるが

私は田舎から

東京の地に夜行バスをのって

さらには

そこから電車に乗って

川砂集会に来ていた

川砂集会とは

主に、寄生植物を中心とした

植物愛好団体であり

年12回

東京のこの地で

集会を開いている

ちなみに今日は

「第360回」の、切りの良い集会日であり

一年に一回

こう言うときの集会は

決まって豪華になる

何でも今回

「ヒドラ」が、展示品として持ち込まれるとかで

早くも、その道の掲示板では

その事について

熱い議論がなされていた

私がこの会場に

行こうと決めたのも

そう言う理由も一端にはあった

しかし、ながら

やはり目当ては

そこで販売される

世界中の

奇々怪々

世にも不思議で

普通に買えば

送料併せて

馬鹿だかいものが

ここでは、大きな株で

普通なら子株ぐらいの値段で販売される

まさに、夢の即売会である

しかしながら

交通費を考えると

そこまでは言っては居られないのであるが

しかし、それは夢である

私はそう思ったのが

前々からなんとなしに

行こう、行こう

と考えていたのだが

あの「ヒドラ」が、展示されるの一言で

どうせならと電タックスの一眼カメラの試し撮りもかねて

私を決意させたのであった


だが、だがなのだ

しかし、

しかしながらなのだ

私は迷ってしまった

途中まで

携帯電話の

GPS機能を使い

無事目的地に着けると思った

のであるが

しかしながら

今更ながらにおもうと

GPSが、どうして使えていたのかという事だ

ネットはWAIWAIが、あれば使えるが

よくよく考えてみれば

それがないのであれば無理な代物である

「・・なにやってんだ」

私は見知らぬ路地裏で

ただただ時間が過ぎるのを

これほどまでに苛ついたことがないほど

苛つきながら

やるせなく

歩いていた

場所はわかっている

「川砂会館」だ

しかし

果たしてこの地で

どれほどの人がその名前を知っているのだろう

それなら警察にでも聞けば

「・・・・・」

正直それは嫌だ

・・・・・別段いやがる理由もないが

道順を聞いても

覚えられないからだ

それに今のところ見つからない

これ幸いと

誰か一般市民はと

歩いていた

そんなとき

私はとある店を見つけた

その店は

木造づくりであるが

いつ崩れてもおかしくないようで

中には

がらくたか

またはそれに準ずるものが所狭しと押し込まれており

もはや、倉庫か

ただのゴミ袋の中だとさえ言える

「・・・・」

私の中の

脳内コンピューターが

どういう結果をどういう手順を踏んで

どういう統計で導き出したかは、知らないが

私はそのとき思った

「これだ」と

聞かないで欲しい

なぜと言われても

私が店内にはいると

良く外からでは見えなかったが

間、間に

物凄い数の

ブラウン管テレビがあった

正直

骨董品とも言えるこんなものは

きっと

捨てられずに置きっぱなしなのではないだろうかと

思わせる

「あのーすいません」

私はそのときになって

半分閉まった状態で

戸だけ僅かに開いた

反シャーッターの店に、

入るべきではなかったのではないか

そんなことが頭をよぎるが

そのまま過ぎ去り

その予感は

見事に

ゴールを果たしていた

「何ですか、おじょうさん」

私は声のした方を見た

そこには、怒りっぽい空気と

暗い店内

その廊下とも言えないような

通路の所に

男が居た

それは、古くさい蝶ネクタイ

黒いスーツを着た老人であり

腕にはステッキをささげていた

「あ・・あのすいません」

老人は、挙動不審な私のことなど

大して目にも留めず

あらぬ方向を見ながら

考え深げに

「あなた、ブラウン管欲しい」と

首を傾げながら

こちらを向いて聞いてきたのである


「それじゃあ、このアンケートに答えたら、近くまで車で送るよ照河さん」

老人は私の名前を聞き

それを小さなメモ帳に書くとそう言った

「あなたは、幽霊を信じてますか」

老人はそう言って

メモ帳に目を落としている

「・・・少し気になりますが、実際は信じていないと思います」

「そうですか・・・それじゃあ、不思議な体験をしたことは」

「・・・すいません、これはどういうアンケートなんでしょうか」

「すいませんね、友達が記者をやってまして、それでお客さんに、良ければ聞いてくれと・・・なんでも、現代の迷信、みたいなことだと聞いたのですが・・くわしくはねぇー」

「そうですか」

何か私はそのとき

嘘くさいものを感じたが

どうして嘘を付くのか

それに

それほどの内容には思えなかった

「それで・・ある・・そう言うことは」

「・・昔」

そこで最初の話になるわけである


「そう言えば」

老人が一気に近くによる

「あるんですね」

私はそれを他所なりともはなして

「ええ・・・嘘かも知れませんけど」

「いいえ、話してください」

「そうですか・・・これを話しても良いのですけど・・なにぶん昔なので」

「・・・昔ですか・・・ええ、お願い致します」

私はかしこまれてもと思ったが

しかし

最近怖い話のコピペばかり見て回ったせいか

どうもその事が頭にすぐに浮かんだのだ

そう、今日も、バスの中でまでそんな夢を見たのだ

「昔なんです、たぶん幼稚園か

それ以前」

「ほうほう」

「私は居間で、子供番組を見ていたんです」

「それはちなみに」

「バクバクさんだったと」

「・・・・あの早食い番組ですか」

「ええ、国営放送なのに、変わったものだったので覚えています

たぶんあれだったと」

「まあ、国営と言うよりも、あれ、子供番組という時点でいささかおかしかったんですよね」

「まあ、たぶんそれだと思うんですが、いささか」

「・・まあ、昔の記憶などそう言うものです、私も、死んだ母親の顔は

写真を見ないと、もう思い出せなくなっています」

「・・はあ」

「まあ、それで」

「ええ、それを見ていたら、突然砂嵐が起こったんです」

「ノイズですか・・ちなみにどこにお住まいで」

「・・日本ですか」

「それは失敬・・千葉とかでは」

「テレビです」

「すいません・・」

「・・それで見たら・・・たくさんのものがうごめいていたんです

よく見たら手で・・・私ただそれを見てなんと言ったらいいか分からなくて・・それでそのすぐ後に、母親に呼ばれて、テレビを消してお勝手かどこかに行ったんです・・・それだけなんですけど」

「ちなみにそのテレビはいまどこに」

「さあ、家を壊すときに、一緒に」

「建て替えたんですか」

「ええ・・三年くらい前に・・」

「そうですか・・ありがとうございます・・・それで、川砂会館・・行きます」

「ええ、お願いいたします」

「私知らない人ですよ」

「・・・・・嫌ならいいのですけど」

「いえ・・それではいきますか」

そう言って彼は、私を連れて

店の横の細い路地向かった

しかし

もはやそこは人が通るためというよりかは

植物が

横から上から垂れ下がり

その狭さは、もはや横歩きしかあり得ないほどであり

第一、行き止まり何じゃないかという

道ではない隙間のような場所だ

そこを老人は歩いた

私も仕方なしに歩く

「・・ここだ」

老人は言った

果たしてこんなところに車が

しかし

それは違った

細い路地から急に開けたそこは

少しばかりでかいくらいの公民館であり

そしてその横に看板があり

「川砂会館」と記されていた

「あれ」

「・・ここでいいんじゃろ」

「良いですけど」

「まあ、それじゃあ」

「ちょっと待ってください」

「お礼なら・・」

「いや、これくらいすぐなら」

「まあまあ、若いときは、いそがわまわれだ」

「・・・・それで、あのアンケートは本当だったんですか」

「はあああはあ・・本当ほんと」

どこの世界に

これほど信用なら無い本当があるのだろうか

私はとりあえず

礼だけして館内に入ったのであった


「・・・あの・・・知らなかったんですけど・・あなた・・・あなたがあの」

「うん・・何々」

「いや、おじいさんが、あのヒドラを育てて」

「いやいや・・あれは友達が育てた奴を持って行ってくれと言われただけだよ」

「そうなんですか」

「・・まあ、どうだい、もう宴もたけなわだし、バス乗り場まで送ろうか」

「・・それは有り難いですが」

私のよう手には

五万円ほど買った

奇種怪種の面々が詰め込まれた

紙ぶくろが握られていた

正直

これで、電車でもまれたくはない

植物のダメージを考えれば

そう思える

「お願いできますか」

「ええ、ええ、お気になさらず」

そう、今考えれば、ただよりたかいものなど無かったのだ

物事を

その場のノリで過ごすべきではなく

そこは一歩下がって分析すべきだったのだ

この老人が

どうしてここまで私にかまったのか

どうしてあんな質問をしたのか

そう考えれば

怪しむべき所は

多重に存在していたように思われる

私たちは

すっかり暗くなった

都会を走っていた

おじいさんの車は

黒と緑の

奇抜なものであったが

どうも高級感が匂うせいで

それは逆にとかいのけいそうに、紛れているように思えた

「・・・おじいさんはあそこでなにを売っていたんですか」

私は取り留めもなくそんなことを聞く

「・・・・魂かな」

聞くんじゃなかった

どう反応すればいいのだろう

「・・・つまりは」

老人は無表情で

前を見て

口を開いた

「・・・あの店内に、たくさんのテレビがあっただろ」

「ええ・・ブラウン管テレビ」

「君はトーマスエジソンというものを知っているだろうか」

「確かもっと名前が長いんでしたっけ」

「ああ・・忘れたが・・・そのエジソンが、死ぬ間際に

霊と交信する機械を作った

その中でできたものの一つが

ブラウン管テレビだったというわけだ

しかしこれは失敗作だったにも関わらず

時たま、その名残と言うべきか

霊界と繋がることがあるんだ」

「・・そんな馬鹿な」

私はこの反応は

この人を逆上させかけないかも知れないと思ったが

しかし

不意に口から出た

「・・フフフ、そうかも知れない・・でも・・事実だ・・あそこにあるものは、その中でも、特に霊が出入りしたと思われるものが集められている

しかしながら、誰か特定の幽霊ではなく

不特定多数のため

時として

危害を加えかねない状況になる

それがあるとき国に広まった

といってもごく一部の上層部だ

そして、地デジかなる

全く持って、金の無駄遣いとも言える

ゴースト駆除が行われた

これによって

一気に過去の産物

幽霊交信機は、減少の一途をたどり

もはや骨董品の一種となり果てている」

「・・・本当に国がそんなことするでしょうか

憲法には、幽霊やモノノケの類は、裁くことができないとかかれています

それは実質、そんな存在認めないんじゃ」

「だからこんな金の無駄遣いをさせたんだ

これは、地でじかさせるためじゃなく

ブラウン管を駆除するためのイベントなんだよ

国の」

「何で私にそんなこと言ったんですか」

「・・・・実は、今君の背後に、じばく霊らしき幽霊が」

「・・・・・・」

「本当だよ」

「でも、じばく霊って」

「君の言いたいことは分かる、その場所にしがみついてるから

じばく霊だと・・でもね、ブラウン管テレビ

から出てきたものが、そのブラウン管という

出入り口をなくしたとたん

彼らは、まるで糸をなくしたカイトのように、まるでどこまでも、飛んでいく

ツバメのようなものなんだよ」

「なぜにそこまでロマンチックな」

「・・・紳士だからね、僕は・・」

「そう言えばお名前、まだ聞いていませんでした」

「佐藤 太朗・・偽名さ」

「実名でお願いします」

「・・・まあ、世の中って言うものは、しばられない方が良いようなこともある

そうだろ・・・引きこもりさん

きみは、なにをやっても続かない

それは秘め事がないからさ」

「・・・話しましたっけ私」

「・・・顔に書いてある・・何年生きていると思う」

「六十年くらい」

「チッチッチ・・・62年」

「・・・・・・・・」

「それで君は、その幽霊を祓いたいかい」

「・・・本当であれば」

「それなら君はそのブラウン管を見つけださなければいけない」

「・・・・無理ですよ、もうどこにあるか」

「それは困ったな・・・この世にいればいるほど

この存在は、現実と混ざり合い

あの世でもない

この世でもない

どこにもない

第三の存在となり

その力は看破すべき物ではなくなってしまう」

「そう言われたも・・でも具体的になにをやらかすんです」

「・・・やらかすのではなく、修理だ」

「修理」

「ああ、ある意味で、幽霊とは、この世のプログラムでもあり

バグでもある

まあ、言葉としてそう言うことになるが

人間だって

その細胞を動かしているのは

電気だ

そう考えれば

そこまで見当違いな言葉でもないだろう」

「・・・・でも、だとしても、物事という物は、どれほどの確証があっても、それが真実とは誰も実証できないように

それも実証できないでしょ、仏や神のように」

「・・・・まあな、でも、信じることは出来る

そして信じた結果、私は幾度となく

奴らから逃げることが出来たというわけだ」

「逃げることしかできないのですか」

私はふとした疑問をぶつけてみる

「・・・うむ・・・・実体を持たないからな・・・事実上は無理だ

しかし、ブラウン管があれば話は別だ

これを霊の近くで起動させると

霊は、食虫植物に、偶然なのか

しつぜんなのか

テレビという中に入って仕舞う訳なのだよ」

「・・・・それじゃあ、今から私の霊も」

「それなんだが、君の後ろにいるもは

どうも違うのだよ」

「違う」

「ああ、まるで静電気を帯びやすい人間が居るように

あなたの場合も、それが言える

常に何らかのエネルギーを放出している」

「・・・・・まさか、オーラとでも言えばいいんですか」

「・・・・どちらかと言えば、それは電気に近い物質だろう

オーラとは、私が思うに、引力のようなものだと思う

どんな物にもその中心に

物を引き込む力が生まれる

それが人間に場合

特に体が同じ物などほとんどいない

そうなると必然的に心も変わるわけだ

それが一定の必要条件がそろうと

偶然的に感じることが出来る

所謂、絶対奇怪という奴だよ」

「なんですかそれ」

「世の中に、絶対音感があるように

音色に色を見る人がいる

臭いにおとを嗅ぐ者が居る

そう言うことなのだよ

それとは別に

心を見るもの

その他を見るもの

が居ても何らおかしな事ではない

心など、一方向から見れば

電磁波の一種とも言える

それを捉えれば

そう言うことがあるのかも知れない」

「それじゃあ、私もそのおかしなものの一種だと」

「別段おかしくはない、阿弥陀様は言ったという

赤青黄色白、どの色の花も、綺麗だと」

「・・チューリップ」

「いや、睡蓮だろう・・あちらに、蓮があるとは思えない」

「仏様の話をしているんですよね・・・・熱帯地域に住んでるんですか」

「・・まあ、その話はいい、しかし、どうもおかしんだ」

「何がです」

「僕が幽霊を見れるのは、テレビを起動させたとき

一瞬だけなんだ

だけどどうしてか君の後ろにいるものは

ずーーと始めから見える」

「・・・そう言えばあなた霊が見えてたんですね

というか、霊能力者のような人だと思っていましたが

違うんですね」

「・・まあ、オカルトマニアと、機械修理がたまたま合わさったっ感じかな」

「でも、それじゃあそれはどう言うことなんですか」

「一眼には言えないけど、君が帯びている

電気が、幽霊を一時的にブラウン管を、起動させたような状態にしてるんじゃないかな」

「私は、ブラウン管ですか」

「ブラウン管少女」

「嫌です・・というか、ネーミングセンス無いです」

「そうかな、アナログが最近は流行っていると言うじゃないか」

「私に聞かれても」

「ふん・・最新鋭を求めるのは過去を求めること

過去を求めることは

未来を先取りすること」

「・・・何なんですかそれは」

「さあ」

「さあって」

「それじゃあ行こうか」

「どこに行くんですか」

「ブラウン管モンスター」

「・・・・・・何ですか、その同じようなネーミングセンス」

「別に、そこは良いんだ」

「・・・良いんですか」

「直径10メートルのブラウン管

ブラウンキング」

「・・・モンスターじゃ」

「君が、いやなら、あえていうまい」

「・・・」

「それは昔、金持ちが道楽で制作したが

その金持ちが、不運の死により

持ち主が代わり

また別の持ち主もすぐに不運な事故により

それを繰り返すこと31回

ついにこの倉庫に来ることになった

そう言って、老人は車を止めた

そこは舟場のすぐ奥にある

銀色の倉庫であった


中にはいると

そこには堆く積まれ

何が、積んでいるのか分からないが

布がかけられていた

その中を老人があるいていく

「・・・これだよ」

不意に老人がそう言って、持っていた杖で奥を突き刺すように示した

そこにあったのは

まるでステージに設置させれた

テレビパネルのような

馬鹿でかいものであったが

問題は

それがブラウン管という事だろう

しかし

良くこれだけでかい

真空管を作ったものだ

間違いなくすべて特注だとすると

もう、値段は恐ろしい化け物だろう

「ギーーーーー」

私は立ち尽くしていると

何か音が聞こえた

それはまるで


建物がうなり声をあげてたおれるかのような

私はそれが何なのか

震える空気を肌で感じながら

当たりを見渡した

すると

渡しはとんでもないものを目にした

私の立っている

真後ろに

ピエロが居た

それもふつうの格好ではない

サラリーマンのような

そんな格好なのだ

しかし

その顔は

白いおしろいに

赤い鼻

目のしたには

一方は星で

もう一方は

涙のような滴が書き込まれている

しかし

その下にあるのは

サラリーマンの

それなのだ

私はそれを見ていた

置物

そんなことも頭をよぎるが

その男であろうピエロは

こちらにあるきだした

そしてそこでもう一つ気が付いたことがあった

このピエロ

頭が黒いのである

それは頭というよりかは

紙という言い方が正しいのかも知れないが

普通なら

赤いパーマのような髪型をしているはずなのに

それは

ポマードでもつけられたかのような

決まった髪型をしていた

「・・・・・」

私はそれを見たとき

涙や汗で崩れた

おばさんメイクを連想させた

それは、実に

気持ち悪い取り合わせであり

少なくとも

異色とかではない

もてはやされないものである

それは、まるで機械仕掛けにしたら、こんな風に動くのではないかと

思わせるような、動きで

私の方へと

さらに近づく

「・・・あっああ・・あのお」

私はあの老人を捜した

物には物のプロが居る

宮大工には

一件の神社だけを修理するための者が居るように

この件には

この件だけのプロが居るはずだ

私は先ほど

電波と見間違えるような

そんなことを言っていた老人を捜す

しかし

老人は倒れていた

それはとても普通の殺人現場では出くわさないような

(二時間サスペンス及びそれに類する殺人)

倒れ方をしていた

お尻を上に突き出して

山折りに倒れていた

私はそれをどうすることも出来ないまま

見ている

場所はちょうど

巨大ブラウン管の真下である

「・・・・っえ・・」

私は打開策がないまま

ずるずると

後ろに後退するが

しかし、ながら

それよりも幾分も早く

マネキンピエロサラリーマンが

こちらへと向かってきた

「・・・・」

私はもう、はしることにした

熊におそわれたら後ろ向きにだろうと

なんだろうと

走るな

と聞く

それが十メートルいないならまだしも

それ以内であれば

それはバトルフィールドが結成されたようなもの

こちらも、相手をやる気で戦わなければ

勝機はない・・いや、生気か

どちらにしても

私はあいてがくまではないとかではなく

とにかく逃げることを選択して

駆けだしていた

少なくとも死んだ振りは選択肢には最初から無い

いや、熊でもない

だいたい、死んだ振りをすれば生き残るなど

誰が言い出したのだろう

もはやこれは

都市伝説の分類だ

そんなことを考えたのは

単なる現実逃避か

それとも

普段使わない脳を使ったが故の

バグと言うべきか

私は、逃げる場所を探すべき走る

この山のようにうず高く積まれ

もはやちょっとした建物のようになっている物に

登ろうかとも思えたが

追いつめられそうな気がして

出口に向かうことにした

そしてそれは、後ろから、はしれば走るほど

不気味なほどに、足音のしない者が

猛スピードで迫ったが故の結論でもある

私は急いで走る

後ろからあの妙な者が駆けている

私は辺り構わず

おいてある物をけ飛ばして道を妨害しようとしたが

あいては

それを音もなくジャンプというよりかは

まるで、その物体の上をなぞるかのように

通過して私に迫る

私は無我夢中で、出口があった場所に駆ける

しかし、それはそれより早く、私に追いついた

私は、ただ為すすべもなく

突然前方に現れた奴に

電信柱にぶつかるような

感覚を覚えながら

衝突した

「・・・・・・」

それは無言でこちらを見ていた

しかし、その眼球があるはずの所にある目は

無いも同然の瞳で

こちらを見ている

「・・な・・なに」

私はそんな言葉がのどから漏れる

しかし

それはそんなことが聞こえないとでも言うように

私の方へと顔を近づける

「待てーーー」

それはそんなときだった

私の方にそのひどく冷たい物が感覚的につかんだと分かったとき

後ろから老人とは思えないような

そんな声を張り上げて

先ほどの人物が

走ってくるのを感じる

「・・・これでどうだ」

後ろを振り返る老人が持っていたのは

どうやら、コードのようで

その電源を、今コンセントへと刺そうとしていた

しかし

私はそのコードの行き先を目にしたとき

それは、所謂、発電器という代物のようなものであることに気が付いた

「何をするんですか」

私の肩にもう一つの手が加わっていたが

私はかまわず言う

何かとんでもないようなことが起ころうとしていたら

もしかしたら

こいつよりも

そちらの方が危険かも知れないと思ったからだ

「・・・君は電気を帯びている

ならば、電気をショートさせて

もっとでかい電気を作り出す」

「あのテレビじゃ」

「あれは無理だ、あんたの力は、どうやらあれよりもでかいらしい

そのせいで、幽霊が出てくるばかりか

よりお前さんに危害を加えやすくなった」

「何やってるんですか」

「・・・・こっちが聞きたいくらいだよ、こんな事はじめてだ

そうだろ、私は、超能力者なんて

TVの中のような存在は、である事なんて無いと思っていた

それがあるんだから、世の中という物は

下に分からない」

「そんなこと言ってないで、どうなるんですか」

「もうそろそろ電磁爆発が」

爆風が響いた

私はすぐその後に

物凄い音が鼓膜をやぶらんかのように

辺りをふるわせ

ビルのような物をなぎ倒していくのを

ただ呆然と見ていたが

「今だ」

老人はようやく聞こえるくらいの声を

大声で爆音とどろく中で叫ぶと

私の手をつかんだ

そう言えば、あれは

私は奴を見た

すると

それは、まるで、電波が悪いテレビのように

ひび割れたような映像のように

そこにはいるが

今にもぶっこわれそうな状況下で

こちらに、迫まってきていた

「っな」

私はそれをよけて走るが

それは最後の力を振り絞るかのように

こちらにジャンプしてきた

それの足という物が

分解されるように

辺りに散らばり奥の方へと消えていく

目の前にそれが迫っていた

手足が消え始める

老人が私の手を引っ張って外に出ようとする

私はそれを後ろ手に見ているが

不意に

何か首が重いのに気が付く

「・・・」

私はそこで

ピエロが

首だけの状況で

私のパーカーに、食らいついているのを見た

「げ」

私はそれを、振り払おうとするも

それは私の意志に反して

揺れるパーカーが邪魔になり取れない

「あーーーーー」

いきなり世界が明るくなる

私はそこでようやく

外に出られたのに気が付く

「何なのよ」

私はそれを両手でつかんで放そうとした

「どうした」

老人がそう言って

こちらを見て

息を漏らすのが聞こえた

「何やっている」

こっちが聞きいたいくらいだ

「・・・・・」

私は賢明にそれをとろうとするが

取ろうとすればするほど

体が揺れて

その反動で

パーカーも揺れて

その反動で

奴も揺れる

「なんなの」

私は、いつこいつが、噛みつきやしないかと

冷や冷やとそれを見ていた

「おいおい・・それじゃあ取れるものもとれ無いぞ」

老人は、そう言って背後に回るが

何が、当たる音がして

「ブヘ」と

老人が倒れる音がした

どうやらくびだけピエロがぶつかったようだ

「何が目的なの」

私はそう言うが

それは答えない

たぶん口がふさがっているからに違いはないが

「なんか言いなさいよ」

私はようやく奴の頭をつかむ

しかし

ポマードで、滑る

「・・・・うがーーー」

耐えきれなくなり

殴り飛ばそうとするも

全く効果はなく

それどころか

首自身が

勢いをつけて

揺れることで

当たらない

「・・動くな」

老人が背後でそんなことを言う

死んでは、いなかったようだ

「しかし、おかしい」

老人は言う

「なにがよ」

私は怒鳴った

「どうしてこいつは今現在実体を保っているのだ」

「それはさっきあんたが爆破したからじゃ」

「・・うーーん、それもあるかもしれんが、もう場所が遠い

それに電気が漏れないように

あそこは、普通より

密閉な構造になっている」

「・・・そう言うこともあるんじゃない

電気をため込んでいるとか」

老人はおもむろに

黒い箱のようなっものを取り出し

何かのぞくところがあるのか

それに目を当てる

「・・・何か見えるの」

私は老人を見た

「・・・っな」

「どうしたの」

「・・・そんなことって・・」

「・・・何」

私を見て何か言う奴をみる

「異常電気が、あなたから放出している」

「異常電気」

「ええ、良く火の玉や、心霊写真、わずかですがブラウン管テレビなど

あとは、原因不明の失光現象」

「何その、失光・・って」

「原因不明の停電現象です」

「・・・それじゃあ、今私はそのよく分からない物がさっきので蓄電されて、それのせいでこいつはまだ実体が」

「実体はその通りですが、これは、蓄電ではなく

あなたが今現在進行形で

放電しているんです・・あり得ない・・あなたもしかして未来のロボッ・・」

「そんなわけ無いでしょ」

現に私は多少の負傷をしているが

そこからは、赤い液体が流れている

もしこれが赤いオイルだと言われたら

どうしようもないが

「しかし、不思議だ」

「そんなことより、これをどうにか、出来ないんですか」

「・・・テレビよりも強大な、電気を放っているので

そちらに吸収するのは・・・それが収まるまで」

「・・・そんな・・こいつが襲ってきたら」

「・・・・・・・・」

無言という恐怖

「どうするの」

「とりあえず、どこかでお昼にしませんか」

もう辺りは夕日が沈もうとしていた

「・・・・・こんな格好で」

「わたしはしりませんが、都会と言うものでは

良く奇抜な物を見ます、それに比べれば、あなたなどまだ安全圏内では」

「・・・・眼科に、行ったった方が」

「・・・ちょっと止まってください、一応取ってみます」

老人はそう言うと

こちらに手をさしのべ

背後で何かをした

しかし

「やっぱり無理ですね」

そう言う

「なんで」

「・・・いや、実体がないんです」

「・・・・」

「辛うじてあなたのフードの噛みついては居ますが

それもあくまで、あなたから離れないようにと

映像的にそうなっているだけで

もう、いつきえてもおかしくない状況なんです」

「・・・本当ですか」

「・・・たぶん」

かなりの不安要素を残したまま

私たちは

あの倉庫から

30分ほどで付いた

「デロリアンハン☆バーガー」に、いた

ちなみに老人は、そのとき名乗ったのであるが

「わたしは、照錦 道理と言います」

さらに、ちなみになのであるが

彼が注文したのは

アボカドチキン唐揚げバーガー

Bセットで

わたしは

激辛ホットブラックサンダーレッド豚焼きサンド

Zセット+アボカドベニーパイである

「しかし消えませんね」

老人は、小綺麗に食しながら言う

「・・なんで」

わたしは言う

いつの間にかタメ口に変更されていたのは

なぜだろう

「・・・さっき思ったのですが・・・奴は、ピエロだから喋れないんですかね」

更に更に、ちなみになのだが

ここに客はほとんどいない

「・・・・ソウデスカ」

わたしは棒読みで答えた

だからどうなるというのかの

だからになる

「・・・しかしながら、あなたもおもしろいかただ

怒ると、異常失光するなんて、まるで、ラムちゃんのようだ」

「・・あれは放電でしょ」

「いや、ある意味では、同じです

種類の違う物を放電しているのですから」

「ちなみにあなたはそれをどうやって調べたんですか」

「家のじいちゃんが・・・あっちの世界に連れて行かれたんです」

「っえ」

「数日後に

家の壁から

手が生えたんです」

「・・・」

「それで急いで探すと

屋根裏の柱とか

庭の気のみきとか・・・」

「それって」

「どう見てもそれはあえていると表現するしかなかった

そして、前々から、わたしはおじいちゃんの研究につきあっていた

だから分かるんです、それが霊の仕業だと」

「それじゃあ、手前事だけど・・後ろのこれは」

「・・・よく分からないんです・・・普通は、意志のない

まるで神のような存在なんです

気まぐれでありながら

そこには絶対的なルールが存在する

そうですね、ホウジロザメの居るプールに突き落とされていきて帰れるか

みたいな物より

しびやかと

思う

しかし、その背中にいるのは、どうも違う」

「・・どこが」

「それが分かれば苦労はしないんだが」

「・・スースースダララッタ」

「っえ・・知ってるの」

「・・・・・・それで何の話でしたっけ」

「・・・・・だいぶ弱まっているんだけど

一つの仮説から言えば

君が怒ると、それは活発に活動するのではないか・・

いや、現実化するのではないか・・とわたしは思う」

「それじゃあ笑えばいいと」

「・・・・そこがまだ分からない

しかし、あの倉庫で君を見たときよりかは

だいぶ数値が下がっている

と言うかあのときは異常だった

君は見ていなかったかも知れないけど

あの辺り

かなり巨大な物も含めて

大いに、賑わっていた」

「何でわたしには見えなかったんですか」

「・・いや、きが付かなかったんだろう・・・それか」

「それか」

「そいつがいたせいで見えなかったのかも知れない」

「・・・これのせいで」

わたしは見えない後ろを

顎でしゃくるように振り返る

「ええ、まあ悪魔で仮説です」

「それじゃあ、こいつが守っていると」

「さあ、一眼には言えないところです・・・・ちなみにわたしは守護霊という物を見たことがないの信じてませんが」

「あなたが信じる物のさがわから無いです・・・ちなみに、ロズウェル事件は、信じますか」

「信じて・・・ません」

「なぜに溜めたのです」

「・・・いえ、おもしろいことをしてあなたが心を落ち着けるのでしたら

私としても面白そうなので、こういう事は」

「結構です、それにやるなら真剣にお願いします」

「そうですか・・・しかしこれからどうします」

「・・・・っあ」

私はそこで、改めて時計を見た

すると、15分前に

バスが出ていることに気が付く

「不味いです」

「・・・・どうします、ホテルでもとりますか」

「・・・・・ええ、安いとこ知ってますか」

「・・・家に泊まりますか、狭いですけど」

「出来れば」

「それじゃあチケットを取って・・・良い日日って、何時です」

「・・・・・それなんですけど、この後ろにあるものって、

取れないですかね」

「・・・まあ、そのうち取れるでしょ、あなたが平常心を得れば

まだそこんところは不明りょですが・・・・明日にしますか」

「・・・・・・ええ、お願いします」

「ちなみにご自宅は」

「長野です・・場所は・・」

そんなことをしている家に

時間はトクトクと流れ

私は老人の家に一泊した後に

カラスかあと鳴いて

目を覚ました

「・・・・それでなんですが・・・何でまだいるんですか」

「さあ・・・あなたの平常という物が、ここにきたときに一度見させていただいた時を、普通とすれば・・・もうそれと同等

いや、それ以下と言っても良いのです・・・どうしてでしょ」

「・・・・・・・・・・・・そう言われても」

「まあ、こういうのもなんですけど・・・ぴょんきちみたいで良いじゃないですが」

「どこがですかどこが」

昨日、私は、着てきた服を脱いだとき

驚くことに

奴は、空中にいた

服にそのまま付いて聞けばいい物を

空中にいた

あの帽子があったであろう場所に

「あんた何なの」

私はそう言うが

それはまるで眠ったかのように

目を閉じていた

「あんた」

わたしは、恐る恐る、それに手を伸ばした

日頃の柔軟を怠ったがため

かなりのきつい姿勢である

私はようやく奴の頬をさわる

すると奴は平然と目をつぶり

口を開き

「止めれい」

と言った

しゃべった

「・・あんた喋れるの」

「わしは、喋ることが出来る、なぜか分かるか、口がつき

喉があり

その振動により

外に出すことが出来る

そんなことも分からんとは

そんな物ちょんぎって

捨ててしまえ

あほんだらぁーー」

なぜに怒鳴られねばならないのか

「・・・・・・あんた何もんなの」

「・・・まずは自分からなのらんかい、無礼者」

「・・・・・酸漿 美玲」

「・・・そんなことは知っている」

なら聞くな

「それじゃあ、何を聞きたいの」

「お前は、れいぎっちゅうもんをしらんのか、小娘、おむすび、桜ん坊」

「・・・・・・・あなたこそ言葉使いが、なってません、こっこの、お下劣ピエロ」

「何がお下劣だ・・・・そんなこというと、お前を守ってやらんからな」

「ほう、何時守ったというのだ、何時、っえ、あのときだって私を襲おうとしたじゃないか」

「あれは、お前を食おうとしたのだ」

「まあ、ほら本性を出したな悪列批評悪霊ピエロ

私を、犯すなど」

「何・・・お前を食おうとしたのだ・・所謂食人カンバニズム」

「私そう言う、アンダーグラウンドな人とは」

「知ってるじゃねえか」

「さあ、悪霊の言うこと訳分からない

私娑婆の人間

そんな人とは」

「・・・ほう、俺を人というか」

「・・・・・あんたこそ、わしだとか、俺だとか

どっちかにしたらどうなの」

「お前は、自分のことを、私だけしか言わないか

自分とか言うのではないか」

「・・・・・・・・・・・・・・・・で」

「でとは何だ、でとは、お前を守るため、平穏無事な

暗黒世界から

混沌に吹きすさぶ、こんなへぼい世界にやってきたのだ

こんな下劣で劣悪な、世界を作った、あいつのものなど

入るだけで二度は血反吐を吐いて死ぬってものだ」

「血が出るんだ・・・・」

「やめろ、どこからだしたか知らないが

カッターをどけろ」

「・・・幽霊でしょ・・出るわけ無いじゃん」

「なぜにお前が決める小娘、二度と守ってやらないからな」

「さっきは、私を強姦するとか」

「違う、食うと言ったのだ」

「同じ事で・・」

「違う、お前を食らい、別の世界へと魂を転成させようとしていたのだよ」

「何その電波的昼二病設定・・・マジいたい」

「・・・・なんだその、中学二年の病気とは」

「・・・・・それであんたは何なの」

「こんな下劣な世界から救いに来た、スーパーマンとも言える・・」

私は言葉を遮り

「分かりやすく言うと」

「・・・仏と言うべきか」

「・・・うむ分かりやすい」

不意に横に老人が現れた

「そうだろう、残り寿命三十年の老人よ」

「・・・・・あなたはどちら様なのですか」

「先になのらんかい、ろうじん」

「これは、失敬、私は、照錦 道理、てるは・・・」

「そんなことは良い、お前が知りたいことを放すのは面倒だ

どうせ話すなら二人一緒に話そう

先ず何が聞きたい」

私が手を挙げる

「お前」

「美玲です」

「酸漿」

「・・・あなたは何でここにいるの」

「・・・・・・・知らん」

「知らん」

私は口に悪態を出して言う

「わしの世界から

気がつくと

ここにいた

そしてお前がテレビからこちらを見ていた

だからお前のことを呼ぼうとしたら

お前はどこかに行ってしまったのだ

それからお前との通信は不能となり

今日までここにいるわけだ」

「・・・・それじゃあ、何で私を、あんたの世界に」

「そんなことはどうでも良い、この世界は、いずれ、別のものに消去される、こんんが下劣な世界、それは時間の問題だろう」

「誰に」

「お前等で言う、神と言うものか

お前等の世界は最初から破綻している

そしてそれを未だに、続けられるのは

幸運以外の何者でもない

それはこの星に意識があり

周りの神から自分が見えないようにしているからだ」

「・・・それじゃあなんであんたは」

「しらん、気がついたら俺はここにいた

きっと、時空移動の途中に、ここに繋がったのだろう

なにせ、ここは異常だと言える

そんなものが時空列に紛れ込み

わしの時間に干渉したがために

ここに紛れ込んだ

まるで、高等な考えは

原始に破壊されるようなものだ」

「・・・・・でも何で私を連れていこうと」

「だから、魂だけをこちらからあちらに転送させるためには

肉体は無理なのだ」

「いやそう言う事じゃなくて

何で私を連れていこうとするの」

「こんな下劣な世界にいたいか

苦しむことを楽しむものが作った世界に

本来なら、誰も苦しむことな

穏やかに過ごすことが

一番だ

それは皆が認める決定事項だ

しかし

ここは違う

苦しみを楽しむために作られた世界

そう、禁止ワードのような世界だよ」

老人が口を挟む

「つまり、傍観者が、死刑を楽しむようなものですか」

「・・・そんなところだな」

「でも、それじゃあ、今まで観測された幽霊は」

「大部分は、わしのように

紛れ込んででれないもの

または、この星を乗っ取ろうとする者の因子だろう」

「因子とは」

と老人

「その神の国のものだ」

「・・・・つまり分かっていると」

「まあな、それがどこかは、分からなかったが

どこかにあることだけは前々から知っていることだ

しかし

どこか分からないから

辺りめっぽう

その因子をとばし

様々な実験をして

その因果に入ろうとしたわけだ」

「ちなみにここからはどうやってでるおつもりで」

「簡単だ、この世界を滅ぼすか

または、この世界が滅ぼされる、または滅びるまでを待てばいい」

「そんなバカな」

私が言うが

「馬鹿ではない、まあ、それも時間の問題だ

過去にこの地球に落ちたものが、その事実を述べたものが多い」

「まさか」

私の頭の中に

予言と言う

言葉がぐるぐると

脳内軌道上を

円舟する

「どうすればいいの」

「さあな、お前もどうせおれと縁があった身だ

つれてってやろう、混沌と整頓された

漆黒が包む

美しい闇夜のような静かな世界を」

「あの、私はどうなるんでしょうか」

老人が言う

「・・・・・・無理だ」

「なぜ」

「たまたまこいつとは波長が合う・・と言うか

波長がある

この波長は、まるで磁石のようなとっかかりで

それがないと、この世界から連れ出すとき

わしの力ではすべりおとしてしまう

そうなれば、何にもなれないものとなり、何もないものをさまようことになる・・それはだめだろう」

「・・・そうですか・・私は死ぬしかない運命だと」

「・・・いや、死ねばまた新しい世界でいきることも出来よう

そうさな、お前等で言う、即真仏とでも言うべきか」

「・・・・・死んで、仏になると」

「まあ、今よりも悪いことではあるまい」

「なら何で私を連れていくのよ」

「・・・・聞きたいか」

「・・・・」

「お前と俺は縁が出来た、だから、お前から俺は離れることが出来ないのだ」

「ストーカーじゃん」

「違う」

「ヤンデレ」

「もっと違う」

「じゃあストーカーなんだ」

「・・・・・お前の心の一部が

俺を巻き込んでしまったせいで

お前は体に霊力とも取れるものを宿し

俺はお前から離れられなっくなった」

「・・レイリョク」

「・・・・・まあ、あの世のものを、見れるくらいだが・・あと、お前を怖がらせないように、このよい外の物体は、見えないようにした」

「・・・・・・・・・・・・・私こっちに残りたいっていったら」

「お前を食うだろう」

「・・・・そのやみっていうのは、そんなにも良いものなのですか・・・ええと」

「わしは、デロシと言う」

「デロシさん世界とはそれほどまでに良いところなのですか」

「・・・うむ」

「私は行きたくありません」

「そうは言っても、

わしがこの星がなくなるとき

闇の世界へと、連れ戻される」

「かぐや姫か・・と言うか、何なんですか、デロシって」

「君たちの世界では発音できない」

「X星人ですか・・おじいさん、このはなししんじるのやめましょう

きっと、わるもんですよ」

「なぜそれを」

「図星ですか」

「・・まあ冗談はおいといて・・・どうする、美玲」

「名前で呼ばないでください」

「・・・・どっちにしろ、お前は家に帰るのだろう」

「ええ」

「それならそろそろ準備をした方がいいだろう、時間はあとに時間だ」

そう言って時計を示した

十二時三十分

いつの間にかというか、かなり寝てしまったのだろう

「っあ・・すまん、どうも夜は起きているもので

時間が人よりズレているんだ」

老人はそう言ったが

それよりもあのピエロ

たしかデロシとかいったか

その方が気になっている

「おじいさんはどうするんですか」

「さあ、もう少し話が聞きたいが

これ以上聞いても

私には、分かりそうもない

それに本当であれば、私はもうすぐ死ぬらしい」

「でもさっき、寿命は、あと三十年って」

「・・・こういうのもなんだけど、私は実は、過去から来たのだよ」

「またまた」

「いや、生まれつき、時間移動が出来た

と言っても物心ついた頃か

わたしは、死ぬほど面白いことがあると

三十年、未来に行き

しぬほどつらいことがあると

三十年過去に行く

もしかして、最近死ぬとなったら

そのとき

もしかしたら、過去に行くのかもしれない」

「でもそれじゃあおじいさんの家族は・・嘘」

「いや、戦時中、幽霊の研究がされていた

その所長が、家のじいちゃんだったんだ

だから、今の時代にはもういない」

「・・・・・」

「車で送るよ」

老人の言葉に甘えて

私はその来るまで

新宿駅の近くに降りた

そこからはバスで家に向かう

「・・・しかし面白いものがあるものだと僕は思うよ」

「ええ、・・・」

「俺はこの世界が面白いとは思わん

次々に何かを求め

その醜さをさらすことを何とも思わない

それどころか

苦しみという肉塊に

わざわざ食らいつこうとする

昆虫にしか見えん」

「あんたの世界はどうなのよ」

「それはお前等の世界の言葉でへ無理だ

この世界は、どんな言葉でも嘘になるようになっている

それではとても無理だろう」

「そうですか・・・でも作った奴は誰なのよ」

「・・それが分からないんだ、もしかしたら、誰かが捨てた星が

意志を持ったのかもしれない」

「・・・・・・」

「まあ、それじゃあな」

ピエロはそう言って目を閉じた

「・・ありがとうございます」

私はその老人に言う

「ああ、なかなか興味ものを見せてもらったよ」

かくして私は到着したバスに乗り込んだのが

十四時三十分のことである

そのあと、世界が滅ぶのが

三十分後であるが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ゆめゆめなたの声を聴きたくて私は彼女の顔の皮をそぎ私の息の根がしそうな








上の代表は無題なむ関係です これ肝に銘じて


「ねえ、殴ってみたくなることなあい」

隣の席の女子が、不意にそんなことを、話してきた

クラスの中で、浮いていることもないが

あがってくることもないような

そんな存在が、僕であり

隣の女子生徒も似たり寄ったりだ

顔が良い意外に、これと言って良い噂を聞いたことはなく

いつもかおかからだのどこかに、絆創膏やそれに類似した物をつけていた

正直あまりかかわり合いになりたいような

人格者ではない

何故なら僕は、あまり目立ちたくはないからである

「ねえ、どうしたの、人の目を気にしているんなら、誰もいないよ」

僕は、顔を上げると、確かに暮らすには僕と横にいたがいつの間にか前方に移動していた彼女以外生徒はいない

代わりに黒板に白い文字で

「五時間目は、移動教室理科室」と、なんだかあざけ笑っているような

ふわふわとした丸い文字でそう記されている

「まずいな」

黒板の上の時計はもう一五分ほどで授業の終わりを示していたし

今のところ授業をさぼったことのない僕であったが

こう言うときのために、綿密な計画は練っている

あきらめることだ

さて、そうときまれば、目の前の彼女だが

果たしていったいなにを言っているのだろう

もしかしたら、一組全員の壮大なドッキリと否定できなくもないが

其れにしてはあまりにも面白味のない内容である

「ん」

ぼくは、話して見ろと

彼女に、その顔を、つきだした

「ああ、ok話を始めても良いって事だよね、じゃあ、言うけどさ、いいよね」

勿論そのつもりだと

うなずいてみせる

「じゃあさ、君は、突然、凶暴なことを、したくなる時ってなあい」

私はあるよ、彼女はそういうと、首を傾げた

其れは、どういう表現だろうか

「ない」とは言い切れない

確かに、電車を待っているとき

不意に、飛び込んだらどうなるだろうとか

手に持ったシャーペンを、前の生徒が、振り向いた瞬間に

その面たまにえぐり込んだらとか

実際には、死にたくても自殺しないように

起こすことはない

他愛もないそんな空想ならある

「ああ、あるよ」

どう言うの

彼女は、首を傾げて、こちらをみた

その目はきらきらとしていて内容とはあべこべな風を装っている

「ああ、たとえば、高いところに行くと、そこからとつぜんとんで見たらとか、そういうことなんだろ」

うーん、ブーッブー不正解

彼女はそう言うやいなや

何処からだしてきたのかはしらないが

てには、ナイフが握られており

其れを、自分の耳たぶに向けて、ふった

そこから水鉄砲みたいに

一筋の線が飛ぶと同時に、

彼女が、音を立てて引っ込めた刃の先端から何かが、床に落ちた

おいおいおいおい

思考が追いつかないぞ

これはどういう状況だ

叫ぶか

いや、警察

その前に保健室に

しかし彼女は、綺麗なほど赤い手で

ぼくの腕をつかむと

そのてに、ナイフを突きつけた

そう、途中までは、でも、実際には、てに握られたナイフをぼくの手の甲に押しつける形で、上から重ねられており

そのまま、上に引っ張り上げられ

そのまま、水平に、彼女側に、ひっつけられられた

「・・・」

何かまずいきがしてならない

どうして、見ず知らずのと言ってもクラスメイトだが

その女子生徒の胸に

手を押しつけられているのだろうか

其れは、不愉快きわまりない

しかも、夢のような感覚ならまだしも

手に当たるのは厚い紙のようなブラジャーの型ばかりであり

やはり、どうも

しかしながら、其れもそう長くは続かない

何故なら、またしてもいきなり

手の甲のナイフは

横から縦に変わり

僕の手の甲を、突き抜けていたのだから


おいなにをやっているんだ

僕は、右手を彼女からはなそうとしたが

その手は彼女の血に染まった右手が握っており

離れない

女としては、競ったことがないので分からないが

僕の手は、万力に挟まれたように

動けない

どうしようもなく時間が止まる

生徒達はもう帰ってこない

何故なら、最終授業が、移動教室の場合

そのまま帰宅することがほとんどであり

中には帰ってくる奴もいるが

その見込みはない

「どうするんだ」

僕が彼女をにらむと

ふふふと、彼女は涼やかに愛嬌のある怖い顔で笑うと

「さて、どうするでしょうか」

僕は暗澹たる気持ちで

彼女を殴りたくなった



「目玉」

物事という物は

なかなかうまくは行かないものだ

あちからうまく行けば

こちらが破綻して

こちらを直せば

あちらが破綻する

物事を唯一うまく生かせる物があるとすれば

それは求めるものと求めない物を区別することにある

人は大した物をほしがらない

それなのにそれ以上を求めるから

形のない未来に絶望する

どちらにしても人間は

果てしない空想に生き続けるのかも知れない


私はその日どこまでも続くであろう道を歩いていた

なにをするわけでもない

ただ歩いていた

それだけではいつまで立ってもこの状況が分からないと思われるので

多少なりとも話させていただくが

この世の中の状況で

その話を知るものがいるとははなはだ思えない

それは実に残念無念な話でもあるが

その日私は一つのリンゴだった

私は言つ食べられるかも知れない真っ赤に売れた熟したリンゴであり

八百屋の店先でその恐怖心の中

ただそこで座っていた

通り過ぎる人間が全て悪魔のように見えた

増えれば増えるほど

私の心はしぼみ

誰も私という存在を

全て奪い去ろうとしか見えない

そしてそれはいつか来る

誰にも買われなかったとしても

私の最後はいつか来る

それがどの様になろうとも


それは実に突然だった

私を一匹の黒い犬が加えて八百屋の店先から走り出した

その犬は八百屋のおやじが叫んで追いかけるのも気にせず

人混みの中を走り

ついには誰もいない藪の中に駆け込む

そこで犬は私を地面に置いてこう言った

「あんたはリンゴじゃない」と

果たしてそれがどう言うことなのか

大体なぜ私はリンゴなのに物事を考えられているのか

そのことについてそのとき始めてきがつく

「あなたは」

私はそこで意識がなくなる

「おい起きろ」

私は誰とも知らない声に揺さぶられるように起きると

そこにいたのは

黒い犬ではなく

警官だった

「あんたこんなところで何で寝ているんだ」

私は起きあがれることにも驚いたが

大体ここがどこだか分かって実に驚いた

そこは私の実家であった

それは農園などではない

なにもない砂漠であり

そしてそこに立っている黒い警官

「あなたは」

「私は時間警察の物です

あなたが時空の中で物事と意識が入れ替わったために

今私はここにいるのです」

「しかし・・・それならどうして・・」

私は故郷の砂漠を見ながらそんなことを言った

言ったがどうしてここが故郷か分からない

どうして私がここにいるのか分からない

なぜどうして何が

私はただおもう

なぜと

私はリンゴであった

私は私であった

私は何でもなかった

わたしは、わたしは、わたしは

どこまでも自己の中

どこまでも自分の中

どこまでも誰でもないそれにこだわり続けた中で

また私は自分を意識する存在となり

世界のどこかに存在するのだろうと思う


ドールイタチ


僕は、誰だ、鈴木多朗と皆に呼ばれているが、そんなこと見に覚えがない

妹は、俺を、お兄ちゃんと呼ぶが、その顔も知らない、そしてどういう事情があるのか、俺と妹は、二人暮らしのようで、他に人間はアパートに住んではいないようであった、そして更に不思議なことで、僕は非常に、物覚えが良いらしく、授業で分からないことはなく、教科書さえ暗記しているようで、先生の問いで、分からないことはなく、文章を読めと言われても、教科書が必要な物はなかった、しかし、其れでは怪しまれると思って、教科書を持ったが、逆に、持ったことに驚かれてしまった、家に帰ると、様々な料理が、子供二人暮らしにも関わらず、豪勢に並べられていた

、場所が狭いアパートであるから、おかれている台は、それほど良いものではなかったが、その上に所狭しと並べられ、中には机の下にまで置かれている物は、レストランに出ていてもおかしくない彩りと品数である

「これを君は一人で作ったのかい」

すると、妹と名乗っている女性は、頬をぷくりと膨らませると

「君なんて他人行儀な、私たちは、兄弟ですよ」と、怒る、僕は、一言詫びを「ごめん」と、言うと、すぐさま、熱したかき氷のようにその表情は溶け、いつのまにか、最初のような、ニコニコとした顔に戻った。その顔を改めてみると、中々整った、美しいものであり、髪は、長く、腰元まであった

「どうしたんです、私の顔を見て、何かついていますか」

彼女・・いや、妹はそう言うと、「いただきます」そう言って、箸を持った、僕も食欲がわいてきたので、そのマンカンゼンショクのような料理の末端を、箸でつついたのである


「其れで僕は何処で眠ればいい」

僕はそう言って、先にふろにはいったいもうとに聞いた、この部屋は狭く

台所と、部屋が一体になっており、風呂も、共同となっていた、もちろんトイレも例外ではなく、二階にいる僕らは、したまで降りなくては、ならない

「何言っているんですか、いつも同じ布団ですよ」

とんでもないことを、妹が言った、生まれてから昨日までの記憶が一切無く、さらには、今朝目覚めたときから、僕の人生は、始まったような気がしてならないほどである、しかし、そう言うことをさしおいても、一つの布団の中に、妙歳の男女が、一緒に寝るものだろうか、其れこそ、極寒の寒さだというのであれば、そう言うこともやぶさかではないだろうが、今は梅雨である、そこまで冷えることはない

「イヤですか」

妹が、泣きそうな目で、こちらをみた、しかしそうだろうか、そう言うことを、悲しそうだからと言って、見過ごすべきでは

「・・・・」

妹は、僕の方をみた、僕は相変わらず悩んでいたが、どうやら、押入には、大きめのこのめのまえに、一つ敷かれた布団しかないようであった

深夜、僕の隣で温もりを感じていた、一睡もしていない、ただ、振り子時計の音が、ジンジンとうるさい、僕は、近くを走る車のライトを窓の遠くでみる【眠れない】幾度か夢に落ちそうな事はあったが、どうも、妙ちくりんな夢のせいか、それとも、妹のせいかは、分からないが、夢が冷めてしまった時計だけが、ジンジンとなっている


「なあ、僕は誰なんだ」

お兄さまが、妙なことを、口走っていた、いつもなら私が隣で起こすのに

今日は、机に座って、この世の終わりとでも言うような白い顔で、悩んでいた、其れが朝日に照らされて、何ともいえない絵になる風体を、作っている

「どうなされたんです、お兄様は、お兄様です」

私はお兄様の顔を見ながら、そう言った

「・・僕にお名前は」

お兄様は、まじまじと私の顔を見て、そう言う、本当にどうなされたのだろうか、そんなおかしな調子でしたのに、学校には、いつも通り、出発したので、私は、こう言うこともあるのだろうと、思おうとしていた、帰ってくると、私は、腕によりをかけた料理で、お兄様を出迎えると、早速ご飯に誘った、すると、今朝のような、驚いたような顔で私を見ると、また悩んでいる顔に変わっている

「さあ、食べましょう」

私が、一人いただきますと言うと、お兄様もそれに続いて、箸を、持った

相変わらず、様子はいつもとは違う、それでも別人というわけではなく、そのにおい、その体、そして、その所々にでる仕草は、お兄様である、しかし、どうも、記憶が曖昧なようで、私が布団を引いていると、「何処に寝ればいい」と言い出すしまつでした、まさか、本当に自分のことを忘れてしまったのでしょうか、でも、そんなこと、私は先に布団で横になると、恐る恐るという風に、隣で横になりました、しばらく私も落ち着かなかったのですが、多めに作った料理のせいか、いつのまにか、寝てしまったようなのです


私は、殺人鬼だ、すべてを殺すために生まれたような男だ、殺したい、殺さなければと誰かが叫ぶ、殺して、殺して、隣を歩く女が言う、俺は殺されるべき人間なんだ、隣で男がそう言った、僕はそいつ等を殺すと、素早く、返り血を、拭うと、あらかじめ持っていた、着替えに着替えると、そのまま妹の待つ家に向かった、そこには相変わらず、豪勢なものを、作っている妹がいた、僕は、血塗れのTシャツなどを、彼女に渡すと、そのまま、できあがった、夕食にありつこうとした、しかし、彼女が、「いただきますは」と、にらむので、僕は彼女のあとに続いて「いただきます」と言った、風呂に彼女が入った後、僕もはいりに行った、六時から八時までが、女性、八時から十時までが、男性だ

「・・・」彼女は、先に寝ていた、僕は隣に潜り込むと、そのまま溶けるように、睡眠の中に入った


彼女との同棲は、何時からになるのだろうか、彼女の年齢も知らないし、彼女がどうしてここに居続けるのかもしれない、ただ、すぐ自殺しようとするので、僕は、ずるずると、引き延ばすように彼女と同棲というか、共生していた、死ぬにはもったいないほど美しいし、料理が彼女は上手であった、馬鹿や阿呆かという事無いくらい、彼女には教養があるように感じ、その動作の端はしに其れが見受けられた、そして、いつの間にか、なし崩しのように、彼女との関係は、徐々に浸食するように、恋という形へと崩されていったが、相変わらず、彼女は、同じように動き続けていた


僕は、一冊の本を取った、其れは教科書に混じって、明らかに、普通の本当風であり、英語で「ドカンのメモ帳」と言う、意味の分かりかねる題名がつけられていた、しかし、僕の記憶のない意識の中で、其れが、「忘れ物」と言う意味だと、僕は知ってもいた、アメリカ特有の言い回しだ、しかし、一度読んだ物は、すべて記憶しているらしい僕の記憶には、その本の内容が、一切思い浮かばなかった、僕は、本のページをめくってみた、そしておかしな事に、その内容は、明らかによんだことがあるにも関わらず、一切、記憶にないと言う、おかしな現象が僕の前に突きつけられた

そんな時、授業を開始する、ベルの音が廊下で聞こえた

「ねえ、田中」僕の背後で、女性の声が聞こえた、振り返ると、着物服姿の女性にしては短めの髪の女がいた、もちろん生徒であろう

「・・・」僕が、そのかおの知らない女性を見ていると

「なんだ、きょとんとして」と、怪しまれたようだ、しかし、この女性は、女性にしては、言葉遣いが荒くないだろうか、今この世界で知っているのは、妹と、授業を教えた二人の教師、あと、休み時間のときに聞いた女子生徒のわずかな会話である、しかし、それに比較しても、明らかにその言葉は、男に近い

「今日はよれるんだよな」彼女は言った

「まさか、今日も無理なのか、これで、五日目だぞ」

五日目と言われても、知らない物は知らないとしか言えない

「・・・まさか、彼女でも出来たとか」彼女が居るのかどうかも分からない

「まあいいや、気が向いたらで」そう言うと、彼女は、鞄を持つと、教室から出ていった

「僕は、どういう名前なんだ」

数学の教師は、僕を「斉藤」と言った

国語の教師は、僕を「富保」と言った

理科の教師は、僕のことを「早嶺」と言った

そして、男のような口使いの女は、僕を「田中」と言った

はたして、これのどれが本当なんだ、そう言えば、妹は僕のことをなんて言うのだ、ぼくは、急いで、教室を飛び出した


「眠れないんですか」遠くで、時計の音がした、そのいじんじんという音を消すように、妹の声が、横でする

「ああ・・ぼくの名前はなんて言うのか考えていたら」

「あら、お兄様は、お兄さまですわ」

ぼくは、横を向いた、彼女は、整った顔で、ぼくを見ている、ふんわりと、甘い匂いがする気がした

「いや、・・だから」

「お兄さまはお兄さまです」

「ぼくの名前は」

「お兄さま」

「違う、なら君のは名前は」

「妹です」

「そんなこと」


遠くで、時計の音が、ジンジンとなっている、ぼくは、気になり、部屋を出た、もちろん部屋の時計だから、部屋から出たら、時計の音はしなくなった、代わりに別の目的が二つあった、其れは部屋を出たときの時点で一つプラスされた

「トイレですか」

妹ではなく、扉を開けると、横から女の声がした

「・・学校の・」それは、男のような仕草の女であった

「ああ、しかし、君はどうしてこんな真夜中に」

「まだ、七時ですよ」

「そんな馬鹿な、風呂の時間は」

「風呂・・何のことです」

「風呂は、七時から八時が女性、八時から十時が、男性だと決まっていたんじゃ・・其れでぼくは」

「何時の時代ですか、今の時代、一つの風呂を男女で使うなんて、其れも温泉でも何でもないのに」

「・・・本当に今何時なんだ」

彼女は、その言葉を聞くと、腕に巻き付けてある時計をむせた

「ほら、七時じゃないですか」

其れは、一時を差していた

「なんで、ここにいるんだ」

「・・






ダメですか」

「女性が一人で」

「あなたは、僕のことを、男のようだと思ったでしょ」

「・・・それは」

「なら僕は男なんですよ」

「・・・帰ってくれないか、何なら送るから」

「結構です、男ですから」

「・・・」

不意に、その男は、僕の手を、自分の股間に押しつけた、そこには、男の逸物の感触がある、こいつは実は男だったのか

「ほら、男でしょ」

「・・何でそんなことしたんだ、男同士」

僕は、長年一緒にいた親友を今まで思い出せないことに、腹立たしさを覚え、そしてそんな馬鹿な悪戯をするような人間ではなかったと、知らない記憶がそう告げていた


「大丈夫ですか、先ほどからうなされて」

横を見ると、昼間の教室で、みた、男のような女子学生がいた

「どうして」

「どうしたのです、おにいさま、私をそんな怖い顔で」

「・・・・・君は妹じゃない」

「酷い」

「・・あ・・いや」

彼女の余りのあわてぶりに、僕は一瞬恐怖した、その目に宿る眼光は、酷くはかなげで強烈で、一瞬の稲妻のように、僕の眼光と、響くはずのない稲光を、騒音を、頭にたたきつけた、目の前を見ると、手首にはものを突きつけている、妹がいた、其れは本当に妹であり、あの髪の長い、人形のような


私は、メモ帳を、見ていた、隣で、兄が寝ている、本当に兄だろうか、私は、メモ帳を見ている、題名は「ドカン・の・メモ帳」兄が書き残したものだジンジンヤカンが鳴っている、私は、兄を見ながら立ち上がった、ヤカンが、ジンジン鳴っている、本の中では、時計だった、しかしそんなとけいはない


「ここで、妹は、時計はないと言っているが、これはあくまでも本の中味であって、本当はあるのに、兄の心が、これを変出的に置き換えた破壊願望の現れとも防衛本能からくる愛憎だとも取れる」

ひどく若い教師が、短い髪を振り乱しながら、必死に、分けの分からないことを黒板に書いている、もちろん僕には、内容が分かった、しかし、どうしてだろう、あの髪の短い女教師を、見たことが、あるような気がする


私はドライブをしていた

しかしただのドライブではない

社内は軽快な音楽が流れ

座席には先ほどコンビニで買った

あめやら何や等のお菓子が袋のままおいてある

私は準備万端の上

高速道路に乗ろうとしていた

父親に借りた、この車には

ATMだか、CTだかが乗っていて

料金所でお金をわざわざ止まって、払わなくても良いらしい

良いらしいとは言っているが

こう見えても、一応自動車免許は持っている

しかしだ

問題点はそこ以外にある

しかしそれは問題と言うにはあまりにも

楽しく、不気味で、わくわくして、それでやはり行きたくないような気もすることなどだ

こういう物は、普通、数人の好き者の人間で

おふざけ半分で行くものと決まっているが

しかし

私は今一人である

幸いなのか

大型車ではなく

今乗っているのは、軽である

緑色の軽

四人乗れば狭いくらいの物であり

私とお父さんが乗ればそれで良い我が家では丁度良いものでもある

しかし

こう言うことは

本来は数人でやるからおもしろいのかも知れない

しかし

それ以前に

私はそれほどわいわいする人間もいないし

大体

楽しみに人をすれ込んで、気を使うよりは

こちらの方がいいだろうとも思う

私は夜の高速を走らせる

走らせているが

その祝いに

高速に入る前に口に入れた小梅ちゃんの大玉が

わずかな粘りけのある液体を外に出し

もう半ば消えかかっている

本来なら

一カ所崩壊しても

そのきえかたは

溶けた場所が曖昧なため

なかなかそれでも口の中に残るのが布石でもあるが

しかし

奇跡的に満面なく嘗める私の技で

そのとけかたは雪解けのようにあっさりした物だった

しかし、このどこら編に私の気に障るような出来事があるかと言えば

運転中に、隣の助手席に置いてあるあめ玉の袋を

運転しているがゆえに取れないと言うことだ

こう言うのも何なのだが

私は普通なら二週間で取れるマニュアル車の免許を

その倍の期間を要して

なんとか手に入れたような人間であり

そのゆっくりとした期間があったせいなのか

私の県で行われる運転免許試験は、無事一発合格を得た

そんな私なのであるが

その運転免許の運転技術を得るために通った

運転教習場の運転免許合宿で

私はそこから通うのであるが

その通った先の教習場で

なんと、精神状態が

一番最悪のSだったのだ

それこそ始めてこの試験場に足を踏み入れた時にやった試験のとき

私はその試験で

実にまんまと素直に書いた

それこそ

「自殺を考えたときはありますか」

これに

「YES」と書いてしまうくらいのバカはやる

しかしそんなことを書いてしまうような人間であるから

よほど人間をこじらしていた時期とも言える

そして今上から目線でいってはいるが

たいして変わらないことも確実だろうと思う

とにかく何が言いたいかと言えば

あれほどまでに、失敗の連続だった私は

よそ見すれば信号無視

普通にしても信号無視

音楽聴けば・・・

何をしても、集中力が辺りに散っている

そもそも、言きたくなかったと言ってしまえばその通りなのである

私はどっちかと言えば、歩いたり自転車の方が好きである

少なくともバイクや、車や電車や飛行機よりかは

全く持って良いものだろう

少なくとも自分は運転だけはしたくないと思っていた

と言うか

運転免許自体取ることは不可能と思える

大体高校に行かなかったような人間である

なのに免許を取る意味が分からない

それは

魚嫌いなのに

なぜか明太子は大好きという

プライド問題を傷つけかねないメンタル的な話であり

正直

車を取ったとき

従来の一生懸命な私を一人殺した気がした

きっと、こうして人は、新しいことを一つ無理矢理覚えるごとに

従来の自分を一人殺していくのだろうと思う

なお、その後、に起きる「虫歯」「詰め物に菌」「顎関節症」等々の

魔のは医者嫌い伝説は、そのもっともたる第一原因ではあるが

思い出したくもないので音楽を聴いて忘れることにした

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