い
夜中の道を歩いていましたら
どこからともなく、瞑想中のような奇っ怪なラッパの音色が流れてきたものですから
ラーメン屋に違いないと、懐の財布を、確認して
薄暗い路地に、入っていったときのことです
私は、そのときには、
気が付きませんでしたが、背後で、物音がしましたので、振り向いたときには、それはもう、動く絨毯という有様で、色々な種類の猫と言う猫が、コンクリートのみならず、いるわいるわ、ブロック塀、ゴミ袋の上
郵便ポスト、よくよく確認してみますと、私の頭に、小さな子猫が乗って居るではないですか
私は、猫の背中をつまみますと、安全なところに降ろしたわけです
その際、子猫が実に不機嫌に、鳴いてみせる物ですから
私はつい「ニャー」とよくわからずに声を発したもので
それについては、特に言うこともないのですが
問題なのは、そこではありません
よくよく、耳を澄ますと
猫達が、なにやら、喋っているように聞こえるのです
それは、人間世界の社会情勢だったり
私には、計り知れない
猫達だけが見える、人間の世界なようで
私はただ呆然と、呆れかえるほどまでに
見ていたのですが
不意に前方に、明るいサーチライトかとみまごうかのような提灯が、つるされたラーメン屋が現れたもので
猫達は、日に照らされた影のように、辺りを、逃げ回り消えたのです
私はただ呆然と、先ほどまでの不可思議なことに
思考を切り裂いては居たのですが
奇妙なラッパの音色に誘われて
席に着く頃には、皿の上のラーメンを、ただ馬鹿のようにのぞき込んでおりました
こころのこころのこころのこころ
「ええー長らくお待たせしました、炬燵探偵・炬燵、推理の話になります
この話の見所につきましてはみなさまもご存じの通り・・・・
お知りにならないための方に一つ言わせていただきますと
統計無形な推理のない推理が語る推理の推理小説ではない統計無効な
小説というなのただ文字の書いてある群衆の中の落ちこぼれた形のない一つでございます
お耳よごしのため、よく耳掻きをしておりませんと
しまいには話が詰まって何も聞こえなくなりますので御料しゃください
ではでは」
よく老舗でもないのに「さん、さん」付けるのをよく聞くが正直これは耳よごしだと私は思う
さていきなり現れた私は突然出てきてドドドロン、、なんてよく分からない不適合生物ではなく、強いて言うなれば人類学的ではなく
生物学的に言うなれば「ヒューマン」・・ホモサピエンスである
だからどうしたと言われるだろう
ここにも字がありそれを書いている出あろう私が人間でないはずがないと
それはごもっともでありお前の人間の小ささをそこに具現化してしまっていただろう
私が人間だと思ったのであればどこかの貴族の名前が付けられた猫ほどに私のことを甘く見ている
私はそこまで甘くない・・・いや賢くはない
私は名前がありそしてしっかりとした職を持っている
世界で三人もいない奇っ怪なものばかりを集める・・・いや頼める探偵事務所の社長にして社長なのだ
・・・・つまりは社長である
この社長という定義が一つの事業を成立させたものに付けられるなら私は立派な社長さんである・・・いくら社員が一人もいなくても
いくら色気のある無い、ブスに関わらずそのような人間がいないにしてもだ、私は年収うん十万以上の社長に代わりはない
「つまりそれは見立て殺人により・・・・・・あなた」
私はみかんの置かれた炬燵の上から、右隣にいる緑のセーターを着た
優しげな人物に、その細く白い指を突き立てた
別段まんま突き立てたわけではない
本当に距離を置いて突き立てたのだ
・・・・突き立てたのだ
出来るならやって置いた方がいいだろう
コタツの横の人物にその右でも左でもその指を突き立てて
本当に出来たのだ
「ゴッホン」私はとうとつな不自然な咳払いの後
泣き崩れる彼らを後に事務所に三つあるほう片方のコタツに入る
別段片方と言っても三つある言葉の綾である
表のほうでピンポーンと音がした
それはもちろん誰かが来たわけであり
そしてこのの事務所に一人しかいないわたし以外にそれに答えるものはなく、もし答えたらそれはそれで問題であり事件である
こんな事務所で事故が起こればそれは間違いなく致命傷であり
ほって置いても崩れそうなこのビルほどにこの事務所は危ないのである
自然に実を任したと単それは自然消滅を意味する
そしてもしもスキャンダラスな事でも起きた日にはそれは火事を出す以前に大問題であり、まるで消し炭のように私の繊細なセンチメンタルジャージー牛乳のような白一色の牛乳を水道に取り付けるあの何かよく分からないものに通して壊すことに等しい
そして私はただの無色透明な空気にも等しい
何かにふれたとたんその色に変色して自分を保てない
まさに地球的に考えてもそれは社会不適合者に歩かならない
・・・と言うか誰か救ってと思うが
しかし誰も救ってもらえることは無く
かくしてそんだ両親が残したいつでも壊れてしまわない保証はないビルに今一人事務所を構え、その下にはただ同然で、いっさい壊れたときの責任は問わないと言うことを前提に、ホームレス半ばの情報屋と契約していた
ちなみに一月五千円、一つの情報料があればそれから差し引くかただになっている
そして今私はそんなことは全くいっさい片隅にも少し思ったかも知れないが、そのさっきから一回だけなったのでもう行ってしまったのかと心配しながら誰もいるなと思ってそのとびらを開く
「こんにちはペリカン宅急クール便です・・」
私は余りにも明るいその言葉に半ばそのとビラを占めそうになって必死にこらえたがかなり堪えた
「こちら・・」
「はい合ってます」
「・・・・炬燵さんの・・」
「合ってるって言っているでしょう」
「はいすいません」
年の頃は二十五、六何ともしたにもなく上にもなく
反吐もなく、明るいような人間におもえた
「今回配達させていただいたの・・・」
「判子ですかサインですか」
「どちらでもよろしいですが・・・今回配達・・」
「はい書きました・・・それ寄越してください」
「はい・・しかし」
「ありがぉぉ」
私は話し半ばに扉を閉めた
まるで牛乳のようないやに健康的な人間を見ると私は逃げたくなる
何とか閉めたがそれは実に無礼だろう
それこそ・・・
ピンポーン
なんかなっている
入れ違いに誰かきたか
「こんにちはわたくし」
私はあの牛乳のような健康なのかどうか分からない飲み物
そしてそれのようなそれが偽物でも健全な雰囲気の男がまだいてその
扉の向こう側にいたことに恐怖して
閉めた
・・・・・果たして開けた方がいいのだろうか
・・・・そうかんがえるともう一つにもつがあったのかも知れない
「すいません荷物渡して」
私は鍵というかチェーンをかけて少し開けてそういった
「いえそういうわけで・・・」
どうやら違うのにまだいるらしい
もしかしたらとなりと間違えたか
・・しかし炬燵なんて言うのはここら変では家しか居ないし
世界中でも家が最初で最後らしい
別段母と父の代が初めではない
その前にもいく重と積み重なった饅頭・・・いや絨毯・・そう座布団のごとく居るのだが・・かく言うそのときでさえ家は一見しかなく
分家はない本家だけと言いう変哲なものを作り上げていた
それは別段炬燵の中から出たがらない出不精で、家だけで婚姻を繰り返したような感じのいい感じなのか悪い感じです事ではなく
ただ単に分家を作らないだけである
しかしそれは差し置いても何だというのだ
まさかわたしにプロポーズでもすると言うのか
自分で言うのもなんだがしかしそうなら奴はかなりのロリコンだろう
自分で言うのもなんだが・・・・・ふひひひひ
とっ、まあ馬鹿な妄想は置いといて・・一体間だ何があるというのだ
「何ですか」
私は玄関にあったマスクにサングラスに帽子を付けた上に
さらには二階にセーターとマフラーを取りに行った上で
片手に防犯ブザーを握りしめて再度チェーンを確認した上で、すぐにドアを開いて距離を置いた
「すいません、わたくし・・」
私はあまりの緊張感から奴がいるドアを蹴って閉めてしまった
内側に開けるタイプではないので何ともないだろうがしかし
家は外側ではないのでやはりそれは危険な行為だった
・・・いや始めはやっぱり後と同じで危険か・・
「すいません」
私は一応の謝罪と共に扉を開けた
「・・・・・・・」
相手の声が聞こえない・・あきれて帰ったことを祈る
「・・わたくしペリカ・・」
私は思いっきりとをけっ飛ばすと三重ロックを閉めた
鍵・カード・指紋認証
それこそ殺人をおそれたわけではないが何となく死亡フラグのようなきもしないではないものまで立ててしまっている気がする
なお携帯類は電話メール手紙一切嫌いなので使っていない
唯一赤い黒電話が事務所になぜか二台ある
・・・・・なぜ二台あるかについては真相深く追求を拒む
なおするな、しないでくれ・・・するんじゃえねえぞ・・・馬鹿野郎・・・・バカ・・・カバ・・・とにかく私は電話類一切嫌いである
・・・・・どうする・・今更居留守は使えない
なればいたけど留守と言うことで・・・みたいのもつかえるかどうか
・・いや使えるだろうが・・世間体が
ここまで来て世間体なんてものがあるのだろうか
・・・ない・・・しかしその世間体からさえ逃げたとき
私はわずかににやつかせる笑顔ほどに白い白髪を残した坊主並みの恐ろしく人間以前の恐ろしさを残したものが
そんなことをいった瞬間に私を夜な夜な悩ませ思想空間のため
どこまでも追いかけてくることは予想に優しい
「すいませんなん・・・」
私は決心して最後まで何があっても聞こうと思う反面
謝りながら閉めてしまった
何やってんだ私
その心の奥底では素直な私が
「やーい、やーい、ざまあーーーみやがれ」と誰に何がザマーナのかよく分からない子供魂も一人燃やし
それを消化することに難しさに私は一人身を焦がす思いで消火していたが
それはまさしく、花火のように水の中でも燃え続け
私をさらに一人困らせた
結局その炎は燃え尽きるまで待つしか無く
また燃え尽きたら燃え尽きたらで別のを付けたくなるのだから始末に負えない
そしてどんな人間でもやってない不利をして
後ろ手にはとんでもないものを持っていたり、線香花火をチリチリやってほくそ笑んでいるのだから馬に殺されてけ飛ばされろとついまたそんな花火を思いながらつけてしまい始末が終わらない
なおそんな花火をつけていない人間は死人も同然であり
その中の出来ている人間はみんなそれに類するため
私はそんな人間の中では、またいくら死人になろうとしても目立つのか
しかし目立たないなら目立たないでなんか不満な私の心は
やはり一人静かにこの事務所というなの埠塔と言うかこのくすんだビルのごとく色のここで一人炬燵で精神統一していたいものである
「南無南無」
・・・しかし南無阿弥陀仏と言うものは悪魔で当て字であって・・・
ってそんなことどうでもいい
「こんにちは」
「あのさっきからなんなんで・・」
私はまたしても次にくるであろう暴言以前に、なんかいやで扉を
ゆっくり閉めた
・・・・・・もういいや
私は三重のロックをかけて奥にあるまっくつのような炬燵に向かうのである
世の中には、楽しいものと、楽しくないものと、後、普通の者が居る、そして、普通とは、いつの時代も、一瞬の夢にすぎない
夜が明け、一人のサラリーマン、時間堕 興味は、目を覚ましていた、いつものように、だるい、ぶじょうひげを、布団の中でくすぶらせ、めをあけるかあけないかで、非常なる長考に、入っている、その間にも、時間は、一刻と過ぎ去っているが、興味に、その観念が、抜け落ちていることを、気にする余裕はない、結局抜け出した頃には、もう、朝食をろくに食べる時間もなく、ただ、コーヒーを、一杯ながしこむと、そのまま、外にでた、外は相変わらず、寒い、三年前の隕石墜落により、当たりは、非情な寒さに包まれていた、℃マイナス百度、それが今の現状である、そして、地球人の大半が、死んだ中、この男のような、通称サウナと呼ばれる
地下フィルターに、入れなかった、選ばれざる人間の中に、生き残っている人間も居た、その人間を、第二進化と呼ぶ者もいたが、興味の興味の対象ではない、なぜなら、前ありで知らない内に、何か言っていようが、
明日の晩飯もろくに保証されていない興味には、それこそ意味のないことであった、それでは、一体興味はどうして、外に出たのかと言えば、それは、二つある仕事の内の一つの仕事をするためだ、第二進化をした人間は
大まかに二つの道を選んだ、一つはその人間で、コロニーを結成した場合
もう一つは、単独で、狩りをする者だ、この時代、人間だけが生き残ったわけではなかった、小さなネズミは、さらにその体を小さくし、ゴキブリも、その例外ではなかった、しかし、どういう分けか、海の生き物は、」陸上とは、反比例するかのごとく、寒くなればなるほど、温度が低い地方ほど、その体を巨大化させていたのであった、そして、人々は、凶悪な、強い、海の生き物ではなく、陸のこずるがしい生き物を、食べることを選ぶのであった、そして、興味も、その中の一人であるが、その他大勢との違いは、海に行くことであった、海に行けば、大鰯なる、全長百メートルの鰯の大群が、氷の海を砕きながら泳ぎ、それを、その数十倍の鯖やら鰺やら海豚やら何や等が、追いかける姿は、身長が、ちじんだ進化人類でなくとも、恐るべき巨大さに写る、しかし、興味は違った、海岸線にでると、スクーターからおり、懐から、ガチャカプセルほどのボールをうみに投げる、驚くべきは、音速を超えているにも関わらず、そのぼールが壊れないこと以外にもある、もちろん、ちょうきん力とでも言うべき興味の身体能力のすごさだ、しかし、興味は、その身体能力よりも恐るべき事で、動物や魚を狩る、それが「ロボット」であった、興味は、海へと落ちたロボットを、確認すると、懐から、ラジコンを動かす操作ボックスを取り出す、次の瞬間、高速とも取れる、指裁きで、興味は、海中に沈んだ、鉄の塊のようなロボットを、起動させた、瞬く間に、海に、閃光が走り、海中を、真っ赤な血が、埋め尽くした、本の二、三秒のことである、それが終わると、軽々と、数十メートルは、ある、魚を、担いで、町に戻るのであった
「いつもすまないね」
鉄で覆われた壁に、唯一小さな扉がある、ここは地下百メートル、その入り口で、白いずきんをかぶった割烹着姿のふくよかなおばさんに、子供が、伝票を渡した、この場所は、通称サウナ、世界で最後の楽園としょうされた場所であり、そこに物資を届けることが、もう一つの職業としてのビジネスである、普段、引きこもりである興味に変わり、近所のホームレスチルドレンが、その役割を、引き受け、販売活動を、行っていた
「それじゃあ、金はもらっていくよ」
そう言う少年とも少女とも見受けられる子供は、茶色い茶封筒一杯に、入った物を握りしめると、地上まで続く永遠ともいえる暗い階段を登り始めた、そこでもおもしろいことに、一切光がないにもかかわらず、子供は、意気揚々と、恐るべき早さで、走っている、しかし問題は、その早さでもあるが、それよりも、光のない場所で、まるで見通せているかのように動くその行動でもあるが、単純明快なことに、子供は、音を、通して、その位置を、反射させて、聞いていたのである、子供は、お金を持つと、そのまま、一人しか住んでいない、廃マンションの32階まで行き、そこで、一見の扉を開けた、電気が通っていないので、チャイムが鳴らないし、大体、ここの住人は、ドアを叩こうが、爆破しようが、人見知りが、その接触を、最大限に拒むのである、だから、いきなりを装うことにしていた
「ああーああああ・ああああん」
雑音に混じり、部屋に卑猥きわまりない音声が漏れ出していた、まさか、あの極度な人間差別人間が、ガキは、そう思いながらも、部屋に侵入を続けた
「っあ」少年の口から、声が漏れる、まさに、決定的瞬間をとらえたと言うべきか、興味は、毛布にくるまりながら、発電中である
「うげ」
まるで蛙を、挽き潰したような声を出して、興味は、固まり続ける、しかし、少年は、実に平穏を装い、札束を投げる
「・・じゃあ」
そのわずかな隙間に、少年がなにを思ったのか、どちらにしても、興味は、固まっていた
この世界には、派閥が存在する、いわゆる、冷凍ワールドの領地争いだ、なにが楽しいのか、自らの国を一から作ろうとしている、幸いなことに、どこに、いおうが、そこは雪と氷しかない、ただ自分の威厳を保ちたい固めの産物でしかないと、一人、興味は思っていた、晩飯は、刺身である、ただただ刺身であった、主食はなく、ただその素材を食べ生きることのみが、ここの食生活だと言っても良い、地下の旧世代は、人工灯で、麦や米を作り、飯を食べ、パンを食べるらしいが、この地上でそれを手に入れた進化人類など居ないだろう、大体、そうまでして食べたい物でもないと、興味のない興味は思う、今画面に、外の光景が、写っている、どういう分けか、隕石落下直後から、徐々に夜の闇にうごめく物が、目撃され始めていた、それはまさに、【闇】とか『影』と呼ぶにふさわしいもので、影のようでありながら、影の大本、それを作る物がいないというのに、動いたりする、危害を加えるなどの被害は、報告されては居ないが、だからといって、安全というわけではないだろうと、皆が思っていた、興味もそうだが、どちらかと言えば、興味本位からくるのぞき趣味と知識欲とでも言うべきなのだろうか、しばらくそれを見ていたが、人の影のようにも見える物は、相変わらず、何かから隠れこそこそするように、ウゴくばかりで、特に何か、行動を起こすこともなく、いつのまにか消えているのが、常であり、今夜も例に漏れることなく、相変わらず、模範的に変わらなかった、夜食に、サンマの刺身をひとかたまり食べると、急に眠気が、興味を襲い、そのまま、歯も磨かず、興味は、ベッドに溺れることになった、明くる朝、興味は、目を覚ますことがなかった、なぜなら、興味は、見事に死んでいたのだ、いや、死んでいたという言葉はおかしい、実際には、壊れたと形容詞すべきだ、興味は、壊れたのだ、それは心的なものではなく、決められた寿命内での自己停止と言うべき物である、興味は、いつのまにか、止まったことに気が付いていない、ただ、いきなり明くる朝がこなくなっただけであった、そして、それを回収されることはない、また、興味を、訪ねる子供は居ない、もう、興味という存在が、記憶と言うべきか、メモリーとでも言える部位から、消滅し、そして、興味が行る場所に行こうという思考回路がもはや出来なくなっていた、彼らは、決められた行動をするばかりで、自分から変わったことをするわけではない、すべてが作られた、予定調和である、そのすべてが、地下で生活する知恵であった
我は、あなただ
あなたは誰だ
私はお前の隣を
お前の妻は
妻の隣のいとこの子供はネズミに
いとこの子供はネズミ
静かな音は好きだ
しゃべりは疲れるが好きだ
好きだがもうもくの闇に、血を喉から吐き出すほどのつらい
もうどうしようもなく私はあなたの隣にいたい
男は、学生だ
誰とも知れず死んでいく一人の男だ
名前を吉田挟武と言い中学三年だ
陸上部だ
恋人は居ないだ
好きな物はSMだ
のどが渇くと唾をためる男だ
私は、そんな彼が好きだ
それが、それが
八十三歳の老婆が起こした震撼の
夢のように、泡のように、静かなように
うるさいように
気のせいのように
嘘のように
本当を探しあなたを殺し
夢を見る
血の夢を
脳から漏れ出す赤い液体
鼻から流れ出す赤い血液
血管が爆発すると咲く紫色の色
私は、手にないふと突き刺し
誰も171過失で一人高笑いを
居ない 地下室で
一人ほくそ笑む地下の部屋で
夢の中で、私は、誰とも知れず
自分とも知れず
妻の面影を残した
殺人犯を、めっちゃクチャに
夢ではない
本当でもない
私じゃない
アナタダ
テレビに、あなたが写ったので消した
コンセントを引き抜き
はさみで切断して燃やした
それでビルが燃えた
楽しかった
うれしかった
死んだ
夜の中に、あなたを閉じこめた
その牢獄は、一度入ったらなかなか出てこれない
出口のないその部屋は
心の中に釘を差し
あなたの握手を拒んだもので
ウルサい夜
私はもう死んでいる
もはや、やられた後
てんまつの無い終わった物語の登場人物である
恐竜の骨をながめながら、私は、シーンと悩んでいる
それは明らかに、何かの骨のように見えるが
果たして何に、見えるかと聞かれても、答えることが難しいくらいに、難解な薄さを、表していた
「愛にん」
愛ドール
アイ人
「私はアイドルになる」
開口一番、入学式でそんなことを言ってしまったことについて、後々私の交友関係が、かなりせばまってしまったことは、否めないが、言ってしまったからには
仕方がないではないかと、そのときの私は思っている
自信を持って、思っていた
しかし、そのときは、朝の集会時と言うこともあり
教師陣含め、全校生徒が、口を大きく開けた、思考を、していたに違いなく、唯一、講壇の上で、こちらを、苦々しく睨む生徒会長の表情が印象的だ
結果として私は、無音で、体育館の床に、体育座りを、したのだが、あっけなく、体育館から連行されてしまった、実に、記憶によく残る入学式の一年二組
森下 雫 の思い出である
「では、来週の金曜日までに、部活を決めておくように、知っているとは思うが、我が校では、部活に入らない者は、死を意味する、すなわち、強制退場 退学だ」
教師の四角眼鏡 四谷角 が、憎々しげに、実に感情のない、無関心無関係、やっかいごとは、ごめんだと言うかのような、あくまで、最短で、簡潔に、そう言うと、ものの数秒で、帰りのホームルームは、終わった、こういうのもなんだが、この学校の偏差値は、そこそこ高い、その上、部活に強制参加だというのだから、どこまで高見を目指すのだろうか
まあ、それだけ、豊富な部活は用意、また、発生するような激戦部活とは、なってはいるのだが
ただ、そのどれにも入るつもりはない
そう、私は、ただ一つ、この偏差値が無駄に高い以外
特に、良いところの見つからない、くそまじめな詰まらないこの学校にはいるに当たり、唯一と言っていい
良点 それは、部活を好きに作れる 部作が、自由に認められる、この一点に集中していた
さいれんないと
その日僕は、カードマジックの教科書を見ていた
そのとき
「さくさく」
そんな音がした
「誰もいない山」
私はその日アパートに一人こもっていた
そして戸締まりというなの戸締まりは完璧であり
この時点でなら、きっとあり一匹入ってこれないと言うのも
あながち間違いではないのが笑えない
しかしながら元はと言えば
笑えないようなこの世界のせいで
今の現状になっているのだから
これはどうしようもなく
笑ってはいけない
もし笑ったら
それは酷く惨めになるから
最後くらい
自称的な笑みでごまかすことなく
ただ真剣にこの瞬間を楽しんでいいと
そう思いたい
そう、最後のこのひとときくらいは
しかしいつも私の空想上の考えは打ち砕かれる
それはいつものことだ
逆に打ち砕かれなかった信念などない
そう、打ち砕かれつづけるのが半ば信念というか現実だと思った
私はいろいろ買い込んだ
久しぶりの大きな買い物袋をあけて、その中から、練炭一式を取り出すと
そのままそれを持って台所に向かい
練炭をコンロの上に乗っけて
スイッチを回す
すると徐々に火力が上がり
火が練炭に移ってきたのが分かった
しかしながら私はそれを見た頃には
もうこんな事やら無くては良いのではないか
それに今更ながらに
今火を燃やしている
このガスをはずすだけで
それで死ねることに気がついていた
こんな事にも気がつかないなんて
今更ながらにいやけが私を、蝕む
金を使わなくてすんだのに
しかしながらもし死ぬのであれば
その金の無駄遣いというのも
たいして別に良いのではないかと思わずにわ居られない心境に達しても良いはずなのだが
しかしながら私はものすごく後悔していた
その後悔が
私にもはや自殺する気を失せさせていたと言っても良いのかも知れない
私はいつの間にか
山の中にいた
実際はあの部屋にいたくなくて
たまたま見つけた別荘から出ただけなのだ
それこそ空き巣のように
しかし私は今
そんな場所から逃げている
そして一人山野中を歩いていた
暗い
明かりなの何一つない
あるのは星空と
静かすぎる森の静寂
そして私という異物の存在だけなのである
死ね死ね死ね死ね
そんな手紙が今日送られてきた
宛先はなく
私はその毎週日曜日にしょうてんのように
繰り返されるそれをただ暇そうに破いていた
命を粗末にしましょう
そんな語録が道の回りをずらりと取り囲んでいる
何かおかしい
私がそう思って
振り返ったとき
私の首筋一センチに
酷くさびた斧のようなものが
食い込んでいたのであった
しかしながら私もおかしな存在であり
それについて大した損害はない
あるとしたら少々の不可解「不快」さだけである
私は首筋から別の存在が浮き出すのも感じていた
それが果たして生命体と呼ばれる物だと気がついたとき
それは私にこう言ったのだ
「さくさく」
サクサクはさくさくであるからにして
サクサク以外のサクサクはサクサクと認めるべきではなく
サクサクと進むようなこともまたそれと同様の
サクサクなのだと定義したのはいつのことであろうかと
私はサクサクと
サクサク死に続けているとなりにすむサクサクに
サクサクと説明を続けるのである
さくさくと
私は森の中で迷っていた
しかし迷うことがいずれ私から恐怖というなの感情も
頑張れば何とかなるという感情
そして死に近づくという感情のみを残していなくなることは確実に私の今の現状がおしえてくれる
しかし私は一人歩いている途中に
実に奇っ怪な音を聞く
「さくさく」
それは酷く無機質であり
それはまるで小説の中の実際を持たない空想上の物
アニメの中の現実離れした現実離れした空想
それらに類する
非日常だからこそ
日常のように錯覚するその音は
私にとって実に奇っ怪であることに代わりはない
私はこの世界のすべてが私という人間の予想外で出来ていると今まで信じていた
しかし今聞こえた音は
それ以外なのだから
「サクサク」
私は心の中で迷っていた
一個36円の蕎麦と
三個39万円の蕎麦
果たして私は林檎と商いを続けることを続ける必要性はあるのか
誰かに聞きたい物だ
私は探偵を殺した帰り道
別の探偵が無秩序な推理をしたものだから
私はまたその探偵を瓶図目にして露天に売りつけた後
また誰か現れる探偵道を
刃物を持って歩き続けるのである
私のあるく道に林檎が転がる
あなたの歩く道に屍が転がる
昨日しんだ人間の道は昨日消えたが
その道を写す心は私の中でまだこびりついて落ちない
死んだはずの馬の餌を
なぜか母親が食べ散らかしている
雲のような空を
私は今日もただ平然と頭上に置きながら
いつものようにつまらない地獄のような学びやに向かうのである
私はそのとき麻雀パイを一人の男の脳内に埋め込んでいた
その男は実に奇っ怪なほど普通の人間で
数ヶ月尾行というなのストーカー行為を働いた私が
唯一殺しても問題ない生物だと気がついたのだ
その男に実体はなく
私の脳内で今もまだ麻雀パイが
うごめき続けるのは
きっと彼のせいだろうと私は推理しながら今日も歩くのである
「さくさく・・・・さくサク、さくさくさくさ・・・さくさくさくさくさくさくさくさくさくさく・・・・・・・・・・・さくさく・・・・・」
「さくさく」
短いあとがき
私はサクサクという言葉が四六時中頭から離れない
朝起きてもどこからともなく
「さくさく」
お風呂に入っている最中も
どこからともなくそんな音が聞こえるのです
・・「さくさく」と今も
サクサク
世の中には不可解な物が存在する
それは歴史を紐解けば実に明快であり
何かの一大事には
何かと怪しげな噂が漏れ得出すような文献がそこにはある
そしてそれのほとんどが
後生に作られた偽物と言うが
果たしてすべてがすべてそうといえるのだろうか
もしかしたら
どこかの国のように
国家直属の秘密組織が
その存在をあやふやにするために流した
ガセネタなのかも知れない
どちらにしても
それを知るすべは一般人にはすべからず
難しく
そしてまた
気にする物はどれほどいるのだろうか
もし居ても
その真相にたどり着く前に
また
知った後に
消されてはいないだろうか
どちらにしても
やはり知るすべは
我々にはない
それはあの忌々しき事件から
早くも一週間(七日)経とうとした、事務所での昼下がりのことであった
私はいつものように、必要かどうかも分からない資料の整理にただ邁進していたが、その資料の整理をしろという、ここの所長こと
青病 鬼気六は、いつものように、ゴミ捨て場からでも拾ってきたような
そんなぼろぼろの、もはや社長イスというよりかは、回転イスと言った方がぴったりとくる、そんないすに座って、新聞を顔にかけて寝ている、奴曰く(「これは、寝ながらにして、本来退化したはずの、第六感によって、肉眼では見えない文字を探り当てているのだ)何とかかんとかいって
眠っているに過ぎない、そして一度眠れば、三年は起きないでは無かろうかというような、まるで死体のようにぴくりとも動かないそれを横目に、やはり私は、どこでもあるような、パートとも、内職ともとれる仕事を、安月給にも関わらず、絶えず手を動かすのである、まるでこの何も起きない時間を、愛おしむように
ーしかしどうだろう、いきなりで悪いのではあるが「愛」この言葉について、なぜか瞬時に連想されるのは、道ならぬ恋いとも言う「愛人」と言う言葉になる、この一見にしてみれば「恋人」とも取れそうな、嫌見間違ってもおかしくないようなものであり、少なくとも「変人」とは、思わないであろうが「恋」「愛」この二文字を見たとき、どうも、「恋」の方が、画数の問題なのか「愛」より、一見して、薄く見える、一方は、真っ赤な、それも、どす黒さもある赤「愛」果たしてもう一方は、それを幾分薄め、さらに、ピンクになったそれに、青色までも混ぜてしまったような色を連想してしまう・・・とまあ、まあ、回り道に、遠回しに言い過ぎたが
要は、「恋人」と「愛人」果たして重い愛とは、どちらなのだろうかということについてなのだ、恋人とは、恋をする人、つまりは、相手を思うことであり、愛人とは、相手を愛することなのではなかろうか、思う、愛する、この二つを比べたとき、ぱっと見は、愛の方が、想いは強そうに見えるのは気のせいなのだろうか・・・とまあ、そんなことを内職中に考えていたわけだが・・・・ー
(さて、そろそろあがりますか)
私は先ほどから気にしていた時計を見ると、時間はもうすぐ午後二時になろうとしていた、ここでは時間が早く(別段楽しくて時間が経つのが早いと思ってそう思ったのではなく、ここが閉まる時間が午後二時なのだ)私は早速帰り支度を始めた、結局いつも通り誰も訪ねてはこなかった、これは実に嬉しい事態であり、少なくとも、とんでもない山奥にまで出張などをしなくて済む、もちろん山奥とは限らないが、平穏こそ我が出城なり、そんなことが私の最近の心の教訓に思えてならない、ならないが、私はだからといって、ここにいつまでも給料がでないのにいたいわけではない、早速家に帰って、週間プラモデル「サクラダファミリダ」を作ろうにとりかかるべく、机に出していた物を手早く片づけると、後ろの洋服たてにかかっている、薄手のコートを羽織ると
「では、かえらさせていただきます」と、間違いなく起きているかも知れない所長に声だけかけて、そのまま玄関に向かい、いつ崩れるかも知れない、そんなボロい鉄筋コンクリートであり、また薄暗い階段に出ると、そのまましたに降りて、愛車のKORAの「Sinnkai」に跨がると、
そのまま路地裏を、颯爽と去ったのであったが、もちろん近くの寂れた商店街で、名物のお総菜「害眼焼き」を買うのは忘れないのであった
僕は薄目をあけて彼女が去ったのを確かめる、このときほんのわずかな、それこそ針で刺した穴のような穴から目でのぞいたので、端から見れば、何もしていないと見られるのが普通であり、もしそれが分かったとしたら
その人間の方が、確実に異常であり、あり得ないことなのであろうと思う
しかし、どうしてそこまで僕という人間が、慎重を期さなければならないというかと言えば、それは当然と言えば当然であるが(食い物に意地汚い彼女のまでは、お裾分けと言う言葉はなく、あったらあっただけ食べてしまう)彼女のことを考えたら、やはり当然である、私は引き出しから、黄金饅頭なる、落語の大金餅をどこか彷彿させる(彼女に言ったなら、間違いなく、否定されかねない、それも黄金持ちなど知っていないのに)が、
しかしその起源はたぶん違う、なぜならこれは、ハワイ土産だからだ、なぜハワイで饅頭かということについて、今度とも立ちに聞かなければならない(きっと彼女に言ったら、それ以前に、友達なんて居るんですか、それはパソコンの中の話で、それも通販で、一人ポチッとしたんでしょう)など言われかねない、私は以前のことを一旦置いておき、とにもかくにも
このお饅頭の包装を開けることを開始した、その外見は至って普通とは言い難い、それは形的には、そこまでではない、それこそ、普通の温泉饅頭「10個入り」を二つ重ねたような大きさであり、そこら辺は、まだ許容範囲内、しかし、その注目すべき一番の点は、その包装紙にある、その紙は、まるで高級ブランドを彷彿とさせるような、そんな黒光りする厚手の物であり、もしかする砥上ではなくプラッスチック・・いやまたまた、もしかしたら本物の革製品なのではないかと思わせかねないが、やはりそれは紙なのであるが、僕は今までの人生で、そんな紙で包装してあるお饅頭を、少なくとも我が人生の中で、一度たりともお目にかかっていないことだけは少しぐらいは断言できる、もしかするとその中身だけ出された可能性がなくはないからだ、しかしそれでも特徴的な箱という意味では、少なくともその外装をみたのはこれが始めてである、僕は外装を徐々に剥がし始める、普段なら無造作に破いてしまい、後々彼女に小言をごまんと言われるが、今日はそんな気分に僕をさせなかった、まるで貴重な化石の採掘をするかのように、僕は慎重に、そのシール・・・・そこで僕は固まった
ここまで高級品しゅうを漂わせているしな物にも関わらず、その外装を留めている物は、紛いなく、それはセロハンテープという物であった、それは紙と同じ様な色ではなく、それどころか、その紙の色を表面にまで、見せることの可能な、こんな事務所にまである、あのセロハンテープと言う代物である(いやいや、ここまで威圧的に高級品の貫禄を見せつけている物が、こんなところでこんなミスをするのか、それとも外見だけということで、実際は・・・)僕はそのセロハンテープを、何か、そう、まるで時限爆弾でも取り扱うかのごとく、慎重に剥がした、いや、それは叙述しがたい、そう、それは、剥がれるというよりかは、「離れる」そう言った方が正しいように思われる、それは、私が先端をピンセットで摘んだ瞬間、剥がれたのだ、間違いなく今まで、しっかりと包装していたにも関わらず
それは、ハワイ帰りとは、思えないほど、そう、飛行機内に行くまで、どれほど圧力をかけられ、その紙という物に張り付いていたか、その証拠に
現に今まさに、この時点、間で剥がれていなかったではないか、しかし、そうなるともう一方、残り三カ所のうちもう一つも剥がさずにはいられない、これも同じ様な、ある一方向のみのと気だけ剥がれるような仕掛けであるのであるなれば、この饅頭は、舗装を留めているセロハンテープと思われる透明のテープにまで、どれほどの研究かまたは、特注なのかはしらないが、どちらにしてもこだわりがあるように思える、そしていざ剥がして私の考えは、考えではなく、確信に変わるのであるが、そのとき玄関の扉が開いていたのを、ある一点に集中しすぎていた私は気が付かなかったのであり、僕としては実に大いなる失敗であった
「その時私は、実に不可解そうにその男を見ていた」
「何なのですか」
男は怪訝そうに私をみた、自分でやっておいてなんなのだが、今の自分の行動は、自分自身に差し替えても、いや、やった本人でさえ、怪しい行動に変わりはなく、私は足音を忍ばせて、奴、すなわち彼の背後に寄り、こう言ったのだ(その時、私は、実に不可解そうに見ていた)実際は、不可解にではなく、まるでお多福の白いお面のような、そんな笑みを浮かべていたのであるが、たびたび友人からは「般若かと思った」の笑みというらしい、笑みを浮かべていたであろうことは、男の驚きように著しく現れており、もしそれ以外の驚愕に値する顔であったのであるのなれば、それは自分自身今後の未確認「面」として、調べておきたい物であるが、今現時点で、私は今現時点までの私の不可解な行動以外に、ある不可解現在進行形の、そんな奇行を目撃した、それはほんの数メートルそう、数字にして
(1000・5201mm)ほどであるが、即ち、1メートル52・1センチ先に、あのおとこが、ただただ、そう、ただただ驚きがおで、ただ固まっていた、まるで最初から動いていなかったかのように、そして私はその奇行に対する行動に対する、その前に起こした奇行は、どうして実行したかについて言うのであるなれば、それは実に簡単である、地元からは、幽霊アパートとか何とか言われている、築何年かも分からない、それどころか、耐震設計は確実にしていないであろうそれに、その文字はあった「
幽霊探偵ー奇行、奇変、何でもおかしなことは承ります」まるで水道管の工事とも、電気工事とも、その他諸々の、至って普通の仕事の依頼受け
の様なその宣伝文句の書いてある看板、しかし、しかし、しかしなのだ、
どこの世界に、そこまっで変ちくりんな宣伝文句をおおっぴらに掲げている店があるだろうか、少なくとも、昔はおおっぴろげだと思われるが、今現時点では、そのプラスチックで出来ていると思われるその路地裏に挟まれるように設置されている、少し大きめの壁に埋め込まれた鉄にささせられているであろうそれは、今では実に見る影もなく、そのほとんどが、壁を伝って上ってきたであろう蔦達に侵略され、わずかに双眼鏡越しに読み解くことが出来そうなほどである、そしてその看板の壁越しにあるであろう、その幽霊探偵なる、怪しさ固まりというか、危なさというか、詐欺の臭いがぷんぷんとしていそうなそこは、実にはいるのには勇気がいる、時に肝試しなどと言う、また一種、別の種類の緊張感ではなく、その緊張は
現実的な恐怖なのであり、もしこれが本当に危ない場所であり、一種のヤ業の店だった場合、それはやはり困ることであるが、人間物事を普段からよく見ることは出来ていない、もし出来ているのであれば、どうしてあそこまで、自分の人生にコンプレックスを抱くのか、どうして成功できなかったことへ執着をするのか、それは結局、正しく物事を落ち着いてみることが出来なかっただけなのかもしれない、
どちらにしても、物事を決めるという物は、実にただならないじょうきょうなわけであり、その回答は、実に全く持って、ただならない物なのである、こうなると、のよ中には失敗しかないのではないか、そんなことが頭に浮かぶが、正直それさえもどうでも良いと思ってしまう私とは一体、しかし、頭ではいくらクールに冷やしていると思っていても、実際その氷は
乾いた地面に雪が落ちるに等しく、ほとんど決意など意味はなく、ただ自己嫌悪に陥るための、そんな素材にも思える、その結論から言えば、人はとりあえず他人など意味を見いだしていない、されど、人は他人に自分を見いだしたく想い、無い物ねだりに、落胆する、そしてそれでも求め、さらなる高見からそのみを、現実へと落とすのである、実にばかげた話であり、私自身はなすのもためらうほどの物事にあるにも関わらず、すべからず、私自身その被害者であることが、物事の嫌らしさを具現化している、
どちらにしても、なぜわたしが、そんな危険地帯に思えるような場所へ行き、さらにはその事務所にいた所長とも、掃除のおじさんとも浮浪者とも思われる男の後ろに立ち、そこでたぶん般若ともお多福のようなともとれる笑みを浮かべていたかについて・・次回乞うご期待・・・しないで良いです
私はその時、事務所に忘れ物をしていることにきがついて、急いで職場に舞い戻った、そこには、いつものように所長が一人、いすに座って寝ているか死んでいるのかよく分からない格好で一人いると思っていたが、予想に反して私の考えははずれる、そこには一週間ぶりにこの事務所の人間以外の人間がいた、しかも普段はなすことさえだるいと言っているような、そんな所長にして引きこもりも兼用しているような人間が、その普段から崩さないと言うか、凝り固まって石にでもなったのではと言われても何ら疑わないような、そんなどうでもいい陰気な顔が、その時は真っ赤に上気して、かすれるような声ではなく、もはやからからののどを何とか言わせて怒鳴っているような感じはするが、普段から声を発していないせいで、ただ空気の漏れるようなか細い声にしかなっていない、きっと数日のうちに、のどの不調を訴えて、なおさらしゃべらなくなることは目に見えた、
私はどうでも良いが、このままこの異常にして、非常にめんどくさそうな現場を、非情に脱出しようかと、算段を決めかねていたとき、私の存在に今更ながらに影の薄い所長にきが付かれたらしく
「聞いてくれよ、サイトウさん」
と、いよいよ声さえ出ていないようなひどい声で、そう言ったのあるが、
やはり私はいつかえろうかとその時点でもまだ決めかねていた、そのままダッシュで、何事もなかったかのように立ち去ろうか、それともお茶でも出すと言って、そのまま帰ろうか、それともお茶を入れにいく途中で、この廃墟のようなビルに火をつけて、どさくさに紛れて、漏電事故と言うことで逃げようか、それとも、やはり私は色々と考えているので、その中で選ぶことが困難であるからにして、どうも決めかねていた
それでも結局私はたいしてかわらないような結論を出してさらなる行動に移ろうかとしたがしかし、どうも面倒くさいので、そのままいつも誰も座っていないソファーに、久しぶりに座ると、そのままことの成り行きを先ほどかっておいた、コロコロ一口青龍のコロッケ(トマトケチャップ味フライ味)を摘みながら、適当にお茶をすすることにしたのである
僕は一人悩んでいた、いつもいない人間がここに来るときは、実に微妙である、どこら変がどのように微妙かといえば、それはまさしく、ここという環境というか場所が、異常な場合にのみ誰かが訪れるような仕事場のせいであり、やはりそれは探偵などと言う、何らかのトラブルを抱えていない、にこやかな人間だろうと主婦だろうと、そん何人種がこない場所であり、また少なくとも、スーパー帰りの主婦がパーマを一個くらい頭に着けてくるようなところでも、少なくともどら猫が餌を探しにくるようなところではある、どちらにしても猫は人間の事情にあまり深くはないので、そこまでの追求は不要であり、不要なのであるが、どちらにしても人間の話をしている今、はやり不要なのである、つまりはどうも不景気な状況に追い込まれた、そんな心の不利な人間が、その状況をなくすためにこの寂れたビルにくる、そしてこんなところにくるくらいだから、それはよっぽどのことなのだ、それは、あたり一介の探偵事務所を回った末に、もうどうでもいいやと、なげばちの八つ当たりのような状況で来るか、もしくは近所にあると行うだけで来るようなものである、そんなことだからここは実に不景気であり、もしほんの少しのここにいる住人をのぞかられば、この事務所は実質的に倒産に追い込まれるわけであり、そうなるともはやボランティアとも、趣味の範囲とも取れるが、このさいどうでも良い、僕は目の前にいるあの女と今現在進行中継中で、あの女に見られながら喧嘩を実況していた、果たしてもはや何の喧嘩かその内容はコロコロと変わり、もはや意味をなしていないようにさえ感じるが、一度始まったその内容のない言葉の罵倒は、どうもとめることが出来ず、さらなる拍車をかけるのである、僕はそんなことを冷静に頭で考えていられるのも、とりあえず罵倒しておけばこの状況はくるくるとも割続けているにほかならず、即ち俳味のない状況なのは明白に証明をこの白日にさらし続けて彼女に見られているのである・・・まあどうでも良いと言うべきなのかもしれないかもしれないがしかし、やはりやめることは適わないのである
私はその喧嘩に意味を見いだすことは出来なかった、しかし、その突然始まった喧嘩の雨嵐は、私の喧嘩魂に火をつけた、こういうのもなんだが、私は生まれてこの方家族以外と喧嘩の毛の時も起こしたことがなく、もう誰かにふれたとたんに、もうそれだけで別の意味でどきどきしてしまうかもしれないが、どうでも良いしたぶんならない、しかしなぜ私が喧嘩を今しているかについて、それはこの良く分からない男だと言うべきところにきいいんするのは間違いようもない真実であり、それは世界が回り続けているようなくらい現実的なことに思う、それは即ちどういうことかと聞かれればもちろん自信をもたずしても答えられないが、どちらにしても私はその答え以上に、その喧嘩を中断すべきではないと思っているのだ、しかしながらなぜそう思うかについても、それはもちろん未定的に、意味が分からないのである、しかしながらそれでも本題にはいる前に、この良く分からない喧嘩のけりでも付けないことには、普段から寝付きの悪い眠りがさらに悪いものとなることは目に見えた事実である、そうなるとどうもいけないのである、少なくとも心配事という物は早急に対処するべきであり、それはいつのまにか風化するようになくなる、もしくは気にならなくなるまで待つというのもりっぱなものではあるが、それこそ虫歯を放置するにも等しい残酷な現状であり、無責任には医者にいきたまえと言いたい
どちらにしてももやもやするのは良い気分ではない、私はこれを続行するのとは別に、まるでしりとりの終わりを探すように、本題の糸口になる出口を探すのである
雪道を一人歩いていた
先週ほどに、一度雪が降ったが、其れ以降雨も降ることがなかったから
一週間前の雪なのであろう、それも、杉に囲まれた、日陰の多いこのみちならではと言うべきなのかも知れない
僕の周りでは、先ほどから膝元で、揺れている、鈴が、鳴り響く以外に
木から落ちる雪や滴の音がしている
「あーーー」何となく景気付けに、叫んでみるが意味など無い
ただ、空しいという感情も、そうで無いという感情もなく
いつの間にか歩く、そして、また叫ぶ
5分ほど山道を歩いた頃だろうか、僕は、道に足跡があることに気がついた、其れが、不鮮明だとか、だったら、それほど気にする必要性もなかったのかも知れないが、しかしそのときの僕は、其れが、比較的新しいことと、もう一つ、明らかに神社に向かうこの道を、獣のような物が歩く足跡を発見したのだ、その明らかに、しかやウサギではない物に、狸や狐かと思ったりもしたが、しかし、最終的に、犬だろうと思った、さすがに狼という考えは、浮かびはした物の、現実味を帯びず、犬という最終結果を出した、しかしどうだろう、こんな道を犬が歩けるものだろうか、一応、全ての道に石が引かれている丁寧な作りであり、昔は、すごくにぎわったとか、しかし今では、日に二、三人が上るほどであり、そこまでの華やかさはない、僕はそんなことを考えるも、足を止めることなく、雪道に足を滑らせないように歩く
20分30分
僕は歩き続けた
相変わらず、靴の足跡と犬と思われる足跡は続いている
途中途中カメラで写真を撮りながら進む
近頃、ポストカードに何か良い写真はないかと言われ、そう言う人様ように見せる物をとらない僕は、仕方なしに、このしがない街の数少ない名所(自称)に向かったわけである、本当は、その話を聞いたとき、どうもからだが疼き、居ても立っても居られず、本来、余り朝が強い方ではないが
昨晩はやく寝たこともあり、比較的はやめに起きることに成功した
「あーーー」
なんとなしに、また叫んだ
誰もいないから出来ることだ
先ほどから人の気配はない
足跡はあるが、もしかしたら昨日以降の物かも知れない
今だって、そう遅い時間帯ではない、其れ以上はやく登る人間が居るとも思えなかった、相変わらず、鈴が鳴っていた
「いやー、付いた付いた」
この道の名所は、四つある
二つは、途中と、本殿で見える、街の全体像であり
もう一つは、本殿
そして最後は、なんといっても、本殿近くに設置された、わき水であろう
何といっても、水は良い、しかも、其れがゴールに用意されているのだから、全国を探しても、これくらい良い条件は以外と無いのではないだろうか、しかも、道が全て、石でしっかりと作られており、雪が、無いときは
その石と、そこに生えたこけが良い感じを醸し出す
その周りは、普通ではお目にかけられないような、大きな杉の木が、道を囲むように立ち並ぶ姿は、実に自慢の対象だろう
「さて、撮りますか」
僕は、レンズを取り替えながら、何枚か写真を撮る
天気が良いせいか、多少、ガスっているように見えるが、望遠越しにみる遠くの山の白い雪がはっきりと見えた
「よし、帰ろう」
僕は目的の物を、撮り終えて、帰ろうとしたそのとき
リーンリーンリーン
鈴の音がした
僕のかと思ったが、どうだろう
僕は、そのまま雪のある道を降りていく
ここで転けて怪我でもしたら一大事だ
一応の細心の注意をして、来た道を戻る
そのときは気が付かなかったが
僕は鈴を落としていたんだ
それに気が付いたのは、車に戻ったとき
フロントガラスに、鈴がめり込んでいた
其れが最初一体何かぼくには分からなかった
ただ、面倒なことになったと、割れたガラスを見て思ったが
後から思うに、どうして、自分の鈴が、フロントガラスにめり込んでいたのか
誰がやったのか
本当に自分の鈴か
似たものではないだろうか
ただ、真相は分かっていない
これは、後から聞いた話だが、良くほらをふくおとこが、僕と同じ日に、じんしゃに行ったという、そこで、どうから上が、サラリーマンであり
そこからしたが獣の物を、見たという、果たしてその真相がどう言うものかは分からない、ただ、僕が、あの日体験した話をするよりも前にはなしたことと関係はあるのだろうか、どちらにしても、その日、彼は酒に当たり、救急車の中で亡くなった
僕は、関係あるのだろうか
世の中に、名探偵は数あれど、これほど無能な名探偵は、そうはいないだろう、一時には、噂では、その男の行くところ行くところ、出事件が勃発したため、危険人物として、警察直々に、その男を隔離したとかしないとか、どちらにしても駄目な人間であることは確かであった
其れはそんなとき、即ちは、この男の助手をしていたころの話である
いや秘書と言うべきか、どちらにしても働いていたことは確かである
その男のビルは、東京よりも埼玉よりの寂れた商店街や、誰もいないような、はいビルがひしめき合っているそのうちの一つに
窓に、なかば見えても見えなくても良いように「十街探偵事務所」とかかれた紙なのか、それともそれようのワッペンみたいなものかはしらないが
その類の物が張られているが、其れを見て果たして、どれほど客が訊ねてきたか、私は知らない、そのほとんどが手紙や電話による依頼がほとんどであるからにして、あまりないのだろう、しかしながら、どうしてその他の情報が世界各国にとどろかんばかりに流布しているかが、最大のなぞでもある、探偵の容姿について、事細かく言うと、気分を害しかねないので
あまり大まかすぎず、かつ繊細さもなく言うと
まず、サラリーマンを髭面にすればその人になる
後、帽子は、潰れたシルクハットのような物を付けており
いつ何時も、いかなる場合でも其れを着用
以前、新幹線に乗るとき、どういう仕組みなのかは、しらないが、その帽子の頭を乗っける、穴に顔を突っ込んで、なかばアイマスクとかしていた
が、素材が気になるところだ、一見して、分からない
とまあ、そう言う人物であり、年齢不詳、もしかすると、整形に失敗した女と言うことも捨てきれないが、温泉旅行では、風呂に入っていないことから、判断しかねる、しかし、銭湯にはよく行くらしく、愛用の潰れた灰色のシルクハットを、頭に、よれよれのスーツで、お風呂セットをたらいに入れて、向かう姿を目撃するが、どこの銭湯にはいっているのか
今のところ分からない、半径十キロ地点に、そのような施設がないことは
確かであり、いつも尾行にきずかれているかはしらないが、いつの間にか巻かれるように、消えているのが常である、そこら辺はさすが探偵と言うべきなのか、そんな男に、たまに電話が来る、どうやら今日は無駄話ではなく、依頼らしく
「では、行こうか」などと気取って言っているような風もなく
言うのであった
新幹線を乗り継ぎ、地元電車を乗り継ぎ
ようやく目的地の小さな駅の前に到着すると、そこには出迎えらしく、巨大ななが細いリムジンが横付けされていたが、誰も文句を言うお客はなかった、其れが寂れているからなのか、それとも・・・
「ようこそいらっしゃりました」
そこに現れたのは、運転席から出てきたのであるが、執事と言えば
と言う感じの、老人であり、綺麗に剃られた顔、束ねられた白髪、どこか英国を思わせる、アンティーク調の服と言うべきか
その老人の首もとの蝶ネクタイが実に赤く鮮やかで印象的であり、自分が庶民的なせいなのか、其れが羊の首もとにつけられている金色の鈴に見えてしまった
「・・言っておくが、あれは、羊ではなく執事だからな」
横から私にそんな小言を言う十街探偵
しかし、本名は違うらしいく、別の事務所だったが
そのまま彼が引き継いだとか
「そんなこと分かってます」
そう言った矢先
彼は人の話など聞かず、そのまま執事の方へと、その足を進めた
彼らは2、3話し合いをして、私を見て、挨拶をした
「初めまして、私、闇城屋敷の執事寒露とも押します、何かご用があれば、私にお申し付けください」
彼はそう言って、私に軽く礼をした
私もあわてて
「・・・どうも、私は、軽爽 きりことも押します、よろしくお願いします」
「はい、お願いいたします」
彼はもう一度ひ礼をすると
今度は、車の扉を開けて、その中へと促した
その横で私は寒露さんを呼び止め
「うちの探偵、女には敵ですから気をつけてください」
小声で注意を促す
「そうですか、では気をつけたいと思います」
彼は、元々よく分からない、お面のような顔であったが
その一瞬、その顔に険が走り眼光が鋭くなった気がした
「どうしたんだい」
もう、先に乗っている探偵がそんなことを言う
「いえ、探偵は行儀が悪いので、物を取られないようにと」
「私はそんなことはしない」
無精ひげの泥棒顔が、そんなことをえばり腐って言う
果たして、こんな男が、どうしてあれほど事件を解決したか、其れも実に深いなぞであるワープロ殺人事件、渡り廊下殺人事件、枇杷と石榴殺人事件・・・有名な物だけでも、それ以上ある
私はなぞについて、深い疑問を思いながら、座るごとに、思想がとろけてしまいそうな、沈む座席に座って、外の景色を眺めて言いるうちに、そんな考えもどこかへ言ってしまっていた
「おいついたぞ」
そんな声で目を覚ますと、いつの間にか車は止まっており、息が酒臭い探偵が、私を揺すりながら、そんなことを言った
「はい」
私は少し恥ずかしさを覚えながら、起きあがろうとしたが
その非反発てきな、座席と悪戦苦闘を強いられ、ようやく起きあがると
もう探偵は、車の側には置らず、門を越えた玄関まであるいて行っていた
そこで私は、私のせの二倍はあろうかという鉄製の門、そしてその奥にそびえ立つ、真っ黒な城を目撃することになった
・・・・ここは遊園地か何か・・それとも気が付かないうちに海外に
そんな馬鹿な思想は
「何をしているんだ」
と言う、玄関前で、無粋にも叫ぶ男のせいで、いや、妄想だろうと
勝手に自分で捨ててしまった
「大丈夫ですか」
扉の外に立っていた、執事の寒露さんが、そう言って私を外からうかがっている
「ええ・・すいません、あまりにも椅子が気持ちよかったもので」
「そうですか、これは奥様の特注品の品でして、実に、お選び抜かれたしなものです」
「そうなんですか」
「はい」
「まだかー」
そんなとき、どこまでも無粋な声が、また響きわたる
「今行きます」
私は其れを揺るがすばかりの声を張り上げて
行ってから、ようやくこの気持ちのいい、黒光りする細長いゴキブリのような車から、降りることになってしまった、よくよく考えれば
ここで引き返していたら、少しは何か変わっていたのだろうか
いや、私のような一市民には、そんな戯れたこと、まず無謀なのかも知れない、そう思うことこそ、おこがましい
「おいはやくしろ」
まるで、子供のように呼ぶ、十街探偵にせかされ
私たちは、その扉を、開けてしまった
「其れで問題の物とは、これのことですか」
この人の所有物で、唯一白いであろう、手袋をして、そのビニール袋にはいっている、手紙を、見て探偵は言う
「はい、そうでございます」
執事の寒露さんが、うやくやしく言う横で、3人の娘さんと、顔に髭がある、威厳ある人物が其れを見ていた
先ほど、恐るべき豪華な室内を歩いて、我々がおおせつ室に通されると
そこにはもう、さん人の娘さんがおり
それぞれが、ここの娘で
右から「らんこ」「ようこ」「せいこ」のさん人
しかし、どれもが鏡を並べたような美しくまた同じ顔であり
唯一違うのは、その体にまとったワンピースが、青赤黄色の一色で、其れ其れ違うシンプルな物だったという事だけだ
髪型も皆、おかっぱであり、名前を紹介されても、きっとすぐに分からなくなるだろう
しかし、等の探偵は、そんなことおくびにも出さず
すぐに、彼らと打ち解け、そして、その名前を間違えることなく言い当てる、本当にある意味凄いが、言葉を換えれば、女ったらしとも言えなくもない、しばらくすると、この家の亭主桑薙家頭首、桑凪 叩次郎が、現れ、今回の一件を話し始める、どうやら、娘さんたちが、彼のことを知っていたようで、其れで今回の運びとなったそうだ
「では、本題に」
探偵が促し、今回の依頼の元となった物を、促した
そして出てきた物は、執事の寒露さんが、奥に引っ込み、持ってきた、ビニール袋に入れられた、あの手紙だというわけだ
其れは、茶封筒にはいっており、其れを取り出して出てきた、灰色がかった不気味な感じの紙に
「3人の娘を、我、殺す」
とだけ書かれていた
「ふむ・・・心当たりは」
探偵はそう言った
皆一同、辺りを見て、顔色をそれぞれうかがうようだが、皆首を横に振るばかりで、誰も縦にふるものは居ない
「あの・・・これほど大きな建物と言うことは、何かしら大きな事業をしているという事ですよね、其れで何かあるんじゃ」
私は差し出がましく言うと
亭主 桑凪 叩次郎さんが、口を開いた
「はい、其れは昔のことなんですが、ここら一体は、蚕を、大々的にやっていたんですが、そのときに祖父が、これを建てたんです」
と、言う
「ほう・・では今はやっていないと」
私は先を促す
「まあ、ほとんどプラスチック繊維の加工をしていますが
わずかですが、意地のように蚕もやってはいます」
「そうですか・・・・そのとき、減らした蚕農家の恨みとか」
「・・まあ、其れはあるかも知れませんが、しかしうちもぎりぎりまで追いつめましたし、それに、その方がたには、斡旋して、今の会社にはいって貰っています、しかも、大々的な事業転換は、もう、五十年も前です
今更と言うことは、中々」
「そうですか・・・そう言えば、奥様は」
私は、探偵に変わって、何かしらきいている気はしたが、この朴念仁は、ほとんど喋ることがない、だから私が喋っているようにしてはいるが、あまり意味はないような気もしなくはない
「ああ、妻の毬恵は、もう、十年ほど前に、亡くなっています」
「・・ちなみに、死因は」
そこで初めて、探偵が口を開いた
意味があるのか無いのか
「ええ・・元々からだが悪い人でしたから
其れで、ある時熱をこじらせまして、そのまま」
「不審な点はなかったと」
「ええ」
「そうですか」
探偵はひとしきり聞いた後、また沈黙した
「何かあったんですか」
私は気になり聞いた
「ああ、美人みたいだから」
「え」
探偵の目線の先に、ガラスのアンティークせいの戸棚のような物があり
その中に見える写真に、美しい女性が写っていた
その下には、四人の同じ顔の少女、そして全員の後ろに、頭首が立ってい
た
「・・・・・・」
私はとりあえず、探偵の腕をつねって、話に集中するように促す、これだから
「そうですか・・もう会えないんですね」
「え」
何をいったか聞き返す、亭主に、別の話を私はあわてて振った
「其れでは、心当たりはないと」
「はい、私の考える所は・・あまり」
「・・・あまり・・つまり、少しはあると」
すると、私の指摘に、怒ることなく、多少はなを掻いてから
「ははは、まあ、そう言われると、言いにくいが」
「どんなことでも良いのです」
私は言う
何となくせっぱ詰まった刑事のような感じがして良い
ただ、勝算など皆無だ、どうせ、何もしなくても、勝手に、この場所が飽きた頃には、解決しているのだ、何かそれらしいことをしても、恥はかくまい
「実は、娘達の結婚を認めていないのですよ」
「其れはどうして」
「いや、どうも考えが古くていけませんが、私はお見合いのほうが、良いともっているのです、妻とのときもそうでしたし」
「では、彼女たちは、恋人が」
「ええ・・さん人がさん人そろって」
「其れはまた」
まあ、驚くほどでもない、それくらい美しい、しかし何だろう、どこか、人を上から見るというか、もてあそぶというか、どこか悪戯っけがあるように思えた
「それに、許嫁もいるのです」
「・・またまた、古風ですね」
「いえ、案外大きな会社だと、血の繋がりのために、そう言うことをするのですよ、私の妻も母方の親戚です」
「へえ、何か凄いものです」
「・・・ですから、私もそのほうが良いというのですが」
「しかし其れとこの手紙、どのような関連が」
「ええ、馬鹿な話ですが、相手方の彼氏が、思うように行かないのであれば、殺そうと、もしくは、駆け落ちしようと、そう思ってこんな事を」
「裏は取れているんですか」
「ええ、ですから、いま、娘達を安全のために、この屋敷に、いさせ
それと、相手さんを見張っているところです」
「中々旺盛ですな」
戸棚を見ていた探偵が言う
「ええ、娘達のことですから」
「いえらいいえらい」
「はい」
「いえ、なんでも」
探偵は、そう言うと、そのまま部屋を出て行ってしまった
「・・どう言うことですか」
「いえすいません、屋敷の見回りにでもいったのでしょう」
「そうですか、執事の寒露を付けましょうか」
「ええ、お願いします、何をしでかすか分かりません」
かくして、寒露さんと、探偵は、部屋を出て行く
本当は、暇になると勝手に、終わったことにして出て行く習性があるのだが、失礼になるので、そこはあまり話さない
「そう言えば、あの写真には、四人写っていますが、あの方は今日はいないのですか」
「ああ」
亭主は其れを見ると
うなずき
「あれは、次女のさなぎこです、妻が死ぬ前に、交通事故で」
「そうですか・・・」
そのあと、いろいろと聞くも、大した情報というよりかは
世間話にも似たものとなり
崩すように、その問いは、形をなくし
次第次第に、お開きになった
なお、さん人の娘さんに聞いたが
「さあ」「さあ」「さあ」と、皆同じようなことを繰り返すだけで
其れこそ要領がつかめない
私は、切りの良いところで、さん人に聞いた、ボーイフレンドのもとへ向かうことにした
結果として、要領がつかめず、それどころか、さん人のボーイフレンドの恋は、みな終わっているという事が分かった、其れでは、ますますこの犯行声明のような物は、何なのだろう、ちなみに、日付印などは、一切無く
実際に、この屋敷まできたのだろう、そして、其れが見つかったのは、三日前の朝刊と一緒であり、昨日の夕刊以降に、入れられたという事になる
しかし、内容がないようだけにいつ何が起こるか、検討が付けにくい状況だと言うことに代わりはない
そして、探偵とは、いつも、人が死んでようやく動き出すもので
死ぬ前に、動き出した物を見たことがない
うちの探偵も、例外ではないのだ
強いてあげれば、達磨殺人事件が、あるが、あの場合、探偵が、謎解き中に必ず殺される恐るべき怪事件であった
と、そんなことを考えながら、割り当てられたへやでうろうろしていると
「やあ」
などと暇な声で、探偵がようやく帰ってきた
時間は六時丁度であった
妙なことであるが、この探偵が帰るときは、比較的、時間がぴったりなことが多かった、其れについて聞いたことがあるが
「さあ、分からん」というのみで、後の会話もなく
わからんのである
そんな奴が帰ってくると、そのまま、二つあるうちの一つのベッドに
ダイブすると、そのまま動かなくなる、死んだのでなければ、眠っているのであろう
「・・はぁあ・・・私はいったい何をやっていよう」
どうせ、やはり私など意にも介さず、この人は勝手にいつの間にか
事件を解決してしまうのだ、その間私は、そんなことが私の二つある悩みのうちの一つ、そしてもう一つは、事件がこのあと起こるのに、私はどうせなにもできないと言う、一種のタイムトラベルを繰り返してきたような
人間のあきらめにも似た感情が、私を警告する
「はあ」
その音を私は幾度と無く、救おうとした
しかし、結果的には、まるできまったことのように、探偵は事件が起こった後解決して、その地を去るのみなのである
私は其れを、ただ見ているしかない
あがいても、変わらない、おぼれても、息はできない、助かることはない
・・・そのときふと、近所の愛魚、欄中のカマボコのことを思い出した
その金魚には珍しいピンク色のその欄虫は、怪しげな骨董やの、奥に
まるで置物のような、水槽に、封じ込められたように泳いでいる
果たして、どうしてそんなことを思ったかはしらないが
私は、そのビジョンとも取れる物を、なんとなしに頭に思い描いていると
いつの間にか部屋を取びだして、何人にも見張られているであろう
あの三つ子の部屋に走っていた
彼女たちは、三階建てのこの屋敷の、それぞれ一番はじの部屋にいた
今私がいるのは、客室が十室ある二階である
「・・・どうする・・とりあえず、二階のようこさんの所に」
なお、一階は、らんこさん、三階は、せいこさんだった
私はそのまま、赤い絨毯が引かれた廊下を歩く
まだ夕方でひも明るいというのに
その廊下は、一日中、ひどく暗く重厚である
彼女のいる部屋は、L字の一番最後であり
さらには、その前にはボディーガードマンがおり、すぐに見分けがつく
私がその前に立つと、その方は私に前を譲る
そのまま扉を三回ノックした
「はい」
そのとき、部屋の中で物音がした
彼女が立ったのだろうか
「っあ」
また声がしたが
その声は、先ほどの落ち着いた声ではなく
ヒドく、驚いたような声である
「だっだれ」
誰かいるようだ
私は急いで、ドアノブを握る、酷く金属室の其れは冷たい
しかし、左右に回しても、開かない
「あの、鍵は」
しかし、その間に、部屋の中で物音が激しさをます
何か倒して、さらには壊れる音がした
「早く」
そのボディーガードは、首をひねると
そのドアを前に押した
「・・・あ」
扉が開かれ
そこで目にした物は
赤い絨毯に、真っ赤な血を吐く三女ようこさんの姿であった
「つまり、誰も出て行っていないと」
私は其れを見ると、すぐに扉を、ボディーガードさんに見張りを頼み
部屋を捜索した
しかし、息絶えた彼女以外に、人はなく
かくして、窓には、鉄板が埋め込まれているのか
風のはいる隙間さえなかった
「・・・どう言うことでしょう」
電話で屋敷の者、そして警察が呼ばれた
かく言う、探偵はというと、ポリポリと頬を掻きながら
なにやら首をひねって、最後には合掌している
しばらくして、警官が来ると
色々と事情聴取を受けたが、その刑事の名前は
鳩柱とか言った、年は五十はいっているだろう、酷く白く
そして縦に長い電信柱のような男で、体も白い服であった
一見すると、医者にも見えなくはない
「其れで、毒物でしたか」
探偵がそう刑事に聞いた
「あなたは」
「私はこう言うもんです」
そう言って、しわくちゃの名刺を刑事に渡すと
「あっ・・あなたですか」
と、知っているのか、そんな声を出すが、名刺を出させることから
直接の知り合いではないだろう、よっぽどきおくりょくが無いというのであれば別であるが
「いや、これは失礼、私、鳩柱と言うものです」
そう言って、警察手帳を出すと、仕舞う
「いえ、あなたのことは新聞雑誌、後変わった娘の良く言っている人物でして、かねがね存じておりました」
あの鳩頭とかいうけいじの言っている娘とは
自分の娘のことだろうか、だとしたらみずから変わっているというのだから、よっぽどの偏屈者なのか
「其れは其れは、で、」
「でと言いますと、事件ですか、あなたとは娘を会わせたいものです」
「其れは是非、結婚を前提に顔を見て決めたい者です」
「ははは、顔は良くても性格は破綻者です」
「ははは、私も同じですよ」
無いやら自虐的会話を繰り広げる
田舎の刑事と馬鹿な探偵だったが、ようやく本題に入った
「其れで何ですが、薬物摂取ですねこりゃ」
「薬物とは」
「はい、あなた方の話で、幻覚症状のあるもんかとも思ったりしたりしたんですが、どうもただの青アーモンドですわ」
「・・・青酸カリですか」
「ええ、わしらは青ですけ」
「・・・しかし、でしたら、彼女は其れをどうやって飲んだのでしょう
見たところ、コップなど・・または食べ物類はありませんが」
「さあ・・しかし、口内からそのような物は検出されず、また、外傷もないので、何か・・そう、注射器のようなもんで、体内にブチューと入れたというのでなければ、カプセルでも飲んだのでしょう」
「注射器の可能性は」
「其れはこれから調べます・・・しかしおかしいですね」
「なにがです」
「青酸カリに、幻覚症状はない
では、いったい誰が飲ませたのでしょう」
「・・・さあ」
探偵は、大して問題もなさそうにそう言った
「・・・・どうだと思います」
「何がだ」
一通り質問をされて皆へやに帰る途中
私は探偵に質問した
「どうして、彼女はその薬物を体内に入れたと思います」
「カプセルと言っただろう・・あれなら、口の中に薬物反応が無くても
良い」
「でも、だったら、どうして、血を吐いたんですか
そのとき口内に、血とともに薬物反応が」
「おまえは目が悪いか、其れか馬鹿だ」
「どう言うことですか」
私は部屋の鍵を開けながら、そう言う
「あれは、手を切ったのだ」
「・・手を」
「ああ、彼女の手は、酷く傷ついていた、まるで何者かにきられたかのように、そのときの血が、辺りに飛び散ったのだろう」
「・・でも、誰もいませんでしたよ」
「ああ・・おまえでもさすがに飛び出す人間は見逃すまい・・・立って夢でも見ていない限りな」
「それじゃあ」
「さあ、犯人などいない、幻覚だったのか、それとも、もっと巨大な
現実に進入した悪夢なのか」
探偵は良くどんな悲惨な事件でも、意味ありげに茶化すことがあるが、大体全く関係ないことが多い、と言うか、すべてない気がする、全くないと思う
「まあ、暇だし、君も寝たらどうだ」
そう言って、いつのまにか顔をしたにして、寝ている探偵
靴くらい脱げと言いたいが、どうやらそんなとこまでここは西洋風のようだ、執事の寒露さんもそのことを言っていた
「うちは、すべてが西洋風なので、ベッドでも靴をお脱ぎにならなくてもよろしいです」と、まあ、落ち着かないので、一応は、靴下のみはいて
いつでも外にでられるだけの準備はしている
しかし、今から探偵のように、まるで、まいにちくるゴミ捨ての収集車
のごとく、事件を事件とも思わない神経ではない
だから、無駄だと分かっていても、私は、ノートを取り出すと、そこに今日あったことを書き始めた・・・主に其れは、アリバイの話になった
しかし、悲しいことに、そこに書かれた物は、完璧なまでのアリバイだ
何しろ、事件が起こるという物が前提にあるので、皆ボディーガードが、部屋の前に居た、と言うことは、アリバイがすべてにある、そして、抜け出すことは不可能で、あの鉄板も、昨日、大事を取って近くの大工に作らせた物らしく、内側からも外側からも開けることはおろか、壊すことも大いに大事だそうだ、そして今回、誰の部屋からも、その鉄板はおろか、壁すべてに、何らいじょうはなかった
つまりは、あの殺人現場のみが、独立して、事件が起こったという事になるだろう
「・・・・分からない」
私は心の中で声を出して、悩んでいた
当のあの無駄な名探偵はと言えば、夢の中を迷走でもしているらしく
実にいびきがうるさい、とんだ迷探偵だ、そのまま黄泉の国まで
窒息死して、逝って仕舞えばいい、私は、枕にその髭面を押しつけている探偵をみて、そんなことを思った
しばらく、其れを、死ね死ね死ね、の一歩手前の殺意にもにた悪戯心でみなくもない感じで、みていたが、飽きが来たので、ノートをみる
しかし、皆これと言って、特徴的なことをしているわけではない
では、本当に、何者かに殺されたのか
しかし、どこへ消えたというのか
昔読んだ、推理小説の中の探偵が
こんな事を言っていた
「もし本当にだれも出て行かなかったのだとしたら、最初から誰もいないか、もしくは、そのままか、そのどちらかか」と
そうなると、彼女は、実は、不幸中不幸で、誤って毒物を、あの部屋で何らかの拍子に飲んだか、もしくは、あの部屋に、犯人は潜んでおり
皆が入ったときに、何食わぬ顔で、進入を果たしたのか
・・・そう考えると、ますます、混乱してくる
どれも否定さえできないのだ
この世に悪魔がいるか
其れは実に難しい質問だ
居ると思えばいるし
居ないと思えばしないし
有名な話に、肩こりを知らない国では
肩こりなど無い
と言う
では、癌だとどうなのだろうと、私は思う
虫に病気はあるのか
魚に痛みはあるのか
果たして、人は賢いのだろうか
私は、そんなことを考えているうちに、徐々に眠くなってきた
少し寝ていようか
そんなことが頭をよぎった次の瞬間には
別途の羽毛に、その思考を根こそぎ連れ去られていた
無粋な音が響く
最初、其れが何か分からず、ただ辺りから響いていることが分かったが
目を覚まし、扉の方をうかがった頃、ようやくノック音だと分かるが
酷く乱暴で、良ければ、壊しかねない強さがある
私は急いで探偵を起こすと、そのまま扉に向かわせた
「はい、何ですか」
機嫌の斜めの声で、事なにげに、探偵は言う
「急いでください、せいこ、が亡くなりました」
其れを聞いても、探偵は、カラスの駆除がうるさい位の騒動にしか思えていないらしく
「はいはい、今開けます」
などと、のんきに上着を、着ながらようやく扉を開ける始末だ
私はと言うと、もう準備はできており、探偵のあとから、そつなく、後に続いた、ちなみに声の主は、亭主であり、寒露さんは、警察とともに、現場にいるという
「では、状況の説明を、お願いします」
探偵は、三階の自室で、バスルーム一杯を真っ赤に染めて死んでいる
せいこさんを、横目に、皆をみる気もなく見渡すと、そう言い放つ
わたしは、なんて横暴な態度と、思うが、いつものことなので、軽く背中をこつくに留まる
「はい、私が」
話し始めたのは、執事の寒露さんだった
七時頃、私は、三階の厨房で、夜のお食事を用意していました
其れは丁度、プディングを、冷蔵庫に入れたときです
厨房に設置してあります、内線がなったので、とりますと、せいこさま、のお部屋で鳴っている、私は何かあったのかと、急いで受話器を持ちました、すると、ただ何かが焼けるようなおとが、響くのみで、わずかに
くぐもった悲鳴のような声もしました、私は急いで、厨房から出ると
そのまま、せいこ様のお部屋の前に行きました、そこで目撃したのは
ボディーガードが、異変に気が付き、中を調べているところでして
それで、発見しましたのが、あのバスルームで、変わり果てたせいこ様でした」
「ありがとうございます・・・それで、鳩頭刑事、死因は何ですか」
「鳩柱ですが・・はい、其れなんですが、薬品による、大量出血だと」
「薬品」
「ええ・・血行を良くする類の物で、其れを大量に服用して、そのまま、バスタブに、お湯を張り、全身に切り傷がみられます事から、其れによる大量出血かと」
「では、寒露さんが聞いた、物が焼ける音は」
「其れなんですが、酸を、全身にかけられてます」
「酸・・・その、大量出血だけでは、死ななかったというのですか」
「其れが分からないんです、もし、検出された、薬の量で、風呂の中で出血し続ければ、確実に死んだでしょう、しかしもしかすると」
「何です」
私も突っ込んでみる
しかし、大して気にもとめず鳩柱刑事は言う
「・・・もしかすると、焦ったのかもしれません、何らかの弾みで、急ぐようができ、それで、酸で、殺そうとしたのかも」
「たとえば」
追いつめてみた
「・・・電話、そうです、電話をかけたとか」
「・・・そうですか・・・でもおかしくありませんか、電話というのは
風呂場に連れて行かれる前に、持っていたのでしょうか、連れて行かれてから、持ったのでしょうか」
「・・・犯人に連れて行かれそうになり、持ち、さらには、薬を飲まされ、または飲まされており、さらには、切られ、風呂につけさせられた
其れで命の危機を感じ、電話をしたところ、犯人は焦り、予定を変更して
酸をせいこさんにかけたと」
「・・そうですか」
「反論はないようですね」
「反論も正論も今の時点ではどうも」
探偵は、そう言うと、また、何かしらぶつぶつとつぶやきながら
部屋を出ていった
「すいません、変わった人で」
「いえ、うちにもにたような奴が居ます」
「其れは其れは」
私は鳩頭に、何か親近感を覚えながら
さらに詳しい事情聴取を聞いた
その時間、やはり同じように、皆にアリバイがあった
料理をしていた寒露さんも、一応つけられていたボディーガードさんが目撃しており、残りも同じだ
では、果たして誰が、犯行をしたというのか
それとも、実は、まだ犯人がこの屋敷に
そんなことを考えていたとき
私は、風呂の下に、何か紙のような物が出ているのに気が付いた
それで、あまり使う機会のない、ゴム製の手袋を手にして、其れを破れないように引っ張った
「どうしたんです」
刑事も興味深そうに、そんなことを言った
「いえ、何かあるみたいで」
私が其れを引っ張り出すと
そこには、とんでもないことが書かれていた
「みんな生きていてずるい、私の方へ来てよ、真実の一階より
さなぎこ」
其れは滲んだ字で、そう書かれていた
「これどういう事ですか」
刑事が聞く
「さあ」
私にもさっぱり分からない
たしか、さなぎこという、次女が居たはずだが、しかし、交通事故で死んだといきいている、其れは嘘だったのか
しかも、真実の一階とはいったい
わたしは、その紙を持って、急いで、探偵を捜した
部屋にいるかと思ったが、ほかに心当たりがあり、厨房に行くと
ゴキブリのごとく、肉をあさっている物を発見し
その紙を突きつける
「・・・面白いな・・・この屋敷には、色々とありそうだが、真実の一階
しかし、みた感じ、三階しかない、では、真実の一階とは・・・君は4と言う言葉に何を感じる」
「・・・死ですか」
「そうだな、4は、不幸を意味する
だから四という言葉を使わず寿としたり、その数字のみをとばすという場合もあるが四月十四日の誕生日である僕は、そんなことを言われるまで
大して気にもとめず、それどころか、何か四という数字が
特別な物に感じていた、まあ、そんなことは良い・・これは単純に
地下があると言っていいかも知れない、デパ地下だと一階とは別に
また、一から始まることがある・・と言うか始まる、僕は玩具売場しか行かないからあまり関係はないが」
「・・・一階、本当にあるか聞いてきます」
「まあ、気をつけなさい、死んだ君を僕はみたくないよ」
そこで始めてお面のような平然とした顔を脱いで、ニチャーとする
笑いを浮かべる
私は気持ち悪さに、そのゴキブリ男から離れ
そのまま、検視に立ち会っていた、主人にあいに、私は走る
その結果、そんな物は無いという
確かに、昔作られそうになったが、たいしんじょうのつごうから、そこはコンクリートで固められたそうだ、そして、確かに、さなぎこは、死んだと言った、そしてその顔に、嘘偽りはないように感じたが、本当だろうか
結局、二人分余った夕食を平らげた後、あまり食欲のない私たちの文まで平らげ、さも普通道理、と言う感じでお茶を飲んで
「では」
なんて言って、話し始めた
「残りは、後一人です、どういうお気持ちですか
満足しましたか」
そんなことを言った
其れは、果たして挑発か、それとも、ただの意地悪か
誰に言うともなく、もしかしたら独り言ともとれる声で、そんなことを言う
「君、常識がないんじゃないか」
「ほう、地下に、さなぎをいつまでも閉じこめている方が
よくじょうしきを認識されますね」
「なっ・・なに」
「馬鹿という物は、馬鹿だという認識はない
凡人は、馬鹿だという認識はあるが、馬鹿だとは認めない
天才は、馬鹿でもあるし天才だとも認めるのです
あなた、狂気を、はらんでいるにもかかわらず
ただ、平然となさっている・・奥さんはどこです」
「・・・・・・」
「あなた、奥さんを殺したでしょう、娘を連れ出そうとしたから」
「そんなことは」
「わたし、寒いのがどうも苦手でしてね、暖炉を拝見させていただきましたが・・・あれ、どうして、一階よりもしたに煙突がつながっているんです、私焼き芋をしようとして、危うく地下に落としてしまいそうでした
・・・あれ、どこに繋がっているんです」
「何のことだ」
「まだ・・・白を切るおつもりで・・・二人もあなたのせいで死んだというのに・・・いや、さん人ですか」
「どう言うことだ」
どうもくもいきがおかしい
あれほど落ちこんっで居た、普通としか言いようのない人間が
その中から別の物が、徐々にぬめりを帯びて
出てきている感じがする
わずかに、灯されているろうそくの灯りが揺れ、あたりをいっそう、くらやみやみを引き立たせた
「まだお気づきにならない」
そう言うと、探偵は、さもことなさげに
立ち上がると
口を開いた
「では、始めましょう」
それが合図のように
探偵は、気取る風もなく気取り
ただ言葉を並べだした
「あなたがどういう感性で、自分の娘に卵 幼虫 蛹 成虫それに子という次を付けて、名前にしたかはしりませんが、しかし、あなたは、その中で、蛹つまりは、さなぎこさんのみを、地下に幽閉した
そしてそれを止めようとした、妻を殺した
そして、数年後、おおくきなった娘たちは、次女のさなぎこの行方を知ることになる、そして、あなたにお願いするも、より一層、その警備は厳重となった、しかし、四人は、皆で一人、一人は皆で四人、彼女たちは
出れない、四つ後の体の一つとして、そのみを犠牲にして、一生自由になれない、蛹を、外に出そうとした
なぜなら、自分を外に出せないことはおかしいから、悲しいことは、なくさなければいけないと思ったから、そのためなら、自分など無くても良かったと思ったのでしょう
しかし、あなたは、それを拒んだ、これは推測ですが
あなた、実は、あの最初の脅迫状は、二枚だったのではありませんか
さなぎこを自由にしなければ
みたいな感じの
まあ、どちらにしても、もう二人・・・いや人」
そのとき、いきなり、主人は立ち上がった
その手には、果物ナイフが握られていた
「お・・おまえに、お前に」
それはそう続けると
いきなり、そのナイフをいきなり、自分に突き刺した
「お前なんかに、お前なんかに」
それは怒っているようだったが、声は、非常に冷静さを感じさせた
「お前なんかに、お前なんかに」
私は、ただそれをぼうぜんとみていた
「旦那様」
執事の甘露さんが、血塗れの主人を見る
しかし、その行動は止まらない
不意に、その旦那の体に、甘露さんが飛びついた
しかし、その刃を刺すことをやめなかったために
今度は、甘露さんの背中に、そのナイフが刺さる
「あ・・やっ・・やめて」
私はそう言うと、二人に飛びつこうとしたが
それを、探偵は制した、そして、向かいの席に座っていた、らんこさんの
様子がおかしいことを指で指してつたえる
その長い机、そして白いテーブルカバー
そこに顔を突っ伏して倒れている
おかっぱ頭
「あ・・何で」
「・・・もう帰ろう」
「でも、まだ・・・」
その時、後ろで倒れる音がした
甘露さんの手には、血塗られたナイフ
そして、もう片方の腕で、旦那を支えていた
「我々にできることはもう無いよ」
「そんな・・何しにここに」
「我々は、何もできない、いや、しちゃいけない、無益なピエロにも似た道化なのだよ」
「・・・・馬鹿」
「ははは・・」
かくして、後は、すべてを任せて
その屋敷を後にした
後にわかったことだが
口もしゃべれず
耳も聞こえず
足も腕もなく
肝臓もあまり動かない少女が地下で発見されたという
それが、天性のものか、後に誰かが施したのかは
分からないと言う
「先生」
私は、夜の道、先頭に出かけようとしている十街探偵を捕まえて
話をした
「・・・先生、彼女らのこと、知っていましたよね」
「・・なぜそう思う」
「・・彼女らの顔を見れば分かります、それに、名前を覚えるのが苦手なのに、分かるはずがありません」
「ははは・・で」
「彼女らは、実は、恋人のためでも、自分の四つ子のためでもなく
実は、先生のせいで死んだんじゃないですか」
「・・・・」
何を見ているか分からない
ただ歩きながら
黒い路地を見ているようには見えない
「先生は、彼女らと、恋人関係にあった
しかし、彼女らは、先生と結ばれないことが分かっていた
だから、その腹いせに、あなたへの当てつけに
死んで見せたんじゃないですか、あんな残酷な死に方で」
「・・・」
その瞬間、探偵が、私をみた気がしたが
祖に光る目は、とても探偵はもとよりまともな人間の目ではなく
あのときの、ナイフを自分に刺している主人の顔に光っていた物に見えた
「僕は、お風呂にいかなきゃいけないんだ」
十街迷探偵は、今日も、どこか知らない
半径十キロ以外の銭湯に、今夜も向かうらしかった
それの出身は、地獄である
そしてそれは酷き無愛想で
誰であろうと
喋らず
目を見ず
意識もしない
もし意識することがあるとすれば
それはこの世が終わったときだろう
奴のすみかは森の中であったり
都会の喧噪響く、ビルの奥だったり
それは神出鬼没であるが
一概にして
奴は無愛想である
それなのに生きていけるのは
奴は生きていないと言うことに起因する
奴は不死身でもあり
物でもあり
また何者でもないものでもある
だからこそ、奴は生きるという行動こそすれど
別段それに意味はない
意味などないのに生きている振りをしているのだ
奴が生まれた地獄で
ある時
亡者で殺しあいをさせた
それは本来
そう言うことをしないようにするのが
地獄の目的であるが
修羅道が、ひょんな事から
癒着してしまい
世界が一時的に不安定になったのだ
そのときに
地獄の鬼が先導を切り
亡者の中で、強い物を振るいにかけたわけだ
そしてその時期を
血の戦争と呼ぶ
この時代の亡者を相手にしたら
今の地球の人類は
地獄よりも血を見ることになるかもしれない
何せ、悪の道に関してはプロである
どこまでも、欲に落ちる資格のある者達ばかりである
だからこそ、救われる資格もとことんまであるが
それはいい
そんなときに
ある一人の男が
その歪んだ時間軸から
この世に落ちてきた
それがある種の逃亡生活の始まりである
地獄では
その事に気が付いてない
でも
シカバネンタロウは
そう思っているのだ
何時連れ戻されるか分からない
だから、逃げると
そうすると
シカバネンタロウは
人に紛れたり
逆に人などいない場所にいたり
一定の場所いにとどまることはしない
だからどこまでも行くし
どこにも行かない
それはそんな
シカバネンタロウが
ひょんな事から
地獄にもどる話
亡者で殺しあいをさせた
それは本来
そう言うことをしないようにするのが
地獄の目的であるが
修羅道が、ひょんな事から
癒着してしまい
世界が一時的に不安定になったのだ
そのときに
地獄の鬼が先導を切り
亡者の中で、強い物を振るいにかけたわけだ
そしてその時期を
血の戦争と呼ぶ
この時代の亡者を相手にしたら
今の地球の人類は
地獄よりも血を見ることになるかもしれない
何せ、悪の道に関してはプロである
どこまでも、欲に落ちる資格のある者達ばかりである
だからこそ、救われる資格もとことんまであるが
それはいい
そんなときに
ある一人の男が
その歪んだ時間軸から
この世に落ちてきた
それがある種の逃亡生活の始まりである
地獄では
その事に気が付いてない
でも
シカバネンタロウは
そう思っているのだ
何時連れ戻されるか分からない
だから、逃げると
そうすると
シカバネンタロウは
人に紛れたり
逆に人などいない場所にいたり
一定の場所いにとどまることはしない
だからどこまでも行くし
どこにも行かない
それはそんな
シカバネンタロウが
ひょんな事から
地獄にもどる話
亡者で殺しあいをさせた
それは本来
そう言うことをしないようにするのが
地獄の目的であるが
修羅道が、ひょんな事から
癒着してしまい
世界が一時的に不安定になったのだ
そのときに
地獄の鬼が先導を切り
亡者の中で、強い物を振るいにかけたわけだ
そしてその時期を
血の戦争と呼ぶ
この時代の亡者を相手にしたら
今の地球の人類は
地獄よりも血を見ることになるかもしれない
何せ、悪の道に関してはプロである
どこまでも、欲に落ちる資格のある者達ばかりである
だからこそ、救われる資格もとことんまであるが
それはいい
そんなときに
ある一人の男が
その歪んだ時間軸から
この世に落ちてきた
それがある種の逃亡生活の始まりである
地獄では
その事に気が付いてない
でも
シカバネンタロウは
そう思っているのだ
何時連れ戻されるか分からない
だから、逃げると
そうすると
シカバネンタロウは
人に紛れたり
逆に人などいない場所にいたり
一定の場所いにとどまることはしない
だからどこまでも行くし
どこにも行かない
それはそんな
シカバネンタロウが
ひょんな事から
地獄にもどる話
死椛 念太朗
はそのとき
日本にいなかった
どこか遠くの
誰もいないような
森にいた
そこである者を拾った
それは人間の赤ん坊で
もう死んでいた
シカバは、それを食べようと
骨を取り出そうとしたとき
その赤子が泣いたのだ
シカバネンタロウは
それをおかしいと
思い
地面にほおると
それは見事に宙返りをして
地面に着地すると
「お前は、シカバネンタロウだな」
そう大人のような声でいった
その声をシカバネンタロウは知っていた
「閻魔か」
「よく分かったな」
「なぜ、そこにいる、どうして分かった」
「いや、大分古い地層の倉庫の残骸から
お前のプロフィールがみつかってな
それでお前の所在を探したまでだ」
「・・・・・・・・・・・俺をどうする」
「まあ、今すぐ殺して、あの世に連れ帰るたい所だが
お前、あの世倫太郎という奴を知っているか」
「アノヨ・・誰だそれ」
「今地獄を仕切っている・・・何でも極楽からの天下り者だ」
「お前さん、閻魔、地獄というものは、悪を正すための所だろ
それを何で」
「・・・時代も変わった、鬼も欲に毒され
人とあまり変わらず
ただアンティークだとか言って
若い鬼がたまに虎柄を着るくらい
それ以外に人と違うことなど
わずかに鬼の角が残るに等しい
お前は、鬼がどう言うものか知っているか」
「なんだ」
「生き物だよ、
人に殺された生き物が
鬼の姿となり
人を正すのだ
何重何万と積み重なった物が
鬼となる
それは行く千経とうと
崩れることのない肉体を持った魂
全く、最近の仏の低落と言ったら
ブヨブヨに太り
鉄筋コンクリートで埋め立てた
蓮の池跡地ビルで
クーラー利かせながら
ぼた餅を食っている
全く
あのよはもう終わりだよ」
「俺に何が云いたい、愚痴か」
「いや、お前、お前の居る世界を、地獄にしないか」
かくして第二次世界改革が今始まろうとしていた
僕はその日、お使いを頼まれて、町の中心へと歩いていた
町の中心へ行けば行くほど
谷から毎朝沸き上がる霧が
どんどん濃くなって
たまに通る
自動車のライトが
道をものすごい早さで通り過ぎ
僕が歩いている
歩道側の工場の建物から聞こえる
騒音が
辺りを響かしている
そんな中を僕は
途中途中にある目印の小さな看板を見ながら
一時間と三秒の時間をかけて
ようやく無数に時計や梯子が合わさっている建物につく
この場所は、遠い昔は何もない原っぱだったと聞いているが
今はその後はなく
ただ機械が生命を得たように時を刻み動いている
僕はそのおかしな建物の中に
唯一登れるエレベーターを見つける
それはエレベーターではあるが動いてはいないから
階段として使う
もう三十年ほど動いていないが
超金属を使用しているから錆びていない
僕は一番上の203段を登り終えると
実に簡素な木の扉がある
僕はそれを二回ノックすると
その中にいる人が出てくるのを待った
「コン・コン」
中から二回音がして
扉が開く
そこに立っていたのは
ひどく腰の曲がった老婆で
「ぜーる」と言う名前だ
「あのすいません、おばあちゃんの時間が止まりそうなのですが」
僕はぜーるに言う
ここは一応は店の風体を見ているが
何に使うのかよくわからない古い本が山ずみにされ
それらの一番手前に
木のカウンターがあり
年代物のレジ打ちが一つ置かれているが
電源はもちろん入っていない
そのカウンターの向こうにいつの間にかいた老婆は
手に酷く黄ばんだ紙を一枚持って
「そうか・・もう三十年もとまっていなかったとなると・・ひまわり油のエネルギーが、貴意王バラの油と拒絶反応を起こしている時分だ
そうか・・なら」
老婆はそう言うと
その本が山ずみにされた奥に引っ込んでいく
最後にその老婆を見たのはそれから二分前であり
しばらくした二分後
僕は、酷く新しい鋼色のとっくりと、油紙に包まれた外郎を貰って
外にでた
時間は午後三時
もう辺りの霧はすっかり晴れ
午後の海が
腰元まで上がり
海洋まいまいが家々の中を悠然と泳いでいる
僕はそれを見ながら
紙式ボートを出すと
風の力と水流の流れを見ながら
三分と三時間じゃくかけて
惜しい野実を探しながら
帰るのであった
家に付いたとき
紙式ボートの上には
惜しい野実と
それにつられて水中から飛んできた
アリア蟻の群れで沈みそうになっていたが
お母さんが
「てるてる」と紙式三型呪術を唱えると
速やかに蹴散らすようにそのありたちは海へときえていく
「今日は、海蓋とこの果物のフルーツシチュウだね」
お母さんはそう言って
僕を家の中へと引き上げる
僕は家に早速入りながら
壊れかけのおばあちゃんに油を差そうと
部屋に向かったのである
僕は、山を登っていた
探山と言う北の山なのであるが
僕の住んでいる北山町から車で三十分ほど走り
そこから三十分非常な山道を登ったところで
ようやく寺の脇の登山道までいく道に到着する
僕はそこで、一リットルの水とあんパン食パン二切れ
飴三十個ほど入った袋が、入ったリュックを背負って
道に踏み出す
あたりを、蝉の鳴き声が響いていたが
額から汗が流れる度に、鬱陶しく思う
所々、左側の道が酷い下りになった渓谷のような形のなっており、川が流れさらにその下の段差の川にぶつかる音が響いている
僕は、ラジオをつけて、歩き出した時
なにやら、林の奧に、木々や藪に隠れるように
何かの屋根が見えた
それは、東屋のようにも見えたが
どうも、いささかしっかりしているようにも見える
僕はそこに、近づくかどうか一巡した後
ゆっくりと歩みを進めた
先ほど、頂上まで500メートル
と書かれていたことから
この山の三分の一ほど上ったことになり
となるとなかなか標高も高いはずであるが
昔山小屋か、それとも、わき道があったのやも知れない
その休憩所だったか炭焼き小屋と言うことも否定できない
「それでですね、1984ゴジラなのですがね
わたしは、あれが好きなのですよ
たしかに、初代ゴジラ
それをおいては、何もかたれはしないやも知れませんが
あのゴジラをわたしは愛しているわけです」
爆発したアフロを押さえつけるように帽子をつけた
男が
東屋を二つ横にあわせたようなものの取り付けの椅子に座って話していた
それに反論するように
アフロが縮小しチェックの柄のシャツを着た
小柄な男が、口を開いた
「俺は、断固ファイナルヴォーズが、一番好きですな
それは、平成ガメラシリーズと同等
ひとくくりに、初代ゴジラ以降の作品
それこそ、怪獣総攻撃しかり、84ゴジラしかり
メガロしかり、どうもそれ全て、同じ雰囲気が、あるわけですよ、全てが、何一つ飛び抜けなかった
いや、初代を、好きすぎてなのか、嫉妬なのか
あえて蓋をし続けてきた
そのせいで、すべてが、駄作となった
見ていてつまらない
面白くないわけではないが
どうも違うわけですよ
言ってしまえば、エヴァが、ヒットしたからと言って
ほかの監督が、エヴァを量産しても
それはつまらないものの上書き
あえて、好き
そしてあれをうわまろうとした
僕は、それがいとおしい
それも、しゅっとしたままのゴジラを使い
あれだけ怪獣を入れながらもストーリーがだれない
あれはすごい
唯一苦情を入れるのであれば
アンギラスが弱いのと
カイザーギドラ、鎧モスラー時代の四つ足ギドラだったことだ
最後はなんとしても二足歩行にしてほしいものでしたよ
どうして、何であんなかっこわるいことを
そう、それでですね」
白熱するプチアフロ
余りに小さいが、雰囲気は大人であり
まるで妖怪か何かのようだ
「どうかしましたか」
不意に、声が割ってはいる
そのとたん、皆だまり、声の人物が投げかけた方に
一同に顔を向けて黙る
僕は、顔を、藪の中から出す
「どうも」
「ぶた」
夜ランニングを始めた
誰もいない道
途中町中を走り、少々太い道にでた後
突っ切り田圃にはいる
ぼうっと一匹の蛍が、ぼんやりと田圃の端で光るが
めがねを、忘れたせいで
さらにぼやける
何となくお腹が痛いが
ゆっくりと走れば、大丈夫であったし
まだ帰りたくなかったし
帰ったら帰ったでむしゃくしゃしそうだったので
さらにはしる
田圃の用水路の落ちる少々でかいコンクリートの川が流れ
道を遮る
さらに道を変えれば、向こうの村に行くことも可能だが
そのまま、川沿いを、来た道を引き返すことなく
横に曲がる
すると三十メートルもしない内にコンクリートの道がある
そして、その横には、豚小屋が、たっており
今は、少々夜だったせいかいつもは、夜でも、電気がついている豚舎に明かりはなく暗かった
僕は、その豚舎を、通り過ぎると
声が聞こえた
夜であっても、豚の声はあり
天井から二三個だけ蛍光電灯らしい明かりが光っていた
きっと、関係者がすぐに入れるようにだろう
僕は、ふと目を凝らして
下を見た
そこには、空気穴というか
通気の役割で
鉄格子が、とたんの壁の間にはまっていた
そこには、寝転がった豚の姿の変わりに
みなまっすぐこちらを向いた姿勢の豚があり
目を疑う
明らかに、目が、こちらを向いた豚の顔であり
檻の間から豚が鼻を突きだし
こちらを見ていた
そして、おかしな事に
目がくり抜かれたどころか
何か、目が全部黒に塗られたように
動きが見えなかった
僕は、怖くなり
急いで、逃げた
豚舎の入り口の横に
まっすぐに、長い廊下のような
奧が見えるのだが
そこに、太った男がいた
いや、それは明らかに、豚であった
豚が、バケツを持って服を着てたっていた
それは、仕事中のようでもあったが
僕は、そのまま、急いで、家に帰った
「豚」
人々が、豚と偽り食べているのは
豚ではない
それは、宇宙人が
豚と偽り人を洗脳する遺伝子レベルでおかしなものを
混入している人工の肉である
豚は、偽りのために飼っており
実際に、トサツされる豚は一匹もいない
豚舎の豚は、皆機械式であり
死なない
宇宙人は、現的な改革を好まず
歴史的に見て違和感のないように
豚を、導入した
一部の宗教家には、利かなかったが
それでも、時代とともに、子孫までそれは及ばない
日本という国は、国ぐるみで、それを、そししていたが、それも近年崩れつつある
人は洗脳を完了しつつある
「ショクブッつ」
夏休み
道を走る子供たち
道のあちこち電信柱とか
道に水で消えかけの名前
気が付かないだろう
子供があるくすがたを写さず
通学路のずれた部分を画で写し
最後に、プールに行く子供たちの動画を写す
帰りの通学路
足下に落ちている
古くさい巻物を、発見する
それを、周りを見て、プールバッグに入れ
帰る
家には行る
戸から入り
靴を脱ぎ
風呂場へ
洗濯機に、バッグを
妹が、家の中扇風機のまえで寝ている
特にアクションも顔もなく
しかし、避けている場所を歩くと
立ち止まる少年
後ろを振り返ると
ワンピースをした少女が
ズボンのポケットをつかんでいるが
つかんでいるのでパンツが見えている
やめろよ
少年は、つきどばし
行こうとした場所の奧へいく
少女はそのとき消え
すぐに、なく声だけが聞こえる
廊下でありカーテンが夏の日差しの中揺れている
そこで、行こうとした少年の背中
カーテン鳴き声
「うえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん うえんうえん」
少年は、くらいへや 物置か
そこで、巻物を開く
古くさく
「co2」
古くさく読めない文字
絵で、木
それの解剖図のように木を開いたようになっており
そこには、機械が、あり
その中心に、CO2と言う文字
が、あり
それだけが、二つあり
まえはCO2がかかれておらず
二枚目は
解剖図と文字がある
次は、木がばらける図
そして黒く塗りつぶされているというか
虫食いか
少年は、怖くなり丸める
「どんどん」
戸を強くたたく音があり
さきほどまで、ずーーーーーーーーーーと
聞こえていた妹の音がなく
「おにいちゃん」
「あけなさーい」妹
「なにやってんの」はは
兄、積み重ねられた布団なんかの奧へとまき直していたものを入れて
しれっと
戸を開けてどこかへいく
ははは、それを追いかけ
妹は、戸のところで、二人を見た後
少し様子を見て
部屋にはいる
そこで、巻物を見つける
少し、妹の後ろ姿
少しだが徐々に明かりが落ち
それは日の落ちるを意味し
完全に暗くなるのはフェいどアウトのくらさ
そこまでの見せ場ではなく
夜
電気をつけて少年が入る
そして、ちょうずぴーど早送りで
探すが無い
そこで、「ただいまー」のこえ
廊下 戸 顔を出す少年
妹 かけてきて
少年を見上げ
「あれ、お兄ちゃんのじゃないでしょ
警察に届けてきた」
少年は止まり
ははに食ってかかろうと少し動き
妹を突き放し
けりはしないが蹴って逃げる
ははの追うとする姿
戸ががしゃん音だけ
暗闇
田圃
走る少年
走るまえ
少し戸惑い
歩き
おもいっきし走る
彼はそのとき
山に、光を見た
山のシーン
小菅
大関橋
二三秒
畑仕事している親たち
子供何人か
「仕事しろ」
親
頷く兄
「なにしてんだ」
友達
「いや」
仕事に戻る
妹
母の元で実をかごに入れるが
兄と友達がしゃべっているのを見て
数秒
兄ともだちその背景で
山の中
一人の老人が
山菜でもとりに来たのか
草を見ながらさらに進み
見慣れないものでも見たのか
とうめで目をころしたとき
画面が揺れ老人フェいど
そして画面も落ちる
黒い
ニュース
夕方居間
てれび夕食
外では、母親と近所の母親らしく騒がしいいつもより
熊でもでたのだろか
どこか東京の遊園地で、子供たちが親子連れで
楽しそうにしている
妹はテレビを見ながら
そーめんとつついたらリ
カレーをスプーンで食べたりしているが
テレビに兄が向いたら
何となく見たりしている
「あんたたちきをつけなさいよ」
先ほどまで話していたおばさんが
玄関の暗闇から障子を開けて
こちらを見て言う
食事中なのにやめてほしいと兄
妹は「ささきおばちゃん」とスプーンを置いて駆け出す
「まあ、さやかちゃん、キョウはカレー」
頷く妹
テレビを見て、そうめんを食べ終えようとしている兄
「小菅の修験道の途中で、夕方一般の登山者に
老人が倒れているのを発見
その通報で、レスキュー隊が、向かったのですが
いまだ、連絡が付かず
付近の住人は、熊か、ガスの危険性を、危惧しています」
番組はローカルテレビで
美人でも何でもないキャスターが、ほめるほどでもなく原稿を読む
その隣に、何かと、出てくる近所の猟銃協会のおっさんが、さもありなんと堂々としている
「以前も、老人による重傷の熊の被害がありまして
本来この場合の熊は、月の輪熊という小型の熊ですが
しかし、それでも十分にでかくてですね
ヒグマと比べたらなんて言ってられないわけです
現に、過去にも被害者がいるわけで」
アナウンサー
「では、噴火の兆しと言うことは考えられるんですか」
首を傾げる
「いままできいたことがないです
自分もこれから、いかにゃならんので、慎重に
捜索したいと思います
ただ一つだけ言えるのは
危険と隣り合わせですが
小菅は良いという事に限ります」
「ありがとうございました」
キャスターが、頭を下げて
安全の安否を心配しながら番組が終わる
次は去年の花火大会の映像が流れた
いつの間にか隣におばさんが
「やっぱり花子ちゃん美人だね」
彼女の妹の嫁ぎ先の旦那さんの妹なのであるが
「じゃあ、気をつけなよ」と言って
玄関に戻ると
お勝手から、母親が、何かを彼女に持たせるためにちょうど出てきた
スイカだった
自分たちで食べるつもりだったのにとちょっとむくれる
有線
「えー広報飯山広報飯山
ただいま、小菅付近に謎のガスが発生しております
小菅神社付近の住人の方は直ちに避難の方をよろしくお願いいたします
下水沢の住人の方は安全ですが
大事をとって小菅の方は
避難先の東小学校に、移動してください
住民の方は、ゆっくりとあわてず避難の方をお願いいたします
こちらは広報ーーーーーー」
心配そうに、兄をみる妹
「お兄ちゃん」
神妙な顔の兄
「なんか大丈夫だったらしいね」
同級生らしい少女が兄に言う
「なんでも、危険性の高いガスが一カ所にとどまっていたせいだったって
小菅の人は大事をとって一応まだ小学校らしいけどさ
」と同級生の男子
「それよりさ、どこだよ、新しい穴場って」
釣り竿と網を持った少年たち
しかし、農作業の棒の先にたこひもをひっつけたようなものばかりである
「いや、そこまでじゃないけどだ
この前、畑仕事の時に
ざりがにが、橋の上から見えたんだよ」
「怪しいな」
男子の一人が言った
橋の上
驚く少年たちを横目に
兄は、依然見た風景とは裏腹に
風景の木々の中に、見慣れない木を見つけた
それは風景であり遠くであり確証はない
それを見ているだけの少年怪訝
しかし、周りのものは
川をうごめく魚などに唖然とする
橋の上をのぞき込むシーン
少年の姿後ろ
見下ろす姿
かおのアップ
うごめく川
畳の上で寝っ転がって絵をかく妹
ちょうど絵は見えない
寝ている男子や
本を扇風機のまえで読む女子をしりめに
宿題をやる少年
一人ともだちは帰っていて
「あいつも大変だよな塾なんて」
と女子が言うが
「ああ」と素っ気なく宿題をする兄
ちなみに「H2O」である
「ねえ、あれでかくなってない」
彼女は、橋にみんなで行っている場所で
遠くの山を指さして僕に言う
「絵を描きましょうよ、どうせ、宿題に描く物もないだろうし」
彼女は勝手にそう言って
みんな何となく頷くが
その目線は、橋の下だ
「あっ、今にんげんみたいのが」
皆それについて
「嘘だろ」とか言っているが
一人妹だけが
真顔で、川の奧を目で追ってる 見ている
絵日記
どんどん大きくなる木
その背後で
どんどん噂
いや、アナウンスのニュースや避難 が流れる
「一時、騒然となったガス騒ぎですが
その量は比較的小規模であり
安全性に、心配はございません
くりかえします」
「本当に大丈夫なんですかね」
「学者の先生は、大丈夫だって言ってますけど
これ、聞いた話ですけど、未だにどこが発生源かわかっていないそうですよ」
「なあ、こんな所に、あんな木があったかいな」
「ありましたよ、おじいちゃんぼけちゃって」
「わしゃ、入居して十年毎日見てるがね
あんなもんは一度もみんかったぞ」
「そうですね、おやつの時間ですよもど」
「わしが、一番じゃー」
「おじいちゃん」
「おい、まずいんじゃないか
あり得ないが、これは、確実に、広がっている
もう、発表した方が良い
小菅の住人も不審がっている」
「ああ、しかし、何だ、この毒性は
いままで見たことも聞いたこともない
今のところ被害者が、老人とレスキューの人間と
数人の野次馬くらいだろうが
何で、防護スーツさえも通り抜けるんだ
意味が分からない」
「それを言うなら、あの木ですよ、何なんですか
あの成長スピード、国の人間なんか、他国の生物兵器だって噂になっています」
「もう、避難勧告だしちゃう」
「しかし、実験体が」
「そこなんだよな」
「避難勧告がでました、住人の方は、急いで避難してください
繰り返します避難勧告がでました
有毒ガスが、山を下りて木島 常盤 下水沢付近を
覆おようとしています
住人のみなさまは、避難してください」
突然の有線からのがなり立てるような音声
兄によりそう妹と不安そうににらむ有線を
倒れる大人たちを画面からみる白衣の大人二人
一人は、別の画面の数字を見ている
せっせとボードの上の紙に書く二人
最後に何かを書く
紙に、ペンの音がしっかりとするほどの何かを書いた後
頷く二人
まだ画面を見ている
「遅いね」
遅れて
「ああ」
「ご飯」
おくれて
「自分で作れよ」
立ち上がり戸を開ける
戻ってきたその手には
人参が
あきれたように、兄は、戸の向こうへ歩いていき
それについていく妹
机の上に、即席のカップラーメン袋の
食べる兄
妹は、兄を見ていた
そのとき、扉があく音
親だと思い駆け出す妹
「やあこんばんは」
聞き覚えのない声に
あわてて現れる兄
玄関には、豆電球の下
黒い丸目がねスーツにマントという
明らかに怪しいと言うか
頭のおかしな人物がたっていた
「なぜあなた方は、親をいや
世界を救わないんですか」
呆然と二人は、男を見ていた
兄は、逃げ出す手順を考え
妹の手を握る
上を見た妹
それを合図にしたかのように
走る二人
裏庭から、走り出すと
何かにぶつかる
しかし走ろうとする兄にしがみつくそれは
「ちょっと」
彼女であった
かまわず夜の村を走る三人
途中二人と出会い
近所の公民館に行く
一つだけ開いている窓があり
そこから中に入る
「なあ、あれは何なんだ、おまえらのところにもきたのか」
頷く三人
「避難しなかったのか」
頷く三人
「親は」
「帰ってきてない」
頷く二人
「どうする」
聞く兄
「ねえ、倒せばいいんじゃない」
妹
彼女は、妹の方へ行き何となくそばへ
「もうみんなで避難した方が」
ガリ
それに頷くデブ
「いや」
妹
遮るように、と言うか無視
頭をなでる彼女
「親を助けに行こう」
兄
「え」
二人
「じゃあ、椅子と2と0だよ」
「なにそれ」
彼女
「あのねあのね、お兄ちゃんが、変なの拾ってね
そこにあれを×にする方法が乗ってたの
私知ってたから、それで倒せば」
話していた兄が
振り返り怒鳴る
「無理だよ、そんなの絵空事だ」
「無理じゃないもん」言い張る妹
シーと言う二人と
大声に少々唖然とする彼女
下で、戸を割る音
「やばい」
とデブ
「ねえ、さやかちゃん、それって、覚えてる」
頷く妹
「やってみましょ」
いまそれ
と、口々に言う二人
しかめっ面の兄
「やあ、謎は解けたようだね」
そこには、戸を開けて、あの怪しげな男が立っていた
「そんな君たちにこれを」
懐からマスクを取り出す男だったが
皆部屋の隅にいて男に近寄らない
「まあ良いです、私は確かに怪しい
しかしこれも仕事です
あなた方が死のうがどうしようがかってですがね
これはあなた方に渡しましたよ
では失礼」
男は気が付くと消えていた
物音もない
白いマスクが畳に五枚
「行きましょう」
彼女が言う
妹が「ほら」とマスクを持つ
それを渡される三人
兄は、それを後ろを向いて拒否する
「意味が分からん」
妹が、彼女に渡す
「ほら」
手をみる兄
後ろでマスクをつける二人
「本当に大丈夫なのだろうか」
二人は、話し合う
それをみる二人兄と彼女
「いきなよ」といもうと
そしてその手には、紙が
「h2o」
「本当に大丈夫なのかよ」
マスクをつけた五人
「知らん」
道ばたには、枯れた草原と所々に落ちる鳥
彼らの頭上には
山と同等の大きさのケヤキのような巨大な木
「しかしあれは何のきだい」
「あっそれ知ってる」
妹の頭にげんこつを落とす兄
「それで考えたんだけど、水鉄砲でどうかな」
四人
「それで足りるんだろうか」とガリ
「いや、まて、近代技術の発展とともに
おもちゃなどの産業は三次元から二次元へと移り久しい、いくらアナログゲームが、再発見されるさなかであろうとも水鉄砲というアナログしかも肉体を使うものとなれば現代っ子の現状を考えれば
それに時期的に夏でないと厳し・・・・・・・今夏だ」
「私、コメリとD2で、見たことある
しかもでかい奴」
考え込む兄
「しかし、あれは高い
確か、飛距離3mから8mだったが
最安値でも980税抜きだ」
「おまえ、貯金してないのかよ」がり
「すいません」デブ
「そんな物もらったことがない」兄
同じく頷く妹
「しかたないわね」
四人が一斉にみる
「百均にしましょう」
こける四人
チャリで走る五人
誰もいない
真夏にマスクという異様な姿
店内に入り
水鉄砲を、見つけるも一つしかない
固まる五人
「仕方がない、ペットボトルなんかに水は持って行くことにしよう」
とあきらめる兄
しかし、妹は、歩き出す四人を、無視して、それを手に取る
「無理だ」とにらむ兄
「かっこいいんだもん」妹
よそをむくいもうと
デブがそのとき叫ぶ
「霧吹きでもいいんじゃね」
振り向く三人と握りしめる妹
かくして、水風船 霧吹き を手にして
外にでる五人である
ちなみに店内に人はおらず
お金だけ置いている
そのとき兄は妹の分を買う
水をくみ水鉄砲を浸す
水風船を膨らます
ペットボトルを用意する
皆それぞれにリュックを背負い
小菅へ向かう
空は木に覆い隠されて見えない
どこか黄色い空気
何とかたどり着く
木の周りを回る
なにもない
試しに、水をかけると
そこが焼けただれ
穴が、かけた場所だけあく
穴を広げ
中に入ろうとした瞬間
中から電線のような物が大量にはいずりでて
皆を中に巻き込もうとする
皆必死で逃げようとするが
その途中でマスクを取られたり
こけたりして
妹が中に引きずり込まれた
「あ」
兄がそれを助けようとするが
穴に引きずり込まれた妹を助けることはできず
穴の入り口で
マスクを取られ
最後は、穴にペットボトルをほおり投げることしかできなかった
彼女は、妹を追って飛び込もうとしたがやはり失敗
機械のひもに囲まれ
ただ身動きができず
ぎゅうぎゅうとやがてその質量に押しつぶされていく
彼女は水鉄砲を中りに放つと
その紐は弾け飛ぶように切れるがきりがない
そのとき頭上からぺっどぼとるが落下
彼女を水浸しにすると同時に
あたりの機械を破壊する
それは穴をあけて
彼女は、下へ下へと落ちてゆく
口をつぐみ押し黙る彼女
さいしたへ落ちると
そこは、くらく
コンクリートのような部屋
その中心に
すべての紐がつながる部位があり
彼女はそこへ走っていったが
全方向から紐が彼女を押しつぶす
しかしぬれているのですぐにくさりおちるが
徐々にそれもかわき効果がなくなる
機械は、質量で、彼女を押しつぶす
最後彼女は目をつぶり
抱き抱えるように
水鉄砲を抱きしめる
「おにいちゃん」
押しつぶされて砕けたぴずでっぽうの水が
はじけた
もうろうとする意識の中
兄は、陽炎の地面から
前を見た
そこには、砕けた残骸の上
道路にたついもうとの姿があった
しかし、明らかに、背中から機械のチューブのような物が生えており
夢のない現実に
それでも、あり得ない夢を与えるおとながいない
それなら私が、与えてもいいではないか
「18薬」
金色の錠剤を、赤子に飲ませてはいけない
なぜならそれは、強力な媚薬をはらんだ特効薬であり
男の性を、その体内に納めない限り
その効能は、脳を快楽で焼き尽くす
「いやもう大変だよ」
隣の男が、金色のロングヘアーを、背中に流し
尻を、スカートから尽きだしている
外国人の女性の腰を掴み
自らの腰を押しつけている
彼の腰には、補助バンドが、巻かれており
昨日も、整体に、行っていたという
僕は、小柄な女子中学生だろうか
お人形のような直線のカットをした女性であり
制服を、同じくまくり上げている
パンツは、彼女の横のかごに入れられており
汚れることはない
が、その膣からは止めどなく液が流れており
ベッドのシーツを汚している
このベッドも、汚れを、素早く交換できるためにと
下は、空気を含んだビニール性の強度の高いものであり
座ったり動いている感じでは、特に、恐怖もまた
布製の物とそれほどの違和感を感じさせない
「よし」
横で男が、
相手にひっつけるようにして
尻に自分の腰を、軽く押しつけて離すと
相手の膣に、紙製の詰め物を、挿入する
すると徐々にその女性のトロンとした
明らかに正常でない表情が
徐々に、知性を戻し
気が付いた頃には
「ありがとうございました」と
スカートを戻し部屋をお辞儀をして出ていった
「イヤホンと大変だ」
一日のノルマは
時給にして900円
であり、五人ほどを目安に、性射しなければならない
ここは、比較的小さな病院であるが
県立とかになると
百人体制で、こんな事を男がしている
なぜ、こんな事になったのかと聞かれれば
それは、国が妙な特効薬を開発したせいである
そのせいで、赤ん坊は、小さな頃から
膣を開発され
病気の時にいかに苦痛なく
そして、切れることのないように工夫する
その結果、幼稚園高学年からは、男性器から直接
それ以前は、注射器などで入れることになるが
その効能は薄く
やはり、非効率なことになってしまう
これは、バカな科学者が
こんな事のために仕組んでいるのか
それとも、別の理由があるのかは、知らないが
なかなかの重労働である
なにせ、欲情の対象外の子供から
死にかけの老婆まで
一応に、その専門分野に置いて、分別はされてはいるが
それでも、仕事と言うだけの性行は、なかなか厳しい物がある
なぜなら、それはごくありふれてしまうからだ
隠れているからそれは興味の対象となるが
そこにあるのは、生死に完結するあまり悠長のできない緊迫した現実である
それでも、仕事というなの物
息抜き程度にたまには楽しもうと思っても
家に帰って真に好きな女性のことを考えれば
やはり仕事なんだなと納得してしまう
僕は、うめき声のようなあえぎ声をあげる彼女の腰に
自分の一物をたたきつけると
できるだけ、最奧に流し込み
横に置かれている袋から紙を取り出し栓をする
ちなみに、紙製ではあるが
非常に柔らかいその見た目とは裏腹に
その防水効果は折り紙付きである
「ありがとうございました」
まだ赤い頬に、数本の髪が張り付き
情事の後なんだなとありありと思わせる
しかし何なのだろうか
おもしろそうだとはいってみれば
それは楽しくも思うこともあるが
何だろう、この不満は
なんなら、無料で、僕は、彼女らに奉仕したらこのもやもやは晴れるのだろうか
隣には、三十代をとうにすぎた
腹の出たおばさんと言うにふさわしい女性が
べいじゅの足丈の長いパンツをおろして
「入れて」と懇願するように、男を見ている
「はい」と、男も何の気兼ねもないように
塗れたあそこへと、勃起した一物を投入している
ぷろだなと僕は感心している
「お願いします」
扉が開いて
三十代ほどの女性が入ってきた
その手につながれるように
顔の赤い小さな少女が
髪は二つに、リボンで結ばれており
キャンディーようになっていた
「お願いします」
母親は、ベッドに、彼女をあがらせると
四つん這いにした
僕は、パンツがおろされた
その小さな性器をみて
なんとなしに、ため息を付きそうになる
そう言う趣向の人間なら
この行為は実にありがたいのであろうが
僕としてはどうにも気が進まないのである
そうは、言っても内の娘ももうすぐ五歳である
さてどうしたものかと
僕は
夜のさなか
僕は一匹の猫を見つけた
それは暗闇のせいかシルエットを見たとき
さして興味のない
野良猫か飼い猫なのだが
僕という人間が、近づいても
それは微動だにせず、ただそこに座っていた
あまりにも座っているので、僕はその猫の真後ろに
歩いてきてしまっていたが
やはり猫は、こちらを振り向くこともせず
ただ、座っていた
そこで僕は、猫という物について
思い出していたが
その猫を観察すればするほど
何か言いしれようのない違和感を、感じた
それは、僕が、自分の脳内で
猫という存在を、おぼろげながらに、絵として思い描いたとき
その違和感に気が付いた
こいつ尻尾がない
世界には、尻尾のない猫という物が
まことしやかな伝説とともに存在していることは知ってはいたが、こんなにほんのどいなかの近所に
しかも放し飼いで、そう言う種類としての猫がいるとも思えない
そうなるとたんてきに奇形種かそれとも
事故による尻尾の損失か
そんなところだろう
どちらにしても、僕は、その猫を後ろに見ながら
とおりすぎることができない
そんな心情に、おそわれていた
「やあ」
できるだけ相手を驚かさないことを気にかけながら
僕は、その猫に、声をかけた
しかし、その猫は依然として微動だにせず
動こうとはしない
大声の一つも出してみようかと
少しいたずら心に浮かされるも
その猫のあまりにも釈然としない座り方は
まるで、地球の心理を超越した心理学者か
現実を嘆く作家のように見えなくもないが
見えそうにもない
「やあ」
もう一度、僕がそう言おうとしたとき
どこかで物音がした
いや、それは声のようであり
酷くしわがれたそれは
どうにも、その猫から聞こえたようであった
「やあ」
その音は、それに限りなく酷似しており
僕は、恐くなり身を堅くした
「私は、猫のように見えるかもしれないが
事実、元人間の椰子元磯録と言うものだ
しかし、とあるやむ終えない事情から
人間としての生を、猫と入れ替えることになってしまった
しかしどういうことだろう
人間の言葉を理解しているらしいあなたは
私の言葉を人間の言葉として聞いている
果たして、時間という概念も忘れ
ただただ生きてきた私という物の存在は
人間としての性を忘れたものかと思っては居たが
あなたという人間の前では
それはないことのようらしい」
猫はそう言って振り向いたが
それは僕という人間がいままで見たことのない顔であり
それは豚でも猿でも犬でもなく
限りなく猫に近い人間のような顔であった
僕はそのとき逃げるべきだったのだろうか
ただ、その猫は、身を翻すと
僕の横をすり抜けていった
それ以来僕は、毎晩のように、あの夢のような猫を
追いかけているのであるが
どうしようもなくその姿を見つけられてはいない
幾千の夜を一と数えたとき
僕という人間は3と言う数字に分散された
六と言う漢数字を見たとき
内の老婆は30と言っていたが
その実それが正しいとは思えない
なぜらな10以上の数字をその身に受けた人間は
数秒と持たず木っ端みじんに消し飛ばされてしまうからだ
それでも彼女は、生涯自分を30だと言い張った
ちなみに内の植物は軒並み1000を記録しているが
それは愛好家としてはふつうである
誰ともしれないその夜を私は赤く塗りつぶすという
私としれないあなたの青は夜の軒下を素通りしていく
君ともしれない私のあなたは私とは違うあなたは私で
それとも知れないあなたが通り過ぎる欅通りを私は一人
死ぬとも知れないあなたと一人私の意味を探して二人
隠すことなくあなたと一人私を捜して今宵の宵を
知らず知らずに過ぎる今夜を私一人で歩く雪山
現実的な青少年と
世界の方が夢を追いかけ
狂い始める現実と非現実
そのズレはなにを生む
乱気流の乱用は非常に危険だと言っただろうが
これは、始めに言っておくが、事件では無い、断じてない、何処がどう転がろうと、そうではないと言うことにしておこう、なぜなら、謎など一切ない、非常に、机上に、図々しい、馬鹿げた、戯けの、戯れ言だから
①、と言っておきながら事項からは、項目がない題表
それは良く寝静まった時刻、1人の男が、無粋にも、その時間帯に目を覚ますと、起きあがる、周りの景色を見るともなく見ると、そのまま寝室を出て、外に向かう、格好は、パジャマではない、寝るときから着込んでいた、黒い堅めのジャージみたいなものであるが、ジャージではない、そしてなぜ私がそんなことを言っているかと言えば、さらには、なぜそんなことを知っていて言っているかと言えば、それは、それは、それは、私自身
そう、私が私のことを語っているからなのである。
その日私は、何気なくスーツを新調した、と言うのも、数日前からなんとなしに汚れていたスーツのことが気になってはいたが、どうも踏ん切りがつかず、そうしている内に、また時間が経過、そんなときに、地方であったが、いつもしているような気がするが、セールをしていたので、私はその店にはいったのだ、しかし、今回入った店は、セールをいつもやっているような、大型のチェーン店ではなく、ごく普通の、と言うよりも、そうなるとしみせという風になるのか、木造の、寂れたような、アンティークと言うか、とにもかくにも、そんな感じであり、入り口から見える店内は、暗く、さらには古道具屋の雰囲気さえした、「あのーーー」私はそう言って店内にはいると「何ですげす」といきなり物陰から、梅干しみたいな顔と、マンガみたいな二等親の小柄なおばあさんと思われる生き物が、飛び出してきた「・・あ・・あの、スーツを新調しようと」「・・内は高いよ」正直安そうに見えるが、そこは、田舎クオリティーと言う奴で、少々ぼったくり価格なのか、しかしそこは、田舎のぼったくりクオリティーを、都会で話の種にしてみようと、聞いてみることにした「いくらです」
「一億万円」「・・・え」「ハハハ、ジョークですげすジョークですげす
それでどうする、内はハンドメイドだっちゅうねんから・・・どうないするげす」・・・・どうしよう、ハンドメイドだと、案外良い奴を作ってくれるかも知れない・・しかし、ハンドメイドだぞ、きっと高いに決まっている、其れにこんな田舎だ、其れこそ一億万円なんかではないにしろ
普通の感じで、「百万円」なんて言われかねない、しかしどうだ、いくらですか、そう聞くのか、・・いや、其れは都会人のプライドが許さない、
ここは聞かずに進めて、話のネタにでも「お願いします」「そうかい、それじゃあまず、すっぽんぽんになって見ろげす」「っえ」「はよせんかいですげすぞ」「・・・このままじゃ」「うちゃ、ハンドメーードだじょげす、そんないい加減なパチモンの大型電気店みたいなもんと一緒にせんな
ですげすぞ」「・・・そうですか・・・パンツは」「お情けできさせてやるわ、しかしそれだけでだいぶ違うぞ」「そんな違いますか」「ああ、もう、それは極楽と新宿二丁目ほど」「・・・じゃあパンツなしで」「はよ脱げ、こちとらいそがしんじゃあほんだら、ですげす」「・・・・」かくして目で見るだけで、それを終わらしたが、本当に大丈夫なのであろうか
すらすらと何か書き込むと、そんじゃあ、あとは住所そこに書いて帰っても良いです、げす」「・・あの・・色とかは」「はああ・・・・ああん、こっちのセンスが気に食わんと信じられんとそう言うんだな、ですげす」
「・・・大丈夫ですよね」「知らん」「・・・・ちなみにお代金のほうですが」「ああ・三十万ほど貰っておいきます、ですげす」正直それが高いのか安いのか、そこら辺がよく分からない、ブランドものでハンドメイドなんて事になれば、それこそ数百万円はすると聞いたが、しかし、こんな無名だと思われるところで、三十万「現金払いですか」「キャッシュは、ない」「そうですよね」「・・・どうしてもと言うのであればある」「そうしてもじゃなきゃ駄目なんですか」「ああ・・借りないといけんでな、その費用でプラス一万円、費用込みで、三十二万円」「その一万円は」「
消費税を負け