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93.シンプルなロボット

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:シンプルなロボット 必須要素:変なにおい

 科学技術が発達し、一家に一台が当たり前となったメイドロボット。

 お値段はピンからキリまで、見た目が機械そのものなシンプルスタイルから、人間と遜色ないほどの美しさを醸す美少女スタイルと多種多様。シンプルであればあるほど安く、その逆は高い。

 一人暮らしで多忙な日々を送り、家事もままならかった私は思い切ってメイドロボットを購入。お財布と相談した結果、シンプルスタイルのものを選んだ。


「オカエリナサーイマッセ、オヤブン」


 帰宅早々わざわざ玄関に出迎えてくれるメイドロボット。メイドロボットと少し長いので、ノーマと名付けた。

 ノーマはなぜか私をオヤブンと呼ぶ。そう設定した覚えはないし挨拶も少しおかしい。

 肝心の家事機能はシンプルながらも無難にこなしてくれるので問題はない。おかげで洗濯物も溜まることはなくなった。

 ただ、一つだけ問題がある。

 ノーマから変なにおいがするのだ。

 オイルのにおいというわけではない。もっとなんか、形容しがたいにおいがノーマから漂っている。

 なんというか、加齢臭? ロボットなのに体臭があるとはこれいかに。


「オヤブン、キョーハユックリオヤスミクダシー」

「うん、ありがとう」


 貴重な休日に、ノーマは私を労わってくれる。休日だからしっかり休めるのは非常に助かりものだ。

 掃除機をかけるノーマが通り過ぎると、ほのかににおう加齢臭。

 別にくさくはない。ただ、とにかく変なにおい。

 はずなのに、どうしてこんなに落ち着くのだろう。


「…………」

「アララ、オヤブンオネンネデスカイ」


 うとうとしたまま眠りにつく寸前、ノーマの姿がうっすら映る。

 ロボットとは思えない、穏やかな笑みが見えた気がする。

 それを再度確認するにはいささか眠すぎた。


 ああ、そうだ。

 この加齢臭、死んだ親父に似ているんだ。

 だからこんなに、懐かしくて温かいんだろう。

世にも奇妙なわけではない。

怖い話でもなし。

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