86.大きな探偵
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:大きな探偵
彼の名前は大木大助。身長二メートルを超え、探偵を自称する高校二年生だ。
近くで事件が起きればすかさず現れ、考えるだけ考えて結局わからず退散する。
なにしに来たのかわからない、しかし彼が現れると必ず事件は解決へと進むのであった。
「あたしの筆箱がない! 誰、誰が盗ったの!?」
一限目の授業が始まると共に、大木大助と同じクラスである声が大きくて有名な越田さわ子が叫び出す。
教師が「落ち着いて」となだめても止まるわけがなくあたりは騒然とし、古典の授業そっちのけで犯人捜しが始まってしまう。
「越田の筆箱って確かピンク色だよな!?」
「みんな、荷物検査だ! 片っ端から荷物を出そうぜ!!」
影響力が大きい鶴野仁がそう促せば、みんなが一斉に所持品を公開する。机の引き出し、ロッカー、そして鞄。清廉潔白であるならば断る者は存在しない。
そう思っていたのだが。
「おい泰道! 早く鞄の中身出せよ!」
「うるせー、お前らなんかに俺の大事な荷物を見せられっかよ!!」
態度の大きい泰道割人が、必死に自身の鞄を抱えて離さない。
これはあやしいと思った連中は、泰道割人の鞄を引き剥がそうと試みる。当然泰道割人は抵抗していた。
「やめろよー! お前ら人間じゃねえ!!」
「お前が越田の筆箱盗んだのか!?」
「ちげーよ、ちげーけど……」
「じゃあ開けてみろや!!」
筋骨隆々の向山肉緒が、泰道割人の鞄を力づくで奪い取った。
そして明かされる泰道割人の鞄の中身。
入っていたのはやや激しめの少女漫画であった。
「どういうことだ……?」
「お前、こういうの好きなのか……」
「こっそり屋上で読むのがマイブームなんだよ……」
越田さわ子の筆箱は無く、泰道割人の潔白が証明された。
結局、誰の荷物からも越田さわ子の筆箱は見つからず、事態はいよいよ困難を極めるかと思いきや。
越田さわ子のカミングアウトが始まった。
「そういや家に置いてきたわ!!!」
こうして一限目の授業が終わり、つつがなく休み時間を迎えていく。
大木大助の存在により、今日も事件は解決へと導いてくれたのであった!
少女漫画の時点で15分オーバー。
置物探偵は流行りませんか。




