80.光の芸術
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:光の芸術
「なにしてるの?」
公園のフェンスに乗り、大きくジャンプして奇妙なポーズをとる瞬間を繰り返す。
そんなはたから見ればわけのわからぬ動作を、長友晴美は首を傾げながら眺めていた。
「修行だよ、修行」
そう豪語してやまない澤凛太朗は、なおもフェンスから飛んでは謎のポージングを決め続ける。
二人は幼馴染みという関係ではあるが、中学に入ってからは部活や同性の友達付き合いであまり遊ぶ機会が少なくなった。
かといって仲が悪くなったわけではない。二人とも予定が合えば遊ぶし、特に気まずくなることもない。
「なんの修行?」
「知らないの? 光魔法だよ光魔法」
理解不能だと言わんばかりに晴美の表情が険しくなる。昔から凛太朗は珍妙な行動をすることがあるが、大半は漫画やアニメの影響だったりする。
だから、今回もその手の類いなのだろう。
「光魔法ねえ」
「光魔法『かっこいいポーズ』だよ。空中でかっこいいポーズを維持し続けると、敵の動きを封じることができるんだ。あれはまさにかっこいい魔法、正に芸術だよ」
ふーん、と晴美は興味なさげに返事をし、ベンチに座って凛太朗の修行を黙って見守る。こんなことなら他の友達とカフェにでも行けば良かったなあと若干後悔する晴美であった。
「で、その光魔法は会得できそう?」
「難しいな。まず空中維持ができない。すぐ地に足がついてしまう」
「まーそーよね」
本気なのか遊びなのか、凛太朗の熱意はよくわからない。
それでも確かなのは、晴美は凛太朗の動きを一挙手一投足見逃していない。
「……敵ってわたしのことじゃないわよね」
ぼそりと晴美はつぶやく。凛太朗の未完成『かっこいいポーズ』は、僅かながらでも晴美には効き目があるようだった。
一挙手一投足のあたりで15分オーバー。
魔法陣グルグルは我がバイブル。




