表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/518

8.間違ったラーメン

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:間違ったラーメン

「へい、醤油ラーメンおまちぃ!」


 イタリアンレストランの店主が出したものは醤油ベースの『讃岐うどん』であった。


「あの、これラーメンじゃないです」


 ネットでの評価がよかったからこの店に入ったはいいものの、メニューがどれも曲者ぞろい。評価の数値だけでしか見てなかったから、いきなり度肝を抜かれてしまった。

 まずパスタ系の料理が一切ない。ピザもない。あるのはラーメンチャーハン親子丼に焼き鳥とよくわからないレパートリー。

 正直パスタの気分だが仕方がない。せめて麺類をと思い醤油ラーメンを頼んだが、出てきたのは讃岐うどん。紛れもない太く白いもっちもちの麺である。


「うちでは醤油ラーメンなんですよ、まあ食ってみなさいって!」


 うさん臭さ全開であるが食すことにする。まずはうどんをひとすすり。

 ――美味い。

 だがうどんである。


「うどんですね」

「いえ、ラーメンなんですって!」

「どうみてもうどんですって」

「お客さんもわかってないですねえ! 他所ではうどんに見えてもうちではラーメンだっつってんでしょうが!」


 なるほどなんとなく理解した。この店に限ってはラーメン=うどんを称するようだ。

 そのこだわりに共感の意は欠片も抱かないが、店主が曲げないのであればもうつっかかっても不毛だ。

 気になるのは、他のメニューはどうなのかということだ。

 例えばチャーハンだったら本当にチャーハンが出るのか? チャーハン頼んだらオムライスが出たりしないだろうか。

 少しだけワクワクする。この店主のセンスが試されるとき。


「あの、追加注文いいですか?」

「どうぞー!」

「焼き鳥を五本ください」

「ねぎまですか? うずらですか?」

「その二種類しかないんですか?」

「ないですねえ!」


 なるほど焼き鳥は二種類しか用意していないようだ。これでねぎまが軟骨でうずらがつくねだったら大したものである。よくわからないが。


「じゃあ、ねぎま三本うずら二本で」

「ねぎまは塩とタレどっちがいいですか?」

「塩一本とタレ二本で」

「かしこまりましたー!!」


 そうして意気揚々と調理場へ移動していく店主。

 さてさてどんな料理が出てくるのか。


 十数分後、店主がニコニコしながら戻ってきた。

 後ろに数名の店員を引き連れて。


「お待たせしました、ねぎま三本うずら二本でーす!」


 出てきたのは五人前の『讃岐うどん』だった。

なにこれえ。

過去一ひどい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ