73.男同士の霧
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:男同士の霧 必須要素:ゴリラ
「せいっせいっせいっせいっ」
とある村で、年に一回行われるぶつかり祭り。
成人を迎える男性がふんどし一丁となり、十数人で囲んでおしくらまんじゅうのごとく体をぶつかり合うという催しだ。
体を押し付けることでより頑丈によりたくましくという祈願を込めたお祭りではあるが、当然これを嫌がる成人前男子も少なくない。
一応は任意参加であるので、参加する面子はいずれも気合が入っていた。
「そいっそいっそおいっそいっそいやっ」
今年のぶつかり祭りは極めてレベルが高かった。どの顔ぶれも肉体的に屈強ないわば戦士ともよべる体つきで、ちょっと殴った程度ではびくともしないような連中だ。
なかにはゴリラのような毛深い男もいて、これがまたぶつかる度にくすぐったい。それでも彼らが止める理由にはならなかった。
「ほいっほいっほほいのほいっほいさっ」
実施日は八月の上旬。炎天下のなか行われるため汗が飛び散ることは避けられない。熱中症にならぬよう、周りが水をぶっかけたりして続行される。倒れてしまっては元も子もないので、具合が悪くなったらすぐにその者は退場だ。
しかし、暑さでやられるような連中は、ここにはいない。
みなが熱く炎のように燃えている。
「とうっとうっとうっとうっとうっ」
汗だか涙だかもはやわからない水しぶきが、体を弾く度に飛び散っていく。
あふれすぎて、それはまさに霧――
「ふんっふんっふんっふんっふんっふんっ」
今年のぶつかり祭りも、大成功だ。
なにこれえ。
一応架空の祭り設定ですが現実にはおそらくある。




