69.子供の嫉妬
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:子供の嫉妬
「いやだー! ママと一緒にいたいー!」
「もう由紀ちゃんは小学三年生でしょ? 少しはお留守番できるようにならないと」
「やだ! ママはあたしのもの! パパとなんか行かないで!」
「ほんの一時間だけだから、我慢できない?」
「むりー!」
野暮用で両親が出かけなければならなくなった休日。なんの予定も入っていない愛娘の由紀にとって、この状況は大変死活問題であった。
「ねえ、パパ一人で行けばいーじゃん! ママは残るの!」
「どうあがいてもパパはいらない子扱いなのが絶妙に悲しい」
落ち込むパパではあるが、娘はママを奪うパパに嫉妬しているのだと理解している。
しかし、今回はどうしても二人揃って行かなければならない用事。なんとかしてなだめて留守番をさせたいところだった。
「よし! 留守番できたら由紀のためにお菓子とかたくさん買っちゃおう!」
「パパ一人で買ってきて!」
「ひどい」
打たれ強くはないパパ。もう一押しでパパは涙目になりそうだった。
「そもそもどうしてパパはいつもママと一緒にいるの? ママもママだよ、パパなんかいらないじゃん!」
「こら、あんまりパパのこといじめちゃダメよ?」
「そうだぞ、それにその理由を話すと長くなるんだ」
「話してみてよ! じゃないとやだ!!」
「仕方がないな……」
パパとママは顔を見合わせ、やれやれと言ったふうに苦笑い。
だが、この説明で娘が納得してくれるのであれば語るのはやぶさかでない。
「いいか、パパとママが出会ったのは小学五年生の春。クラス替えで隣の席になったのがきっかけだったんだ。最初は全く話すこともなかったんだがなかなか可愛い子でね、授業中にちらちら横を見ていたら『なに?』って怪しまれたんだよ。だからパパは言ってやったんだ。『お前の顔に鼻くそついてる』って。いやああれは咄嗟の言い訳にしてはひどすぎた。それ以降数ヶ月は口きいてくれなかったし、なんなら女子からの嫌われ者になってしまったい。でも小学六年生になったときにね、偶然同じ委員会に入ることができたんだ。いやあ、あのときはモテ期到来って奴だったなあ、なぜかママ以外の子に声かけられちゃって人気者でさ、でも肝心のママには振り向いてもらえなかったんだけど、一生懸命委員会の活動をしていたらその努力が認められたのか、ママから声をかけてもらえらんだ。それからはもう一直線だよ! お互いの家に遊びに行ったり二人きりで遊んだりともう仲良しこよしでさ、そんな幸せな日々がいつまでも続くと思ってたんだけどなあ。あの驚天動地のクリスマスが始まるまでは」
「長い!!」
時間切れになったんで終了。
地獄の字数稼ぎ。




