68.めっちゃ正義
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:めっちゃ正義 必須要素:バーボン
どんなに奇麗な建物も、廃墟となってしまえば人も寄り付かない。
十年前に廃校となった蔵園小学校には、当然生徒も教師も一人も残っていない。たまに不審者が入り込むらしいが、すぐに逃げ出してしまう。
ここに人間はもういない。だが、人間以外は絶賛出没中だ。
「まさか今度はこんなところで仕事とはねえ……」
丑三つ時といういかにも出そうな時間帯に、いかにも出そうな場所へ波瀬川狩生はやってくる。近くの街灯も壊れていてあたりは真っ暗だ。
早速蔵薗小学校に足を踏み入れる狩生だが、一歩目の時点でぞわっと全身身の毛がよだった。
「こりゃー大量ですなあ」
恐怖の震えか武者震いかはたまた寒いからか、狩生はわざとらしく震える。
そして持参した袋から、ビー玉のような丸い球を歩きながらひたすら投げ捨てる。校庭、廊下、体育館、屋上と、校舎全体にいきわたるようにだ。
その間、狩生の歩みは徐々に遅くなり、まるでなにかに乗っかられたりしがみつかれたかのように重い動きをしている。
それでも負けじと体を動かし、ようやく小学校の外に出ると。
「よし、これでいいか……じゃ、爆発」
指パッチンとともに、大きな破裂音。
だが、これは近所には聴こえていない。聴こえているのは狩生と小学校内にいたもののみ。
狩生がばらまいていた丸い球は人間相手には効かない代物だが、それ以外には必殺必中の特殊な道具だった。
やがて破裂音が聴こえなくなると、狩生は電話を取り出した。
「もしもし先輩? 終わりましたよー無事バーボンしました。…………え? やだなあボンバーの業界用語ってやつですよ、全部爆破、ターゲットは全部消滅ですよ。これで解散でいいですよね…………は? まだ仕事あるんですか? もう夜なんですけど……わかりましたやりますよ。俺ってばめっちゃ正義に飢えた男なんですから」
電話を切ったあと、狩生は何度も舌打ちをしつつも次の仕事場へと移動した。
人間の目では捉えられないなにかを退治すること。それが彼の仕事であった。
指パッチンで15分オーバー。
最後のセリフでお題も必須要素もこなしていくスタイル。




