55.蓋然性のある囚人
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:蓋然性のある囚人
「彼は更生の余地ありです! いますぐ出所させるべきですよ!」
看守を務める男は、囚人番号四番がいかに日ごろの行いが素晴らしいかを上の者に説いている。
「挨拶も元気よいですし、労働も他の何倍もこなします。周りからの信頼も厚いですよ!」
「しかし、四番はこれで二回目の犯罪だ。外に出てまた過ちを犯したら洒落にならんぞ」
「大丈夫ですって! 今回こそ彼は本気なんです! 信じてあげてください!!」
看守と囚人番号四番は、かつての同級生であり、親友であった。
久々に再開したと思えば場所は拘置所。ケチな窃盗で捕まった四番を見て、看守は大いにがっかりした。
初犯を起こしたときの四番はすぐにでも出たいと懇願していたが、当然看守は拒むことしかできない。
執行猶予の判決をもらい釈放したかと思えば、短期間に再び強盗まがいを行い再び遭遇。
今度ばかりは実刑を打たれ、四番は監獄行きを言い渡された。
それからの四番の行いは見違えるほどだった。まるで昔の頃を思い出すような優等生っぷりで、看守の心が揺れ動くのは時間の問題だった。
「やはりダメだ。予定通りの刑期を迎えるまでは釈放はできない。諦めろ」
「そんな、ですが彼は!」
「知っているぞ、お前とあいつが知り合いだってことは。変な肩入れをするんじゃない、いいか、けっして変な気を起こそうとするなよ」
結局四番の即釈放は認められず、看守の説得は意味を成さなかった。
それでも四番の振る舞いは変わらない。品行方正が歩いているようなその姿は、どうして二犯もしでかしたのかわからないくらいだ。
やがて当初言い渡された刑期を迎えると、四番は看守に笑顔を見せた。
「迷惑かけてごめんな。また会うときは、胸張っていられるようがんばるよ」
それから十数年が経っても、看守は四番の姿を未だに見ていない。
監獄行きを言い渡されたところで15分オーバー。
いろいろガバガバだけど大目にみてください。




