46.生きているネット
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:生きているネット 必須要素:800字以内
「ういーすこんにちは! 今日は何の動画見るんですかー?」
回線の調子が悪いと思ってルーターを叩いたのが仇となったか、ネットに繋げるとパソコンから声が出るようになった。
「その動画再生回数の割にはつまんないっすよ? こっちがオススメなんだけどなー」
「まーたエロ動画見るんすか? この前買ってからずっとそればっかじゃないですかたまには違うの買いましょうや!」
「あーその検索方法はちょっとアホっぽいですねー」
どうしてパソコンが意思を持たないよう作られているのか、いまならわかる。
癒されるならまだしもいかんせん野太い男の声であり、変更もミュートも効かない。
まいったな。
「そういえばこの前あのサイトで入力した個人情報、他の奴に盗まれちゃってましたよ」
事後報告だけはしてくれるが、特に大したセキュリティはしてくれない。
「あんまいろんなサイトにクレカ登録しないほうがいいっすよー。最近物騒なんだからさ」
そのくせ注意喚起はしてくれる。というか盗まれたのがわかってるのならその前になんとかしてくれないものだろうか。
「あれ、もうシャットダウンするんすか? 珍しいなあいつもは深夜になってもぐだぐだネットサーフィンしてるのにー」
青筋を立てながらパソコンの電源を切り、そっと舌打ちをする。
次の日、私はルーターもとい回線を変えた。なんならパソコンも買い替えた。
これならもうあのうざったい声を聴くこともないだろう。
新型パソコンとルーターの設定を済ませ、いざインターネットに接続を試みると。
「初めましてご主人様っ。本日はいかがいたしますか?」
なんとまたしても生きているネットに早変わり。しかし今度は口調も性格も丁寧だ。
しかし野太い声は変わらなかった。
書いててわけわかんなくなってきた。
パソコンにリアクターはいらない。




