4.汚いプレゼント
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:汚いプレゼント
「なんすかこれ」
「あなたへのプレゼントよ」
「包装紙がすでに汚れてんですけど」
「ちょっとしたサプライズよ」
「中身を見る前にサプらなくてもいいんですよ」
「まず見た目からサプってもらわないとね」
「しかもちょっと濡れてるしー」
「運んでるときに転んで落としちゃったの」
「絶対ぬかるんだ土とかに落としましたよね」
「サプライズよ」
「ハプニングだろどっちかというと」
「中身に影響はないから開けてみて」
「なんかガシャガシャ音がするんですけど」
「あら、割れちゃったかしら」
「コップかなんかだったんですか?」
「開けて見てびっくりしなさい」
「壊れてるプレゼント開けるのもなんだかなあ」
「いいから開けなさいって」
「わかりましたよ急かさないでくださいよ」
「きっと喜ぶから」
「ふう……少しばかりドキドキしますね」
「いい心がけね」
「汚れてなければもっと純真な気持ちでいけたんですけどねえ」
「悲しいわね」
「じゃあ開けますよ」
「どうぞ」
「貯金箱じゃないですか」
「しかも五百円玉たくさん入れておいたの」
「だからガシャガシャしてたんですねえ」
「嬉しい?」
「五百円玉たくさんありますからちょー嬉しいですよ!」
「現金な子ね」
「ありがとうございます!!!!!!」
「急に元気な子になったわね」
「いやあなかなかいいサプライズでした」
「汚かったから余計に手のひら返しがすごいでしょ」
「たしかに汚いおかげで第一印象はマイナスでしたからね」
「汚いプレゼントも悪くないってものよ」
「でもこの貯金箱もう原型留めてないですけどね」
「あーやっぱり割れてたかー」
「物より金が無事ならいいですよ」
「汚い心の持ち主ね」
困ったら地の文入らずの会話劇に逃げろって婆ちゃんが言ってた。
「春雨さんと私」もよろしく。