34.突然の嫉妬
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:突然の嫉妬
高校野球というものは何が起こるかわからない。いわゆる魔物が住んでいるというやつだ。
なんてことないフライもエラーしてしまったり、下位打者がホームランを連発したりと予測不能な展開だってなきにしもあらず。
そういうところを含めて、和也は高校野球を見るのが大好きだった。
そしていままさに、その瞬間を目撃するところ。
九回裏ツーアウト満塁。フルベースフルカウントで同点。
打者が塁に進めさえすれば、サヨナラ逆転となる。
張り詰めた球場内。ただただ次の一球を見届ける観客席。自分ですら緊張感を覚えるのだから、戦っている選手達はその比ではないだろう。
ピッチャー、何度も何度も静かにうなずき、キャッチャーとの意思疎通を合わせていく。
パッター、リズムをとるように適度に揺れている。落ち着くためだろうか。
そして――
「ああっと、ピッチャーまさかの失投! キャッチャー取れません!!」
「いやー手が滑ったのでしょうか、もったいない!」
突然の失投。
「Shit!」
なんとも虚しい結末に、思わず怒り露わに暴言を吐く和也。
和也の応援する高校は負けてしまった。
「いやーまさかの失投だとはねえ」
「あんたさあ、一人で高校野球見に来たわけじゃないよね?」
「え?」
試合中、夢中で応援する和也の隣には、彼女である水子がいた。
しかしいくら水子が話しかけても和也は反応せず、まるで一人で来たかのような錯覚に陥っていた。
「おいおいもしかして高校野球に嫉妬してんの? 勘弁してよいま俺悔しい思いでいっぱいなんだからさあ」
そして二人は本日をもって別れた。
こいつあひでーや。
別れオチも高校野球も以前に書いたなしかし。
扱いやすいのかもしれない。




