29.ひねくれた部屋
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:ひねくれた部屋 必須要素:予想外の展開
「へえ、お前の部屋って意外と奇麗にしてるんだなあ」
「だったら汚くすればいいんだろ!!」
怒りの沸点がわけわからず、突如ブチ切れた岡本は、整理整頓されている本棚から本を無造作に散らばせた。
なにか悪いこと言ったかな、と松林に緊張感が走り出す。
「褒めたつもりなんだけど……」
「意外と、が余計なんだよ、意外とじゃなくて予想通りって言ってもらいたいね」
「なるほど……申し訳ない」
不機嫌になった岡本に対しては、素直に謝るのが一番の有効手だ。たとえこちらに大した非がなくてもである。
「それにしても小説ばっかなんだな。漫画とか読まないの?」
「いまから長編漫画注文すりゃいいんだろ!」
素早い仕草で通販サイトから漫画を注文する岡本。またしても怒りに身を任せた行動に、松林は身構える。
今度は変なことを言っていないはずだと、松林は確認してみる。
「いまのはどこが気に障った?」
「漫画とか読まないの? じゃないよ! どーせ偏ってるとか思ってたんだろ!」
「なるほど……それは失礼した」
そんなつもりは毛頭ないが、謝ってしまえば機嫌が直るので問題ない。
その後も自分の発言が癇に障り、大胆な模様替えをしていく岡本部屋。
どこまで試せばこのひねくれた部屋は変わるだろうか。まるで実験をするかのように、松林は面白がっている。もはや岡本を怒らせることになんのためらいもない。
「しかし、この部屋狭いな。一人暮らしだしさびしいと思わない?」
「そこまで言うなら引っ越せばいいんだろ!? あんたも一緒に住めよな!!」
「え」
善は急げというのだろうか。
その日の時点でいまの家を売り払い、岡本は松林と共にいまより広い家を購入するのであった。
その後、二人は末永く幸せに暮らしたという。
無理やり締めて15分以内。
ただしわけがわからない。




