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28.苦し紛れの闇

「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。

お題:苦し紛れの闇

 賢者ヒカリは人知れず悩んでいた。

 頼もしい勇者やおとぼけ剣士、明るく懐っこい魔法使いと個性豊かな面子が揃うなか、自分だけが地味で無個性なのではないだろうかと考え始める。

 例えばクエストでドラゴーン討伐時のこと。

 四人で一生懸命がんばって倒し、町民からは喝采の嵐であったのだが。


「やはり勇者様はお強い! あなたが引き受けてくれていなければこの街は終わっておりました。器も度胸もなにもかもが大きい、さすが勇者様ですな!」

「剣士さんも前線で体を張られておつかれさまです! 普段のんびりされているのにここぞというときは頼りになりますな!」

「魔法使いちゃんもガンガン魔法で援護されたそうで! その元気さはさぞかし周りの士気を高めてくれたのでしょうな!」

「賢者さんもありがとうございます!」


 町長からお褒めの言葉をいただいた際、自分だけ一言で済まされたことをヒカリは忘れていない。

 それどころか「私ってやっぱり目立たないんだわ」と確信する瞬間であった。


 真っ暗な深夜の宿屋にて、ヒカリは考える。隣のベッドでは魔法使いが寝息を立てている。

 どうすればこの没個性から脱出できるのだろうか。

 勇敢、天然、活発のポジションはすでに取られている。そうなると冷静ぐらいしか選択肢はなさそうだが、ただでさえ物静かなヒカリが冷静キャラになってしまうと存在が消えてしまうかもしれない。

 ならば他にはなにがあるか。

 散々悩んだ末にヒカリが選んだ個性とは。


 翌朝。集合時間にいつも来ているはずのヒカリが来ていない。

 なにがあったのか勇者はヒカリと同室の魔法使いに聞くも、「ちょっと遅れる」と伝えただけで詳細はわからない。

 ヒカリがいなければパーティの戦力はだいぶ削がれる。無茶をしがちな面々のブレーキ役であるヒカリは、勇者にとってなくてはならない大切な存在。当然、剣士や魔法使いもヒカリがいないとまとまらないと思っている。

 個性とか地味とかそういうのは関係ない。賢者ヒカリは勇者達の大きな支えであった。


 そんなことはいざ知らず、十分遅れてやってくるヒカリ。

 いつもなら「おはようございます」とほほ笑んでやってくるはずなのだが。


「お、おまたせにゃーん」


 誰もが目を疑う。

 賢者ヒカリ、猫耳と尻尾を装着しての登場である。

 真夜中にヒカリが散々悩み苦しんだ抜いた末に出した答えは、ペット枠。

 これからは猫キャラの時代である。


「さ、さあ、行こうにゃん!」


 その後、僅か一時間で羞恥心に耐えかね、ヒカリの猫キャラは終わることになる。

翌朝のところで十五分オーバー。

お題を主軸にしないよう書いてみる。

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