24.寒い花
「即興小説トレーニング」にてお題を頂いて書いております。
お題:寒い花 必須要素:暦
触れると凍ってしまう花が存在するらしい。
奇妙かつ珍妙で本当かどうかもわからない噂話ではあるが、その噂を耳にした直後、一穂はすぐさま探しに向かった。
その花は、北の山の頂上に咲いているという。
一穂がその花を求めている理由は至極単純。
自分の燃え盛るような体を、凍らせてしまいたかったからだ。
特殊体質とも呼ばれる力が一穂には宿っており、一穂が持つ体質は高音を超えた灼温。
一穂の体温は、常に沸点を超えている。
力に目覚めたのは七歳の春、暦にして十年前のことだ。
母親と仲良く手を繋いでいると、急に母親が痛みを感じ、ふと自分の手のひらを見ると。
皮がめくれ、火傷に侵されていた。
それ以来、一穂が誰かに触れることはなくなった。敬遠され、隔離され、誰からも避けられる日々。
一穂は自分の力を忌み嫌っていた。
こんな力がもし消えてしまえれば、どんなにいいか。
だから一穂は、噂を信じて花を求めた。
北の山は常人なら凍えるほどの寒さであるが、一穂にとってはなんてことのないもの。雨が降ろうと吹雪が舞おうと、彼が寒さを感じることは一切ない。
数時間かけれ頂上に登り詰めると、そこには一面に広がる、青い蒼い、真っ青な花。
ゆっくりと、一穂を花のもとへと近づく。
どうかこの体を凍らせてくれと言わんばかりに、一穂はすがるように花を掴んだ。
だが――
「……なんてことのない、ただの寒い花じゃないか」
一穂の体温が勝り、花に触れても凍ることはなかった。
それでも一穂は安堵する。
力に目覚めてから十年。ついに一穂は、冷たいという感覚を手に入れたのだから。
触れると凍ってしまう花畑に包まれながら、一穂は静寂の眠りへついた。
救いのないようで救いのあるようなお話。
ちょっとわかりづらい。




